転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi

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10章 アレクシアと愉快な仲間2

いよいよ始まった勉強会④

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「「師匠!!」」

倒れてしまったエルマを抱えながらも、冷酷皇帝ルシアードの様子を震えながら伺う弟子の男女。

「ケロ?フッ⋯可愛いな」

いつもながらの溺愛ぶりに周りも慣れているのか反応しない。ただ弟子の男女だけはポカンとしていた。

「はいはい。父上も絵を描きましゅか~?」

「ああ、そうだな」

嬉しそうに愛娘から紙をもらうルシアード。

「仕事は終わったんでしゅか?」

「⋯⋯」

「ロイン伯父上に黙って来たんでしゅか!?命知らずでしゅね~!」

「む。俺だってアレクシアの様子を見たかったんだ。大丈夫、激しい腹痛でトイレに行くと言ってきた」

「⋯⋯。皇帝の威厳に関わりましゅよ?今頃は皇帝専属医官が向かってるんじゃないでしゅか?」

呆れているアレクシアの机の横に急いで皇帝用の机が用意され、ルシアードは当たり前のようにそこへ座った。

「描いたら早く仕事に戻ってくだしゃいよ!シアまで伯父上に怒られましゅ!!」

「ああ。俺は愛しいアレクシアを描くぞ」

そう言いながら嬉しそうに描き始めたルシアードをチラッと見て少し笑ったアレクシア。

「じゃあ、シアも父上を描きましゅか!」

描き終わった最初の絵(ジジイ)を横に置き、新しい紙に楽しそうに描き始めた。そんな愛娘を見て感無量なルシアードは、自分も負けじと愛しいアレクシアを描き始めるのだった。

それぞれが黙々と描いている光景を満足そうに見ているのは、やっと復活したエルマだ。

「うんうん!実に素晴らしい光景です!!ルシアード皇帝陛下とアレクシア様という強い絆で結ばれた皇族親子はいませんよ!!」

「む。分かってるな。お前の名はなんと言うんだ?」

褒め称えられて満足そうなルシアード。

「え?あ⋯画家で音楽家のエルマと申します」

今更ながら自己紹介をすることになったエルマ。

「今頃でしゅか!!シア達は何回か会ってましゅよ!あの黒くて変な絵あったじゃないでしゅか!」

アレクシアが変な絵と言った瞬間、エルマの表情が一変した。

「変な絵だど!?あれはオラの最高傑作だ!オメェはまだ何も分かってねぇな!」

エルマがアレクシアに猛反論する声が静まり返った部屋に響き渡った。すると今度はエルマの弟子達が青ざめながら卒倒した。

黙々と描いていた爺や婆の手が止まり、皆の視線がエルマに集中した。

「こんなお転婆爆弾娘だがこの国の皇女じゃ。“少々”失礼ではないか?」

魔国の大賢者であるポーポトスがエルマに苦言を呈する。

「そうね。生意気娘だけどこの国の皇女なのよ?舐めた口を聞くわね?」

エルフの女王であるエルメニアが鋭い視線をエルマに向けた。

「うむ。破天荒娘じゃが今は皇女じゃ。かなり失礼じゃないかのう?」

今まで大人しかった神獣ガイアもエルマに抗議する。いつもなら一番に騒ぎそうなミルキルズやデイルズは黙っているが、またそれが怖いのだ。

「爺や婆の方が失礼でしゅね!こんな完璧美少女を捕まえてお転婆爆弾娘やら生意気娘やら破天荒娘って何でしゅか!ただの悪口でしゅか!!」

プンスカと怒るアレクシアだが、そのおかげで爺や婆が垂れ流し始めた殺意が消えた。ガタガタと震えて腰が抜けてしまったエルマは自分の首が一瞬だが切られた感覚になり底知れぬ恐怖が全身を襲う。

