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0.親友
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私を含めて4人の見習い聖女が集まるこの聖堂で、私たちは一緒に暮らしている。
見習い聖女っていうのは聖女候補みたいなもので、16歳になったらこの中から1人だけ聖女の神託がもらえる。
それまでの間は、それぞれの能力に合わせて少しずつ聖女の仕事と、あとは聖堂の雑務を毎日こなす。
この見習い聖女になるまでの私たちの境遇はそれぞれで、私の場合はど田舎で暮らしていた3歳の時に使いの人が来た。
情報の少ない田舎では聖女見習いなんて聞いたことがなくて胡散臭さ満載のスカウトにも関わらず、私の両親は多額のお金がもらえるからと、その日のうちにあっさりと私をここに売り飛ばした。
その手に入れたお金で両親は毎日のようにいいお店に行ってお酒を飲んで豪遊していて、そのうち破産するのが目に見えている。
そんな私とは正反対の入所の仕方をしているのが、私の親友のミア。
都心部ほど見習い聖女をかなりの名誉職と見るようで、娘が選出されればその家族や親戚なんかも崇められて、評判が上がる。
だから親友の見習い聖女であるミアは、本来であれば査定の時に切り捨てられてしまうくらい小さな力しか持っていなかったけど、両親がお金を積んでレポートをいじってここに入った。
だけどミアはとにかく魅力的で誰をも魅了してしまうし、自分を魅せるのがとても上手な子だから、とてもうまくやっている。
聖女見習いをまとめる職長はミアが最も大きな能力を持っていると信じ切っているほど。
だから今や、職長は他の見習い聖女のことを能無しだと馬鹿にすらしてきて、大きな仕事の時は私たちを素通りして必ずミアに依頼がいくようになってしまった。
そして、そんな能力的に実際は不可能な依頼の仕事は私がミアに代わって内緒でやってあげている。
「ソフィア~!」
仕事が振られると、彼女は一目散に私のところにやって来る。
「どうしよう、私うまく力を使えないのに、こんなお仕事任されちゃった…」
シュン、とするミアはいつも可哀想で、親友のために私は力を貸していた。
初めて聖女の仕事を割り振られた日も怯えた泣きそうな目で、ミアは相談をしてきた。
自分がコネ入所であること、能力的にできないことが明らかになってしまったら、両親共々社会から追放されてしまうこと。
両親に"売られた"という点で共通点を持っている私たちは、自然と助け合って生きていたし、真っ青になるミアがあまりに可哀想だと思って助けてあげることにした。
「ミア、大丈夫だから手を出して」
ミアの手に私の手を重ねると、パーっと、光が広がる。
私はミアの手に私の能力を1回分貸してあげた。
今回使えるのは与えた容量分の一回きりだけど、広範囲に防壁を貼ったりするくらいは簡単だ。
「わー! ソフィア、ありがとう! 大好き! 」
家族との思い出が3歳でとまった私にとって、聖女として認められることより、ミアに好いてもらえること、喜んでもらえることがなにより大事だった。
大事だと思っていたから、それしか見てなかったのかもしれない。
だから段々と変わって環境に、気付いていなかった。
「ミア、優秀な君にしか頼めないことなんだ。君ならできるよな?」
職長にそう聞かれると、ミアは自身満々にいつもの魅力的な笑顔を魅せる。
「はい、職長。私に任せてください」
ミアは職長の前ではそう答えると、職長は嬉しそうに頬を緩ませる。
「君はいつも優秀で可愛いな」
えへへ、と笑うミア。
微笑ましいと思う反面で少しずつ違和感を感じていて、でもその度すぐに親友に少しでも疑心を抱いた自分を責めた。
ミア以外の人と会話するのがあまり上手でないから、誰にでも好かれる可愛いミアの笑顔がうらやましいだけなんだと、その時は思ってしばらくは何も考えずに生活をしていた。
次により大きな違和感を感じたのは、ミアにある提案をされた時だった。
聖女の力を貸してあげるとミアはパタパタと職長のところにいってその力を発揮して、職長は目を見張りミアを褒め称えた。
