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第四章
三十八話 【難民キャンプ】
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草原の道を軽々と進むクロの荷車は、途中多くの荷物を運ぶ団体とすれ違う。
避難民なのだろうか?
みんな暗い顔に見えた…
先に進むと草原の遠くに5つの大きな影が見えた。
「ノイテですね」
牛の様な魔獣だそうだが、魔獣でも温厚で肉が美味く冒険者の収入源になっている。
焦茶色に4本の角が見える牛は、平和そうに草を食べていた。
食糧もお金にも余裕がある惣一郎達は、わざわざ狩る必要もないと見送る。
颯爽と馬車より早いスピードでずっと走りっぱなしであったが、景色が一向に変わらない。
クロも疲れただろう!
休憩しようと荷車を止め、道脇でクロに水を出す。
だが、クロに疲れた様子はなかった…
ベンチテーブルを置き、スワロとベンゾウにも飲み物を出すと、のんびりと休憩する事に!
雲の流れが早い空をまったり眺めていると、地面から微かな振動を感じた。
ベンゾウとクロも気づいた様で、周りを見渡すが何も無い。
周りの反応にスワロも警戒する。
「地震か?」
ベンゾウが地面に耳をあてる。
「ご主人様、何か下にいる!」
微かな振動がはっきりとした物に変わり、惣一郎も地面に手を置き確かめる。
何かが近づいてくる感じであったが、ゴゴゴッと大きな振動になってからは徐々に離れて行き、振動は小さくなっていった。
全員の頭に大きなクエッションマークが浮かぶ…
ただ何となく、この草原を早く出た方がいい気がした。
休憩を終え荷車が走り出す。
少しペースを上げて。
草原を抜け森に入ったのは、すっかり暗くなる頃だった。
テントを出す場所を探し、しっかりと食事を摂る。
しっかり睡眠をとり、すっかり夜が明け、ピッタリくっつくふたりを起こす…
朝食はパンケーキとヨーグルトで簡単に済まそうとしたが、久しぶりに食べたパンケーキが美味く、色んな味でお腹いっぱい食べた。
ベンゾウとスワロにも好評だった。
森の中の道を進むとスワロが…
「ここからは森の中を歩きになります」
っと言い、クロを止める。
道から外れて森の中を南に進むと、少し開けた崖の上に出る。
下にはいくつものテントの様な仮設住居が並んでおり、多くの人が生活している様子が窺えた。
どうやら難民キャンプに着いた様だ。
崖を迂回し下に降りると、途中に3人の男達がいきなり攻撃的な態度をとる。
「ここの人間じゃねぇな、キャンプに何の様だ!」
惣一郎に剣を向けて威嚇する男。
ベンゾウが構えるも、惣一郎が前に出て答える。
「マイズの村を目指している」
男達は惣一郎が何も知らない旅の冒険者と思ったらしく「マイズねぇ…」っといきなり剣を突く。
突いたはずの肘から先が無い事に気づく前に、男の喉元には怪しく光る小刀が突きつけられていた。
小刀は叫ぶ事も許さない威圧感だった。
汗を吹き出し痛みに耐える男に、惣一郎が話を続ける。
「先に進みたいんだけど…」
後ろの2人が異常にやっと気づく…
1人は腕のない男の手当に残り、もう1人がキャンプへと震える足で案内する。
予想より荒んでいた…
痩せた子供達が元気なく井戸の周りで洗濯物を踏み洗い、テントの中では食糧と引き換えに女が男を誘う。
あちこちで泣き声や悲鳴に似た声も聞こえた。
案内されたテントには、昼間から酔っ払った男が奴隷だろう獣人に暴力を振るってる最中だった。
情報が聞きたかった惣一郎は、流石にこりゃ違うと思った現状にイラつきを覚える。
「[サディーニ]さん! こちらの冒険者がマイズに行きたいそうでして…」
衣服が乱れた太った男が一瞬こちらを見ると、手に持つ瓶の酒を飲む。
「っう… マイズに何の様だ! もう人が住めるとこじゃないぞ!」
っとまた酒を飲む。
「ええ、厄災でお困りと聞きノイデン共和国から来ました」
惣一郎が静かに答えるとサディーニの目の色が変わる。
「援軍か! 本隊はいつ来るんだ?」
そこに腕を無くした男を抱えた、もうひとりの男が入って来る!
