異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
114 / 409
第六章

二十七話 【必死の頼み!】

しおりを挟む
静まり返ったギルドは、指一本動かしていい空気では無かった。

「他に噂を確認したい人は?」

ベンゾウは後ろで、胸元を自分で広げ、下着を覗き込んでニヤついている。

返事はないので、ギルドを後にする。



ダンジョンに潜るにあたり、他に必要な物は無いか確認しながら街をぶらついていると、息を切らしながら追いかけて来た人がいた。

「ハァハァ……ジビカガイライの皆様! お願いが……」

振り返るとそこには、金髪色白のエルフの女性と、自分より大きな杖を持った小さな女の子が、肩で息を整えていた。

惣一郎は、嫌な予感しかしなかった……



落ち着いたふたりは、惣一郎に話し始める。

「初めまして、私は[クロトの森]の[バオ]と言います」

金髪のエルフが自己紹介すると、丁寧に頭を下げる。

「それと、こちらは仲間の魔導士[ビルゲン]です。ビルゲンは言葉を話せませんので、私が代わりご挨拶を」

すると男の様な名前の小さな女の子が、魔女の様な三角帽子を取りお辞儀をする。

それにしても小さい…… ん?

帽子を取った頭には、羊の様な曲がった小さなツノが生えていた。

「彼女は魔族でして、見た目は幼いですがこう見えても33歳と成人です。この辺りでは珍しいですよね! ウフフ……」

魔族? 獣人じゃ無いんだ、いるんだ魔族! 

複雑そうな顔でバオを見上げるビルゲンだった。

「それで、ジビカガイライの皆様。折入ってお願いが御座います」

「ダンジョン入場申請をされておられましたよね? そこで私達もどうか一緒に潜らせてもらえないでしょうか?」

ワンワン!
(街に入るとめっきり出番の無い俺様が、現代風に説明してやろう!)

『超いきなり登場! みたいな、この……』

「クロ! シーッ!」

急に吠え出したクロが、ベンゾウに怒られていたが、何か警戒してるのだろうか?

惣一郎は慎重になる。

エルフのバオの話では、以前組んでいたクランが六階層で多くの犠牲を出し解散してしまい、新たにクランを作り直そうと連日ギルドで仲間を探していた所、惣一郎の先程の騒ぎを目撃し、その強さに惚れ込んでスカウトに来たとの事。

「ジビカガイライの噂は私も聞いておりましたが、あそこまでお強いとは…… 先程倒した男は、ダンジョンでも前線で稼いでいるクランの主力アタッカーです。それを……」

「あの、褒めて頂いて恐縮ですが、申し訳無い! ダンジョンに潜るのは金儲けじゃ無く、ある物を手に入れたくて行くので、報酬を分ける事が出来ない! なので今回は俺らだけで潜ります」

クランを作り、大人数で攻略するのが当たり前のダンジョンを、惣一郎は3人で十分と言って退けた様なものだった。

バオの表情は、悦びを帯びる。

「流石ですね! 正にそこなんです。今回私達がお願いしたいのは、同行だけで報酬はいりません。どうしても六階層までもう一度行きたいのです」

少数で潜ると受付で揉めた時に居合わせた様で、目を付けられていたらしく、後はその実力があるか知りたがってる時に先程の揉め事で、踏み切ったとの事。

断りづらい展開に持ってくな~ ん……

「すまん、余計信用が難しい。リスクは極力避けたいので、やはり今回は俺らだけで潜るよ。悪いが他を……」

「お願いします! 報酬は私達の全財産4758ギーを、足りなければ、この体を。何でもします! どうかお願いです、どうか!」

必死に頭を下げるエルフに、六階層に何があるのか……

「はぁ~ 必死なのはわかったよ、理由は? 六階層に何が?」

バオは、理由を話し始める……




しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...