異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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十二章

三十三話 【神の導き】

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ベンゾウの言葉に、一瞬理解が遅れる惣一郎が驚く。

ユーシャ?

「勇者!」

「うん、最近夢で変な人が、お前はユーシャだって何度も同じ事を言って来るの」

「勇者! 変な人?」

「良く分からないんだけど、ベンゾウはユーシャって名前じゃないよ、ベンゾウだよって。そしたら、その夢に出てくるおっさんが、マオウが目覚める前に倒せって! そのマオウって人はご主人様でね、ベンゾウ嫌だから無理って言うと、いなくなるの」

へ? はっ? 

「やっぱり、ご主人様知ってるの?」

「え、あ、いや、知ってるというか、聞いた事があるって言うか」

「旦那様、マオウってなんだい? 旦那様は魔族でもないだろう」

「ふぇ? いや、俺も詳しくは……」

何が起きてるんだ! 待て待て、理解が……

「ベンゾウ、何があってもご主人様の味方だからね! だから奴隷のままでいいの! ご主人様と戦うなんて嫌だから!」

………

展開が急過ぎるって……

俺が魔王でベンゾウが勇者?

つか、俺、魔王確定したのかよ!

混乱する惣一郎しばらく黙り込むと、

「風呂を出てから話そう」

っと風呂を出る。




惣一郎は癒されなかった風呂を出た後、テントの中でテーブルにお茶を出し、ふたりと向き合い、ゆっくりと話し出す。

確かでは無い事を前置きに、大きな力を持つ魔王について、それを倒し世界を救う勇者について、惣一郎が知ってる認識で話す。

「ご主人様が、世界を滅ぼす訳が無いよ!」

「そうだ、旦那様が悪い事をするなんて、実際いくつも国を救ってるじゃ無いか!」

「いや、これはあくまで、俺が前にいた世界でよくある物語の話で、ここでは違う意味なのかも知れないんだ」

「あのおっさんがベンゾウを騙すつもりなんだ!」

それも違う気が……

夢の話に、本気で怒るふたり。

そんなふたりに惣一郎は嬉しくも、大きな不安に襲われていた。

ベンゾウの夢に出たおっさんとは、俺をここに送ったあの男だろうか?

姿はうろ覚えだし確認のしようもないが、俺がここにいる事も気付かなかったぐらいだし、別の神的な者なのだろうか……

考えが脱線し、焦りが出てくる。

ベンゾウに呼びかけていると言う事は、勇者として目覚め始めているのだろうか?

コイツの強さに少し納得がいった。

「他に何か言ってたか?」

「ん~ 聖剣を持つ者がユーシャとか何とか」

聖剣? 

俺を倒すには、地球産の武器でなきゃって事か?

それで國家や國千代を持つ、ベンゾウが選ばれたのか?

妖刀じゃなく聖剣?

鶏が先か卵が先かみたいな話だな……

兎に角この世界は、俺を害と認めたって事なのだろうか?

世界を滅ぼす気なんて、全く無いんだが……

この世界で魔王がどういう立ち位置なのかは分からないが、魔王と勇者の立ち位置は、きっと変わらないだろう。

もし……

もしも、俺とベンゾウが対立する様な事ににでもなれば……

考えるまでもないか。

惣一郎はずっと、黙って考え込む。

それを心配そうに見つめるふたりだった。






翌朝、惣一郎はダンジョンを出ようと言い出す。

来たばかりではあったが、正直ダンジョンどころではなかった。

ベンゾウと弁慶は急な言葉に納得いかず、ぐずっていたが、惣一郎の真剣な顔に無駄だと理解する。

「また、いつでも来れるさ!」

「そんなに急いで、何処へ向かう気なんだ?」

「神について調べたくってさぁ~」

「神? セルロス神の事か?」

「そうなるのかな?」

「じゃ教国に?」

「そう思ってね! あそこにはスワロがいるし、もしかしたら一気に転移出来るかも!」

「旦那様! スワロって誰だ!」

「スワロに! スワロに会いに行くの! ご主人様!」

「アハハ、会えればいいな!」

テントを収納し終えると、惣一郎は隣の転移紋へ歩き出す。

3人と1匹を乗せた転移の魔法陣が光出す。



スワロ…… 元気かな~





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