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三章 小蘭(シャオラン)の活躍
いざ狩りへと出発します!②
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「楽しそうね」
狩りに行くので皆が身軽な軽装なのに、その者たちは宝石を散りばめた髪飾りや派手な華服を身に付けて馬に乗っていた。代表して話しかけてきたのは第一皇女の美芭(ビーファ)であった。その背後には例の取り巻きの令嬢達がいて、小蘭を打った凛黎もいた。
「姉上、今から花見に行くのではないですよ?分かってます?」
蓉花の発言に頷くように周りからも失笑が出ていた。そう思ってる者が多いという事だが、侮辱されたと感じた令嬢達や美芭は蓉花に対して言い返そうとした。
「確かに花見に行く格好だな」
だがやって来た皇帝陛下の龍飛も苦言を呈した。さすがに皇帝陛下に言い返せない美芭や令嬢達は、一礼すると逃げるように去って行った。
「馬車で行くなんて根性がないわ!」
豪華な馬車に乗り込む令嬢や子息を見て、呆れる小蘭に“本当よね!”といつの間にか体育会系にさせられた蓉花も同意している。
「まぁ御坊ちゃまたちが行きたくもない狩りに参加するだけマシだろう。それでもマシな連中も多々いるからな」
やって来た第二皇子の龍麒が、何人かを見ながら言った。小蘭も気付いていたのか頷いている。
そして大長秋である高青(コウラン)の掛け声が合図となり、三日間の狩りへと出発したのだった。先頭は兵士、貴族、五大名家、皇帝陛下そして後方にも兵士という順で進んで行く。護衛長の霧柔(ウールアン)の厳しい目が光る中で、少し音程の外れた歌が聞こえて来て貴族達が怪訝な顔をし始めた。
「なんだこの歌は?」
「妖魔か!?」
歌の聴こえる方を見ると、あの可憐な女子が一緒に乗る龍朱殿下と共に歌っていた。横にいる蓉花皇女は恥ずかしそうに下を向き、横に並ぶ龍麒殿下は笑いを必死に堪えていた。馬車に乗っている皇帝は誰も見ていないので我慢せずに大笑いしていた。
「聞いたか!?誰かが“妖魔か!”と言ってるぞ!アハハ!」
高青は楽しそうな雰囲気の小蘭達に注意が出来なくてもどかしい思いだが結局諦めた。美芭や令嬢達も何か言いたげだが、近くには龍麒や王達の馬車もいるので何も出来ない。そんなこんなで皇帝専用の狩場に到着した一同は、宿泊する為の屋敷に案内されていた。王達はというと各自で一棟の屋敷を所有していた。
皇帝陛下の屋敷には皇子や皇女も宿泊するので、荷物を運ぶのは皇帝付きの宦官や女官の仕事だ。小蘭も当たり前のように荷物を運んでいると、あの美芭と令嬢達が近づいて来た。蓉花皇女は龍朱殿下と共に自分達の部屋に向かっていて、ここには小蘭と白風、それに女官達しかいなかった。
「私達の荷物も運んで頂戴?」
「美芭様の荷物ですね?かしこまりました」
他の令嬢を無視して美芭の荷物を運ぼうとする小蘭に、令嬢達が突っかかる。
「私達のも運んで頂戴って言ってるのよ!美芭様の命令よ!!」
凛黎は愚かなのか数日前の出来事を忘れてニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら様子を見ていた。
「私は皇帝付きの女官です。貴族令嬢には専属の侍女がいるのではないですか?」
令嬢達の背後に控えている侍女を見ながら釘を刺す小蘭だが、甘やかされて育った令嬢達は女官ごときが命令に逆らったと逆上を始めた。
「侍女は忙しいのよ!私達に逆らうって言うの!?」
「はぁ⋯話が通いじないわね」
