異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
139 / 409
第八章

七話 【必殺、手の平返し!】

しおりを挟む
「ば、バカな…… 剣神だぞ……」

絞り出した領主の言葉が出たのは、惣一郎が鉄球でベンゾウと遊び始めた頃だった。

カマナもロドも、まだ口を開けている。

「お前… いや、貴方は何者なのだ…ですか?」

混乱している領主に、惣一郎達は、

「冒険者ジビカガイライ、鉄壁の魔導士、惣一郎!」

「閃光の乙女、ベンゾウ!」

ワン!(あ、蝶々!)

っと、暇な時に考えた紹介ポーズで自己紹介してみたが……

どんずべりだったので、二度とやらない。

『ジ、ジビカガイライ! ジビカガイライだと!先日王都で話に上がったジビカガイライだと言うのか!』

真っ青な顔の領主であった……



あっさり剣神を倒したからか、そこからは話はスムーズだった。

惣一郎は林で亡くなった男の亡骸を出し、助けが間に合わなかった事を詫び、頭を下げる。

執事がお礼を言い遺体を運び出すと、領主が中へ案内する。

手のひらを返した様に、客人としてもてなされ、豪華な応接室でまったりお茶を飲んでいた。

カマナは和解した? 喜びで、ロドとソファーでイチャイチャしていた。

さすが人を刺す女! 親の顔が見たい。

その親の領主は、額の汗を何度も拭きながら、惣一郎を持て囃す。

剣神の代わりに雇う気なのだろうと思い込む惣一郎は、適当に話を合わせて退散する気でいた。

「では、今後はギルドとも仲良くお願いしますね! そろそろ私たちはこの辺で」

「いえいえ、今おもてなしの料理を急がせてますので、どうぞ何日でもごゆっくりされていかられよ」

「いえいえ、そこまで甘える訳には!」

「いえいえいえ、どうぞご遠慮なさらず」

「いえいえいえいえ、本当お気持ちだけで」

鈍感な惣一郎も、ここまで来ると何かに気付く。

「領主様! まさかとは思いますが、もしかしてベンゾウをお雇いになりたいのですか?」

剣神に相応しいとか言っちゃったしな~

「はい?」

惣一郎は惣一郎だった。




半ば強引に領主の家を出ると、

「では、私もギルドへ和解の話をしに行きますので、ご一緒しましょう!」

と、付き纏う気なのか町まで一緒に行く事になる。

何故か溺愛のカマナをほっといて……

仕方なく領主の馬車に乗って、アマルの町へ戻る事に。

道中は諦めたのか、しつこくする事は無くなり、この先の街や王都の話を聞かせてくれた。

話は面白く、行く先々の名所や料理の話には興味も持てた。

町に戻ると真っ直ぐギルドへ向かい、突然の訪問に大騒ぎとなるが、ギルマスと領主の和解が成立し、深々と頭を下げるギルマスもホッと胸を撫で下ろしていた。

領主はギルマスと今後の話し合いがあると、惣一郎に挨拶し、奥へ消えて行く。

領主に雇われていた冒険者達が、明日から働かないと…… っと、残念そうに帰っていく。

刺された冒険者も助けられたお礼言い、頭を下げて帰っていった。

外はすっかり夕方になり、今から宿を探すのも億劫なので、惣一郎達はそのまま、話に聞いた[コマロの街]を目指し街を出る事にした。




クロの荷車で林の中を進み適当な場所でテントを出す。

夕飯は、冷凍ピザを耐熱レンガの簡易な竈で焼いてみました。

中々上手く焼けたので、今度ちゃんとした竈を考える惣一郎だった。

広げた地図を眺めながら、コマロの街の前に渓谷を通るルートと、大きく迂回して橋を渡って行くルートがある。

ベンゾウに聞けば絶対渓谷ルートだろう。

ここは安全に、迂回するか!

こっそり決めた惣一郎は、クリーンをかけてベッドに入る。





しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...