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第七話 魔法少女対魔法少女 その二
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青い海。そして白い砂浜。海の日に海に来るというのもベタだが、 ベタはベタなりにいいものである。
「暑いな、悟・・・なんで海って暑いの?」
「暦上、今は夏だからだ。冬には海は寒いぞ」
海パンを履いてる、春樹と悟がそう話していた。水着はというと、悟は藍色の海パン。春樹は黒に、青色で『enjoysummerlife』と書いてある。というかよく見つけたものである。
「せやでー、あつはなつい。やなくて、夏は暑いんや」
と、春樹達の隣に立っている、子供用の薄いピンクの水着を着ているのは、杏子の娘『小森かすみ』金色の三つ編みが風に揺れていた。もし、あと10~15歳歳を取っていたら、可愛らしいというより、美しいと言われるだろう。
「ところでおにーさん達、あかねちゃん達の水着姿見に来たんやろ~?もーやらしいわぁ~」
「な、ちが、違うぞ!断じて俺はあかねの水着に興味なんてないぞ!!」
「春樹、顔に出てる。ま、俺は興味はない。ただ、海に入りたいから来たんだ。深い意味はない」
と、3人が話していたら、遠くからお待たせーという声が聞こえてきた。春樹達がそこを振り向くと、四人の女性が歩いてきた。
「みんなお待たせ~あれ?かすみちゃんおらんおもったらこんなところにおったん?」
「おっと!まず歩いてきたのは小さなパン屋の似非関西オカンこと、小森杏子だ!服装は派手に黒いビキニ!男共の視線は全て私がもらうと言わんばかりのプロモーション!!流石最年長!溢れ出るオカンオーラ!」
突然、実況者のように声をはりあげるかすみを驚いた顔で、春樹と悟が見ている。というか、関西弁も消えるほど役に入ってるのか。ある意味見上げたプロ根性である。
「暑い。溶けてしまいそうです。ボクの体はアイスなのです・・・」
「おっと!もうばてかけてるのは誰がよんだか公式チート!!小峠美冬だ!!なんと、まさかのスク水!胸に大きく名前が書いてあるぞ!確かに一言も自分の水着を買ったと言ってない!だが、スク水も素敵です!」
春樹は何か突っ込みたいが、今突っ込んだら負けな気がしたため、あえて黙った。悟をちらりと見ると、彼も諦めたように頭を振った。
「確かに暑いねぇ。ま、だからこそ絶好の海日和だよ!」
「おやおや!次に来たのはアイラブA☆KA☆NE池内千鶴!!黄色いフリルがついた水着です!そしておへそ可愛く覗いています!下のスカートは薄い青を基調とした花びらが舞っている柄です!なんとかわいい!!」
もう苦笑いしか出なくなってきた、春樹と悟。まさかかすみにこんな趣味があるとは思わなかった。まぁ、ある意味仕方ないことかもしれない。
「な、なぁ、千鶴・・・ほ、本当にこの水着似合ってんのか・・・?」
「本日ラストが来ました!彼女は世界一乙女なボーイッシュガール!西園寺あかねです!!水着は・・・おっと!淡いオレンジのワンピースです!こちらも下の方にフリルがついてあります!なんとキャワイイ!!」
恥ずかしそうな顔で、早足に千鶴達のもとに来るあかね。いつものような勝気な風には見えなく、とても弱気な少女に見えた。
「うん!あかねちゃんかわいいよ!さぁ、二人一緒に海に入ろう!」
「か、かわいい・・・!?そんなことはない・・・あ、でも海には入りたいな。よし、準備運動してから入るか」
と、あかね達が、海に向かって走って行った。途中であかねがこけたがそれもまぁ、夏の風物詩でもある。
そのあとみんなは思い思いにはしゃいだ。ビーチバレーや、海での競争。何かを忘れてる気がしたが、あかねは気にせずに遊んだ。なんせ次にまたこう遊べる日が来るかわからない。もしかしたらもう来ないのかもしれない。そんな不安を拭うように、たくさん遊んでいた。
「・・・ふぅ・・・疲れましたね、あかねさん」
「ん・・・んん!?あれ、いつの間にかこんなに時間が経ってたんだ・・・?」
