異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

文字の大きさ
218 / 482
ぼっちー冒険記作家になる!?

218日目:語られなかった航海の章

しおりを挟む

異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~

218日目:語られなかった航海の章


こんばんは、ぼっちーです。

昨日の古書店で出会った一冊の冒険記——
それは、「アリエル・シュナイダー」という記録者が綴った旅の記録でした。

感情がしっかり詰まった、あたたかな文章。
でも、その中にひとつだけ、不思議な“空白”があったんです。


「海の章、欠落してます」

本の途中、「南の港町ベルガルドから出航」と書かれたページのあと、
次の章はなぜかいきなり「東の森にて」と始まっていて。

つまり、“海の旅”の記録がまるまる抜けてる。

その空白をめくるようにして、ぼくは店主さんに聞いてみました。

「これって、もともと未完だったんですか?」
「それがねぇ……昔、写本をした人が“海の章は語られなかった”って言ってたそうよ」

……語られなかった? なぜ?


風の道すがら、もうひとつの話

そのことがどうにも気になって、今日はユレッサに向かう道の途中、
町外れの馬車宿で聞き込みをしてみることに。

すると、ベンチに腰かけていたおじさんが、こんなことを教えてくれました。

「アリエルか……若いころ読んだな。海の章がないの、気になってたよ。
でも、ベルガルドの海辺に“あの人が詩を書いた石碑”があるらしいぜ」

石碑……詩……?
そこに、何かが隠されてるのかもしれません。


沈黙の旅路

古書の中で唯一、その章に触れる言葉がありました。

“あの船の上で、言葉は風にさらわれた。書くことができなかった。
だから、代わりに黙って歩いたんだ。”

この一文だけが、海の章のあとに添えられていたメモ。

もしかして、アリエルさんは——
あまりに強く、深い何かを経験して、それを言葉にできなかったのかもしれません。

記録者でも、書けないことがある。
でも、それでも旅を続けたんだ。


モフは覚えてる?

そんな話をしながら進んでいると、モフがとことこと近づいてきて、
ぼくのカバンから、昨日の冒険記の本をひょいと引っぱり出しました。

「もふ!」(訳:これ、まだ読むでしょ!)

まるで、「次はぼくが読む番」みたいな顔で本を抱え込むモフ。
……いや、それ君、かじっちゃだめだよ! あとで借り物返すんだからね!

でも、もしかしたらモフには、何か感じるものがあったのかも。
動物的な勘で。


語られなかったことに、寄り添う

ぼくは、今日のメモ帳にこう書きました。

「書けなかった物語があっても、それはきっと意味がないわけじゃない。
むしろ、書かれなかったことの中にこそ、大切な“想い”があるのかもしれない」

だってぼくも、記録を始めたころは、
毎日なにを書けばいいか悩んでたし、とても書けないって日もあったから。

でも今は——
誰かが書けなかったものを想像し、補うことも“記録者の旅”の一部なんだって思えるんです。


ぼっちー今日のひとこと

「書かれなかったことを、想像できる人になりたい。」



プロフィール
• 名前:ぼっちー(記録の余白にも物語を見つけたい人)
• 相棒:モフ(ページめくり係。たまにかじる)
• 今日の記録:語られなかった航海/石碑のうわさ/記録と沈黙の意味


次回は、ついに魔法都市ユレッサの“外縁部”へと近づきます。
……が、その前に事件発生!?
「モフ、図書館で迷子になる」——えっ、まだ着いてないのに、どこで迷子になったの!?

本の町へ向かう途中の“立ち寄りスポット”で起きた、まさかの迷子事件。
モフが消えたその場所には、ちょっとした“魔法”の気配も……?

どうぞ明日の更新もお楽しみに!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

優の異世界ごはん日記

風待 結
ファンタジー
月森優はちょっと料理が得意な普通の高校生。 ある日、帰り道で謎の光に包まれて見知らぬ森に転移してしまう。 未知の世界で飢えと恐怖に直面した優は、弓使いの少女・リナと出会う。 彼女の導きで村へ向かう道中、優は「料理のスキル」がこの世界でも通用すると気づく。 モンスターの肉や珍しい食材を使い、異世界で新たな居場所を作る冒険が始まる。

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!

Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた! ※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

処理中です...