孤児院の愛娘に会いに来る国王陛下

akechi

文字の大きさ
3 / 108
1章 国王陛下ですよね?

チロとルル

しおりを挟む
波乱の勉強会が終わりルル達は孤児院に戻ってきた。するとチロの激しい泣き声が聞こえてきたので、急いで中に入ると先生に抱っこされやはり大泣きしていた。

「またか⋯」

「最近多いね」

アンリもチロを見て心配している。

「ねぇーねぇー!」

チロはルルを見つけると先生に下ろしてもらうと、思いっきり飛び込んでくる。最近はルルの姿が見えないと泣き出してしまうのだ。

「チロ兵士!泣くのをやめるのであります!」

「グズッ⋯あい!」

チロは大好きなルルとアンリに挟まれているので何とか泣き止んだ。チロは半年前にここに来た子で、母親に育児放棄され餓死寸前で発見されたのだ。なので普通の3歳よりだいぶ小柄で、今は大好きなルルに甘えたくて仕方がないのだ。

「チロー!何して遊ぶ?」

「んー⋯へいしさんごっこ!」

「⋯あんた好きだね」

「うん!」

ルルとチロは汚れてもいい服に着替えて、庭を匍匐(ほふく)前進で進んでいた。

「付いてきてるか!チロ兵士!」

「あい!どこにいくでしゅか?」

「敵を倒しに行く!」

ルルがそう言いながら庭の草木を掻き分けると、キルア院長と話す今回の標的がいた。

「あいつは強敵だ!準備はいいか!」

「あい!」

二人はパチンコを構え標的に狙いを定める。標的は全く気付いていない。

「まずはチロ兵士!撃ってみろ!」

チロがパチンコを構えるが引っぱる力がなくてトンという音と同時に玉が下に落ちた。

「⋯。失敗は誰にでもある!諦めるな!」

「あーい!」

向こうでは標的が肩を震わせている。

(気付いてるか!それに笑ってんな!)

「だんちょーが見本を見せる!よく見ておけ!」

ルルはそう言うと、憎き標的に狙いを定める。緊張で汗が⋯「くちゅん!」

「チロ兵士!くしゃみを我慢してください!」

「ちゅいません!」

ブラブラと垂れている鼻水をルルに拭いてもらうチロ兵士。

今後は標的が堂々と笑っている。(腹立つ!)今度こそ標的に狙いを定め、そして放つが軽く手でキャッチされた。

「くそ!失敗だ!逃げるぞーー!」

「あい!」

ルル達は急いで逃げ出そうとしたが、先回りした標的が目の前に現れた。

「お前達!面白い事してんな!」

「チロ兵士!かかれーー!」

「あーーい!」

ルル達は腰に差してた棒で攻撃するが標的は簡単に避ける。

「もう!ジョンさんつまんない!」

「ちゅまんないー」

標的であるジョンさんに文句を言うルルとチロ。

「もう終わりか?」

(しょうがない最後の作戦だ!)

ルルはポケットからあるものを取り出し、ジョンさんを見て不敵に笑う。

「お前!それは卑怯だぞ!」

「戦に卑怯も糞もない!」

ピーーーーーーーー!ピーーーーーーーー!

ルルが思いっきり笛を吹くと、おちび達がどこからともなくやって来て一斉にジョンさんに飛びかかる。

「標的は死んだ!任務完了だ!」

「かん⋯かーむりょーでしゅ!」

「感無量な!」

「あい!」

「よし!一杯やるか!」

「チロはミルクがいい~」

ルルはチロを小脇に抱えると仲良く帰っていった。


「おい、助けてくれー!」


1人の犠牲者を出して…プッ。
しおりを挟む
感想 111

あなたにおすすめの小説

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

1人生活なので自由な生き方を謳歌する

さっちさん
ファンタジー
大商会の娘。 出来損ないと家族から追い出された。 唯一の救いは祖父母が家族に内緒で譲ってくれた小さな町のお店だけ。 これからはひとりで生きていかなくては。 そんな少女も実は、、、 1人の方が気楽に出来るしラッキー これ幸いと実家と絶縁。1人生活を満喫する。

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

よかった、わたくしは貴女みたいに美人じゃなくて

碧井 汐桜香
ファンタジー
美しくないが優秀な第一王子妃に嫌味ばかり言う国王。 美しい王妃と王子たちが守るものの、国の最高権力者だから咎めることはできない。 第二王子が美しい妃を嫁に迎えると、国王は第二王子妃を娘のように甘やかし、第二王子妃は第一王子妃を蔑むのだった。