楽しい時間はすぐに過ぎるものである。決して遊んでいる描写を書くのが面倒だったわけではない。と、いうわけで美冬とあかねはみんなと一度別れて、近くの海の家で休憩と軽食を取りに行った。
ジュースを頼み、乾いた喉をジュースで潤す。疲れた体に染み渡る感じがとてもよく感じられた。
「・・・すいません。相席いいですか?」
と、声が後ろから聞こえてきた。男性の声だったので、少しナンパの可能性があるかと思ったが、自分にそんな色気が無いと結論づけ、どうぞとうながす。男性は礼を言い、あかねの前に座る。
「・・・!?な、お、おまえは!!」
「よぉ、あの時のチビ。名前は確か、アナザーだっけか?」
座った男性はマタルだった。あかね達が初めて負けた相手。その圧倒的な力に、あかねと杏子では、手も足もでなかった。
「あー、一応言うが、俺は戦うつもりはねぇ。少し話に来ただけだ」
と、マタルは言う。よく見たら彼は今赤い海パンを履いてるだけで、あとはその筋肉がついてる肉体だけだった。
「その言葉嘘じゃないと信じよう・・・で、話ってなんだ?」
あかねはあくまで平静を保ちつつ、そうマタルに質問する。マタルは美冬の方をちらりと見て、あかねに視線を戻す。
「単刀直入に言おう。お前は『どっち側』なんだ?」
「・・・どっち側?どういう意味だ?」
「そのまんまだ。俺たちディザイア側か、そこのチビと同じ、人間側かって奴だ」
あかねは暫し意味がわからなくて、頭で整理していた。その整理が、終わってもまだ意味がわからない。そんなもの答えは決まってる。答えるのも馬鹿らしいのであかねは何も答えなかった。
それを見たマタルはため息をひとつついた。あかねが黙ってる故に、答えはわかった。元々そうだろうとは思っていたが。
「たく・・・エレンホスが行けるって言ってたんだけどな」
「・・・そういえばなんでお前は、そんなにエレンホスに執着するんだ?」
あかねは何気なしにそう疑問を投げる。彼らの力関係はおそらくエレンホスが一番上であろうが、何故、マタルはそれに従ってるだろう。彼はそういうのが嫌いな風に見えたから、尚更気になった。
「・・・聞きてぇなら、少し俺についてこい。あーと、ついてこなかったら、ここで俺は暴れるぜ?まずそこのチビから殺すからな」
マタルはそうあかねに告げた後に、美冬の頭をガシッと掴んだ。ギリギリと音を鳴らし、美冬はとても苦しそうな顔をする。
「てめぇ、汚ねぇぞ・・・!」
「なんとでも言いやがれ。俺は元々お前を連れて行くつもりで話しかけたんだ。隠しながらってのは俺の性に合わねぇ」
と言いながら、マタルは美冬を連れて店の外に出て行くあかねは迷わず、走ってマタルを追いかけた。
どう考えても罠。だが、行くしかない。なぜなら行かないと美冬を失うから。あかねはいつもの様に拳を握っては開くを繰り返す。もう失いたくない。失わないためなら全力を尽くす。そうあかねは呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・で、俺の過去だっけか」
あかねとマタルと美冬はトコトコと砂浜の上を歩きながら会話をする。一見、兄弟に見えなくもないが、緊張感が広がっていた。そんな中、マタルは少し悩んだ後、口をゆっくりとあけた。
「俺が、エレンホスをこう慕ってるのは、あいつが俺を必要としてくれたからだ」
マタルは目を閉じ、そして懐かしそうな顔になった。あかねはそれを横目でチラリと見た。あまりにも整っている横顔に思わずドキリとして、すぐに目を逸らした
「・・・俺は、他のディザイアの例に漏れず元人間だったんだ。子供の頃の記憶はねぇが・・・そうだな、職業は確か音楽家。いろんな曲を作ってはそういう企業に売り込みに行った。だが、どれもこれも売れない認められない。いつも不合格だかそんなことを書かれた紙が送られてきた。正直悔しいし、やめようとも思った。だが、そんな俺の曲を毎回聞いてくれた奴がいた。名前は忘れたが・・・まぁ、俺の友人だったやつだ。そいつはいつも俺の曲を褒めてくれたとても嬉しかった・・・」
