ヒロイン=ヒーロー

は~げん

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第六話 春樹の憂鬱 その二

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「離れろ!!美冬!!」

あかねが叫ぶのと同時に、春樹の体がいきなり光り始めた。それは金銭欲が現れた時と同じ輝き。つまり、ディザイアが現れるということであった。

あかねは変身をして、美冬と春樹を掴み、その場から遠くに離れた。春樹が先ほどまでいた所には、大きな影があり、それは大きなハサミに殻のようなものを背負っていた。

「ふむ、ヤドカリですか・・・服の欲と、少しの金銭欲もありそうな感じですね・・・素晴らしい、素晴らしい欲だ!!春樹くん!あなたは素晴らしい人です!あはははは!!」

エレンホスは先ほどと同じように狂った笑い声をあげながら春樹の欲を見ていた。

「美冬、春樹を見ててくれ」

その時見たあかね。いや、アナザーの瞳には憎しみの炎が燃えていた。美冬はごくりと生唾を飲み込み、春樹の手を強く握りしめた。

アナザーはまず、ダッシュで春樹の欲に近づく。敵はもちろんハサミを振りかざし、アナザーを狙う。それを間一髪で避けて、隙ができたハサミにアナザーは拳を叩き込む。だが、相手は全く怯まず、それどころかもう片方のハサミをアナザーに叩きつける!

「ぐっ!!」

アナザーは右に大きく吹き飛ばされて、壁に衝突する。脇腹を抑えながらアナザーは立ち上がる。そして、右の拳を開き力強く握りしめた。そして、また駆け出す。

今度は赤く濁った春樹の欲の目を狙う。瞳はむき出しだから、おそらくダメージは通る。右手に魔力を込めて、そこを狙う。

だが、当たる瞬間体を硬い殻の中に引っ込めた。アナザーは硬い殻を殴るが、一切ダメージはなく、逆にダメージを負ってしまう。すると、春樹の欲は器用にハサミだけを殻からだし、無茶苦茶に振り回した!

「ちょ、やばいって!!」

相手が自分を見えてないからこその、予測ができない攻撃にアナザーは翻弄される。距離をとってエアーガンを撃っても全く聞いてる様子はない。バットがあればいいが、あいにく持ってきてなかった。

擦るだけでも体の肉が削れていき、アナザーは思わず声を上げる。声を上げるせいで、位置がばれてしまう。アナザーは口の中で軽く舌打ちをした。襲いかかるハサミは速く、避けることができない。咄嗟に手をクロスにしてハサミから身を守る。

ぶつかった時の衝撃はかなり大きくアナザーは青筋を浮かべ歯を噛み締めながら、攻撃を受け止める。

「こな・・・くそぉぉぉおおぉおぉお!!」

アナザーはそう叫び声をあげて春樹の欲のハサミをはじき返した。が、ハサミが止まったところにアナザーがいるということであり、つまり春樹の欲はそこを狙えばいいのである。

アナザーに向かって一直線に伸びるハサミの攻撃をアナザーは横に飛んで回避しようとするが、間に合わない。

「ガァァッ!」

あえなく腹を巨大なハサミでえぐられてしまい、叫び声をあげる。

そんなアナザーを祈るように見つめる美冬。無意識のうちに春樹の手を強く握った。そのせいかはわからないが、春樹がゆっくりと目を開けた。

「は、春兄!!」
「ん・・・あ、ここは・・・いや、俺はなにをして・・・」

と、言いながらゆっくり体を起こす。すると、目の前のアナザーと春樹の欲の戦いが目に止まり、瞬時に理解してしまった。春樹は小さな声でそうかとつぶやいた。

「あれは俺の欲か・・・見たところ俺がオシャレな服をきたい・・・そんな感じか」

はははと自嘲気味に笑い、どさりと後ろに倒れる。その目は自分に怒っているのか。いや、呆れているような目であった。

「・・・なんで春兄はあんな欲を持ってたんですか・・・?」

美冬は疑問を投げかける。それを聞いた春樹は少し悩んで後、重おもしく口を開けた。

「・・・俺らの母親と父親の職業知ってるよな?デザイナー。それも結構有名な。俺の両親は俺の憧れだった。俺や両親の周りにはたくさんの人がいた。みーんなおしゃれでキラキラしていた。父親が考え母親が作るあの服を見るのがとても好きだった。いつか俺もあんな服を着る。キラキラ輝きたい。そう考えてたんだ」

