異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

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十三章

一話 【訃報】

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眩しい光の後、目を開くと暖かい風が肌を撫でる草原に立っていた。

「砂漠じゃないな…… エリリンテかな?」

「ご主人様、あそこ! 人が! スワロかな?」

そんないきなりか?

丘の上には花が咲き、帽子を目深に被った少女が膝を突き、手を合わせていた。

惣一郎達は、近付き声をかける。

「すいません、いきなりで申し訳無いですが、ここが何処か教えて欲しいのですが」

「なっ…… き、きさま!」

少女はいきなり怒り出し、杖を構える。

直ぐ弁慶が抑え込み、少女の帽子が取れると、千切れた耳の痕が痛々しい獣人であった。

惣一郎は驚く。

杖にも見覚えがあった。

「亜瑠美…… もしかしてピノか!」

「気安く呼ぶな! 貴様のせいで! 貴様のせいで!」

「ピノ、ここはエリリンテなのか? スワロは、スワロはいるのか?」

泣き叫び、会話にならない少女。

状況が理解できなかった。

惣一郎はふと、ピノが手を合わせていた方を見る。

墓の様だが…… 石には名前が彫られていた。

スワロ……

「う、嘘だろ」

「ご主人様……」

全身の血が冷たくなるのを感じた。

「ピノ! 何があった! 何があったんだ!」

惣一郎は慌てて、弁慶に抑え込まれるピノに掴みかかる。

泣き喚くピノ。

「答えろ! 何があったんだ!」

「貴様のせいだ! 貴様のせいでお姉様は!」

惣一郎は怒りのまま、ピノを締め上げていた。

「旦那様!」

はっ!っと我に帰ると手を離す惣一郎。

ベンゾウは墓を見て固まったままだ。




ピノを可哀想だが暴れない様に紐で縛り、落ち着いて話せる様になるのを待つ。

草原にはピノの泣き声だけが聞こえていた。

冷たい目で泣き止むのを、見守る惣一郎とベンゾウ。

クロまでもが、ピノの言葉を待っていた。

やがて、泣き止むピノがゆっくりと話し始める。

「お前が去った後、しばらくは平和だったんだ。みんなが感謝して、国の偉い人もお姉様には一目置いていた。マイズの村にもどんどん人が集まりだし、仲間も帰って来てお姉様も喜んでいた」

もう大丈夫だろうと惣一郎は、弁慶に目で合図を送り、ピノの紐を解く。

「だが、国の急な変化について来れない者も多く、支援物資などを襲う者も出ていた。その護衛に……

その護衛にピノも参加して、スワロと再会。

マイズの村は、日に日に元の姿を取り戻して行く。

そんな中、スワロは仲間に背中を押され、惣一郎達を追いかける旅に出かける。

それにピノも付いていったそうだ。

だが、国は急に態度を変え、国を救った救世主だったスワロをマオウの手先と呼び、兵を向け、襲い出す。

意味も分からず反撃しながらも、逃げるスワロにマイズの村が襲われたと知らせが入り、ピノに逃げる様に言い、別れる。

スワロはひとり、マイズへ戻る道中で教国の兵に囲まれ殺された……

心配で後を追うピノはここで、首のない変わり果てたスワロを見つけ、埋葬した……



「そしてお前が現れた! お姉様を殺したのはお前だ!」

惣一郎は震えながら話を聞いていた。

ベンゾウも静かに涙を流し、石に刻まれた名前を見つめていた。

ピノは落ちていた亜瑠美を掴み、惣一郎に襲い掛かる。

止めようと動く弁慶を惣一郎が止め、魔法ではなく杖で泣きながら殴りかかるピノを受け入れた。

ダメージはない、体には……

泣きながら何度も何度も杖で殴るピノは、やがて力尽き、血が滲む手から杖をこぼして膝を突く。




「そんなに俺を魔王にしたいのか……」




惣一郎の言葉は、エリリンテに吹く風に流されていく……





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