気づくと、あかね達は洞窟の前にいた。どうやらこの奥に行くべきらしい。マタルが前を歩き、あかね達はマタルについていきながら奥に進んでいく。
「んでだ。ある日俺は自分が考え付く中で最高傑作ができた。その曲は俺はまず友人に聞かせた。そいつはすげぇ嬉しそうな顔をして俺にこう言ったんだ。家でじっくり聞きたいから持ち帰っていいか?・・・ってな」
そう話してるうちに、3人は少し広いところに出ていた。3人は座れそうな石を見つけたりして、そこに座った。
マタルはとてもまた目をつむっていた。あかねと美冬は体を寄せ合って話を続きを暫く待った。
そして、マタルはゆっくりと口を開けた。
「・・・俺は次の日会社に売り込みに行った。俺は自信満々だった。それに、もしこれで売れなくても悔いはねぇ。だがな、その会社のやつが言ったのはなんだと思う?」
マタルはまた喋るのを一旦止めた。そして今度は悲しそうに目を強くつむり、そしてマタルは言った。
「『この曲は昨日の夜、男性が持ってきた曲と一緒ですね。盗作ですか?』・・・だってよ」
そういうマタルの顔は、とても暗いものになっていた。その顔は敵であるあかねすら同情するほど。
「ははは。笑っちまうだろ?最高傑作を俺の友人は勝手に持っていて勝手に落ちやがった。こんな笑い話どこを探してもねぇよ。そんでよ、こっから面白いんだけどよ、この件を友人に問い詰めたんだ。そしたらよ!そいつなんて言ったと思う!?」
今度は楽しそうにマタルは喋っている。あかねは少し恐ろしかったのか、無意識のうちに美冬を強く抱きしめていた。美冬も同様に力を込めていた。
「『お前の作った曲はクソみたいだったな、俺はお前の曲なんか聞きたく無いけど、毎回我慢してたんだ。最高傑作?ふざけんな、お前のせいで恥かいたじゃねえか。このカスが!!』だってよ!!ははははは!!笑えるよな!!はははは!!」
とうとう堪えきれないというように、お腹を抱えてマタルは笑い出した。その姿はあかねから見たらとても恐ろしく、滑稽で、そして哀れに見えた。
「・・・まぁ、そのあとのことは覚えてない。気がついたら目の前に友人『だった』ものが転がっていた。そして俺の手は赤い何かが付いていた・・・俺は恐ろしくなって逃げ出した。近くにあった赤いフードを深くかぶってな。そっから毎日ブラブラ歩いて、あの時のことを忘れようとした。でもよ、この手には残ってたんだ。あの時殺した時の感覚が・・・忘れねぇんだ。だから俺はあまり人に会わないようにした。でも、たまに人を殺したくなる。あの時の快感を得たくなる。そんな時が人間の俺は怖かった。そんなある日・・・俺はそいつにあった」
マタルはうつむきながら、話している。先ほどまで笑ってたのが嘘のように、とても哀愁を漂わせていた。いや、もしかしたら先ほどまで笑ってたのは無理矢理笑ってごまかしてたのかもしれない。
「そいつは俺に手を差し伸べた。可愛らしく笑いながら、俺が必要だと言ってくれた。初めて聞いたその言葉。だから俺はその手を握り返し、そして決めたんだ。そいつ・・・エレンホスのためにはなんだってする。なんせ、初めて俺を必要と言ってくれたやつだからな・・・と、ここで俺の話は終了。楽しくなかっただろうが、気にするな・・・さて、次は俺の質問に答えてもらうぞ。内容はさっきと一緒。お前はどっち側だ?」
「答えは簡単だ、あたしは人間側だ」
「ま、『お前は』そうかもな・・・と、どうやら役者が来たらしいぜ」
マタルはそういうと、洞窟の入り口から二人の足音が聞こえてきた。一つは少年手品師のような風貌をした、エレンホス。もう一つは見覚えがある姿だった。
「・・・な、あん・・・師匠!?」
それはブラックローズだった。あかねの師匠であるブラックローズがフラフラした足取りでエレンホスについてきていた。
あかねは急いで変身をして、ブラックローズに駆け寄った。ブラックローズは暗く、そして青ざめた顔でしきりに何かをつぶやいていた。
「私はなんのために私はなんのために私はなんのために・・・」
