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第六章

十六話 【疑心暗鬼】

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白い猿は惣一郎達を、森の奥へと案内する。

少し開けた場所に岩が乱立しており、岩と岩の門を抜け、奥へと進む。

猿達の住まいだろうか……

奥に岩を組み上げた鳥居の様な物があった。

「冒険者殿。ココから先は神聖な場所コロ。武器の持ち込みが出来ないコロ。預からせてほしいコロ」

仕方ないかと惣一郎は、みんなの武器と自分の杖をマジックバッグに入れて渡す。

奥に進むと左右を大勢の仮面の猿達が囲み、正面に一際大きな黒い猿が座っていた。

土下座した白い猿は「ココで待つコロ」と言い、大猿の元へ行き、ヒソヒソと耳打ちする。

すると大猿がこちらをみて、ニヤリと気持ち悪い笑みを見せると白い猿もニヤリと笑う。

すると次の瞬間、上から木で編み上げられた牢が落ちて来て、惣一郎達を閉じ込める!

「馬鹿め引っ掛かりおって! ガハハハ」

その場にいた猿全員が、一斉に笑い出す。

閉じ込められた惣一郎は溜息を吐き、ククリ刀を出し、円盤で牢を切り壊す。

ベンゾウが2本の妖しく光る小刀を抜くと、一斉に声を失う仮面の猿達。

笑い顔のまま思考が止まっている様だった。

槍をモモに渡すと、白い猿が吠える!

「なぜだぁ!」

っと大口を開けたまま、前に首が落ちる。

いつの間にかベンゾウは大猿の隣に立っていた。

理解が追いつかない猿は揃って、惣一郎の円盤の餌食になり、逃げようとする猿は鳥居でモモに刺され、クロの牙が食い込む……



その場にいた百近い猿達に、動く者はいなくなっていた。

残った大猿以外……



「いつから……」っと、言葉を絞り出す大猿に、惣一郎はふざけて「最初からネロ」っと答える。

大猿の首も地面に落ちる。




何故わかったのか……

惣一郎は単純に顔を隠す輩を、信用していないだけであった。

隠さなくても猿の顔の見分けなど出来ない惣一郎は、マジックバッグに入れる振りでアイテムボックスに収納していた。

それに、ベンゾウはニッシッシじゃなく、ケラケラ笑うのだ。



マジックバッグを回収して帰ろうとすると、クロが吠える。

ワン!

クロが案内する穴の中には、過去の犠牲者達の所持品などが散乱しており、冒険者カードも数枚落ちていた。

ベンゾウとモモで目ぼしい物をバッグに回収すると、惣一郎とクロは生き残りがいないかを見て回る。

「次から次へと、中々進まんな~ クロ」

ワン! (腹減った……)




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