「この年でこんなことができるなんて。ミア、やはり君は天才だ。
ほかの2人、お前たちもボーッとしてないでミアを見習え。
能力がない分、せめて努力するんだぞ! 」
職長があからさまに見下してくる嫌な言い回しを言うようになってくるのは不愉快だけど、力は自分を誇示するためのものでもないし、「職長なのに全く見る目がない人だな」程度で笑っていた。
それに能力のない人から称賛されると言うことに私はあまり興味を持てなかった。
だけど、大仕事を終えたミアが職長に褒められる度にほかの聖女見習いの二人は羨ましそうに見つめていた。
「ミアはいつも褒められて、羨ましいな」
一人ぽつりと言った言葉に、ミアがとっておきのことを思い付いたかのように朗らかに言った。
「ねえ、ソフィア。二人のことも助けてあげられないかな? 」
ソフィアは可愛らしい笑顔をいつものように浮かべた。
「いつまでも二人が能力ないって思われて職長に酷い目にされちゃうのもかわいそうだなって思ったの。
ソフィアのできないことは私たちみんなが代わるから、良かったら私たちのできないことはソフィアにしてほしいんだ。
だめかな?」
初めは純粋な子どもの、みんなで幸せになろうと言う純粋な気持ちだったと思う。
私もまだ幼くてミアたち以外に家族といえるもの失っていたから、頼れるのは私たち自身で、できないことを補い合うのは当然かもしれないと、了承してしまった。
「うん、みんなの役に立てるなら」
私がもう賢く立ち回る術を知って入れば、あんな悲劇は起きなかったと思う。
だけど、違和感の正体に気づくことのできなかった私は、その日から私は3人分の仕事を日々こなしていた。
他の庭掃除などの雑務に比べて、聖女の能力を使うのは体をとても疲弊させることだった。
毎回のように自分の体を削って彼女たちに力を貸しては、彼女たちの株だけを上げていたのかも知れない。
それでも、わたしは役に立てていることは誇らしかった。
私には、助けた分だけ人の感謝の声が聞こえるから、ミアを介してであっても能力を使うたびに喜びの声が聞こえる。
だからどんな形であれ聖女という仕事は私の誇りだった。
見習い聖女っていうのは聖女候補みたいなもので、16歳になったらこの中から1人だけ聖女の神託がもらえる。
それまでの間は、それぞれの能力に合わせて少しずつ聖女の仕事と、あとは聖堂の雑務を毎日こなす。
この見習い聖女になるまでの私たちの境遇はそれぞれで、私の場合はど田舎で暮らしていた3歳の時に使いの人が来た。
情報の少ない田舎では聖女見習いなんて聞いたことがなくて胡散臭さ満載のスカウトにも関わらず、私の両親は多額のお金がもらえるからと、その日のうちにあっさりと私をここに売り飛ばした。
その手に入れたお金で両親は毎日のようにいいお店に行ってお酒を飲んで豪遊していて、そのうち破産するのが目に見えている。
そんな私とは正反対の入所の仕方をしているのが、私の親友のミア。
都心部ほど見習い聖女をかなりの名誉職と見るようで、娘が選出されればその家族や親戚なんかも崇められて、評判が上がる。
だから親友の見習い聖女であるミアは、本来であれば査定の時に切り捨てられてしまうくらい小さな力しか持っていなかったけど、両親がお金を積んでレポートをいじってここに入った。
だけどミアはとにかく魅力的で誰をも魅了してしまうし、自分を魅せるのがとても上手な子だから、とてもうまくやっている。
聖女見習いをまとめる職長はミアが最も大きな能力を持っていると信じ切っているほど。
だから今や、職長は他の見習い聖女のことを能無しだと馬鹿にすらしてきて、大きな仕事の時は私たちを素通りして必ずミアに依頼がいくようになってしまった。
そして、そんな能力的に実際は不可能な依頼の仕事は私がミアに代わって内緒でやってあげている。
「ソフィア~!」
仕事が振られると、彼女は一目散に私のところにやって来る。
「どうしよう、私うまく力を使えないのに、こんなお仕事任されちゃった…」
シュン、とするミアはいつも可哀想で、親友のために私は力を貸していた。