小蘭が溜息を吐きながら呟いた声が聞こえたのか、凛黎がズカズカとやって来て小蘭を思いっきり突き飛ばした。それを見ていた他の女官達も下劣な笑みを浮かべていた。女官長の揚揚も気付いているが見て見ぬを振りしている。
だが、横にいた白風が怒りの形相で凛黎に近づいて行く。
「この前の事があってよくもこんな事が出来ますね?死にたいのですか?」
「なんですって!?女官が私に楯突くの!?私は江家の長女よ!」
「⋯⋯だから何です?」
一つも怖がらない白風に、逆に恐怖を感じた凛黎や他の令嬢達。倒れた小蘭が起きあがろうとした時だった。一本の矢が凛黎の脚を貫き、彼女は悲鳴をあげながら倒れ込んだ。酷い激痛で叫ぶ凛黎の元へ、弓を抱えながらやって来たのは紅州王であった。
「紅州王!これはなんの真似ですか!?」
美芭が平然としている紅司炎へ詰め寄るが震えが止まらない。令嬢達はあまりの恐怖で気絶してしまい、女官達や揚揚は恐怖で固まったままだ。
「殺せばよかったのに甘いな~?」
「狩り場で標的にしたら良いんじゃないか?」
紅州王の背後からは黒州王と緑州王もやって来てはもっと恐ろしい事を言い始めた。
血塗れの凛黎は激痛にのたうち回りながらも、父親である庸衞(ヨウエイ)侯が紅州王に対して異常なほどに怖がっていた事を思い出した。
「こんな⋯ことして⋯いくら紅州王でも⋯許され⋯ないわ!!」
息も絶え絶えに紅州王へと吐き捨てる凛黎だが、紅司炎は気にすることなく無表情のまま鋭い矢をまた凛黎へと向けた。今度は確実に頭を狙っているのが分かり、美芭は紅州王の異常過ぎる狂気に腰が抜けてしまった。
「司炎!何をしている!?」
そこにやって来た皇帝の龍飛は、久しぶりに見た紅司炎の狂気に驚きつつもこの中では一番冷静そうな白風に説明を求めた。
「白風、一体何があった?」
「はい。美芭皇女とこの令嬢達が小蘭に突っかかってきまして、小蘭が拒否したら思いっきり突き飛ばして暴力を振るいました」
「な!女官が⋯父上、嘘でございます!この者に荷物を運ぶように命じたのですが拒否したのです!!」
「美芭様の荷物以外も運べと命じたので拒否しました。私共は皇帝付きの女官です。背後に侍女が沢山待機しているのに無理矢理に運べと命じたのです」
美芭が反論するが、白風は気にしていないのか続けざまに報告をする。事情を聞いた龍飛の顔は徐々に怒りへと変わった。
「確かに沢山の侍女がいるな?何故に朕の女官に命じる必要があるのか納得いく説明をしてもらわないとな」
皇帝陛下の怒りを感じた侍女達は震えて命乞いをしているが、美芭は何食わぬ顔をして言い訳を始めた。
「父上!私は止めろと命じたのですが、この凛黎がこの前の事でこの者を恨んでいて⋯止めようとした私を押し切って突き飛ばしたのです!!」
美芭の裏切りに、息も絶え絶えの凛黎は驚き、そして痛みもあり恨みに変わった。
「美芭様!!⋯嘘を⋯この裏切り者があああーー!!」
物凄い形相で美芭を睨みながら泣き叫ぶ凛黎を、龍飛や紅司炎、黒麗南に緑光海は冷たい視線を向けていた。そんな中で小蘭がチラリと揚揚や女官達を見たので、恐ろしくて竦み上がる。何を言われても今は命が危ないと感じているからだ。
「女官長はここにいたみたいだが、ただ見ていただけか?」
小蘭の視線に気付いた光海が、女官長である揚揚に詰め寄る。緑光海は一見冷静そうだが、一番怒らせてはいけない人物だと分かっている揚揚は冷や汗が止まらない。他の女官達も生きた心地がしないのか震えている。
「あ⋯美芭様のご命令であったので何も言えずに⋯申し訳ありません」
「ほう?皇帝よりも皇女の命令を優先するのか?」