「サディーニさん、そいつらに!」
するとサディーニは何かを察した様にまた、気力の無い目に変わり椅子に座る。
「ったく… ここに分ける程の食糧なんてないぞ… 帰れ!」
その言葉に嫌気がさしたスワロが、一歩前に出る。
「私はマイズの村の族長リケの娘スワロ。厄災討伐の為にノイデンより冒険者殿をマイズの村まで案内してる途中、この避難所に立ち寄っただけだ! 生きる希望を無くしたのなら勝手に死ね! だがまだ諦めてないなら… この悪夢は直に終わる!」
凛とした態度のスワロに目が覚めたのか、サディーニはマイズの村の族長リケを知る者であった事もあり、現状を話し始めた。
カーマの町に住んでいた避難民達はエリリンテの兵が厄災に敗れた後、前線で防衛線を張る為と町を追いやられ、水の出るこの場所で耐え忍んで来た。
物資もほぼ届かず、狩りが出来る男達や冒険者達が前線に連れて行かれた事もあり、ここで他の難民から物資を奪い合う盗賊の様な生活に落ちたと語る…
だが、リケを知る者としての礼儀で説明はしたが、厄災にこの男が勝てるとは到底思えないし、さっきも言った通り、分ける食糧もないとサディーニはまた酒を飲む。
すっかり蚊帳の外の男達は、場違いな空気に口を閉じていた。
惣一郎は出ようと、スワロの肩を叩く。
テントを出て前線のカーマの町に向かうのかと思いきや、惣一郎は来た道を戻り始める。
スワロには惣一郎がこのまま、ここの人達を放っておく訳が無い事を知っていた。
来た時の崖を登り道に出るとクロに、草原までダッシュでお願い!っと荷車を走らせる。
クロにも伝わっていたのだろう…
全速力で走り出すクロの荷車。
あまりの速さに、恐怖を覚える惣一郎だった…
草原まで戻って来ると、来る時みんなで遠くに見たノイテを探す。
クロは道から草原の中に入っていき、草原を荷車が走る。
まだ陽は高かった…
避難民なのだろうか?
みんな暗い顔に見えた…
先に進むと草原の遠くに5つの大きな影が見えた。
「ノイテですね」
牛の様な魔獣だそうだが、魔獣でも温厚で肉が美味く冒険者の収入源になっている。
焦茶色に4本の角が見える牛は、平和そうに草を食べていた。
食糧もお金にも余裕がある惣一郎達は、わざわざ狩る必要もないと見送る。
颯爽と馬車より早いスピードでずっと走りっぱなしであったが、景色が一向に変わらない。
クロも疲れただろう!
休憩しようと荷車を止め、道脇でクロに水を出す。
だが、クロに疲れた様子はなかった…
ベンチテーブルを置き、スワロとベンゾウにも飲み物を出すと、のんびりと休憩する事に!