と、ここで春樹は一度しゃべるのをやめる。そしてちらりと美冬の方を見る。美冬はただじーっと春樹のことを見つめついた。春樹はその視線から逃げるように目を閉じ、また口を開けた。

「ある日、事件が起きた。多分お前が保育園に行って俺が小6ぐらいの時かな。俺の両親が考えたデザインが何処かの国の学校だかなんかのシンボルに似ているって、大騒ぎになった。もちろん両親は否定した。だが世間様は許さなかった。正義の名の下に俺ら家族を追い詰めた。家に嫌がらせの電話なんかしょっちゅう来た。そして俺の周りにたキラキラした人が全員、俺らに牙を向けてきた。そして、俺の両親は俺とお前を置いて海外に逃げた。そっからだ。俺はオシャレな服なんか着たくない。キラキラしたら、俺も他人を追い詰めてしまう。そう考えた俺は、ダサい服を着たんだ。あいつらとは違うって言いたかったんだろうな。けど、実際は違かった俺はおしゃれしたかったんだ・・・はは。そんな小さいことであかねやお前に迷惑をかけてしまったな。本当に俺はダメな人間だなぁ」

目に涙を浮かべながら春樹はやる気がないようにゴロンと寝返りをうった。そして確かめるようにまた、ダメな人間だなぁとつぶやく。

そんな彼を見た美冬は、彼の肩を引っ張り上体を起こさせる。春樹は美冬をぼーっと見るだけで、何もしようとしなかった。そんな春樹を見せられた美冬は震えだした。悲しみで。いや、ちがう。

パシン

弱々しくも、しっかりとした音が響いた。思わず、アナザーもエレンホスも春樹の欲も少し行動が止まってしまう。そして春樹は信じられないという目で美冬を見た。

美冬は震えて涙を流していた。その涙は悲しみの涙ではない。怒りの涙であった。そして美冬は春樹の肩を掴んだ。そして目に涙をためながら。

「春兄は、たしかに大馬鹿ものです!!迷惑?何言ってるんです!!ボクと春兄は家族です!迷惑なんてかけていいんです!そんなこともわからない、春兄は大馬鹿ものです!!」

美冬は叫んだ。その声を聞いた春樹は少し俯く。そんな彼を抱き寄せ、美冬は堪えきれないというように嗚咽を漏らし涙した。

そんな中でもアナザーと欲の戦いは続く。アナザーは痛む横腹を抑えつつ、叫ぶ。

「春樹!!お前はさっきダサい服はキラキラしてないって言ってたよな!!だったらあたしがお前から見えてるキラキラはなんだ!!なんでキラキラしてる!?簡単だ!それはお前自身がキラキラしてるからだ!そりゃ、おしゃれをしたら誰でもキラキラする!けどお前は違う!そんなまやかしのキラキラじゃない!!お前自身のキラキラだ!!それをわかっとけ、この大バカ野郎が!!」

春樹は美冬とアナザーの叫びを聞いて、無意識のうちに涙していた。それに気付き、慌てて涙を止めようとするが、止まらない。それどころかどんどん流れていく。

「おやおや・・・感動物語ですか?でも、アナザーさんを苦しめてるこの欲は、他でもないあなたが作ったものですよ?ねぇ?春樹くん?」

だが、エレンホスが重い言葉を投げる。春樹はそれを聞いてびくりと体を動かす。アナザーは何か言おうとするが、春樹の欲はアナザーをはさみで吹き飛ばす。それを見て春樹は今度は公開で涙が出る。