「いえ!滅相もございません!!お許し下さい!」
平伏して許しを乞う揚揚と女官達だが、そこへ従者から報告を聞いたのか凛黎の父親である庸衞侯が急ぎやって来た。娘が血塗れで倒れているのを見て一瞬驚いた顔をしたが、すぐにその場に平伏した。
「我が娘が愚行を⋯重ね重ね⋯申し訳ありません!!」
「庸衞侯か。朕はお主の娘にはもはや呆れておるわ」
皇帝の苦言に、庸衞侯は頭を下げたままひたすら謝罪し続けた。
「もう良い。今後またこのような事があった場合はもう許さないぞ?」
皇帝陛下の言葉に何度も感謝する庸衞侯。龍飛は溜息を吐くとさっさと屋敷に入って行ってしまった。小蘭も白風と黒麗南、緑光海と共に屋敷に入って行ったが、紅州王だけは江家の親子を見下ろしていた。美芭や他の令嬢達、揚揚や女官達はそそくさと逃げて行ったのでここには三人しか残っていなかった。
「紅州王、この度は誠に申し訳ありません!」
「私の唯一の者を傷つける者は誰であろうと許さないと言ったはずだが?」
あの時の恐怖が蘇ってくる庸衞侯だが、今は必死で娘を守ろうとしていた。
「今後このような事がないように厳しく教育します!ですからどうかお許し下さい!!」
「父上、もう良いから行こう」
紅州王が弓に手をかけた瞬間、戻ってきた小蘭がその手を掴み惨事を防いだのだった。
「⋯⋯このまま許すのか?」
「今回で懲りたと思いたい。今後また何かしてきたらもう庇えないから」
庸衞侯は小蘭の言葉を聞き、頭を下げながら必死に礼を言う。
「早く手当てをしてあげて」
そう言って二人を逃す小蘭と、意図を汲んで庸衞侯も苦しそうな娘を抱えると一礼して去って行った。そして残ったのは小蘭と紅州王だけだ。
「暗殺も駄目だよ。突き飛ばされただけだし、今回は見逃してあげて」
「お前がそう言うなら今回だけは見逃すが⋯」
「まあまあ!戻って狩りの準備をしよう!!」
腑に落ちていない父親を引きずるように狩りの準備会場に連れて行く小蘭であった。
狩りに行くので皆が身軽な軽装なのに、その者たちは宝石を散りばめた髪飾りや派手な華服を身に付けて馬に乗っていた。代表して話しかけてきたのは第一皇女の美芭(ビーファ)であった。その背後には例の取り巻きの令嬢達がいて、小蘭を打った凛黎もいた。
「姉上、今から花見に行くのではないですよ?分かってます?」
蓉花の発言に頷くように周りからも失笑が出ていた。そう思ってる者が多いという事だが、侮辱されたと感じた令嬢達や美芭は蓉花に対して言い返そうとした。
「確かに花見に行く格好だな」
だがやって来た皇帝陛下の龍飛も苦言を呈した。さすがに皇帝陛下に言い返せない美芭や令嬢達は、一礼すると逃げるように去って行った。
「馬車で行くなんて根性がないわ!」
豪華な馬車に乗り込む令嬢や子息を見て、呆れる小蘭に“本当よね!”といつの間にか体育会系にさせられた蓉花も同意している。
「まぁ御坊ちゃまたちが行きたくもない狩りに参加するだけマシだろう。それでもマシな連中も多々いるからな」
やって来た第二皇子の龍麒が、何人かを見ながら言った。小蘭も気付いていたのか頷いている。
そして大長秋である高青(コウラン)の掛け声が合図となり、三日間の狩りへと出発したのだった。先頭は兵士、貴族、五大名家、皇帝陛下そして後方にも兵士という順で進んで行く。護衛長の霧柔(ウールアン)の厳しい目が光る中で、少し音程の外れた歌が聞こえて来て貴族達が怪訝な顔をし始めた。
「なんだこの歌は?」
「妖魔か!?」
歌の聴こえる方を見ると、あの可憐な女子が一緒に乗る龍朱殿下と共に歌っていた。横にいる蓉花皇女は恥ずかしそうに下を向き、横に並ぶ龍麒殿下は笑いを必死に堪えていた。馬車に乗っている皇帝は誰も見ていないので我慢せずに大笑いしていた。
