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2st脱出
2st脱出ーその7-
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タームの森がレインの手によって破壊された日から半年が経った。
契約精霊が居なくなったヴァンは宮廷ではなく遠く離れた地方都市へ転属する運びとなった。
元とは言え精霊と契約を結んでいた人間であり、そういった人間は精霊に好かれやすい傾向がある為、今後新たな精霊と契約する可能性がある。
だが、可能性があると言うだけで今現在精霊と契約している訳ではない。
ヴァンが所属している王国情報管理部では今までヴァンが受け持っていた仕事は風の精霊であるアリアが居た事で成り立っていた事も多く、現在アリアの代わりにアバの精霊が業務の替わりをしているが、アバも忙しい身分故に精霊の力を借りずに済む業務の運営方法を目下模索中である。
元々、ヴァンが官吏になるまで暗部に精霊使いは所属していなかったので従来のやり方に戻せば良いのだが何分アリアは利便性が高すぎた。
精霊、しかも風を司る存在であり、常人には姿どころか気配を感じる事すらできず、風を操り王国の約半数の領土を探知し情報を入手してきたアリア。
正に諜報向けと言っても過言ではない。
表向きにはごみ溜めと呼ばれ不人気な部署故に、常に人材不足で悩んできた暗部はアリアの探知範囲外に人材を派遣する方法で王国全域における情報収集を可能にしてきた。
これで人材不足と業務内容が大幅に楽になるとヴァンが配属された当初、彼は暗部の人間から諸手を上げて歓迎された。
表向きにはヴァンは精霊に愛想を尽かされ契約を打ち切られたと説明されたが、二人と良く接しその関係を良く知る暗部の人間達にはそれが通用せず、極秘事項と注意を打って事の次第が説明された。
従来よりも更に迅速且つ正確な情報の入手、伝達に慣れてしまった暗部の人間は精霊を大切にしていない怒りも合わさってヴァンからアリアを奪い取ったレイン王子への不満の声が高まっており、中には不敬は承知と決死の覚悟で暗部専用国王陛下直行便を使ってまで嘆願書が出される始末であった。
本来ならば最小限の人数に留められる筈の案件だったのだが、精霊を崇める国柄、非道な実験を表立って抗議できない事に不満を覚えた者が、つい身内にぽろりと零してしまったのだ。
外部には漏れてはいないものの機密漏洩である事には変わりないのでクリスは頭を抱えた。
訓練を受けている故に普段は例え拷問を受けてもそんな事を決してしない人間であった事から如何に不満に思っていたかが伺える。
そんな話はあれよあれよと暗部内で囁かれ、ついには暗部所属の官吏全員が知る事となった。
基本的に暗部で扱われる情報は機密事項故に必要以上に外部へ漏れる事は無い、故にレイン王子が行った精霊に対するうんぬんかんぬんは暗部の中だけで留められているが、ヴァンとアリアを知っている者は皆二人に強く同情した。
故に、ここでヴァンが不当な扱いを受ければ溜められていた不満は一気に爆発するだろう。
同時に、現在王宮では元々ヴァンに悪感情を抱いていた人間達がこれ幸いと精霊使いではなくなったヴァンを宮使いにする事に異議を申し立て、官吏を辞めさせようと企てている動きがある。
確かに口を封じるにはヴァンを宮廷から追い出すのが手っ取り早い。
王宮外でならいくらでも口封じのやりようはある。
だが、今のヴァンにその様な扱いをすれば暗部の人間が何をしでかすか分からない。
そう言った観点からヴァンの扱いに困っていた上層部はこう考えた。
そうだ、地方に飛ばしちゃえっと。
王宮にヴァンがいる事に不満な人間には排除しましたよと主張し、暗部の人間には王宮にいたらヴァンの身が危ないから守るために落ち着くまで地方で身を隠しておいてと説明する。
更に暗部には予算の増加と新しい人材の補給をする事で不満の解消に努める。
事実上の左遷、体のいい厄介払いだ。
