異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
208 / 409
第十一章

五話 【台風の目】

しおりを挟む
村に戻ると、出かけた時、そのまんまの村人達が出迎える。

時間止まってた?

「ご主人様~ おかえり~」

「あぁ、ただいま」

「旦那様!」

「悪い悪い!」

惣一郎は花嫁の前に行き、

「もう大丈夫だ。二度とこんな事は起きないよ! 今度、王都から新しい領主が来るから、来たらコレ渡しといてくれ!」

惣一郎は目の前に、奪った金目の物を全部出す。

すると村人の中から、

「あ、母の形見だ!」

など、奪われた物も多かった様だ。

「じゃ、新しい領主が来る前に貰っとけ!」

と荷車を出し、乗り込む。

村人はまだよく理解して無い様な反応だった。

別れの挨拶も、礼も何もなく、ただ言葉をなくす村人は、走り去る惣一郎達を見ていた。




村を出て北東の国境の街を目指す。

途中に大きな湖があり、その向こうにあるそうだ。

湖からは、ベンゾウ念願の舟での移動になるか、北からぐるっと迂回するしかない。

取り敢えずその湖の町[マリュウショ]を目指す。

天候にも恵まれ、道中大きなトラブルもなく二日かけ、そのマリュウショの町が見えて来たタイミングで、ヒロヨシーからコールが入る。

『惣一郎殿、派手にやりましたね! 代理で向かった役人が住む所がないと、頭を抱えてましたよ。途中橋も落ちてたそうですが、それも?』

『違うわ! 盗賊がやったんだよ橋は!』

『そうでしたか。王都じゃすっかり台風の様な扱いですよ、ジビカガイライは。取り敢えずマハの村の件はご心配なく、これまで被害に遭った方達にも国から、なんらかの補償があるはずです。』

『ああ、よろしく頼むよ…… 以上』

台風って……

『ベリルの件も何か分かり次第、連絡します。それと、マリュウショのギルドにも連絡してあるので、宿の心配は無いですよ! 以上』

………



大きな湖は対岸が見えない程だった。

その湖畔に町が出来ており、大きな船も見える。

冒険者カードを見せ町に入り、ギルドへ向かう。

夕方って事もあり、町の中は食堂のいい匂いに溢れていた。

「ギルドに行く前に、飯でも食うか!」

「「 おお~! 」」

ベンゾウが鼻で決めた店に入ると、素敵な女性がエプロン姿で迎えてくれた。

「いらっしゃい! 空いてるお席にどうぞ!」

「入籍すると言う事ですか♡」

ショートカットの40代のエプロン姿が似合う、ナイスバディーが、不思議そうに惣一郎を見ていた。

「貴女の人生の隣の席に「すまん女将!」」

「向こうの席におススメをジャンジャン運んでくれ!」

弁慶が割って入り、ベンゾウに引きずられる様に席に着く。

わかったから…… 小刀を仕舞いなさい。

ふたりに睨まれながら料理を待つと、湖で取れた魚料理がどんどん運ばれて来る。

美味い!

淡白な味わいの魚に野菜の入った酸味の効いたソース、揚げた魚にも餡がかけられており、見た目にも華やかなだった。

毎度ベンゾウの鼻は、たいしたもんである。

エプロンの上からでも分かる女将の胸も、たいしたもんである。

たらふく食べ、保存食用にも頼むと、結構な金額だった。

名残惜しいが、ふたりの視線が痛いので、ギルドへ向かう事にする。





しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

処理中です...