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2st脱出
2st脱出ーその8-
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〔そろそろこの中にも飽きてきたわね。レイン、私を出す気にはなったかしら?〕
「何度も言いましたが僕と契約してくれるのであれば今すぐ出られますよ。
まあ、どちらにせよアリアがこの中に入ってから半年以上が経過しています、そろそろ定着も完了する頃合いですので近々出られそうですね。
できるだけ魔力を注いでいましたが、飢え死にしなくて本当に良かったです」
タームの森をレインが精霊を使って破壊して暫くは落ち込み、レインの呼びかけにも答えずに膝を抱えて空に浮くだけで数日を過ごしていたアリアであったが、ある時点で吹っ切れたのか何事もなかったかのように以前と同様の態度でレインと接し始めた。
期待していた反応とは全く違うアリアにレインは少しがっかりしたが、まだ次の手がある、次はどんな反応をしてくれるかと楽しみにする事にした。
どうしましょう、ヴァンから貰った魔力がどんどん少なくなってきている。
必ず迎えに来ると言っていたヴァンの言葉からこの魔力がなくなるまでには彼が何とかしてくれると思っていたけれども、もしかしたらもう無理なのかもしれない。
ふよふよと最早見慣れた首飾り内の空間で漂いながらアリアは諦観し始めていた。
ヴァンが地方へ移動する事が決まった事を聞かされた時、アリアは安堵した。
自身が本格的にレインの契約精霊となった場合、命令と言う名の強制で自らの手でヴァンに危害を加える事になるのが何よりも恐ろしかった。
だが、ヴァンが王宮から離れ、遠くへ行くのであればアリアが彼へ何かをするようにレインが仕掛ける可能性は極めて低いだろうとアリアは予測する。
レインは決して自身の目が届かない場所でアリアとヴァンを合わせる事はしたがらないだろうから。
何年もの付き合いがあり、尚且つあの執着状態を見せつけられて半年以上も傍にいたのだ、流石にレインのアリアに関する思考の危うさはアリアにも理解できた。
その危うさがあるからこそレインは自身の知らぬところでアリアとヴァンの間で何かが起きるのが耐えられないだろうとも。
レインが王宮を抜け出してアリアを連れてヴァンの元へ行く可能性もあるがレインは歴代最強の精霊術師と呼ばれるだけあってその日々は多忙だ。
訓練や授業、執務の終わる夜に抜け出すにもまだ15歳のレインの身体は夜更かしには向いておらず、9時にはいつも就寝している為その可能性は低い。
早く、王宮を離れてレインの目の届かない場所へと逃げて欲しい。
そしてそこで平穏に生きて過ごして欲しい。
アリアが願う事はそれだけだった。
それだけだったのだ。
目を閉じいつも通り首飾りの中で浮いていたアリアはふと久々に感じる開放感で目を開いた。
ずっと感じていた倦怠感がなくなり身体がとても軽い。
ヴァンがついにやってくれたのかと笑顔で周囲を見回すとアリアが佇んでいた精霊陣の傍にヴァンがいた。
久方ぶりに目にした愛する人は記憶よりも随分と頬が痩け窶れており、生気が感じられなかった。
ヴァンは無事に召喚できたアリアの姿に心から安堵して笑みを零し、
ゴプリッ
口端から血を垂らした。
血反吐を吐き、糸の切れた人形の様に崩れ落ちるヴァン。
〔ヴァン!嘘!?駄目!しっかりして!!!〕
「ア、リア……」
〔ああっ私のせいでごめんなさい!!お願い!死なないで!〕
「あや、まるのは俺の方……おそく、なって、ごめんな?」
〔いいえ、いいえ!!遅くなんかない!!遅くなんかないわっ!!!〕
「いや……これ、でいい、んだ」
〔なにも良くない!!ヴァンが死んだら私、私どうすれば……!〕
身体からも出血をしているのか倒れた体の下に血溜まりが広がり、膝を着いているアリアの衣服に染みていく。
血で濡れたヴァンの手がボロボロと涙を流すアリアの頬を拭う。
「こ、れで……きみ、は……じゆう、だ」
〔……!〕
