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本編
第8話 ありがとう
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突然、日常が壊れた。
私達の幸せは突然に奪われた。
この時の事を思い出すと、いつも胸が張り裂けそうになる。
『なんで!』と叫びたくなる。
心の奥底に冷たいものをギュッと押し付けられたような感覚だ。
あの時の記憶は、あまり思い返したくない。
きっと、あずきもそうだったのかな。
それは、私達にとってあまりにも突然の出来事だった。
いや、必然だったのかもしれない。
前から......あの匂いがしていたのだから。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
あの時はいつも通り、お散歩していた。
でも、いつも通りの幸せの日常は来てくれなかった。
────ご主人様が倒れて、動かなくなった
時間が経つにつれて、どんどん冷たくなっていった。
私達は、心配ですぐご主人様の元に寄り添った。
で、でも......っ!
どれだけ寄り添っても、優しい言葉をかけてくれ無い!
どれだけ寄り添っても、いつものように撫でてくれ無い!
どれだけ寄り添っても、ほんわかするような体温が無い!
どれだけ寄り添っても、いつもする優しい匂いが無い。!
どれだけ寄り添っても、どれだけ吠えても......! 「めっ!」とは叱ってくれ無い!
無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い!
何も無いよ! ねぇ!
どうして話してくれないの!
どうして撫でてくれないの!
どうして体温がないの!
どうして匂いがしないの!
どうして叱ってくれないの!
ねぇ......っ! どうしてよぉ......!
その瞬間、私は理解してしまった。
『ご主人様が死んだ』
と。
前から確かに違和感は感じていた。
ご主人様からは変な〝匂い〟がしていた。
ああ、あれは〝死〟の匂いだったのか。
私の心の中には色々な感情が渦巻いてくる。
悲しみ。絶望。焦燥感。不安。苦しみ。
深い、深い絶望が私を襲う。
ご主人様はもう、動くことは無い。
私に、ご主人様は話しかけてくれない。
私を、ご主人様は撫でてくれない。
私が、ご主人様の体温を感じることはない。
私が、ご主人様の匂いを感じることもない。
私を、ご主人様が叱る事もない。
あの日常は、一生戻ってくる事はない。
まだ、ご主人様が倒れてから少ししか経ってないのに、もう遠い昔の事の様に感じる。
まるで、深い闇の中に吸い込まれてるみたい。
どうして......っ。
ねぇ、どうして。
私の気持ちに呼応するかのように、雨が降り出す。
寒いなぁ。
でも、雨に打たれてたい。
その方が落ち着く。
土砂降りとなった雨が、私の心に溶け込んでくる。
もう、全身がずぶ濡れだ。
ああ、私はもうひとりぼっちなんだ。
......死にたいな。
もう、全てを終わらせたい。
大好きだったこの広場の景色も、今では色あせくすんだように見える。
なんか......もう。
立ってるのもめんどくさい。
私は、ご主人様の腕に近ずきうずくまる。
あれ......? なんか......暖かい。
私は、気怠い気持ちに抗ってそっと横を向いた。
ああ、私はひとりぼっちなんかじゃないよ。
ごめんね。
私が間違ってた。
横には、震えながら私に寄り添ってくれるあずきの姿があった。
ごめんね。
あずきも辛かったもんね。
ひとりぼっちなんかじゃないよ。
ごめんね。
だって、あずきが1番ご主人様の事が好きだったもんね。
1番辛いのはあずきだよね。
私の心の中は、まだ絶望していた。
でも、そこに1つの感情が生まれた。
それは......感謝だ。
そうだよ。これだけは伝えよう。
死んじゃったから、絶対に伝わる事は無いけど、これだけは伝えたい。
『ごしゅじんしゃまぁ!! だいすき!! いままでありがとぉ!! ごしゅじんさまが居てくれて幸せだったよぉ!!』
うつむいてしまった顔を精一杯持ちわ上げて、全力で叫ぶ。
でも......悲しい時、ご主人様みたいに涙が出ないのは悔しいなぁ。
私達の幸せは突然に奪われた。
この時の事を思い出すと、いつも胸が張り裂けそうになる。
『なんで!』と叫びたくなる。
心の奥底に冷たいものをギュッと押し付けられたような感覚だ。
あの時の記憶は、あまり思い返したくない。
きっと、あずきもそうだったのかな。
それは、私達にとってあまりにも突然の出来事だった。
いや、必然だったのかもしれない。
前から......あの匂いがしていたのだから。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
あの時はいつも通り、お散歩していた。
でも、いつも通りの幸せの日常は来てくれなかった。
────ご主人様が倒れて、動かなくなった
時間が経つにつれて、どんどん冷たくなっていった。
私達は、心配ですぐご主人様の元に寄り添った。
で、でも......っ!