「聞いたか!?誰かが“妖魔か!”と言ってるぞ!アハハ!」
高青は楽しそうな雰囲気の小蘭達に注意が出来なくてもどかしい思いだが結局諦めた。美芭や令嬢達も何か言いたげだが、近くには龍麒や王達の馬車もいるので何も出来ない。そんなこんなで皇帝専用の狩場に到着した一同は、宿泊する為の屋敷に案内されていた。王達はというと各自で一棟の屋敷を所有していた。
皇帝陛下の屋敷には皇子や皇女も宿泊するので、荷物を運ぶのは皇帝付きの宦官や女官の仕事だ。小蘭も当たり前のように荷物を運んでいると、あの美芭と令嬢達が近づいて来た。蓉花皇女は龍朱殿下と共に自分達の部屋に向かっていて、ここには小蘭と白風、それに女官達しかいなかった。
「私達の荷物も運んで頂戴?」
「美芭様の荷物ですね?かしこまりました」
他の令嬢を無視して美芭の荷物を運ぼうとする小蘭に、令嬢達が突っかかる。
「私達のも運んで頂戴って言ってるのよ!美芭様の命令よ!!」
凛黎は愚かなのか数日前の出来事を忘れてニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら様子を見ていた。
「私は皇帝付きの女官です。貴族令嬢には専属の侍女がいるのではないですか?」
令嬢達の背後に控えている侍女を見ながら釘を刺す小蘭だが、甘やかされて育った令嬢達は女官ごときが命令に逆らったと逆上を始めた。
「侍女は忙しいのよ!私達に逆らうって言うの!?」
「はぁ⋯話が通いじないわね」
小蘭が溜息を吐きながら呟いた声が聞こえたのか、凛黎がズカズカとやって来て小蘭を思いっきり突き飛ばした。それを見ていた他の女官達も下劣な笑みを浮かべていた。女官長の揚揚も気付いているが見て見ぬを振りしている。
だが、横にいた白風が怒りの形相で凛黎に近づいて行く。
「この前の事があってよくもこんな事が出来ますね?死にたいのですか?」
「なんですって!?女官が私に楯突くの!?私は江家の長女よ!」
「⋯⋯だから何です?」
一つも怖がらない白風に、逆に恐怖を感じた凛黎や他の令嬢達。倒れた小蘭が起きあがろうとした時だった。一本の矢が凛黎の脚を貫き、彼女は悲鳴をあげながら倒れ込んだ。酷い激痛で叫ぶ凛黎の元へ、弓を抱えながらやって来たのは紅州王であった。
「紅州王!これはなんの真似ですか!?」
美芭が平然としている紅司炎へ詰め寄るが震えが止まらない。令嬢達はあまりの恐怖で気絶してしまい、女官達や揚揚は恐怖で固まったままだ。
「殺せばよかったのに甘いな~?」
「狩り場で標的にしたら良いんじゃないか?」
紅州王の背後からは黒州王と緑州王もやって来てはもっと恐ろしい事を言い始めた。
血塗れの凛黎は激痛にのたうち回りながらも、父親である庸衞(ヨウエイ)侯が紅州王に対して異常なほどに怖がっていた事を思い出した。
「こんな⋯ことして⋯いくら紅州王でも⋯許され⋯ないわ!!」
息も絶え絶えに紅州王へと吐き捨てる凛黎だが、紅司炎は気にすることなく無表情のまま鋭い矢をまた凛黎へと向けた。今度は確実に頭を狙っているのが分かり、美芭は紅州王の異常過ぎる狂気に腰が抜けてしまった。
「司炎!何をしている!?」
そこにやって来た皇帝の龍飛は、久しぶりに見た紅司炎の狂気に驚きつつもこの中では一番冷静そうな白風に説明を求めた。
「白風、一体何があった?」
「はい。美芭皇女とこの令嬢達が小蘭に突っかかってきまして、小蘭が拒否したら思いっきり突き飛ばして暴力を振るいました」