「この人は興奮したり怒ると訛ってしまうんでしゅよ。まぁ皇族に対しては良くないでしゅよ?シアじゃなかったら命は無いと思いましゅから」

まだガタガタと震えるエルマを何だかんだで庇うアレクシア。

「さあ!気分を切り替えて絵を発表しましゅよーー!描けた人からどうじょ!!」

だが、そんな腰抜けたエルマを往復ビンタで我に返らせているアレクシアが、一番に鬼畜だと思ってしまう爺や婆であった。

「じゃあわしからじゃな!!」

一番に手を挙げたのは初代魔国国王であるデイルズだ。嬉しそうに立ち上がって描いた絵を披露し始めた。

「わしはデズモンドとアレクシアが結婚している絵を描いた!どうじゃ!?」

そこにはデイルズと大人になったアレクシアが手を繋いでいる絵が描かれていた。意外にも絵が上手いデイルズに驚く一同だが、ルシアードは面白くなさそうで明らかに機嫌が悪くなる。

「爺、意外に上手いでしゅね」

「そうかのう!?これはデズモンドにプレゼントするわい!喜ぶぞ!ガハハ!!」

アレクシアに褒められて上機嫌のデイルズは、不機嫌なルシアードの肩を叩きながら笑っている。

「む。おい、痛いぞ」

デイルズを睨みつけるルシアード。

「ああ、悪い悪い!お主も早くアレクシアの花嫁姿が見たいじゃろ!!」

「爺!煽るなでしゅ!!皇宮を全壊させたらシアの首が飛びましゅ!!享年三歳になっちゃいましゅよ!!」

愛剣を取り出し立ち上がるルシアードを必死に止めながら、デイルズを黙らせようとするアレクシア。

「次はわしじゃな!!」

嬉しそうに手を上げるのは初代竜族族長であるミルキルズだ。

「ミル爺!空気を読んで下しゃいな!今は皇宮とシアの危機でしゅよ!?」

「大丈夫じゃ!此奴らが暴れたらわしが止めるからのう!!」

「もっと悪いでしゅよ!!ああ!!もうアウラード大帝国が無くなっちゃいましゅ!!誰かこの馬鹿ちん共を止めて下しゃいな!!」

自信満々に言うミルキルズや、デイルズと一触即発のルシアードを見て頭を抱えるアレクシア。

「楽しそうなお話をされていますね?」

ドアがギィィと重苦しい音と共に開くと、怒りを隠すことなくゆっくりとそしてゆっくりと入ってくる人物を見て皆がピタッと止まる。

「ぎゃっ!シアは終わりまちた⋯」

そう言ってアレクシアは卒倒したエルマの弟子達の横にフラフラと近づいて行き同じく倒れたのだった。

「アレクシア様、今回はあなたは被害者みたいですね?」

やって来た怒り心頭の人物、ロインはちらりとアレクシアに視線を向けた。

「⋯⋯」

アレクシアは何事も無かったようにヒョイと起き上がり始めた。

「そうなんでしゅ!!伯父上助けて下しゃいな!このままだとアウラードが無くなってしまいましゅよ!!」

「騒ぎが廊下まで聞こえてましたよ?デイルズ様、そして陛下、こんな騒ぎを起こしてるとアレクシア様に嫌われてしまいますよ?」

ロインの嫌われるという重い言葉にデイルズもルシアードも何も言えずに黙ってしまう。

「そうでしゅよ!楽しくお絵描きしたいのに⋯シクシク⋯シクシク⋯」

“シクシク”と言いながら泣くアレクシアは近くにいたエルマの高級そうなジャケットで鼻水を拭いている。

「これぇ!何してんだ!!⋯⋯あっいえ、アレクシア様、ハンカチで拭いて下さい」

エルマに注意されたアレクシアは顔を両手で隠しシクシクと言い続けながら父親であるルシアードの元へ行き、最高級であろう皇帝服で鼻水を拭き始めたのだった。




















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