異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g

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ぼっちー冒険記作家になる!?

248日目:波間に浮かぶ小島の伝説

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異世界に転移したらぼっちでした~探検者ぼっちーの日常~

248日目:波間に浮かぶ小島の伝説


こんばんは、ぼっちーです。

“風を読む”灯台守カゼリアから託されたヒント――
それは、「波間に浮かぶ島を訪ねろ」という言葉でした。

方角は南。
コンパスの針も、変わらずそちらを指し続けている。

ぼくとモフは、ベルガルドの港から小型船に乗り込み、“語り部の島”と呼ばれる小島を目指して、いよいよ海へ出ました。

モフ、初の船旅です。
……さて、どうなるか。


モフ、波をにらむ

「うわ、揺れる……! モフ、大丈夫?」

「もっふぅぅぅ(訳:地面がない! 地面がないよぉ!!)」

わかる。すごくわかる。
ぼくも正直、浮いてる板に乗って大海原って、信じていいのかちょっと不安です。

とはいえ、操船してくれているのは、港で紹介された経験豊富な船乗りのハーフリザードさん。
片目に眼帯、背中に舵型の刺青、そして口癖が「潮は嘘つかねぇ」。
なんというか、海の男っぽさが全開です(安心感あるけど!)。

目的の小島までは、潮の流れに乗って半日ほど。

ぼくは航海中、昨日カゼリアにもらったナヴィルの断章を読み返していました。
そして気づいたんです。ある一節。

『“言葉で風を封じた者”が島に残した“音の鍵”がある』

「……音の鍵?」

「もふ?(訳:歌のことかな?)」

うん、モフ、それかも。


語り部の島

午後、船は目指す小島に到着しました。
島の名前は「リ・スラン」。古代語で「語る島」という意味なんだそうです。

「昔この島には、“記録の民”が住んでいた」と、船乗りさんが教えてくれました。
その名残か、今も島の中心には石造りのホールがあって、語り部たちが交代で伝承を語り続けているらしい。

……観光地じゃなくて、“記憶の保存装置”みたいな場所ですね。なんかゾクゾクしてきた。

「お客人、風の記録を探して?」

そう声をかけてくれたのは、島の管理者でもある老女。
白い髪に水色の衣、歩くたびに小さな貝殻がしゃらしゃらと音を立てる不思議な人。

ぼくは、カゼリアの話とナヴィルの手記のことを伝えました。

すると老女は、静かにうなずいて、こう言いました。

「あなたが“風の名を求める者”なのですね。なら、こちらへ」

モフがぴたりと止まりました。

「もふっ(訳:ここ、空気が……変わった)」

感じたんです。場の“気配”が、静かに変わったのを。


風の歌

案内されたのは、石造りの円形ホールの奥。
そこでぼくたちは、古の語り部による“記録の歌”を聞くことになりました。

不思議な旋律でした。言葉はわからないのに、意味が伝わってくる。
まるで音そのものが、記憶のカタチをしているような。

その中に――確かにありました。

「四つの島は風の環。
一つは空に、
一つは水に、
一つは火に、
そして最後は影に」

「風が影に沈んだとき、
それは記録から除かれた。
だが、音は忘れない。音だけは――」

歌い終えた語り部の女性は、ぼくに一枚の貝殻を差し出しました。

それは、掌ほどの白い貝に穴があけられ、まるで笛のようになっていました。

「これは“風の記録笛”です。影の島の風を呼ぶ鍵。使い方は……風が教えてくれるでしょう」

風が教えるって、かなりアバウトだよ!?

けど、ぼくの手のひらでその笛がほんのり温かくなった気がして――
なぜか、すぐに理解できました。

「あ、これ……潮の変わり目に吹けば、“道が開く”んじゃないかな」

モフも、しっぽをゆらゆらさせてうなずいています。

「もふぅ(訳:その笛、いいにおいがする。風のにおい)」


波間の下にあるもの

笛と、歌と、語り部たちの記録。
それらは、ひとつの真実を示しているようでした。

第四の島は、沈んだのではなく――“隠された”。

そしてそこに通じる“風の通路”は、音で開かれる。

「モフ、次は、潮が変わる時間を調べなきゃね」

「もふ!(訳:でもその前に! カモメと遊びたい!)」

……ああ、モフの遊び欲も限界だったか。
よし、ちょっとだけビーチで休憩しよっか。


ぼっちー今日のひとこと

「歌は風と似てる。目に見えなくても、記憶を運んで、次の冒険への扉を開くんだ」


プロフィール
・名前:ぼっちー(風笛を手にした探検者)
・相棒:モフ(潮風とカモメを追いかける自由な鼻)
・今日の記録:語り部の島/風の記録歌/風笛と“影の島”への鍵


次回は、語り部の島で“風の鍵”を手に入れたぼくたち。
ひとまずひと息ついて、島のビーチで休憩。
……でもモフがはしゃぎすぎて、大騒動に!?
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