「ちょっと時間はかかっちゃったけど当初の予定通り王宮から離れて地方に行く事に決まったんだから良かったよね」
「ラノン先輩、それが残念なのですがあの時とは状況が違うんですよ。
これを見て下さい」
レインの精霊に聞かれない様に精霊を感知する術具を設置したヴァンが襟元からペンダントを取り出す。
薄緑色のガラス玉でできた球体状のそれは罅が入り今にも砕け散りそうになっている。
「なんだいそれ?」
「今にも朽ちそうだが大丈夫なのか?」
「アリアが作ってくれた身代わりの精霊具です。
一定以上の攻撃や干渉を受けた際、それを肩代わりしてくれる代物なのですが……このザマですよ。
恐らく、後二回が限度でしょう」
「攻撃や干渉と言うとお相手はやっぱり?」
「ええ、刺客を締め上げて裏付けもバッチリ取れました」
「と言う事は?」
「あのクソガキはアリアの身柄と交換で僕に危害を加えないとほざきながら、アリアとの約束を守る気はなかったって事ですよ。
不確定要素を廃除するために俺の身柄を拘束しておいて、アリアの定着が完了した瞬間に殺すつもりらしいです。
今なら俺が姿をくらましても誰も追わないだろうって考えたみたいですね」
「なんでそれをもっと早く言わなかったのかなぁ?!」
「まあ、僕一人でも対処できましたので。これだって人間ではなく精霊からの攻撃で受けた物なので良いかなと」
「確かに自分で対処できる問題であれば自由にして構わないと言ったが限度があるだろう。
刺客に関する情報に関しては後で纏めて報告するように」
眉間に深い皺を刻みながらクリスが言う。
「その様子では、地方に移動するとなると十中八九移動中を狙われるな」
「正攻法から搦手、奇策と色々と策を講じたけれど全てレイン王子とその取り巻き、彼の精霊に阻まれちゃったしねぇ」
「首飾りを盗む事はおろか見る事すらできないとは思わなんだ」
「前に話した事を覚えていますか?
契約した精霊は主人と離れた距離に居ようと関係なく傍に召喚できるんです」
「え? でも前に呪具が壊れて精霊が死んでしまうからできないって言ってなかったけ?」
「確かに定着してしまっては呪具から剥がすのが難しく、無理に行えば最悪呪具が壊れてしまい、その際に精霊の魂に大きく傷が入る事で最悪存在が消えてしまうとは言いました。
ですが、アリアはまだ呪具に定着はしていない存在なので、召喚は可能です」
「だが、今までそれを行わなかったって事は何かしらの代償があるのだろう?
それもとびっきりのが」
「……はい」
「ならば却下だ。命あっての物種、お前の命は精霊に拾われた物だろう。
お前に危害が加わるのは精霊の本意ではないはずだ。
それに、お前最近ちゃんと休んでいないだろう?
そんな状態ではまともな考えも浮かばん、少し休め。大分人相が変わってきているぞ」
「クリス部長の心配して下さるお心はありがたいです。
ですが、これ以上時間を置く訳にはいかないんです」
「さっきも状況が違うって言っていたけれど、何をそんなに焦っているんだい?」
ラノンの質問にヴァンは苦り切った表情を浮かべる。
「分かるんです、アリアに注いだ僕の魔力の残りが少ない事が。
多めに見繕って期間を設定していたと言うのにまさか一年も持たないとは……折角王宮から距離を置いて召喚しようと考えていたのにこれでは間に合いません。
このままでは遅かれ早かれ完全にクソガキにアリアを奪われてしまう事になる。
それに、王宮内であれば暗部の皆さんに隠蔽を手伝っていただけるでしょう?」
「ああ、今の暗部の人間であれば皆喜んで手伝いをするだろうな」
「動くなら今、この時期が最後の機会なんです」
「…………意思を変えるつもりはないんだな」
「はい」
「そうか……」
深い深い溜息を吐きクリスは項垂れる。
「すまない、力になると言いながら結局は何もできなかった」
「俺も全然役に立てなくってごめんね」
「いえ、お二人も暗部のみんなもたくさん協力して下さいました。
味方はいないと思っていたのでとても心強かったです。
是非、最後まで僕に力を貸して下さい」
「おっし、任せろって! んで? 何をすればいいんだい?」