「な!女官が⋯父上、嘘でございます!この者に荷物を運ぶように命じたのですが拒否したのです!!」
「美芭様の荷物以外も運べと命じたので拒否しました。私共は皇帝付きの女官です。背後に侍女が沢山待機しているのに無理矢理に運べと命じたのです」
美芭が反論するが、白風は気にしていないのか続けざまに報告をする。事情を聞いた龍飛の顔は徐々に怒りへと変わった。
「確かに沢山の侍女がいるな?何故に朕の女官に命じる必要があるのか納得いく説明をしてもらわないとな」
皇帝陛下の怒りを感じた侍女達は震えて命乞いをしているが、美芭は何食わぬ顔をして言い訳を始めた。
「父上!私は止めろと命じたのですが、この凛黎がこの前の事でこの者を恨んでいて⋯止めようとした私を押し切って突き飛ばしたのです!!」
美芭の裏切りに、息も絶え絶えの凛黎は驚き、そして痛みもあり恨みに変わった。
「美芭様!!⋯嘘を⋯この裏切り者があああーー!!」
物凄い形相で美芭を睨みながら泣き叫ぶ凛黎を、龍飛や紅司炎、黒麗南に緑光海は冷たい視線を向けていた。そんな中で小蘭がチラリと揚揚や女官達を見たので、恐ろしくて竦み上がる。何を言われても今は命が危ないと感じているからだ。
「女官長はここにいたみたいだが、ただ見ていただけか?」
小蘭の視線に気付いた光海が、女官長である揚揚に詰め寄る。緑光海は一見冷静そうだが、一番怒らせてはいけない人物だと分かっている揚揚は冷や汗が止まらない。他の女官達も生きた心地がしないのか震えている。
「あ⋯美芭様のご命令であったので何も言えずに⋯申し訳ありません」
「ほう?皇帝よりも皇女の命令を優先するのか?」
「いえ!滅相もございません!!お許し下さい!」
平伏して許しを乞う揚揚と女官達だが、そこへ従者から報告を聞いたのか凛黎の父親である庸衞侯が急ぎやって来た。娘が血塗れで倒れているのを見て一瞬驚いた顔をしたが、すぐにその場に平伏した。
「我が娘が愚行を⋯重ね重ね⋯申し訳ありません!!」
「庸衞侯か。朕はお主の娘にはもはや呆れておるわ」
皇帝の苦言に、庸衞侯は頭を下げたままひたすら謝罪し続けた。
「もう良い。今後またこのような事があった場合はもう許さないぞ?」
皇帝陛下の言葉に何度も感謝する庸衞侯。龍飛は溜息を吐くとさっさと屋敷に入って行ってしまった。小蘭も白風と黒麗南、緑光海と共に屋敷に入って行ったが、紅州王だけは江家の親子を見下ろしていた。美芭や他の令嬢達、揚揚や女官達はそそくさと逃げて行ったのでここには三人しか残っていなかった。
「紅州王、この度は誠に申し訳ありません!」
「私の唯一の者を傷つける者は誰であろうと許さないと言ったはずだが?」
あの時の恐怖が蘇ってくる庸衞侯だが、今は必死で娘を守ろうとしていた。
「今後このような事がないように厳しく教育します!ですからどうかお許し下さい!!」
「父上、もう良いから行こう」
紅州王が弓に手をかけた瞬間、戻ってきた小蘭がその手を掴み惨事を防いだのだった。
「⋯⋯このまま許すのか?」
「今回で懲りたと思いたい。今後また何かしてきたらもう庇えないから」
庸衞侯は小蘭の言葉を聞き、頭を下げながら必死に礼を言う。
「早く手当てをしてあげて」
そう言って二人を逃す小蘭と、意図を汲んで庸衞侯も苦しそうな娘を抱えると一礼して去って行った。そして残ったのは小蘭と紅州王だけだ。
「暗殺も駄目だよ。突き飛ばされただけだし、今回は見逃してあげて」
「お前がそう言うなら今回だけは見逃すが⋯」
「まあまあ!戻って狩りの準備をしよう!!」
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