どれだけ寄り添っても、優しい言葉をかけてくれ無い!
どれだけ寄り添っても、いつものように撫でてくれ無い!
どれだけ寄り添っても、ほんわかするような体温が無い!
どれだけ寄り添っても、いつもする優しい匂いが無い。!
どれだけ寄り添っても、どれだけ吠えても......! 「めっ!」とは叱ってくれ無い!
無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い! 無い!
何も無いよ! ねぇ!
どうして話してくれないの!
どうして撫でてくれないの!
どうして体温がないの!
どうして匂いがしないの!
どうして叱ってくれないの!
ねぇ......っ! どうしてよぉ......!
その瞬間、私は理解してしまった。
『ご主人様が死んだ』
と。
前から確かに違和感は感じていた。
ご主人様からは変な〝匂い〟がしていた。
ああ、あれは〝死〟の匂いだったのか。
私の心の中には色々な感情が渦巻いてくる。
悲しみ。絶望。焦燥感。不安。苦しみ。
深い、深い絶望が私を襲う。
ご主人様はもう、動くことは無い。
私に、ご主人様は話しかけてくれない。
私を、ご主人様は撫でてくれない。
私が、ご主人様の体温を感じることはない。
私が、ご主人様の匂いを感じることもない。
私を、ご主人様が叱る事もない。
あの日常は、一生戻ってくる事はない。
まだ、ご主人様が倒れてから少ししか経ってないのに、もう遠い昔の事の様に感じる。
まるで、深い闇の中に吸い込まれてるみたい。
どうして......っ。
ねぇ、どうして。
私の気持ちに呼応するかのように、雨が降り出す。
寒いなぁ。
でも、雨に打たれてたい。
その方が落ち着く。
土砂降りとなった雨が、私の心に溶け込んでくる。
もう、全身がずぶ濡れだ。
ああ、私はもうひとりぼっちなんだ。
......死にたいな。
もう、全てを終わらせたい。
大好きだったこの広場の景色も、今では色あせくすんだように見える。
なんか......もう。
立ってるのもめんどくさい。
私は、ご主人様の腕に近ずきうずくまる。
あれ......? なんか......暖かい。
私は、気怠い気持ちに抗ってそっと横を向いた。
ああ、私はひとりぼっちなんかじゃないよ。
ごめんね。
私が間違ってた。
横には、震えながら私に寄り添ってくれるあずきの姿があった。
ごめんね。
あずきも辛かったもんね。
ひとりぼっちなんかじゃないよ。
ごめんね。
だって、あずきが1番ご主人様の事が好きだったもんね。
1番辛いのはあずきだよね。
私の心の中は、まだ絶望していた。
でも、そこに1つの感情が生まれた。
それは......感謝だ。
そうだよ。これだけは伝えよう。
死んじゃったから、絶対に伝わる事は無いけど、これだけは伝えたい。
『ごしゅじんしゃまぁ!! だいすき!! いままでありがとぉ!! ごしゅじんさまが居てくれて幸せだったよぉ!!』
うつむいてしまった顔を精一杯持ちわ上げて、全力で叫ぶ。
でも......悲しい時、ご主人様みたいに涙が出ないのは悔しいなぁ。
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