「まずはですね……」
顔を付き合わせて会議を始めるラノンとヴァンにクリスは目を伏せる。
「最後、か」
寂しげに呟いたクリスの言葉は誰の耳へ入る事なく消えて行った。
契約精霊が居なくなったヴァンは宮廷ではなく遠く離れた地方都市へ転属する運びとなった。
元とは言え精霊と契約を結んでいた人間であり、そういった人間は精霊に好かれやすい傾向がある為、今後新たな精霊と契約する可能性がある。
だが、可能性があると言うだけで今現在精霊と契約している訳ではない。
ヴァンが所属している王国情報管理部では今までヴァンが受け持っていた仕事は風の精霊であるアリアが居た事で成り立っていた事も多く、現在アリアの代わりにアバの精霊が業務の替わりをしているが、アバも忙しい身分故に精霊の力を借りずに済む業務の運営方法を目下模索中である。
元々、ヴァンが官吏になるまで暗部に精霊使いは所属していなかったので従来のやり方に戻せば良いのだが何分アリアは利便性が高すぎた。
精霊、しかも風を司る存在であり、常人には姿どころか気配を感じる事すらできず、風を操り王国の約半数の領土を探知し情報を入手してきたアリア。
正に諜報向けと言っても過言ではない。
表向きにはごみ溜めと呼ばれ不人気な部署故に、常に人材不足で悩んできた暗部はアリアの探知範囲外に人材を派遣する方法で王国全域における情報収集を可能にしてきた。
これで人材不足と業務内容が大幅に楽になるとヴァンが配属された当初、彼は暗部の人間から諸手を上げて歓迎された。
表向きにはヴァンは精霊に愛想を尽かされ契約を打ち切られたと説明されたが、二人と良く接しその関係を良く知る暗部の人間達にはそれが通用せず、極秘事項と注意を打って事の次第が説明された。
従来よりも更に迅速且つ正確な情報の入手、伝達に慣れてしまった暗部の人間は精霊を大切にしていない怒りも合わさってヴァンからアリアを奪い取ったレイン王子への不満の声が高まっており、中には不敬は承知と決死の覚悟で暗部専用国王陛下直行便を使ってまで嘆願書が出される始末であった。
本来ならば最小限の人数に留められる筈の案件だったのだが、精霊を崇める国柄、非道な実験を表立って抗議できない事に不満を覚えた者が、つい身内にぽろりと零してしまったのだ。
外部には漏れてはいないものの機密漏洩である事には変わりないのでクリスは頭を抱えた。
訓練を受けている故に普段は例え拷問を受けてもそんな事を決してしない人間であった事から如何に不満に思っていたかが伺える。
そんな話はあれよあれよと暗部内で囁かれ、ついには暗部所属の官吏全員が知る事となった。
基本的に暗部で扱われる情報は機密事項故に必要以上に外部へ漏れる事は無い、故にレイン王子が行った精霊に対するうんぬんかんぬんは暗部の中だけで留められているが、ヴァンとアリアを知っている者は皆二人に強く同情した。
故に、ここでヴァンが不当な扱いを受ければ溜められていた不満は一気に爆発するだろう。
同時に、現在王宮では元々ヴァンに悪感情を抱いていた人間達がこれ幸いと精霊使いではなくなったヴァンを宮使いにする事に異議を申し立て、官吏を辞めさせようと企てている動きがある。
確かに口を封じるにはヴァンを宮廷から追い出すのが手っ取り早い。
王宮外でならいくらでも口封じのやりようはある。
だが、今のヴァンにその様な扱いをすれば暗部の人間が何をしでかすか分からない。
そう言った観点からヴァンの扱いに困っていた上層部はこう考えた。
そうだ、地方に飛ばしちゃえっと。
王宮にヴァンがいる事に不満な人間には排除しましたよと主張し、暗部の人間には王宮にいたらヴァンの身が危ないから守るために落ち着くまで地方で身を隠しておいてと説明する。
更に暗部には予算の増加と新しい人材の補給をする事で不満の解消に努める。
事実上の左遷、体のいい厄介払いだ。
「ちょっと時間はかかっちゃったけど当初の予定通り王宮から離れて地方に行く事に決まったんだから良かったよね」
「ラノン先輩、それが残念なのですがあの時とは状況が違うんですよ。