アリアはヴァンのその一言で全てを理解した
あらゆる策を講じ、それが通用しなかった結果、最後の手段として契約した精霊を召喚すれば召喚者の命を奪う術式が組み込まれている事を知りながらも、彼は自身がこうなる事を理解していてそれでもなお、全てを捨ててまで自分を解放する為にやったのだと。
〔そんな……そんな……ヴァンの為ならそれ位良かったのに……!生きてさえくれていれば!それで、それで良かったのよ……!〕
頬に当てられた手を掴み、嗚咽を漏らして泣くアリア。
自分が愚かだったのだ、あの状況でも尚レインはいつか分かってくれる、いつか己の過ちに気付いて解放してくれる等と甘い認識でいたのがこの始末だ。
自らの愚かさで愛する人間がその命の灯を消そうとしている。
「あ、いし……てる」
〔ふっ……ううっ……ええ…ええ!私も!私も愛してるわ!!貴方だけを!!〕
嗚咽を漏らしながらも放たれたアリアの言葉にヴァンは微笑んだ。
「アリ、ア……に、げろ」
君の未来を愛している
最早、言葉にもならない吐息の様なその言葉を最後にアリアの掴んでいた手から力が抜け、ヴァンの瞳から光が消えていく。
それと同時にアリアの身体を強く引っ張る様な感覚が襲い、アリアの姿が足の先から消え始める。
〔嫌、お願い……ヴァンと離れたくない!〕
契約者が死ねば契約完了と見なされ精霊をこの世界に止める楔が無くなり、元の精霊界へと帰還する事になる。
消えゆく体で必死にもう動く事のないヴァンの体にしがみつく。
〔せめて体だけでも……!〕
たまに召喚先から精霊界に戻ってきた精霊が手や身に着けていた物を持ったままでいた事があったと聞いた事がある。
それなら、ヴァンの体も一緒にいけるかもしれない。
アリアはそんな一縷の望みにかけることにした。
「行っては行けません!!行くな!アリア!!」
二人が居た大広間にレインが精霊を引き連れて駆け込んでくる。
消えゆくアリアの体を見たレインがそう叫び、必死にアリアに近付こうと駆ける。
精霊は契約者が死んだら解放されるが、呪具に封じ込められた状態で契約者が死んだ場合はその限りではなく、その精霊は解放される事なくそのまま呪具に定着する。
呪具に閉じこめられているだけでまだ呪具に封じ込められた存在ではないアリアは未だヴァンの契約精霊だ。
故に呪具に定着すると言う状況が適応しない。
今の契約者が居ない状態のアリアであればレインがその体に触れてさえいれば新たに契約の上書きができる。
自分の存在だけではなくヴァンの体まで持って行こうとしている分、アリアが消えるのは通常よりも時間が掛かる。
ヴァンはアリアの自由を願った。
だがアリアは例え、ここでレインに再び捕まってしまったとしてもヴァンと一緒に帰る事ができる可能性に賭けた。
ヴァンの気持ちを踏み躙る様な行為だと言う事は理解している。
彼の意思を尊重するならば彼の身体から今すぐに手を放して精霊界へと帰るのが正しく、今自分が行っている事が如何に愚かな行為であるかも。
己の愚かさが愛する人を死に至らしめたのだ。
愚かさで何よりも大切な者を失ったのだ、ならば最後まで愚かであり続けよう。
自分の元へと必死に駆け寄ってくるレインに対して嘗て抱いていた慈しみや愛情は完全に消え去り、あるのはただ深い悲しみだけだった。
レインはフーイの力でアリアを自身の元へと呼び寄せようとしたが、その術をヴァンが握り閉めていたペンダントが弾いた。
もう一度術を放つがそれも弾かれ、ならば、とフーイの力でアリアの元へと飛ぼうとするがアリアがそれを妨害する。
〔嘘でしょ!?〕
本来ならば高位精霊であるフーイに中位に位置するアリアが敵う筈が無いのだが、皮肉にも制限をかけられていた中で威力と精度を上げるために苦心していたアリアの技術力は高く、その技術の高さは力の差を補う程であった。
ヴァンとの日々がこうして身を守る糧になっている。
それが分かったアリアは更に涙をながした。
アリアがこの世界から消えるのが早いか、レインがアリアに触れるのが早いか、二人の距離はその瀬戸際だった。
そして、
