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10章 アレクシアと愉快な仲間2
アレクシアの秘密②
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『お前にお淑やかなんて出来るのか?』
ウロボロスがアレクシアを見ながら鼻で笑っている。
「⋯。わたくち、アレクシア・フォン・アウラードと申しましゅ。この偉大なるアウラード大帝国の第四皇女でしゅわ!」
『⋯⋯』
「オホホホ!可愛らしいトカゲちゃんですしゅわね?丸焼きにして食べてしまいたいくらいでしゅわ!」
『それのどこがお淑やかなんだよ!まるで悪の令嬢だぞ!?』
ウロボロスのツッコミに爺達が吹き出し、婆やロインは頭を抱えた。
「む。アレクシア、とても良いぞ?」
愛娘の頭を優しく撫でてあげる父親のアウラード帝国皇帝ルシアード。
「はぁ⋯礼儀作法の授業もありますのでそこで少しは変化が見られればいいのですが」
「そうね。この件では私も協力を惜しまないわよ」
ロインとエルフの女王であるエルメニアは同じ目標の為に、種族を超えて固く握手を交わしたのだった。
「ぐぬぬ!シアは我が道をいくタイプなんでしゅよ!」
「そうだな。お前はお前のままでいいんだよ」
魔国の国王でありアレクシア命のデズモンドが魔性の笑みでアレクシアを励ましている。
「こいつにお淑やかなんて似合わないしな!」
竜族族長であるゼストもそう言いながら笑っていた。
「うぅ⋯最強トリオ、ありがとうございましゅ。シアは三人の気持ちを汲んで我が道を進んで行きましゅね!!」
「「「⋯⋯」」」
皆の前で最強トリオと呼ばれたルシアードとデズモンド、それにゼストは何とも言えない恥ずかしさに襲われた。
「ププッ!よ!最強トリオ!!」
初代竜族族長であるミルキルズが三人を小馬鹿にする。
「ガハハハ!仲良し三人組じゃな!仲良しはいい事じゃ!」
初代魔国国王陛下であるデイルズが三人の心を無意識に抉った。そんな三人を見てアレクシアとウロボロスが腹を抱えて爆笑していた。
「確かに最強トリオですな!」
空気が全く読めないサイドラ辺境伯が便乗して嬉しそうに笑うが、ルシアードが立ち上がり愛剣を取り出したのでモール侯爵とスライダー侯爵が急いで死守する。
「陛下!ここで血生臭い事はおやめ下さい!」
「そうですぞ!アレクシア様が見ている前です!」
アレクシアの名前を出して何とか宥めるが、大物なのか馬鹿なのかサイドラ辺境伯は気にせずに食事を楽しんでいる。
「⋯。アレクシア様にはダンスも覚えて頂きたいと思っております」
「何でしゅと!?シアはまだ幼女でしゅよ!ダンスなんて⋯⋯あ、少しできましゅ!」
アレクシアはそう言いながら立ち上がると、皆が興味津々で注目する。そして⋯
「パピプペーパピプペーパピプペポーー!!パピプペーパピプペーパピプペポーー!!」
両腕を広げてゆらゆら波のように揺らしながら、お尻をフリフリする独特のダンスに、独特の掛け声を披露するアレクシア。楽しみに待っていたルシアードは目が点になり、デズモンドは恋人の可憐なダンスを目に焼きつけていた。
ゼストは顔が引き攣り、ローランド率いる四騎士はあまりに衝撃的なダンス(?)に固まっていた。爺達は可愛いアレクシアにデレデレしていて、何故かアランカルトには笑いのツボなのか指差して大爆笑している。
そんな衝撃的なダンスを見て頭を抱えるのはロインとエルメニアだけだった。
「あれは、ケットシー族の民族踊りだわ⋯」
「ケットシーっていうのは?」
「ああ、猫族よ。獣人国に住んでるわ」
「⋯⋯」
そんな二人を気にする事なく、楽しそうな匂いを嗅ぎつけてやって来た五匹の子犬従魔も仲間に加わり、“パピプペダンス”を踊っていた。ウロボロスは腹が捩れるほど笑い、ランゴンザレスはどこから持ってきたのかスモークを焚いていた。
「楽しいでしゅーー!ヒャッホーー!!父上も一緒にどうでしゅか?」
愛娘からの究極の誘いがルシアードを悩ませていた。冷酷非情な皇帝、血も涙もない皇帝と呼ばれているくらい人間離れしている自分が、パピプペダンスを踊ったらどうなってしまうのだろうか?ここには部下であるロインや四騎士もいる。それにデズモンドやゼストも見ているのだ。
「む。アレクシア、俺がこのダンスを踊ったら大事な何かを失う気がする」
「えー?楽しいのにー!みんな踊らないんでしゅかー?」
アレクシアの問いかけに答えたのはやはりあの人物であった。
「わしもやるー!!」
ミルキルズは立ち上がるとアレクシアの横に移動すると何の躊躇もなくパピプペダンスを踊り始めた。
「おおー!ミル爺もやりましゅね!」
嬉しそうに踊る祖父を見て複雑な気分になるゼスト。
「ガハハ!楽しそうじゃな!俺も⋯⋯」
「やめて下さい」
デイルズも参加しようとしたが、孫であるデズモンドに止められてしまう。そんな中、いつの間にか神獣ガイアが参加していた。白銀の髪を靡かせて踊る美丈夫に皆の注目が集まるが、本人は全くもって気にしていない。