「し、師匠?どうしたんです?」
「いやぁ、彼女には刺激が強すぎたようですね・・・魔法少女の真実は」
と言いながらエレンホスはゆっくりマタルの方に歩いていく。そして、軽くマタルとハイタッチをした。それはこの空気には不釣り合いに見えるし、釣り合っても見えた。
「あ、それと役者はあと一人きますよ・・・あ、きたきた」
「・・・遅れました。悪気はありません」
「お、お前は魔法少女・・・!?何やってんだ!?」
「・・・そうか、あの時は気絶してましたから、初めましてですね。私の名前はマジックブルー。以後お見知り置きを」
そう言いながらやってきたのは蒼色の魔法少女、マジックブルー。何故かディザイア側についてる魔法少女である。
「さて、役者は揃いました・・・では、アナザーさん。もう一度質問をしてもいいですか?」
エレンホスはいつもとかわらない優しい声でアナザーに語りかける。だが、やはりどこか恐ろしい声でもあった。
「あなたはどっち側ですか?」
「だから、あたしは・・・!?」
と、ここまで言うとある異変にに気づく。美冬がいなくなってる。アナザーはあわてて探す。そして見つけたが、美冬は何故か空に浮かんでいた。いや、何かに入ってる。それは透明だが、ふよふよ漂う、シャボンのように見えた。その中で美冬は苦しそうに顔を歪めていた。
「美冬ちゃん!?て、てめぇら!どこまで汚い真似を!!」
「なんとでも言いなさい・・・さて、僕達はあなたに聞いてません。あなたに聞いてるんですよ?早く目覚めたらどうです?」
「な、何を・・・?」
「あー魔法少女の真実を教えたら目覚めたりします?いや、それは無いか・・・ま、いいです。ブルーさん。もう殺すつもりでやってください」
とエレンホスがいうと、ブルーはこくりとうなずき杖を大きく振る。すると、美冬はさらに苦しそうに顔を歪め始める。顔は青く染まり涙を流し、口から泡を吹き始めていた。
「やめろ・・・やめろ・・・」
「さぁ、早く目覚めなさい。守りたいのでしょう?守るのでしょう!!なら早く目覚めなさい!!」
するとエレンホスは美冬に向かってまっすぐ魔力の塊を飛ばした。
「やめろぉぉおおぉぉおぉぉぉおおお!!!」
と言ってアナザーは駆け出す。そして美冬に魔力の塊が当たるのを身を挺して守った。だが、その衝撃に飛ばされ壁にぶつかってそのまま地面に落ちてしまう。
それを見たエレンホスはニヤリと笑い、ブルーに何かの合図をした。すると、ブルーはゆっくりと美冬を地面に下ろした。それを見たエレンホスは満足そうな顔で頷き、アナザーが倒れてるところに向かって無数の弾幕を、これもまた微笑みながら放った。
花火が爆発したかのような爆発音が洞窟に響き、煙が広がる。だんだんと煙ははれていき、その場所には、一人の少女が立っていた。しばらくしたあと、その少女は口を開けた。
「あれあれぇ?皆さんお揃いでなんですかー?今から何が始まるのですー?もしかしてこの私をこの洞窟であんなことやこんなこと・・・きゃー!変態だー!!」
と言って恥ずかしそうに体をくねくね動かした。その少女は先程までとはまるで別人のように変わっていた。それを見たマタルとブルーは驚いた顔でアナザーであろうものを見つめ、エレンホスはとても嬉しそうに笑いながら、口を開けた。
「ところで・・・あなたは何者ですか?」
「私ー?そうだねぇ・・・」
と、その少女は今度は礼儀正しく頭を軽く下げながら、こう続けた。
「お久しぶり?それとも初めまして?私の名前はアミナです!!」
と、頭を上げたあと勢いよく、敬礼しながら無邪気にそういうアナザー・・・いや、アミナをエレンホスはとても嬉しそうな顔で見ていた。まるで、これから楽しいことが起きると言っているようであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《次回予告!!》
「私はーあたしとは違うのよん」 「あたしがママを守るから」 「後悔しないって決めたのに 」 「あたしって死んだほうがいいのか・・・」
第8話『あたしが変わったわけ』
お楽しみに!!
「暑いな、悟・・・なんで海って暑いの?」
「暦上、今は夏だからだ。冬には海は寒いぞ」
海パンを履いてる、春樹と悟がそう話していた。水着はというと、悟は藍色の海パン。春樹は黒に、青色で『enjoysummerlife』と書いてある。というかよく見つけたものである。
「せやでー、あつはなつい。やなくて、夏は暑いんや」
と、春樹達の隣に立っている、子供用の薄いピンクの水着を着ているのは、杏子の娘『小森かすみ』金色の三つ編みが風に揺れていた。もし、あと10~15歳歳を取っていたら、可愛らしいというより、美しいと言われるだろう。
「ところでおにーさん達、あかねちゃん達の水着姿見に来たんやろ~?もーやらしいわぁ~」
「な、ちが、違うぞ!断じて俺はあかねの水着に興味なんてないぞ!!」
「春樹、顔に出てる。ま、俺は興味はない。ただ、海に入りたいから来たんだ。深い意味はない」
と、3人が話していたら、遠くからお待たせーという声が聞こえてきた。春樹達がそこを振り向くと、四人の女性が歩いてきた。
「みんなお待たせ~あれ?かすみちゃんおらんおもったらこんなところにおったん?」
「おっと!まず歩いてきたのは小さなパン屋の似非関西オカンこと、小森杏子だ!服装は派手に黒いビキニ!男共の視線は全て私がもらうと言わんばかりのプロモーション!!流石最年長!溢れ出るオカンオーラ!」
突然、実況者のように声をはりあげるかすみを驚いた顔で、春樹と悟が見ている。というか、関西弁も消えるほど役に入ってるのか。ある意味見上げたプロ根性である。
「暑い。溶けてしまいそうです。ボクの体はアイスなのです・・・」
「おっと!もうばてかけてるのは誰がよんだか公式チート!!小峠美冬だ!!なんと、まさかのスク水!胸に大きく名前が書いてあるぞ!確かに一言も自分の水着を買ったと言ってない!だが、スク水も素敵です!」
春樹は何か突っ込みたいが、今突っ込んだら負けな気がしたため、あえて黙った。悟をちらりと見ると、彼も諦めたように頭を振った。
「確かに暑いねぇ。ま、だからこそ絶好の海日和だよ!」
「おやおや!次に来たのはアイラブA☆KA☆NE池内千鶴!!黄色いフリルがついた水着です!そしておへそ可愛く覗いています!下のスカートは薄い青を基調とした花びらが舞っている柄です!なんとかわいい!!」
もう苦笑いしか出なくなってきた、春樹と悟。まさかかすみにこんな趣味があるとは思わなかった。まぁ、ある意味仕方ないことかもしれない。
「な、なぁ、千鶴・・・ほ、本当にこの水着似合ってんのか・・・?」
「本日ラストが来ました!彼女は世界一乙女なボーイッシュガール!西園寺あかねです!!水着は・・・おっと!淡いオレンジのワンピースです!こちらも下の方にフリルがついてあります!なんとキャワイイ!!」
恥ずかしそうな顔で、早足に千鶴達のもとに来るあかね。いつものような勝気な風には見えなく、とても弱気な少女に見えた。
「うん!あかねちゃんかわいいよ!さぁ、二人一緒に海に入ろう!」
「か、かわいい・・・!?そんなことはない・・・あ、でも海には入りたいな。よし、準備運動してから入るか」
と、あかね達が、海に向かって走って行った。途中であかねがこけたがそれもまぁ、夏の風物詩でもある。
そのあとみんなは思い思いにはしゃいだ。ビーチバレーや、海での競争。何かを忘れてる気がしたが、あかねは気にせずに遊んだ。なんせ次にまたこう遊べる日が来るかわからない。もしかしたらもう来ないのかもしれない。そんな不安を拭うように、たくさん遊んでいた。
「・・・ふぅ・・・疲れましたね、あかねさん」
「ん・・・んん!?あれ、いつの間にかこんなに時間が経ってたんだ・・・?」
楽しい時間はすぐに過ぎるものである。決して遊んでいる描写を書くのが面倒だったわけではない。と、いうわけで美冬とあかねはみんなと一度別れて、近くの海の家で休憩と軽食を取りに行った。
ジュースを頼み、乾いた喉をジュースで潤す。疲れた体に染み渡る感じがとてもよく感じられた。