そして、欲は大きくハサミをふりかざし、アナザーの命を狩ろうとした。春樹はやめろと叫び、エレンホスは大声で笑っていた。

だが、アナザーは怯えた表情を一つ見せず、ただ微笑んだ顔で目を瞑った。

「ひとーーつ!!
愛弟子がピンチなときには!!
ふたーーつ!!
師匠が頑張らなあかんやろ!!
みっーーつ!!
そしてうちの名前を刻め!!
ウチの名前はーーー
ーーーーブラックローズや!!」

その声とともに黒い弾丸が春樹の欲を襲う。ドンドンドンと大きな音をたてて小さな爆発がなんども起きる。

「おそいですよ、師匠」
「何言ってんの。ヒーローは遅れて登場するもんやろ?」

ふらふらと、ブラックローズの元に歩いて近くアナザーは、そう軽口をたたく。ブラックローズも笑顔で答える

「・・・春樹くん。欲を持ってるのは恥ずかしいことやない。ダメなことやない。ただ、あんたは溜めすぎたんや。適度に発散しいや。アナザーも、や」

ブラックローズは優しく春樹にそう声をかける。春樹は震えながらも美冬と一緒に立ち上がった。

「・・・俺は、何を悩んでたんだろうな。そうだよな。俺は、俺だ。どんな欲持ってても、どんな服を着ても、俺のキラキラが消えることはない・・・よし」

とここまでいい、春樹はやる気を込めるように両頬をたたく。そして涙で赤く腫れた目をこすり、二人の魔法少女に向かってこう叫んだ。

「だから、あの欲を倒してくれ!!アナザー!!ブラックローズ!!」

「りょーかい。任せな、春樹」
「ま、ヒーローは頼み事は聞くもんやしな。いや、ヒロイン・・・?」

そして、二人は戦う構えをとった。それを見たエレンホスは退屈そうにため息をついた後、マントを翻し、どこかに逃げて行った。たが、最後にちらりと小さく笑う口が見えたのは、アナザーの気のせいだろうか。

「まずはどうします?師匠」
「なーに言ってんのや、やることは一つ。あいつを全力で倒す」

と言い、ブラックローズは黒い極太のレーザーを春樹の欲にめがけて放った!!
だが、その攻撃が当たる前に硬いからにこもり、攻撃をはじき返す。そしてアナザーは近づき、右手に魔力を込めて先ほどレーザーが当たった所を連続で殴る。だが、やはり効果はない。

だが、ブラックローズとアナザーは小さく笑う。そしてブラックローズは杖を回して、小さなバラの形のビットを周りにばらまく。そして。

「無数に落ちる黒い弾丸!!耐えれるなら耐えてみろ!!『ブラックストーム』!!」

まるで無数の爆竹が爆発するような音が響き、その時に起きた煙がもくもくと広がる。その煙がはれたとき、そこにいたのは無傷の春樹の欲だった。おそらく、ニヤリと笑ったのだろう。だが、その顔よりブラックローズの方がニヤリと笑った。

すると、周りがピカッと光り、ひび割れた地面が修復されていくまるで無数の爆竹が爆発するような音が響き、その時に起きた煙がもくもくと広がる。その煙がはれたとき、そこにいたのは無傷の春樹の欲だった。おそらく、ニヤリと笑ったのだろう。だが、その顔よりブラックローズの方がニヤリと笑った。

すると、周りがピカッと光り、ひび割れた地面が修復されていく元に戻るため、先ほどまでたっていた地面により上に弾かれる。

「へっへーん!!計算道理ってやつだな!!」

上空を飛んでたのはマジカル☆アナザー。アナザーは右手に魔力を込めて、前に思い切り振り被る。すると、魔力の塊が相手に飛んでいく。

下にはなんとブラックローズが杖を構えていたそして、杖の先端に先ほどより多めの魔力を込めて、思い切り前に突き出す。するとやはり先ほどより大きいレーザーがまっすぐ伸びる!!

「「マジカル☆ブラスター!!」」

二人の声が重なり、そう叫び声が聞こえる。そして、春樹の欲は上下からの攻撃を耐えられるわけがなく、二つの攻撃に貫かれた

ドガン!!