雲の流れが早い空をまったり眺めていると、地面から微かな振動を感じた。
ベンゾウとクロも気づいた様で、周りを見渡すが何も無い。
周りの反応にスワロも警戒する。
「地震か?」
ベンゾウが地面に耳をあてる。
「ご主人様、何か下にいる!」
微かな振動がはっきりとした物に変わり、惣一郎も地面に手を置き確かめる。
何かが近づいてくる感じであったが、ゴゴゴッと大きな振動になってからは徐々に離れて行き、振動は小さくなっていった。
全員の頭に大きなクエッションマークが浮かぶ…
ただ何となく、この草原を早く出た方がいい気がした。
休憩を終え荷車が走り出す。
少しペースを上げて。
草原を抜け森に入ったのは、すっかり暗くなる頃だった。
テントを出す場所を探し、しっかりと食事を摂る。
しっかり睡眠をとり、すっかり夜が明け、ピッタリくっつくふたりを起こす…
朝食はパンケーキとヨーグルトで簡単に済まそうとしたが、久しぶりに食べたパンケーキが美味く、色んな味でお腹いっぱい食べた。
ベンゾウとスワロにも好評だった。
森の中の道を進むとスワロが…
「ここからは森の中を歩きになります」
っと言い、クロを止める。
道から外れて森の中を南に進むと、少し開けた崖の上に出る。
下にはいくつものテントの様な仮設住居が並んでおり、多くの人が生活している様子が窺えた。
どうやら難民キャンプに着いた様だ。
崖を迂回し下に降りると、途中に3人の男達がいきなり攻撃的な態度をとる。
「ここの人間じゃねぇな、キャンプに何の様だ!」
惣一郎に剣を向けて威嚇する男。
ベンゾウが構えるも、惣一郎が前に出て答える。
「マイズの村を目指している」
男達は惣一郎が何も知らない旅の冒険者と思ったらしく「マイズねぇ…」っといきなり剣を突く。
突いたはずの肘から先が無い事に気づく前に、男の喉元には怪しく光る小刀が突きつけられていた。
小刀は叫ぶ事も許さない威圧感だった。
汗を吹き出し痛みに耐える男に、惣一郎が話を続ける。
「先に進みたいんだけど…」
後ろの2人が異常にやっと気づく…
1人は腕のない男の手当に残り、もう1人がキャンプへと震える足で案内する。
予想より荒んでいた…
痩せた子供達が元気なく井戸の周りで洗濯物を踏み洗い、テントの中では食糧と引き換えに女が男を誘う。
あちこちで泣き声や悲鳴に似た声も聞こえた。
案内されたテントには、昼間から酔っ払った男が奴隷だろう獣人に暴力を振るってる最中だった。
情報が聞きたかった惣一郎は、流石にこりゃ違うと思った現状にイラつきを覚える。
「[サディーニ]さん! こちらの冒険者がマイズに行きたいそうでして…」
衣服が乱れた太った男が一瞬こちらを見ると、手に持つ瓶の酒を飲む。
「っう… マイズに何の様だ! もう人が住めるとこじゃないぞ!」
っとまた酒を飲む。
「ええ、厄災でお困りと聞きノイデン共和国から来ました」
惣一郎が静かに答えるとサディーニの目の色が変わる。
「援軍か! 本隊はいつ来るんだ?」
そこに腕を無くした男を抱えた、もうひとりの男が入って来る!
「サディーニさん、そいつらに!」
するとサディーニは何かを察した様にまた、気力の無い目に変わり椅子に座る。
「ったく… ここに分ける程の食糧なんてないぞ… 帰れ!」
その言葉に嫌気がさしたスワロが、一歩前に出る。
「私はマイズの村の族長リケの娘スワロ。厄災討伐の為にノイデンより冒険者殿をマイズの村まで案内してる途中、この避難所に立ち寄っただけだ! 生きる希望を無くしたのなら勝手に死ね! だがまだ諦めてないなら… この悪夢は直に終わる!」
凛とした態度のスワロに目が覚めたのか、サディーニはマイズの村の族長リケを知る者であった事もあり、現状を話し始めた。
カーマの町に住んでいた避難民達はエリリンテの兵が厄災に敗れた後、前線で防衛線を張る為と町を追いやられ、水の出るこの場所で耐え忍んで来た。
物資もほぼ届かず、狩りが出来る男達や冒険者達が前線に連れて行かれた事もあり、ここで他の難民から物資を奪い合う盗賊の様な生活に落ちたと語る…
だが、リケを知る者としての礼儀で説明はしたが、厄災にこの男が勝てるとは到底思えないし、さっきも言った通り、分ける食糧もないとサディーニはまた酒を飲む。
すっかり蚊帳の外の男達は、場違いな空気に口を閉じていた。
惣一郎は出ようと、スワロの肩を叩く。
テントを出て前線のカーマの町に向かうのかと思いきや、惣一郎は来た道を戻り始める。
スワロには惣一郎がこのまま、ここの人達を放っておく訳が無い事を知っていた。
来た時の崖を登り道に出るとクロに、草原までダッシュでお願い!っと荷車を走らせる。
クロにも伝わっていたのだろう…
全速力で走り出すクロの荷車。
あまりの速さに、恐怖を覚える惣一郎だった…
草原まで戻って来ると、来る時みんなで遠くに見たノイテを探す。
クロは道から草原の中に入っていき、草原を荷車が走る。
まだ陽は高かった…
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