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故郷
3話:話し合い
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「とにかくさ、ブラッドって子が死んだ今」
「おい今凄いこと言った自覚あるか? え、何死んでるの? エネミーは?」
「え、攫われたじゃん。王の兵が攫ってったじゃん」
衝撃的な事をさらりと何事も無いように言ったこの兄は、首元を掴まれてもいつも通り狂っているかのようにただ、笑っている。そういうところが、嫌いだ。
「だからさぁ、『あっちの世界』に逃亡するために一旦隠れてやり過ごそうとしたのを監視されてて、落ち着いた所に奇襲掛けられてズバーン、て奴だよ。良くあるでしょ? そういう終わり方」
分からない。エネミーもブラッドも、王様に後れを取るほど弱い奴らではない筈だし、特にエネミーなんて対抗手段がいくらでもあっただろうに。
「シザリスも殺されちゃううから、このままこの村でずぅっと逃げ続けるのが良いと思うんだ。だって、いつもそうやって生きてきただろう? お前は」
「いや、死んだっていいさ。仲間が守れるのなら……なんて、言えたら良かったんだけどな」
「シザリスは本当に嘘を吐くのが下手だなぁ。もっと好きなように、楽なように、生きればいいとマル兄さんは思うんだけど、ね」
流れた涙は、血の味がした。
「おい今凄いこと言った自覚あるか? え、何死んでるの? エネミーは?」
「え、攫われたじゃん。王の兵が攫ってったじゃん」
衝撃的な事をさらりと何事も無いように言ったこの兄は、首元を掴まれてもいつも通り狂っているかのようにただ、笑っている。そういうところが、嫌いだ。
「だからさぁ、『あっちの世界』に逃亡するために一旦隠れてやり過ごそうとしたのを監視されてて、落ち着いた所に奇襲掛けられてズバーン、て奴だよ。良くあるでしょ? そういう終わり方」
分からない。エネミーもブラッドも、王様に後れを取るほど弱い奴らではない筈だし、特にエネミーなんて対抗手段がいくらでもあっただろうに。
「シザリスも殺されちゃううから、このままこの村でずぅっと逃げ続けるのが良いと思うんだ。だって、いつもそうやって生きてきただろう? お前は」
「いや、死んだっていいさ。仲間が守れるのなら……なんて、言えたら良かったんだけどな」
「シザリスは本当に嘘を吐くのが下手だなぁ。もっと好きなように、楽なように、生きればいいとマル兄さんは思うんだけど、ね」
流れた涙は、血の味がした。
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