走り寄って来たレインの手がアリアの体に触れるよりも一瞬早くアリアの存在は世界から消えた。
ヴァンの体と共に。
アリアは賭けに勝った。
「何度も言いましたが僕と契約してくれるのであれば今すぐ出られますよ。
まあ、どちらにせよアリアがこの中に入ってから半年以上が経過しています、そろそろ定着も完了する頃合いですので近々出られそうですね。
できるだけ魔力を注いでいましたが、飢え死にしなくて本当に良かったです」
タームの森をレインが精霊を使って破壊して暫くは落ち込み、レインの呼びかけにも答えずに膝を抱えて空に浮くだけで数日を過ごしていたアリアであったが、ある時点で吹っ切れたのか何事もなかったかのように以前と同様の態度でレインと接し始めた。
期待していた反応とは全く違うアリアにレインは少しがっかりしたが、まだ次の手がある、次はどんな反応をしてくれるかと楽しみにする事にした。
どうしましょう、ヴァンから貰った魔力がどんどん少なくなってきている。
必ず迎えに来ると言っていたヴァンの言葉からこの魔力がなくなるまでには彼が何とかしてくれると思っていたけれども、もしかしたらもう無理なのかもしれない。
ふよふよと最早見慣れた首飾り内の空間で漂いながらアリアは諦観し始めていた。
ヴァンが地方へ移動する事が決まった事を聞かされた時、アリアは安堵した。
自身が本格的にレインの契約精霊となった場合、命令と言う名の強制で自らの手でヴァンに危害を加える事になるのが何よりも恐ろしかった。
だが、ヴァンが王宮から離れ、遠くへ行くのであればアリアが彼へ何かをするようにレインが仕掛ける可能性は極めて低いだろうとアリアは予測する。
レインは決して自身の目が届かない場所でアリアとヴァンを合わせる事はしたがらないだろうから。
何年もの付き合いがあり、尚且つあの執着状態を見せつけられて半年以上も傍にいたのだ、流石にレインのアリアに関する思考の危うさはアリアにも理解できた。
その危うさがあるからこそレインは自身の知らぬところでアリアとヴァンの間で何かが起きるのが耐えられないだろうとも。
レインが王宮を抜け出してアリアを連れてヴァンの元へ行く可能性もあるがレインは歴代最強の精霊術師と呼ばれるだけあってその日々は多忙だ。
訓練や授業、執務の終わる夜に抜け出すにもまだ15歳のレインの身体は夜更かしには向いておらず、9時にはいつも就寝している為その可能性は低い。
早く、王宮を離れてレインの目の届かない場所へと逃げて欲しい。
そしてそこで平穏に生きて過ごして欲しい。
アリアが願う事はそれだけだった。
それだけだったのだ。
目を閉じいつも通り首飾りの中で浮いていたアリアはふと久々に感じる開放感で目を開いた。
ずっと感じていた倦怠感がなくなり身体がとても軽い。
ヴァンがついにやってくれたのかと笑顔で周囲を見回すとアリアが佇んでいた精霊陣の傍にヴァンがいた。
久方ぶりに目にした愛する人は記憶よりも随分と頬が痩け窶れており、生気が感じられなかった。
ヴァンは無事に召喚できたアリアの姿に心から安堵して笑みを零し、
ゴプリッ
口端から血を垂らした。
血反吐を吐き、糸の切れた人形の様に崩れ落ちるヴァン。
〔ヴァン!嘘!?駄目!しっかりして!!!〕
「ア、リア……」
〔ああっ私のせいでごめんなさい!!お願い!死なないで!〕
「あや、まるのは俺の方……おそく、なって、ごめんな?」
〔いいえ、いいえ!!遅くなんかない!!遅くなんかないわっ!!!〕
「いや……これ、でいい、んだ」
〔なにも良くない!!ヴァンが死んだら私、私どうすれば……!〕
身体からも出血をしているのか倒れた体の下に血溜まりが広がり、膝を着いているアリアの衣服に染みていく。
血で濡れたヴァンの手がボロボロと涙を流すアリアの頬を拭う。
「こ、れで……きみ、は……じゆう、だ」
〔……!〕
アリアはヴァンのその一言で全てを理解した
あらゆる策を講じ、それが通用しなかった結果、最後の手段として契約した精霊を召喚すれば召喚者の命を奪う術式が組み込まれている事を知りながらも、彼は自身がこうなる事を理解していてそれでもなお、全てを捨ててまで自分を解放する為にやったのだと。