これを見て下さい」
レインの精霊に聞かれない様に精霊を感知する術具を設置したヴァンが襟元からペンダントを取り出す。
薄緑色のガラス玉でできた球体状のそれは罅が入り今にも砕け散りそうになっている。
「なんだいそれ?」
「今にも朽ちそうだが大丈夫なのか?」
「アリアが作ってくれた身代わりの精霊具です。
一定以上の攻撃や干渉を受けた際、それを肩代わりしてくれる代物なのですが……このザマですよ。
恐らく、後二回が限度でしょう」
「攻撃や干渉と言うとお相手はやっぱり?」
「ええ、刺客を締め上げて裏付けもバッチリ取れました」
「と言う事は?」
「あのクソガキはアリアの身柄と交換で僕に危害を加えないとほざきながら、アリアとの約束を守る気はなかったって事ですよ。
不確定要素を廃除するために俺の身柄を拘束しておいて、アリアの定着が完了した瞬間に殺すつもりらしいです。
今なら俺が姿をくらましても誰も追わないだろうって考えたみたいですね」
「なんでそれをもっと早く言わなかったのかなぁ?!」
「まあ、僕一人でも対処できましたので。これだって人間ではなく精霊からの攻撃で受けた物なので良いかなと」
「確かに自分で対処できる問題であれば自由にして構わないと言ったが限度があるだろう。
刺客に関する情報に関しては後で纏めて報告するように」
眉間に深い皺を刻みながらクリスが言う。
「その様子では、地方に移動するとなると十中八九移動中を狙われるな」
「正攻法から搦手、奇策と色々と策を講じたけれど全てレイン王子とその取り巻き、彼の精霊に阻まれちゃったしねぇ」
「首飾りを盗む事はおろか見る事すらできないとは思わなんだ」
「前に話した事を覚えていますか?
契約した精霊は主人と離れた距離に居ようと関係なく傍に召喚できるんです」
「え? でも前に呪具が壊れて精霊が死んでしまうからできないって言ってなかったけ?」
「確かに定着してしまっては呪具から剥がすのが難しく、無理に行えば最悪呪具が壊れてしまい、その際に精霊の魂に大きく傷が入る事で最悪存在が消えてしまうとは言いました。
ですが、アリアはまだ呪具に定着はしていない存在なので、召喚は可能です」
「だが、今までそれを行わなかったって事は何かしらの代償があるのだろう?
それもとびっきりのが」
「……はい」
「ならば却下だ。命あっての物種、お前の命は精霊に拾われた物だろう。
お前に危害が加わるのは精霊の本意ではないはずだ。
それに、お前最近ちゃんと休んでいないだろう?
そんな状態ではまともな考えも浮かばん、少し休め。大分人相が変わってきているぞ」
「クリス部長の心配して下さるお心はありがたいです。
ですが、これ以上時間を置く訳にはいかないんです」
「さっきも状況が違うって言っていたけれど、何をそんなに焦っているんだい?」
ラノンの質問にヴァンは苦り切った表情を浮かべる。
「分かるんです、アリアに注いだ僕の魔力の残りが少ない事が。
多めに見繕って期間を設定していたと言うのにまさか一年も持たないとは……折角王宮から距離を置いて召喚しようと考えていたのにこれでは間に合いません。
このままでは遅かれ早かれ完全にクソガキにアリアを奪われてしまう事になる。
それに、王宮内であれば暗部の皆さんに隠蔽を手伝っていただけるでしょう?」
「ああ、今の暗部の人間であれば皆喜んで手伝いをするだろうな」
「動くなら今、この時期が最後の機会なんです」
「…………意思を変えるつもりはないんだな」
「はい」
「そうか……」
深い深い溜息を吐きクリスは項垂れる。
「すまない、力になると言いながら結局は何もできなかった」
「俺も全然役に立てなくってごめんね」
「いえ、お二人も暗部のみんなもたくさん協力して下さいました。
味方はいないと思っていたのでとても心強かったです。
是非、最後まで僕に力を貸して下さい」
「おっし、任せろって! んで? 何をすればいいんだい?」
「まずはですね……」
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