大きな爆発音が鳴り響き、煙の中から春樹の欲が落ちてきた。そして、地面に勢いよくぶつかった後、暫く立ち上がろうとしたが、結局立ち上がることができず、そのまま光の粒子となり空に消えていった。

その消えていく粒子を春樹は見つめていた。そして、目を閉じて

「じゃあな、俺。そして、ようこそ俺」

と、小声で呟いた。腕の中では美冬が可愛らしい寝息を立て眠っていた。


◇            ◇                ◇                 ◇                   ◇


「とりあえず、ごめん!!」

戦いが終わった後変身を解いた二人を待ってたのは、春樹の謝罪であった。深々と頭をさげる春樹をあかねたちは見つめていた。

「あー・・・気にすんな。多少肉がえぐれても死ぬわけじゃない」
「そうや。最悪うちの魔法の『浄化』で治せばええんや」

と、言われて春樹は色々と突っ込みたい気持ちを抑えつつ、ゆっくり頭を上げる。そしてニカっと笑う。

「許してくれるなら、これ以上言う必要はないな。よし!」

そして、手をあかねに突き出す。あかねは暫く考えた後、その手を握り返す。

「ありがとうの握手だ。これで勘弁してくれ」
「ははは・・・いいよ。勘弁してやるよ。ま、小峠も元気になってよかったよ」

そしてあかねも春樹のようににこりと笑う。すると少し春樹が顔をそらした。少し赤く見えるのは気のせいか。

「な、あ・・・えーと、さ」

春樹が少しも照れてるように頭をかきながらそうあかねに言う。あかねは少し首をかしげる。

「迷惑じゃないならあかねって呼んでいい・・・かな」
「なんだ?そんなことか・・・いいよ。代わりに、私も春樹って呼ぶぞ」

すると春樹が照れくさそうにふっと一息をつく。あかねは大丈夫か?と言いながら春樹に顔を近づける。すると春樹は顔を真っ赤にしてあかねを押し倒した。

「いっ・・・おい!何しやがる!」
「わ、わざとじゃないんだー!!」

そして二人はわーきゃー叫びながら追いかけっこを始めた。そんな二人を杏子と天使くんが懐かしい目で見ていた。

「青春やなぁ。天使くんもそう思うやろ?」
「あぁ。若いというのはいいものだな」

今、ここにはいつも通りの時が流れていた


◇             ◇                 ◇                   ◇              ◇


「どうしたエレンホス?やけに機嫌がいいじゃないか」
「そうだね・・・とっても楽しそう」
「おやそうでしたか。実はですね先ほどいいものが見れましたから」

暗い部屋でエレンホスが嬉しそうな顔で回転椅子でくるくる回る。それをマタルは微笑みながら見ている。

「駒は一つ失いましたが、もう一つの駒は着々と力を貯めています。それが覚醒した時を考えたら、今からでも笑いが止まりません」
「それはすごいな。はは。それを俺も見てみたいもんだ」

そして、エレンホスはピタリとマタルの方で回転椅子を止めて、にこりと笑う。それは見せてやると言ってるのだろうか。

「でもまずはですね・・・」

そして、エレンホスは笑みを止める。そして今度は見るものが震え上がるような顔になる。それをマタルとテベリスに向ける。

テベリスとマタルはごくりと生唾を飲み込む。そして次の言葉を待った。エレンホスはストンと椅子から降りて、そして天井を見上げながら、

「魔法少女の真実を、黒い魔法少女に教えましょうか」

とつぶやいた。その言葉を聞いたのはこの3人だけではない。蒼い魔法少女マジックブルーもいた。そんな彼女は手に握ってるスティックを力強く握りしめた。

「・・・キリエちゃん。私が救うからね・・・」

なにかを確認するように小声で呟いた彼女は、その場から離れていった




《次回予告!!》
「今度海行こう海!!」
               「悟・・・」
         「教えましょうか?魔法少女の真実」          「お久しぶり?それとも初めまして?アタシはアミナです!!」
第7話『魔法少女対魔法少女』
お楽しみに!!
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