165 / 409
第九章
九話 【生意気な被害者】
しおりを挟む
翌朝、朝食を摂り、また北へと進み出す。
今日は朝から、どんよりとした曇り空だった。
弁慶用の雨具を検索していると、ベンゾウが、
「ご主人様、あれ!」
っと、前を指差す。
「今度はなんですか?」
先に車輪が片方壊れて、傾いている馬車が見えた。
馬車の周りには騎士が、狼男のベルフの集団と交戦中だった。
それも劣勢!
「クロ、急げ!」
考えるより先に動く惣一郎は、ククリ刀を4つ出し、戦いの準備を始める。
凄い勢いで走る荷車に、弁慶はしがみつく事しか出来なかったが、ベンゾウはいつでも飛び出せる姿勢で、惣一郎も荷車に立ったままククリ刀を浮かせ、前しか見ていなかった。
「間に合え!」
最後の騎士が、ベルフの爪で引き裂かれる!
「クソ! 行けベンゾウ!」
ベンゾウが走る荷車から、閃光となって飛び出す!
止まる荷車から飛び降り、ククリ刀であっという間に3匹のベルフを両断すると、閃光が4匹の間をすり抜け、その四匹が崩れ落ちる!
残ったベルフも、何が起きたか分からないだろう。
惣一郎が馬車に張り付く、ベルフ2匹の首を落とすと、ベンゾウが残りの2匹を4つにしていた。
あっという間の事で、弁慶は何も出来なかった。
悔しそうに荷車を降りる。
惣一郎は、生き残りが居ないか確認するが、騎士達6人は、すでに事切れていた。
遅れて弁慶が馬車の中に声をかける。
「誰かいるのか!」
返事が無いので弁慶は、ドアを軽く引っぺがし中を確認すると、震えた少女を庇う口髭の紳士がいた。
「すまん間に合わなかった」
っと、惣一郎が詫びる必要も無いのだが、一応の礼儀を見せる。
紳士がゆっくり馬車から顔を出し状況を確認する。
暗い表情であったが、惣一郎に礼を言う。
「助けて頂き感謝申し上げます。私は[クライス家]に仕える執事の[ノート]と申します」
タキシードの様な正装の執事は、口髭を左右にカールさせ、白髪のオールバック。
惣一郎のイメージする、THE執事であった。
ノートは馬車の中の少女を呼び、
「こちらはクライス家当主[セブ・メリル・クライス]の御息女[リンゼ・メリル・クライス]様に御座います」
厄介な家名持ちか……
「こちらは名乗ってますのよ!」
10歳にも満たない少女に怒られた、惣一郎。
「あぁ、すまん。冒険者の惣一郎だ! んで、ベンゾウに弁慶とクロ。道中危険も多いだろうが気を付けてな! じゃ!」
「待ちなさい! 冒険者が何なのその態度は!」
「お嬢様行けません。ここは爺にお任せ下さい」
すでに話も聞かず、荷車に乗り込んでいた惣一郎達に、ノートがクロの前に止めに入る。
「冒険者様、お願い致します。どうかお助け下さい。もちろん謝礼もさせて頂きます」
脅しのつもりだった惣一郎だが、本気で置いて行こうかと悩みだす。
「なぁ、そこに倒れてる6人の騎士は、あんたらを守る為に死んだんだろ? それが仕事でも何もなしか? 子供だとしても他人に礼を言わせて踏ん反り返ってるとは…… 大した家なんだな、そのクライス家ってのは」
「何ですって! クライス家を馬鹿にするなんて、これだから無知な冒険者は! いい事、代々アロス国に仕える大貴族のクライス家は、本来なら貴方方の様な……」
「お嬢様! おやめ下さい。今その様なことを」
頭を抱える執事だった。
ん? アロス国…… 何でこんな所に?
すると近くの林からまたベルフが三匹現れる。
汚名返上と弁慶が立ち上がる。
弁慶の筋肉が一回り大きくなって見えると、向かって来る先頭のベルフの頭を、無雑作に鷲掴みに止め、2匹目を上から侃護斧で叩き付ける!
ベルフは、左肩から切れるというより千切れる。
三匹目が飛び越え襲うが、すぐ下から折り返した侃護斧がベルフの頭を弾き飛ばし、汚い花火を打ち上げると、そのまま左手で持ったベルフも腕ごと両断する。
破壊力が凄い。
押し潰し千切れるといった斬れ味の悪い侃護斧。
返り血を浴びた弁慶も満足そうに振り返ると、生意気なドレスの金髪クリクリ頭の少女は、そのまま卒倒する。
よくやった弁慶!