「・・・すいません。相席いいですか?」
と、声が後ろから聞こえてきた。男性の声だったので、少しナンパの可能性があるかと思ったが、自分にそんな色気が無いと結論づけ、どうぞとうながす。男性は礼を言い、あかねの前に座る。
「・・・!?な、お、おまえは!!」
「よぉ、あの時のチビ。名前は確か、アナザーだっけか?」
座った男性はマタルだった。あかね達が初めて負けた相手。その圧倒的な力に、あかねと杏子では、手も足もでなかった。
「あー、一応言うが、俺は戦うつもりはねぇ。少し話に来ただけだ」
と、マタルは言う。よく見たら彼は今赤い海パンを履いてるだけで、あとはその筋肉がついてる肉体だけだった。
「その言葉嘘じゃないと信じよう・・・で、話ってなんだ?」
あかねはあくまで平静を保ちつつ、そうマタルに質問する。マタルは美冬の方をちらりと見て、あかねに視線を戻す。
「単刀直入に言おう。お前は『どっち側』なんだ?」
「・・・どっち側?どういう意味だ?」
「そのまんまだ。俺たちディザイア側か、そこのチビと同じ、人間側かって奴だ」
あかねは暫し意味がわからなくて、頭で整理していた。その整理が、終わってもまだ意味がわからない。そんなもの答えは決まってる。答えるのも馬鹿らしいのであかねは何も答えなかった。
それを見たマタルはため息をひとつついた。あかねが黙ってる故に、答えはわかった。元々そうだろうとは思っていたが。
「たく・・・エレンホスが行けるって言ってたんだけどな」
「・・・そういえばなんでお前は、そんなにエレンホスに執着するんだ?」
あかねは何気なしにそう疑問を投げる。彼らの力関係はおそらくエレンホスが一番上であろうが、何故、マタルはそれに従ってるだろう。彼はそういうのが嫌いな風に見えたから、尚更気になった。
「・・・聞きてぇなら、少し俺についてこい。あーと、ついてこなかったら、ここで俺は暴れるぜ?まずそこのチビから殺すからな」
マタルはそうあかねに告げた後に、美冬の頭をガシッと掴んだ。ギリギリと音を鳴らし、美冬はとても苦しそうな顔をする。
「てめぇ、汚ねぇぞ・・・!」
「なんとでも言いやがれ。俺は元々お前を連れて行くつもりで話しかけたんだ。隠しながらってのは俺の性に合わねぇ」
と言いながら、マタルは美冬を連れて店の外に出て行くあかねは迷わず、走ってマタルを追いかけた。
どう考えても罠。だが、行くしかない。なぜなら行かないと美冬を失うから。あかねはいつもの様に拳を握っては開くを繰り返す。もう失いたくない。失わないためなら全力を尽くす。そうあかねは呟いた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「・・・で、俺の過去だっけか」
あかねとマタルと美冬はトコトコと砂浜の上を歩きながら会話をする。一見、兄弟に見えなくもないが、緊張感が広がっていた。そんな中、マタルは少し悩んだ後、口をゆっくりとあけた。
「俺が、エレンホスをこう慕ってるのは、あいつが俺を必要としてくれたからだ」
マタルは目を閉じ、そして懐かしそうな顔になった。あかねはそれを横目でチラリと見た。あまりにも整っている横顔に思わずドキリとして、すぐに目を逸らした
「・・・俺は、他のディザイアの例に漏れず元人間だったんだ。子供の頃の記憶はねぇが・・・そうだな、職業は確か音楽家。いろんな曲を作ってはそういう企業に売り込みに行った。だが、どれもこれも売れない認められない。いつも不合格だかそんなことを書かれた紙が送られてきた。正直悔しいし、やめようとも思った。だが、そんな俺の曲を毎回聞いてくれた奴がいた。名前は忘れたが・・・まぁ、俺の友人だったやつだ。そいつはいつも俺の曲を褒めてくれたとても嬉しかった・・・」
気づくと、あかね達は洞窟の前にいた。どうやらこの奥に行くべきらしい。マタルが前を歩き、あかね達はマタルについていきながら奥に進んでいく。
