【完結】僕の愛を舐めるなよ?

あずきなこ

文字の大きさ
7 / 14
本編

第7話 ご主人様

しおりを挟む
 私はきなこ。


 私には小さい頃からずっと、あずきと一緒に居た。


 あずきは、いつも「きなこを守る」と言ってくれて、頼りがいがある大きな存在で、とってもとーっても大好きだった。


 私達が前のご主人様を見つける前も、今みたいにずっと寄り添ってくれた。


 確か、前のご主人様を見つける前は「ペットショップ」という場所に居た。


 お母さんとの記憶は殆ど無い。


 でも、寂しくは無かった。


 そこにはあずきが居たから。


 いくら寂しくても、あずきが居た。


 ある日、私達にはご主人様が出来た。


■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪


 彼は綺麗な白髪のおじいちゃんで、とっても優しかったんだ!


 微笑みが世界一似合う、まさに紳士って感じの人だったの! 私達の自慢のご主人様だよ!


 私達を、暖かい家に迎えてくれたり。毎日、撫でたり。とーっても私達を可愛がってくれたんだ!


 ご主人様は、私には〝きなこ〟という名前を、私の相棒にも〝あずき〟という大切な名前を付けてくれた。


 あずきも、名前〝だけ〟は覚えていて、宝物と言っていた。


 それは本当に嬉しかったなー


 毎日が幸せだった......あの時を思い出すと、心がポカポカしてくる。


 まるで、お日様の匂いみたい!


 美味しいご飯、毎日のお散歩、優しいご主人様!


 ちゃーんと愛して貰えた。


 私は撫でてもらうのと、ブラッシング......だっけ? 難しい言葉は分からないけど、オシャレをするのが大好きだった!


 だって......毎日あずきが見てるしね! えへへ、恥ずかしいなぁ。


 あずきはね、ご主人様が大好きだったの!


 特に、あずきはお散歩とボール遊びが大好きだった!


 広場を駆け回り、ボールを追いかけ、ご主人様に褒めてもらう。


 毎日めいっぱい遊んで、本当に〝幸せ〟だった。


 広場の景色は、日が移りゆく事に変わり、初めて来た時はピンクのおっきな木があったのに、緑がいっぱいになり、そして黄色と真っ赤になり、最後には何も無くなった。


 

 こんなにも最高な事は無かった!


 たまに、かまって欲しくて吠えてると「めっ!」て怒られてたけどね......てへへ。


 私はピンクのおっきな木の時が1番好きなんだ!


 この日常が永遠に続くと思っていた。



 でも、ある日それは突然に訪れた。



 

 それは、4回目の〝何も無くなった〟時だった......

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。

猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で―― 私の願いは一瞬にして踏みにじられました。 母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、 婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。 「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」 まさか――あの優しい彼が? そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。 子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。 でも、私には、味方など誰もいませんでした。 ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。 白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。 「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」 やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。 それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、 冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。 没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。 これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。 ※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ ※わんこが繋ぐ恋物語です ※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~

深冬 芽以
恋愛
 交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。  2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。  愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。 「その時計、気に入ってるのね」 「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」 『お揃いで』ね?  夫は知らない。  私が知っていることを。  結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?  私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?  今も私を好きですか?  後悔していませんか?  私は今もあなたが好きです。  だから、ずっと、後悔しているの……。  妻になり、強くなった。  母になり、逞しくなった。  だけど、傷つかないわけじゃない。

処理中です...