初めて聖女の仕事を割り振られた日も怯えた泣きそうな目で、ミアは相談をしてきた。
自分がコネ入所であること、能力的にできないことが明らかになってしまったら、両親共々社会から追放されてしまうこと。
両親に"売られた"という点で共通点を持っている私たちは、自然と助け合って生きていたし、真っ青になるミアがあまりに可哀想だと思って助けてあげることにした。
「ミア、大丈夫だから手を出して」
ミアの手に私の手を重ねると、パーっと、光が広がる。
私はミアの手に私の能力を1回分貸してあげた。
今回使えるのは与えた容量分の一回きりだけど、広範囲に防壁を貼ったりするくらいは簡単だ。
「わー! ソフィア、ありがとう! 大好き! 」
家族との思い出が3歳でとまった私にとって、聖女として認められることより、ミアに好いてもらえること、喜んでもらえることがなにより大事だった。
大事だと思っていたから、それしか見てなかったのかもしれない。
だから段々と変わって環境に、気付いていなかった。
「ミア、優秀な君にしか頼めないことなんだ。君ならできるよな?」
職長にそう聞かれると、ミアは自身満々にいつもの魅力的な笑顔を魅せる。
「はい、職長。私に任せてください」
ミアは職長の前ではそう答えると、職長は嬉しそうに頬を緩ませる。
「君はいつも優秀で可愛いな」
えへへ、と笑うミア。
微笑ましいと思う反面で少しずつ違和感を感じていて、でもその度すぐに親友に少しでも疑心を抱いた自分を責めた。
ミア以外の人と会話するのがあまり上手でないから、誰にでも好かれる可愛いミアの笑顔がうらやましいだけなんだと、その時は思ってしばらくは何も考えずに生活をしていた。
次により大きな違和感を感じたのは、ミアにある提案をされた時だった。
聖女の力を貸してあげるとミアはパタパタと職長のところにいってその力を発揮して、職長は目を見張りミアを褒め称えた。
「この年でこんなことができるなんて。ミア、やはり君は天才だ。
ほかの2人、お前たちもボーッとしてないでミアを見習え。
能力がない分、せめて努力するんだぞ! 」
職長があからさまに見下してくる嫌な言い回しを言うようになってくるのは不愉快だけど、力は自分を誇示するためのものでもないし、「職長なのに全く見る目がない人だな」程度で笑っていた。
それに能力のない人から称賛されると言うことに私はあまり興味を持てなかった。
だけど、大仕事を終えたミアが職長に褒められる度にほかの聖女見習いの二人は羨ましそうに見つめていた。
「ミアはいつも褒められて、羨ましいな」
一人ぽつりと言った言葉に、ミアがとっておきのことを思い付いたかのように朗らかに言った。
「ねえ、ソフィア。二人のことも助けてあげられないかな? 」
ソフィアは可愛らしい笑顔をいつものように浮かべた。
「いつまでも二人が能力ないって思われて職長に酷い目にされちゃうのもかわいそうだなって思ったの。
ソフィアのできないことは私たちみんなが代わるから、良かったら私たちのできないことはソフィアにしてほしいんだ。
だめかな?」
初めは純粋な子どもの、みんなで幸せになろうと言う純粋な気持ちだったと思う。
私もまだ幼くてミアたち以外に家族といえるもの失っていたから、頼れるのは私たち自身で、できないことを補い合うのは当然かもしれないと、了承してしまった。
「うん、みんなの役に立てるなら」
私がもう賢く立ち回る術を知って入れば、あんな悲劇は起きなかったと思う。
だけど、違和感の正体に気づくことのできなかった私は、その日から私は3人分の仕事を日々こなしていた。
他の庭掃除などの雑務に比べて、聖女の能力を使うのは体をとても疲弊させることだった。
毎回のように自分の体を削って彼女たちに力を貸しては、彼女たちの株だけを上げていたのかも知れない。
それでも、わたしは役に立てていることは誇らしかった。
私には、助けた分だけ人の感謝の声が聞こえるから、ミアを介してであっても能力を使うたびに喜びの声が聞こえる。
だからどんな形であれ聖女という仕事は私の誇りだった。
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