〔そんな……そんな……ヴァンの為ならそれ位良かったのに……!生きてさえくれていれば!それで、それで良かったのよ……!〕
頬に当てられた手を掴み、嗚咽を漏らして泣くアリア。
自分が愚かだったのだ、あの状況でも尚レインはいつか分かってくれる、いつか己の過ちに気付いて解放してくれる等と甘い認識でいたのがこの始末だ。
自らの愚かさで愛する人間がその命の灯を消そうとしている。
「あ、いし……てる」
〔ふっ……ううっ……ええ…ええ!私も!私も愛してるわ!!貴方だけを!!〕
嗚咽を漏らしながらも放たれたアリアの言葉にヴァンは微笑んだ。
「アリ、ア……に、げろ」
君の未来を愛している
最早、言葉にもならない吐息の様なその言葉を最後にアリアの掴んでいた手から力が抜け、ヴァンの瞳から光が消えていく。
それと同時にアリアの身体を強く引っ張る様な感覚が襲い、アリアの姿が足の先から消え始める。
〔嫌、お願い……ヴァンと離れたくない!〕
契約者が死ねば契約完了と見なされ精霊をこの世界に止める楔が無くなり、元の精霊界へと帰還する事になる。
消えゆく体で必死にもう動く事のないヴァンの体にしがみつく。
〔せめて体だけでも……!〕
たまに召喚先から精霊界に戻ってきた精霊が手や身に着けていた物を持ったままでいた事があったと聞いた事がある。
それなら、ヴァンの体も一緒にいけるかもしれない。
アリアはそんな一縷の望みにかけることにした。
「行っては行けません!!行くな!アリア!!」
二人が居た大広間にレインが精霊を引き連れて駆け込んでくる。
消えゆくアリアの体を見たレインがそう叫び、必死にアリアに近付こうと駆ける。
精霊は契約者が死んだら解放されるが、呪具に封じ込められた状態で契約者が死んだ場合はその限りではなく、その精霊は解放される事なくそのまま呪具に定着する。
呪具に閉じこめられているだけでまだ呪具に封じ込められた存在ではないアリアは未だヴァンの契約精霊だ。
故に呪具に定着すると言う状況が適応しない。
今の契約者が居ない状態のアリアであればレインがその体に触れてさえいれば新たに契約の上書きができる。
自分の存在だけではなくヴァンの体まで持って行こうとしている分、アリアが消えるのは通常よりも時間が掛かる。
ヴァンはアリアの自由を願った。
だがアリアは例え、ここでレインに再び捕まってしまったとしてもヴァンと一緒に帰る事ができる可能性に賭けた。
ヴァンの気持ちを踏み躙る様な行為だと言う事は理解している。
彼の意思を尊重するならば彼の身体から今すぐに手を放して精霊界へと帰るのが正しく、今自分が行っている事が如何に愚かな行為であるかも。
己の愚かさが愛する人を死に至らしめたのだ。
愚かさで何よりも大切な者を失ったのだ、ならば最後まで愚かであり続けよう。
自分の元へと必死に駆け寄ってくるレインに対して嘗て抱いていた慈しみや愛情は完全に消え去り、あるのはただ深い悲しみだけだった。
レインはフーイの力でアリアを自身の元へと呼び寄せようとしたが、その術をヴァンが握り閉めていたペンダントが弾いた。
もう一度術を放つがそれも弾かれ、ならば、とフーイの力でアリアの元へと飛ぼうとするがアリアがそれを妨害する。
〔嘘でしょ!?〕
本来ならば高位精霊であるフーイに中位に位置するアリアが敵う筈が無いのだが、皮肉にも制限をかけられていた中で威力と精度を上げるために苦心していたアリアの技術力は高く、その技術の高さは力の差を補う程であった。
ヴァンとの日々がこうして身を守る糧になっている。
それが分かったアリアは更に涙をながした。
アリアがこの世界から消えるのが早いか、レインがアリアに触れるのが早いか、二人の距離はその瀬戸際だった。
そして、
走り寄って来たレインの手がアリアの体に触れるよりも一瞬早くアリアの存在は世界から消えた。
ヴァンの体と共に。
アリアは賭けに勝った。
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