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第八章
四話 【追跡】
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脇腹に穴の開いた冒険者を荷車に乗せ、ギルドの治療室へ連れ込む。
慌てた職員が呼んだギルドマスターが、惣一郎に事情を求める。
あった事を、そのまま説明する惣一郎。
肩を落とすギルマスは、
「またあいつらか……」
っと、ぼやく。
そのふたりは、ここには居ない。
話を聞くと、問題はカマナの方にあった。
[カマナ・エリタップソン]は家出中の領主の娘であった。
ロドに惚れた領主の娘は、家出して冒険者になってまでロドとの生活を手に入れた。
領主は辞めさせようと説得を続けていたが、溺愛していたカマナに強く言えず、冒険者を逆恨みする様になっていた。
ギルドにも圧力がかかり、やりづらい状況から数を減らした冒険者は、ロドを逆恨みする様になっていた。
ギルドでも浮いた存在になっていたふたりは、嫌がらせを受けながらも細々と生活していた。
領主はカマナが冒険者稼業に嫌気がさすのを待っている状況だったのだ。
惣一郎はこの町に来て早々、巻き込まれていた事に肩を落として「知るか!」っと叫ぶ。
刺された冒険者は命に別状は無いだろう。
早速この町を出ようと立ち上がる惣一郎に、ギルマスが、
「ロドとカマナを連れて来てくれないか? 事情はどうあれ、刺したカマナは放っておく訳には行かない。惣一郎殿ならまだあのふたりも話を聞くだろう。済まないが緊急依頼と受け取ってくれ」
「この町には来たばかりで右も左も分からないし、祖母の遺言で領主と関わるなと言われている。申し訳ないが、先も急ぐので」
「そうか…… 残念だ」
するとギルマスはその場に居た冒険者全員に、ロドとカマナを危険人物として拘束を命じた。
領主と正面から事を構える気だった。
冒険者達も、日頃の圧力から一気に過熱する。
「わ、わかった! ちょちょっと落ちつけていて!」
お前がな……
惣一郎は、仕方なくふたりを連れて来るとギルマスに言い、その場を落ち着かせる。
「遺言はいいのか?」
………
ふたりが居そうな場所を聞き、ギルドを後にする。
「ベンゾウさん、俺はね…… のんびりスローライフがしたいのよ」
「ご主人様、ベンゾウ毎日楽しいよ!」
肩を落とす惣一郎は、ギルマスに聞いた町外れの宿屋に向かう。
宿屋に着くと、慌ただしく片付けをしている店の人に声をかける。
すると、今さっきここで、ロドとカマナが数人の男達に囲まれて、暴れて逃げて行ったと、壊されたテーブルを見ながら、ため息混じりに教えてくれた。
領主の遣いかな?
逃げていった方角を聞き、後を追う。
町の裏門には、倒れた門番が起きあがろうとしていた。
「クッソ~ あいつら無茶しやがって!」
門番に手を貸し話を聞くと、ロドとカマナが町を出て、林に入って行き、その後を五人の男達が追いかけて行ったそうだ。
「もうすぐ暗くなるし、夜の林は危険だと止めたんだが……」
惣一郎は「任せろ」っと門番にいい、後を追う。
陽はすっかり傾き始めていた。
慌てた職員が呼んだギルドマスターが、惣一郎に事情を求める。
あった事を、そのまま説明する惣一郎。
肩を落とすギルマスは、
「またあいつらか……」
っと、ぼやく。
そのふたりは、ここには居ない。
話を聞くと、問題はカマナの方にあった。
[カマナ・エリタップソン]は家出中の領主の娘であった。
ロドに惚れた領主の娘は、家出して冒険者になってまでロドとの生活を手に入れた。
領主は辞めさせようと説得を続けていたが、溺愛していたカマナに強く言えず、冒険者を逆恨みする様になっていた。
ギルドにも圧力がかかり、やりづらい状況から数を減らした冒険者は、ロドを逆恨みする様になっていた。
ギルドでも浮いた存在になっていたふたりは、嫌がらせを受けながらも細々と生活していた。
領主はカマナが冒険者稼業に嫌気がさすのを待っている状況だったのだ。
惣一郎はこの町に来て早々、巻き込まれていた事に肩を落として「知るか!」っと叫ぶ。
刺された冒険者は命に別状は無いだろう。
早速この町を出ようと立ち上がる惣一郎に、ギルマスが、
「ロドとカマナを連れて来てくれないか? 事情はどうあれ、刺したカマナは放っておく訳には行かない。惣一郎殿ならまだあのふたりも話を聞くだろう。済まないが緊急依頼と受け取ってくれ」
「この町には来たばかりで右も左も分からないし、祖母の遺言で領主と関わるなと言われている。申し訳ないが、先も急ぐので」
「そうか…… 残念だ」
するとギルマスはその場に居た冒険者全員に、ロドとカマナを危険人物として拘束を命じた。
領主と正面から事を構える気だった。
冒険者達も、日頃の圧力から一気に過熱する。
「わ、わかった! ちょちょっと落ちつけていて!」
お前がな……
惣一郎は、仕方なくふたりを連れて来るとギルマスに言い、その場を落ち着かせる。
「遺言はいいのか?」
………
ふたりが居そうな場所を聞き、ギルドを後にする。
「ベンゾウさん、俺はね…… のんびりスローライフがしたいのよ」
「ご主人様、ベンゾウ毎日楽しいよ!」
肩を落とす惣一郎は、ギルマスに聞いた町外れの宿屋に向かう。
宿屋に着くと、慌ただしく片付けをしている店の人に声をかける。
すると、今さっきここで、ロドとカマナが数人の男達に囲まれて、暴れて逃げて行ったと、壊されたテーブルを見ながら、ため息混じりに教えてくれた。
領主の遣いかな?
逃げていった方角を聞き、後を追う。
町の裏門には、倒れた門番が起きあがろうとしていた。
「クッソ~ あいつら無茶しやがって!」
門番に手を貸し話を聞くと、ロドとカマナが町を出て、林に入って行き、その後を五人の男達が追いかけて行ったそうだ。
「もうすぐ暗くなるし、夜の林は危険だと止めたんだが……」
惣一郎は「任せろ」っと門番にいい、後を追う。
陽はすっかり傾き始めていた。
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