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何でもない昼下がり
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輪炎は困っていた。これ以上ないぐらいに困っていた。
ここは火の国。火を神聖なものとし大切にしてきた国だ。国民も王族も、火の名の通りに熱く情熱的な人が多い。また、短気で怒りっぽいのも特徴としてあげられるだろう。
輪炎はそこで古使という職に就いている。
古使とは、各国に古くから伝わるとされるある力を使う人々のことである。
力は年々衰え今では各国に一人しかいなくなってしまった。絶滅危惧種のような存在。
といっても、科学の進歩により古使は殆どその力を使うことはなく、今では外交官のような仕事をしている。
火の国の古使である輪炎は火の力を使う。
荒々しく、熱い男である輪炎はある日のお昼過ぎに仕事を終え、自分の部屋に戻ってきたところであった。
城の中にある輪炎の仕事場兼自宅であるその部屋は、物が少なく殺風景だ。
来客用であろう、黒いソファと机。
輪炎の椅子と机や本棚。
隣の部屋には大きなベット。
そのまた隣の部屋にはキッチンがあり、反対側にはお風呂がある。
疲れていた輪炎は部屋でゆっくりと昼食をとり、午後の分の書類を片付けるつもりであった。しかし、いざ部屋に入ると来客用のソファに、一人の少女が座り優雅にお茶を飲んでいた。
「な、ん、で、てめぇがここにいるんだ!!」
「あら、用事があるからですわ。」
声を荒げた輪炎に怯えることもなく、優雅に紅茶を飲み、マカロンを食べながら少女は答える。
少女の名は静羅。鏡の国の古使である。
金色に輝く長く美しい髪を背中で緩くまとめ、そのダークブルーの瞳に見つめられると何事も正直に話してしまうと言われている。
「用?………なんだよ。」
「え?あ、このマカロンものすごく美味しいですわ。相変わらずお上手ですね。」
「誰が、マカロンの感想を聞いたよ!!つーか、それ俺が作っておいといたやつかよ!!」
「えぇ。小腹がすいたので部屋をあさっていたらでてきましたので。」
「勝手に漁るな!勝手に入るな!勝手に食うな!…………で、用件はなんだよ。」
「あ、そうでしたわ。バカンスですわ。」
「………………は?」
輪炎は疲れと怒りで回転の遅い頭を、フル回転させて考える。
ばかんす?バカンス?それって、あれか?
いやいやいや、たとえ、あれだとして………あん?意味わかんねぇ。
「いや、意味わかんねぇんだけど。」
「いやですわ。ここまで知能レベルに差があると、日常会話も出来ませんのね。」
「てめぇと俺で差があるなら、てめぇがすっぽんで俺が月だよ!!」
「ですから、バカンスですわ。最近私たち、仕事仕事仕事で忙しかったでしょう?」
「相変わらず、人の話を………。はぁ、あ?ままぁ、そうだな。で?」
「王様たちが私たち古使の為に一週間のバカンスをくださいましたの!場所は水の国が提供してくださいましたわ。」
「へぇ……って、なんで、わざわざバカンスを古使たちと過ごさなきゃいけねぇんだよ!!俺は一週間寝て過ごす。」
「もう決定事項ですわ。輪炎の荷物はあちらに送られてますし。光輝と泉花もあちらでもうバカンスを楽しんでますわ。」
「あのバカップルがいるって分かってて誰が行くか!!」
「しょうがありませんわね。」
静羅は、ふぅと息をはき聞きなれない言葉を紡ぐ。
静羅が首にかけていたペンダントが光だし、淡い青色の光が辺りを包む。
「なっ!!やめろ………っ」
次の瞬間。
二人の姿はなく、残されたのは紅茶と色とりどりのマカロンだけであった。
ここは火の国。火を神聖なものとし大切にしてきた国だ。国民も王族も、火の名の通りに熱く情熱的な人が多い。また、短気で怒りっぽいのも特徴としてあげられるだろう。
輪炎はそこで古使という職に就いている。
古使とは、各国に古くから伝わるとされるある力を使う人々のことである。
力は年々衰え今では各国に一人しかいなくなってしまった。絶滅危惧種のような存在。
といっても、科学の進歩により古使は殆どその力を使うことはなく、今では外交官のような仕事をしている。
火の国の古使である輪炎は火の力を使う。
荒々しく、熱い男である輪炎はある日のお昼過ぎに仕事を終え、自分の部屋に戻ってきたところであった。
城の中にある輪炎の仕事場兼自宅であるその部屋は、物が少なく殺風景だ。
来客用であろう、黒いソファと机。
輪炎の椅子と机や本棚。
隣の部屋には大きなベット。
そのまた隣の部屋にはキッチンがあり、反対側にはお風呂がある。
疲れていた輪炎は部屋でゆっくりと昼食をとり、午後の分の書類を片付けるつもりであった。しかし、いざ部屋に入ると来客用のソファに、一人の少女が座り優雅にお茶を飲んでいた。
「な、ん、で、てめぇがここにいるんだ!!」
「あら、用事があるからですわ。」
声を荒げた輪炎に怯えることもなく、優雅に紅茶を飲み、マカロンを食べながら少女は答える。
少女の名は静羅。鏡の国の古使である。
金色に輝く長く美しい髪を背中で緩くまとめ、そのダークブルーの瞳に見つめられると何事も正直に話してしまうと言われている。
「用?………なんだよ。」
「え?あ、このマカロンものすごく美味しいですわ。相変わらずお上手ですね。」
「誰が、マカロンの感想を聞いたよ!!つーか、それ俺が作っておいといたやつかよ!!」
「えぇ。小腹がすいたので部屋をあさっていたらでてきましたので。」
「勝手に漁るな!勝手に入るな!勝手に食うな!…………で、用件はなんだよ。」
「あ、そうでしたわ。バカンスですわ。」
「………………は?」
輪炎は疲れと怒りで回転の遅い頭を、フル回転させて考える。
ばかんす?バカンス?それって、あれか?
いやいやいや、たとえ、あれだとして………あん?意味わかんねぇ。
「いや、意味わかんねぇんだけど。」
「いやですわ。ここまで知能レベルに差があると、日常会話も出来ませんのね。」
「てめぇと俺で差があるなら、てめぇがすっぽんで俺が月だよ!!」
「ですから、バカンスですわ。最近私たち、仕事仕事仕事で忙しかったでしょう?」
「相変わらず、人の話を………。はぁ、あ?ままぁ、そうだな。で?」
「王様たちが私たち古使の為に一週間のバカンスをくださいましたの!場所は水の国が提供してくださいましたわ。」
「へぇ……って、なんで、わざわざバカンスを古使たちと過ごさなきゃいけねぇんだよ!!俺は一週間寝て過ごす。」
「もう決定事項ですわ。輪炎の荷物はあちらに送られてますし。光輝と泉花もあちらでもうバカンスを楽しんでますわ。」
「あのバカップルがいるって分かってて誰が行くか!!」
「しょうがありませんわね。」
静羅は、ふぅと息をはき聞きなれない言葉を紡ぐ。
静羅が首にかけていたペンダントが光だし、淡い青色の光が辺りを包む。
「なっ!!やめろ………っ」
次の瞬間。
二人の姿はなく、残されたのは紅茶と色とりどりのマカロンだけであった。
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