「⋯ガイア様。昔からあの子のやる事を真似する癖がついてるのよね。でもちょっと可愛いわね」
エルメニアとナナーサは無表情でパピプペダンスを完璧に踊るガイアを見て、何となく微笑んでしまうのであった。
ウロボロスがアレクシアを見ながら鼻で笑っている。
「⋯。わたくち、アレクシア・フォン・アウラードと申しましゅ。この偉大なるアウラード大帝国の第四皇女でしゅわ!」
『⋯⋯』
「オホホホ!可愛らしいトカゲちゃんですしゅわね?丸焼きにして食べてしまいたいくらいでしゅわ!」
『それのどこがお淑やかなんだよ!まるで悪の令嬢だぞ!?』
ウロボロスのツッコミに爺達が吹き出し、婆やロインは頭を抱えた。
「む。アレクシア、とても良いぞ?」
愛娘の頭を優しく撫でてあげる父親のアウラード帝国皇帝ルシアード。
「はぁ⋯礼儀作法の授業もありますのでそこで少しは変化が見られればいいのですが」
「そうね。この件では私も協力を惜しまないわよ」
ロインとエルフの女王であるエルメニアは同じ目標の為に、種族を超えて固く握手を交わしたのだった。
「ぐぬぬ!シアは我が道をいくタイプなんでしゅよ!」
「そうだな。お前はお前のままでいいんだよ」
魔国の国王でありアレクシア命のデズモンドが魔性の笑みでアレクシアを励ましている。
「こいつにお淑やかなんて似合わないしな!」
竜族族長であるゼストもそう言いながら笑っていた。
「うぅ⋯最強トリオ、ありがとうございましゅ。シアは三人の気持ちを汲んで我が道を進んで行きましゅね!!」
「「「⋯⋯」」」
皆の前で最強トリオと呼ばれたルシアードとデズモンド、それにゼストは何とも言えない恥ずかしさに襲われた。
「ププッ!よ!最強トリオ!!」
初代竜族族長であるミルキルズが三人を小馬鹿にする。
「ガハハハ!仲良し三人組じゃな!仲良しはいい事じゃ!」
初代魔国国王陛下であるデイルズが三人の心を無意識に抉った。そんな三人を見てアレクシアとウロボロスが腹を抱えて爆笑していた。
「確かに最強トリオですな!」
空気が全く読めないサイドラ辺境伯が便乗して嬉しそうに笑うが、ルシアードが立ち上がり愛剣を取り出したのでモール侯爵とスライダー侯爵が急いで死守する。
「陛下!ここで血生臭い事はおやめ下さい!」
「そうですぞ!アレクシア様が見ている前です!」
アレクシアの名前を出して何とか宥めるが、大物なのか馬鹿なのかサイドラ辺境伯は気にせずに食事を楽しんでいる。
「⋯。アレクシア様にはダンスも覚えて頂きたいと思っております」
「何でしゅと!?シアはまだ幼女でしゅよ!ダンスなんて⋯⋯あ、少しできましゅ!」
アレクシアはそう言いながら立ち上がると、皆が興味津々で注目する。そして⋯
「パピプペーパピプペーパピプペポーー!!パピプペーパピプペーパピプペポーー!!」
両腕を広げてゆらゆら波のように揺らしながら、お尻をフリフリする独特のダンスに、独特の掛け声を披露するアレクシア。楽しみに待っていたルシアードは目が点になり、デズモンドは恋人の可憐なダンスを目に焼きつけていた。
ゼストは顔が引き攣り、ローランド率いる四騎士はあまりに衝撃的なダンス(?)に固まっていた。爺達は可愛いアレクシアにデレデレしていて、何故かアランカルトには笑いのツボなのか指差して大爆笑している。
そんな衝撃的なダンスを見て頭を抱えるのはロインとエルメニアだけだった。
「あれは、ケットシー族の民族踊りだわ⋯」
「ケットシーっていうのは?」
「ああ、猫族よ。獣人国に住んでるわ」
「⋯⋯」
そんな二人を気にする事なく、楽しそうな匂いを嗅ぎつけてやって来た五匹の子犬従魔も仲間に加わり、“パピプペダンス”を踊っていた。ウロボロスは腹が捩れるほど笑い、ランゴンザレスはどこから持ってきたのかスモークを焚いていた。
「楽しいでしゅーー!ヒャッホーー!!父上も一緒にどうでしゅか?」
愛娘からの究極の誘いがルシアードを悩ませていた。冷酷非情な皇帝、血も涙もない皇帝と呼ばれているくらい人間離れしている自分が、パピプペダンスを踊ったらどうなってしまうのだろうか?ここには部下であるロインや四騎士もいる。それにデズモンドやゼストも見ているのだ。
「む。アレクシア、俺がこのダンスを踊ったら大事な何かを失う気がする」
「えー?楽しいのにー!みんな踊らないんでしゅかー?」
アレクシアの問いかけに答えたのはやはりあの人物であった。
「わしもやるー!!」
ミルキルズは立ち上がるとアレクシアの横に移動すると何の躊躇もなくパピプペダンスを踊り始めた。
「おおー!ミル爺もやりましゅね!」
嬉しそうに踊る祖父を見て複雑な気分になるゼスト。
「ガハハ!楽しそうじゃな!俺も⋯⋯」
「やめて下さい」
デイルズも参加しようとしたが、孫であるデズモンドに止められてしまう。そんな中、いつの間にか神獣ガイアが参加していた。白銀の髪を靡かせて踊る美丈夫に皆の注目が集まるが、本人は全くもって気にしていない。
「⋯ガイア様。昔からあの子のやる事を真似する癖がついてるのよね。でもちょっと可愛いわね」
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