王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。が、その結果こうして幸せになれたのかもしれない。

四季
恋愛
王家に生まれたエリーザはまだ幼い頃に城の前に捨てられた。

【完結】アッシュフォード男爵夫人-愛されなかった令嬢は妹の代わりに辺境へ嫁ぐ-

七瀬菜々
恋愛
 ブランチェット伯爵家はずっと昔から、体の弱い末の娘ベアトリーチェを中心に回っている。   両親も使用人も、ベアトリーチェを何よりも優先する。そしてその次は跡取りの兄。中間子のアイシャは両親に気遣われることなく生きてきた。  もちろん、冷遇されていたわけではない。衣食住に困ることはなかったし、必要な教育も受けさせてもらえた。  ただずっと、両親の1番にはなれなかったというだけ。  ---愛されていないわけじゃない。  アイシャはずっと、自分にそう言い聞かせながら真面目に生きてきた。  しかし、その願いが届くことはなかった。  アイシャはある日突然、病弱なベアトリーチェの代わりに、『戦場の悪魔』の異名を持つ男爵の元へ嫁ぐことを命じられたのだ。  かの男は血も涙もない冷酷な男と噂の人物。  アイシャだってそんな男の元に嫁ぎたくないのに、両親は『ベアトリーチェがかわいそうだから』という理由だけでこの縁談をアイシャに押し付けてきた。 ーーーああ。やはり私は一番にはなれないのね。  アイシャはとうとう絶望した。どれだけ願っても、両親の一番は手に入ることなどないのだと、思い知ったから。  結局、アイシャは傷心のまま辺境へと向かった。  望まれないし、望まない結婚。アイシャはこのまま、誰かの一番になることもなく一生を終えるのだと思っていたのだが………? ※全部で3部です。話の進みはゆっくりとしていますが、最後までお付き合いくださると嬉しいです。    ※色々と、設定はふわっとしてますのでお気をつけください。 ※作者はザマァを描くのが苦手なので、ザマァ要素は薄いです。  

婚約破棄されたトリノは、継母や姉たちや使用人からもいじめられているので、前世の記憶を思い出し、家から脱走して旅にでる!

山田 バルス
恋愛
 この屋敷は、わたしの居場所じゃない。  薄明かりの差し込む天窓の下、トリノは古びた石床に敷かれた毛布の中で、静かに目を覚ました。肌寒さに身をすくめながら、昨日と変わらぬ粗末な日常が始まる。  かつては伯爵家の令嬢として、それなりに贅沢に暮らしていたはずだった。だけど、実の母が亡くなり、父が再婚してから、すべてが変わった。 「おい、灰かぶり。いつまで寝てんのよ、あんたは召使いのつもり?」 「ごめんなさい、すぐに……」 「ふーん、また寝癖ついてる。魔獣みたいな髪。鏡って知ってる?」 「……すみません」 トリノはペコリと頭を下げる。反論なんて、とうにあきらめた。 この世界は、魔法と剣が支配する王国《エルデラン》の北方領。名門リドグレイ伯爵家の屋敷には、魔道具や召使い、そして“偽りの家族”がそろっている。 彼女――トリノ・リドグレイは、この家の“戸籍上は三女”。けれど実態は、召使い以下の扱いだった。 「キッチン、昨日の灰がそのままだったわよ? ご主人様の食事を用意する手も、まるで泥人形ね」 「今朝の朝食、あなたの分はなし。ねえ、ミレイア? “灰かぶり令嬢”には、灰でも食べさせればいいのよ」 「賛成♪ ちょうど暖炉の掃除があるし、役立ててあげる」 三人がくすくすと笑うなか、トリノはただ小さくうなずいた。  夜。屋敷が静まり、誰もいない納戸で、トリノはひとり、こっそり木箱を開いた。中には小さな布包み。亡き母の形見――古びた銀のペンダントが眠っていた。  それだけが、彼女の“世界でただ一つの宝物”。 「……お母さま。わたし、がんばってるよ。ちゃんと、ひとりでも……」  声が震える。けれど、涙は流さなかった。  屋敷の誰にも必要とされない“灰かぶり令嬢”。 だけど、彼女の心だけは、まだ折れていない。  いつか、この冷たい塔を抜け出して、空の広い場所へ行くんだ。  そう、小さく、けれど確かに誓った。

処理中です...