「んでだ。ある日俺は自分が考え付く中で最高傑作ができた。その曲は俺はまず友人に聞かせた。そいつはすげぇ嬉しそうな顔をして俺にこう言ったんだ。家でじっくり聞きたいから持ち帰っていいか?・・・ってな」
そう話してるうちに、3人は少し広いところに出ていた。3人は座れそうな石を見つけたりして、そこに座った。
マタルはとてもまた目をつむっていた。あかねと美冬は体を寄せ合って話を続きを暫く待った。
そして、マタルはゆっくりと口を開けた。
「・・・俺は次の日会社に売り込みに行った。俺は自信満々だった。それに、もしこれで売れなくても悔いはねぇ。だがな、その会社のやつが言ったのはなんだと思う?」
マタルはまた喋るのを一旦止めた。そして今度は悲しそうに目を強くつむり、そしてマタルは言った。
「『この曲は昨日の夜、男性が持ってきた曲と一緒ですね。盗作ですか?』・・・だってよ」
そういうマタルの顔は、とても暗いものになっていた。その顔は敵であるあかねすら同情するほど。
「ははは。笑っちまうだろ?最高傑作を俺の友人は勝手に持っていて勝手に落ちやがった。こんな笑い話どこを探してもねぇよ。そんでよ、こっから面白いんだけどよ、この件を友人に問い詰めたんだ。そしたらよ!そいつなんて言ったと思う!?」
今度は楽しそうにマタルは喋っている。あかねは少し恐ろしかったのか、無意識のうちに美冬を強く抱きしめていた。美冬も同様に力を込めていた。
「『お前の作った曲はクソみたいだったな、俺はお前の曲なんか聞きたく無いけど、毎回我慢してたんだ。最高傑作?ふざけんな、お前のせいで恥かいたじゃねえか。このカスが!!』だってよ!!ははははは!!笑えるよな!!はははは!!」
とうとう堪えきれないというように、お腹を抱えてマタルは笑い出した。その姿はあかねから見たらとても恐ろしく、滑稽で、そして哀れに見えた。
「・・・まぁ、そのあとのことは覚えてない。気がついたら目の前に友人『だった』ものが転がっていた。そして俺の手は赤い何かが付いていた・・・俺は恐ろしくなって逃げ出した。近くにあった赤いフードを深くかぶってな。そっから毎日ブラブラ歩いて、あの時のことを忘れようとした。でもよ、この手には残ってたんだ。あの時殺した時の感覚が・・・忘れねぇんだ。だから俺はあまり人に会わないようにした。でも、たまに人を殺したくなる。あの時の快感を得たくなる。そんな時が人間の俺は怖かった。そんなある日・・・俺はそいつにあった」
マタルはうつむきながら、話している。先ほどまで笑ってたのが嘘のように、とても哀愁を漂わせていた。いや、もしかしたら先ほどまで笑ってたのは無理矢理笑ってごまかしてたのかもしれない。
「そいつは俺に手を差し伸べた。可愛らしく笑いながら、俺が必要だと言ってくれた。初めて聞いたその言葉。だから俺はその手を握り返し、そして決めたんだ。そいつ・・・エレンホスのためにはなんだってする。なんせ、初めて俺を必要と言ってくれたやつだからな・・・と、ここで俺の話は終了。楽しくなかっただろうが、気にするな・・・さて、次は俺の質問に答えてもらうぞ。内容はさっきと一緒。お前はどっち側だ?」
「答えは簡単だ、あたしは人間側だ」
「ま、『お前は』そうかもな・・・と、どうやら役者が来たらしいぜ」
マタルはそういうと、洞窟の入り口から二人の足音が聞こえてきた。一つは少年手品師のような風貌をした、エレンホス。もう一つは見覚えがある姿だった。
「・・・な、あん・・・師匠!?」
それはブラックローズだった。あかねの師匠であるブラックローズがフラフラした足取りでエレンホスについてきていた。
あかねは急いで変身をして、ブラックローズに駆け寄った。ブラックローズは暗く、そして青ざめた顔でしきりに何かをつぶやいていた。
「私はなんのために私はなんのために私はなんのために・・・」
「し、師匠?どうしたんです?」
「いやぁ、彼女には刺激が強すぎたようですね・・・魔法少女の真実は」