今日は朝から、どんよりとした曇り空だった。
弁慶用の雨具を検索していると、ベンゾウが、
「ご主人様、あれ!」
っと、前を指差す。
「今度はなんですか?」
先に車輪が片方壊れて、傾いている馬車が見えた。
馬車の周りには騎士が、狼男のベルフの集団と交戦中だった。
それも劣勢!
「クロ、急げ!」
考えるより先に動く惣一郎は、ククリ刀を4つ出し、戦いの準備を始める。
凄い勢いで走る荷車に、弁慶はしがみつく事しか出来なかったが、ベンゾウはいつでも飛び出せる姿勢で、惣一郎も荷車に立ったままククリ刀を浮かせ、前しか見ていなかった。
「間に合え!」
最後の騎士が、ベルフの爪で引き裂かれる!
「クソ! 行けベンゾウ!」
ベンゾウが走る荷車から、閃光となって飛び出す!
止まる荷車から飛び降り、ククリ刀であっという間に3匹のベルフを両断すると、閃光が4匹の間をすり抜け、その四匹が崩れ落ちる!
残ったベルフも、何が起きたか分からないだろう。
惣一郎が馬車に張り付く、ベルフ2匹の首を落とすと、ベンゾウが残りの2匹を4つにしていた。
あっという間の事で、弁慶は何も出来なかった。
悔しそうに荷車を降りる。
惣一郎は、生き残りが居ないか確認するが、騎士達6人は、すでに事切れていた。
遅れて弁慶が馬車の中に声をかける。
「誰かいるのか!」
返事が無いので弁慶は、ドアを軽く引っぺがし中を確認すると、震えた少女を庇う口髭の紳士がいた。
「すまん間に合わなかった」
っと、惣一郎が詫びる必要も無いのだが、一応の礼儀を見せる。
紳士がゆっくり馬車から顔を出し状況を確認する。
暗い表情であったが、惣一郎に礼を言う。
「助けて頂き感謝申し上げます。私は[クライス家]に仕える執事の[ノート]と申します」
タキシードの様な正装の執事は、口髭を左右にカールさせ、白髪のオールバック。
惣一郎のイメージする、THE執事であった。
ノートは馬車の中の少女を呼び、
「こちらはクライス家当主[セブ・メリル・クライス]の御息女[リンゼ・メリル・クライス]様に御座います」
厄介な家名持ちか……
「こちらは名乗ってますのよ!」
10歳にも満たない少女に怒られた、惣一郎。
「あぁ、すまん。冒険者の惣一郎だ! んで、ベンゾウに弁慶とクロ。道中危険も多いだろうが気を付けてな! じゃ!」
「待ちなさい! 冒険者が何なのその態度は!」
「お嬢様行けません。ここは爺にお任せ下さい」
すでに話も聞かず、荷車に乗り込んでいた惣一郎達に、ノートがクロの前に止めに入る。
「冒険者様、お願い致します。どうかお助け下さい。もちろん謝礼もさせて頂きます」
脅しのつもりだった惣一郎だが、本気で置いて行こうかと悩みだす。
「なぁ、そこに倒れてる6人の騎士は、あんたらを守る為に死んだんだろ? それが仕事でも何もなしか? 子供だとしても他人に礼を言わせて踏ん反り返ってるとは…… 大した家なんだな、そのクライス家ってのは」
「何ですって! クライス家を馬鹿にするなんて、これだから無知な冒険者は! いい事、代々アロス国に仕える大貴族のクライス家は、本来なら貴方方の様な……」
「お嬢様! おやめ下さい。今その様なことを」
頭を抱える執事だった。
ん? アロス国…… 何でこんな所に?
すると近くの林からまたベルフが三匹現れる。
汚名返上と弁慶が立ち上がる。
弁慶の筋肉が一回り大きくなって見えると、向かって来る先頭のベルフの頭を、無雑作に鷲掴みに止め、2匹目を上から侃護斧で叩き付ける!
ベルフは、左肩から切れるというより千切れる。
三匹目が飛び越え襲うが、すぐ下から折り返した侃護斧がベルフの頭を弾き飛ばし、汚い花火を打ち上げると、そのまま左手で持ったベルフも腕ごと両断する。
破壊力が凄い。
押し潰し千切れるといった斬れ味の悪い侃護斧。
返り血を浴びた弁慶も満足そうに振り返ると、生意気なドレスの金髪クリクリ頭の少女は、そのまま卒倒する。
よくやった弁慶!
28
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる