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第二章

七話【精霊の謝罪】

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「何を迷う人の児よ! 妾が居ればこの木も力が増すし、其方らの力になろうと申しておるのだぞ……」

「断る! その対価が問題だ」

「其方は森の児であろう…… 森の民は妾を崇拝しておったはずじゃが……」

「私はこの世に来たばかりだ、貴様など知らぬし、主人の精は私の物だ!」

あのな……

「ならば力尽くで……」

だが既に、スワロが青い炎槍を浮かし構えている。

惣一郎は何やら液体を持っていた。

「まっ待て、冗談じゃ! 木に住まう妾じゃ、火への対応は出来ておるが、貴様のそれは何じゃ! 凶々しい物を感じるぞ!」

「えっ、除草剤ですが? 原液の」

「何じゃそれは、毒か!」

するとツリーハウスが騒つく。

「なっ待て待て! 其方まで妾を追い出すと言うのか!」

そう叫びながら床に消えて行くドライアドリス。

すっかりツリーハウスも惣一郎の味方になった様だった……



「冗談とはいえ、すいませんでした……」

森のエルフに崇拝されているドライアドリスが、正座して頭を下げていた。

威厳も何も無い……

「だが見よ、この身体を、枯れ木の如く潤いを失った妾の姿を! 不憫に思わぬか?」

薪にしてやろうか……

すると急にドライアドリスが、窓の外、遠くを見つめ固まる。

「森の木々が騒いでおる、森の民が襲われている様じゃな」

精霊は、森の木々と離れていても意思疎通ができるのだろう。

「まさか、パイジンか!」

惣一郎とスワロはツリーハウスを出て、来た方角に急いで向かおうとする!

「これ! 家を忘れておるぞ!」

っと、木から上半身を出すドライアドリスが呼び止める。

「どうすればいいんだ?」

「触れるだけじゃ」

惣一郎は大木の根元に触れると見る見る小さくなり、薄っすらと光る十円玉ほどの種になる。

急ぐ惣一郎は、アイテムボックスに仕舞おうとするが入らないので、ローブのポケットに入れ、理喪棍でスワロと飛び立つ。

森の上空に出ると、遠くに土煙が見える!

勢いよく飛び向かう、惣一郎達。

近付くと木を薙ぎ倒し、前を走るダークエルフのふたりを追いかける、大きな厄災がいた。

ひとりはやはり、パイジンだった。

その前に降り立つ惣一郎。

「パイジン!」

「惣一郎さんか! 逃げろ!」

惣一郎はすぐさま、上空に無数の槍を浮かせる。

先を尖らせただけのタングステンの棒!

見た目には分からないが、高速で回転していた。

徐々に赤みを帯びていく槍!

向かって来る厄災は前にも見た、ジャイアントウェタ。

スワロが杖を構え集中すると、目の前に光る大きな盾が現れる!

杖を振り下ろすと、光る盾が厄災の顔に勢いよくぶつかり、一瞬その突進の勢いを殺すが、6本の脚で地面を蹴り、盾を少しづつ押し戻し始める!

離れているスワロも何かに押される様に、地面を後ろへと滑って行く!

そこへ惣一郎の槍が、一斉に降り注ぐ!

厄災に刺さる無数の槍は、深く突き刺さると徐々に回転を止め、厄災はゆっくりと一歩、また一歩出て力尽きる。

長い触覚が力無く、地面へと落ちる。

「凄いな、盾にもなるのか!」

「いや止めねばと、思っただけで……」

狙った訳じゃ無さそうだ。

「倒したのか…… 蟲を……」

驚き目を見開くパイジン。

隣にはまだ幼いダークエルフの少女が、同じ様に驚いていた……





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