と言いながらエレンホスはゆっくりマタルの方に歩いていく。そして、軽くマタルとハイタッチをした。それはこの空気には不釣り合いに見えるし、釣り合っても見えた。
「あ、それと役者はあと一人きますよ・・・あ、きたきた」
「・・・遅れました。悪気はありません」
「お、お前は魔法少女・・・!?何やってんだ!?」
「・・・そうか、あの時は気絶してましたから、初めましてですね。私の名前はマジックブルー。以後お見知り置きを」
そう言いながらやってきたのは蒼色の魔法少女、マジックブルー。何故かディザイア側についてる魔法少女である。
「さて、役者は揃いました・・・では、アナザーさん。もう一度質問をしてもいいですか?」
エレンホスはいつもとかわらない優しい声でアナザーに語りかける。だが、やはりどこか恐ろしい声でもあった。
「あなたはどっち側ですか?」
「だから、あたしは・・・!?」
と、ここまで言うとある異変にに気づく。美冬がいなくなってる。アナザーはあわてて探す。そして見つけたが、美冬は何故か空に浮かんでいた。いや、何かに入ってる。それは透明だが、ふよふよ漂う、シャボンのように見えた。その中で美冬は苦しそうに顔を歪めていた。
「美冬ちゃん!?て、てめぇら!どこまで汚い真似を!!」
「なんとでも言いなさい・・・さて、僕達はあなたに聞いてません。あなたに聞いてるんですよ?早く目覚めたらどうです?」
「な、何を・・・?」
「あー魔法少女の真実を教えたら目覚めたりします?いや、それは無いか・・・ま、いいです。ブルーさん。もう殺すつもりでやってください」
とエレンホスがいうと、ブルーはこくりとうなずき杖を大きく振る。すると、美冬はさらに苦しそうに顔を歪め始める。顔は青く染まり涙を流し、口から泡を吹き始めていた。
「やめろ・・・やめろ・・・」
「さぁ、早く目覚めなさい。守りたいのでしょう?守るのでしょう!!なら早く目覚めなさい!!」
するとエレンホスは美冬に向かってまっすぐ魔力の塊を飛ばした。
「やめろぉぉおおぉぉおぉぉぉおおお!!!」
と言ってアナザーは駆け出す。そして美冬に魔力の塊が当たるのを身を挺して守った。だが、その衝撃に飛ばされ壁にぶつかってそのまま地面に落ちてしまう。
それを見たエレンホスはニヤリと笑い、ブルーに何かの合図をした。すると、ブルーはゆっくりと美冬を地面に下ろした。それを見たエレンホスは満足そうな顔で頷き、アナザーが倒れてるところに向かって無数の弾幕を、これもまた微笑みながら放った。
花火が爆発したかのような爆発音が洞窟に響き、煙が広がる。だんだんと煙ははれていき、その場所には、一人の少女が立っていた。しばらくしたあと、その少女は口を開けた。
「あれあれぇ?皆さんお揃いでなんですかー?今から何が始まるのですー?もしかしてこの私をこの洞窟であんなことやこんなこと・・・きゃー!変態だー!!」
と言って恥ずかしそうに体をくねくね動かした。その少女は先程までとはまるで別人のように変わっていた。それを見たマタルとブルーは驚いた顔でアナザーであろうものを見つめ、エレンホスはとても嬉しそうに笑いながら、口を開けた。
「ところで・・・あなたは何者ですか?」
「私ー?そうだねぇ・・・」
と、その少女は今度は礼儀正しく頭を軽く下げながら、こう続けた。
「お久しぶり?それとも初めまして?私の名前はアミナです!!」
と、頭を上げたあと勢いよく、敬礼しながら無邪気にそういうアナザー・・・いや、アミナをエレンホスはとても嬉しそうな顔で見ていた。まるで、これから楽しいことが起きると言っているようであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《次回予告!!》
「私はーあたしとは違うのよん」 「あたしがママを守るから」 「後悔しないって決めたのに 」 「あたしって死んだほうがいいのか・・・」
第8話『あたしが変わったわけ』
お楽しみに!!
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