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第六章

二十八話 【絆】

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バオとビルゲンは元々、もう1人[エレル]と言う魔族の女性と3人で、チームを組んでいた。

ダンジョンに潜る為、5チームとクランを結成し、計21人でダンジョンへ潜る。

現在確認されている六階層に何とか到達するも、半分にまで人数は減っており、六階層に入ってすぐ現れた魔獣に襲われ際、エレルが囮になり奥へ魔獣を引っ張って行った事で、クランの残りは魔法陣で戻る事が出来たそうだ。

それからすでに3ヶ月近く経っている。

もう生きてはいないだろう仲間の遺体は、ダンジョンが吸収するので残らないだろうが、所持品は残る事が多いらしく、もし残っていればエレルが弟に渡したかった物を代わりに届けたいと言うのだ。

惣一郎はバオの必死さと理由に、釣り合わない違和感を抱くが、人付き合いの苦手な惣一郎は、そんなものかも知れないと飲み込む。

「一晩考えさせてくれ。仲間とも相談したい」

明日ギルドで落ち合う約束をして、2人と別れる。



倉庫に戻り、惣一郎はアルミ材を削りながら、ベンゾウとモモに話を聞く。

「私は……惣一郎様の意見に従います……元々……私の為に……危険なダンジョンに…ありがとうございます……バオさん同様…私も……何でも致しますので…ポッ♡」

真っ赤な顔で、何言ってるの……

ダンジョンは惣一郎の興味でしか無いので、モモの件はついでであったが、言えない…… 今更言えない……

ベンゾウは、

「ご主人様が行く所が、ベンゾウの行く所だよ」

嬉しいが、こっちも丸投げって意味かな?

一応クロにも……

ワン!
(我に意見を求めるとは良かろう、今晩は焼肉が食べたいぞ!)

そっか、クロも付いてきてくれるか!

そうだな、まぁ、なるようになるか!

ノープランで能天気な、惣一郎であった。

夕飯はオムライスを食べ、その後、惣一郎は遅くまでアルミ材を削って何かを作っていた。

ワン! (話が違うでは無いか! アレ? コレも美味いな)





早朝、惣一郎はベンゾウをそっと起こしテントを出て、アルミを削ってターツルの魔石を割った欠片を埋め込んで作った、お揃いの小さなペンダントを渡す。

ベンゾウは歓喜し、抱きつき惣一郎にキスをしまくるが、

「ち、ちがう、まって、待て!」

朝から唇を奪われた惣一郎は、ドキドキしながら、

「ちょっと実験したいんだ。これを付けて、ちょっと離れてくれ」

首を傾げるベンゾウは言われた通り、倉庫の端まで行く。

惣一郎は、コールの魔法を唱える。

『ベンゾウ、聞こえるか? 聞こえたら戻って来い』

ベンゾウは閃光となって、惣一郎に抱きつきキスをしまくる!

「待て待て!」

「ご主人様の声が聞こえた! 離れないけど離れても一緒!」

あげる流れになったが、まぁいいか!

どうせ持たせるならベンゾウしかいない。

コールの実験は成功だった。

後はどのぐらい距離が行けるかだが、ロウガ達の大きなペンダントよりは確実に上だろうと、距離に興味は無かった。

そして、惣一郎はベンゾウにコールで、

『いいかベンゾウ、ペンダントの事は誰にも言うな! わかるな! 俺の声が聞こえても返事はしなくていいからな』

ベンゾウは黙って惣一郎を見つめる。

これで、最悪ダンジョンで転移トラップにかかっても、会話は一方通行だが問題ないだろうと、完成を喜ぶ! 


これで準備は全て整った。





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