婚約破棄された侯爵令嬢は悲しみに浸りたいのに周りが騒がしいです!

akechi

文字の大きさ
6 / 14
誰かこの人達を止めて下さい!

お願いだから空気を読んで!

しおりを挟む
「お…お通ししてくれ…あと妻を呼んでくれ!お前達はそこに立っていろ!」

モール公爵は執事に命令すると、ソファーに座っていた2人を立たせた。待っている間はまるで生きた心地がしないモール公爵は妻を呼んだ。妻はウィーンズトン侯爵夫人と交流があり、この事態を上手く解決してくれると望んでいた。

そしてドアをノックされ、入って来るウィーンズトン侯爵家の人達と何故かモール公爵の妻でありオーウェンの母親ジュリア公爵夫人も既に一緒だった。



*****************************************************************


私が家族を宥めていると、あっという間に公爵家に着いた。私の頭にはクロが乗ってスヤスヤと寝ている。可愛い!
お父様は馬車の中で私やお母様に怒られて落ち込んでいたが、今は復活してベルと指をポキポキ鳴らしている。ポキポキは流行っているのか?
私はお母様と苦笑いしながらも公爵家に入っていく。すると玄関ホールの正面の大きな階段から女性が階段をかけ下りてくる。

「あぁ!アンジェリーナちゃん!ごめんなさいねっ⋯グズ」

気品ある美しい女性ジュリア公爵夫人は今はその気品が感じられない程に泣き腫らした顔で私に謝り続けている。私とお父様はその姿に驚いて固まってしまうが、お母様はジュリア公爵夫人に近寄る。

「ジュリアちゃん!泣かないで!悪いのはあいつの息子よ!貴女じゃない!」

「アメリアちゃん…ありがとう」

「え?あいつの息子?どう言う意味、お父様?」

「いや、分からない」

私とお父様は自然とベルの方を向き説明を促すが、何故か鼻で笑われた。そこに執事が震えながらやってきて公爵の執務室に案内される。

「奥様…旦那様が呼んでおりますが⋯」こそこそと話す執事。

「あら、言われなくても行くわよ!」

「フフっ!ジュリアちゃん、もう我慢しなくて良いのよ?」

「ええ!もう私も限界よ!」

「え?もう私の婚約破棄の事じゃないよね?」

「俺もさっぱりだ!」

また私達はベルの方を見るが、また鼻で笑われた。貴女は私の侍女だよね?

部屋の前に着くと執事が顔面蒼白のままドアをノックする。すると覇気がない声が中から聞こえる。多分モール公爵だろう。私達は広い執務室の応接の間に案内されると、そこには執事と同じく顔面蒼白のモール公爵とその後ろにオーウェンとメアリーが驚きながら立っていた。

「これはこれはウィーンズトン侯爵。どうぞこ…こちらにおかけ下さい。ああ!妻も一緒でしたか!」

威圧感を出すお父様に対して一瞬怯んだが、一緒にジュリア公爵夫人がいるのを見て覇気が戻ってくるモール公爵。だがジュリア公爵夫人はモール公爵の隣には座らずウィーンズトン侯爵夫人アメリアの横に座った。

「ジュ…ジュリア?どうしてそちらに座るんだ?」

「おい!俺達は婚約破棄の件で来たんだが?」父上が威圧する。

「は…はい!この度はうちの愚息が申し訳ありませんでした!この不始末は責任を持って対処いたしますからどうか婚約破棄だけはなかった事にして下さい!」

「婚約破棄はそっちの息子が言ってきたんだが?」

私はオーウェンとメアリーを見る。オーウェンはいつもの威厳ある父親しか知らないので今の怯えきった姿に唖然としているが、メアリーは何故かお父様を見て頬を赤らめてる。ん?

「あ…あの!」

メアリーは男爵令嬢でこの中では一番格下にも関わらず急に話しを止める。周りはメアリーを訝しげに見るが、空気が読めない少女は爆弾発言をする。

「侯爵様は年下はお好きですか?」

お母様は笑顔で持っている扇子を折った。怖いよ。
しおりを挟む
感想 68

あなたにおすすめの小説

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

婚約破棄されたので聖獣育てて田舎に帰ったら、なぜか世界の中心になっていました

かしおり
恋愛
「アメリア・ヴァルディア。君との婚約は、ここで破棄する」 王太子ロウェルの冷酷な言葉と共に、彼は“平民出身の聖女”ノエルの手を取った。 だが侯爵令嬢アメリアは、悲しむどころか—— 「では、実家に帰らせていただきますね」 そう言い残し、静かにその場を後にした。 向かった先は、聖獣たちが棲まう辺境の地。 かつて彼女が命を救った聖獣“ヴィル”が待つ、誰も知らぬ聖域だった。 魔物の侵攻、暴走する偽聖女、崩壊寸前の王都—— そして頼る者すらいなくなった王太子が頭を垂れたとき、 アメリアは静かに告げる。 「もう遅いわ。今さら後悔しても……ヴィルが許してくれないもの」 聖獣たちと共に、新たな居場所で幸せに生きようとする彼女に、 世界の運命すら引き寄せられていく—— ざまぁもふもふ癒し満載! 婚約破棄から始まる、爽快&優しい異世界スローライフファンタジー!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)
恋愛
貴族令嬢だが自他ともに認める醜女のマルフィナは、あるとき王命により結婚することになった。 相手は王女エンジェに婚約破棄をされたことで有名な、若き公爵テオバルト。 あまりにも不釣り合いなその結婚は、エンジェによるテオバルトへの嫌がらせだった。 それを知ったマルフィナはテオバルトに同情し、少しでも彼が報われるよう努力する。 だがテオバルトはそんなマルフィナを、徹底的に冷たくあしらった。 その後あるキッカケで美しくなったマルフィナによりエンジェは自滅。 その日からテオバルトは手のひらを返したように優しくなる。 だがマルフィナが新婚時代に受けた仕打ちを、忘れることはなかった。

処理中です...