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十三章
三話 【鬼の目にも…】
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翌朝、一睡も出来なかった惣一郎は、スワロが眠る墓を見ていた。
ピノが作っただろう墓石には、名前だけが刻まれている。
時間を忘れ見つめる惣一郎。
「旦那様…… 寝れなかったのか?」
「ああ、まだ信じられなくてな」
弁慶が会うことが出来なかったスワロに、手を合わせる。
世界が違っても祈りの仕草は同じだった。
「故郷に帰してやろう」
ピノでは運べなかったから、スライムが集る前に埋めたのだろう。
惣一郎は墓石を収納し、弁慶にスコップを渡す。
「すまん頼む」
「ベンゾウも手伝う」
遅れて起きてきたベンゾウは、まだ目を腫らしていた。
穴は深くなかった。
土で汚れた褐色の肌を見ると、膝を突く惣一郎。
国を救うと一緒に旅をしたスワロ。
そのスワロを国が……
惣一郎には失った悲しみより、怒りが込み上げる。
クリーンで綺麗にして収納する。
「マイズに向かうぞ」
テントを収納し、クロの荷車に乗り込む。
道中惣一郎は、ベリルへ言った言葉を思い出す。
『ダンジョンの宝は強い思いで出来ている』
酷く無責任な言葉に惣一郎は、本人は望んでいるのだろうか? 蘇生薬なんて…… この世界でも知られていない物を、その場しのぎの慰めの言葉でしかなかった事に、当事者になった惣一郎は深く反省する……
マイズの村には、クロの荷車で3時間程で着いた。
教国の兵が村人を檻に入れ、村は荒らされていた。
「ベンゾウ、弁慶は手を出すな」
惣一郎は理喪棍で飛び、ひとり先に入り、容赦なく兵を円盤で両断していく。
なんの感情もなく機械的にこなす惣一郎は、全ての兵を倒すと、檻を切り裂き、村人を助け出す。
「すまん、迷惑をかけた」
意味も分からず、驚き戸惑う村人が、
「もしかして、族長のお仲間ですか?」
「ああ、ジビカガイライの惣一郎だ」
「あなたが! 族長には会えなかったのですか! あなたを追って……… まさか」
…………
「嘘だ!」
「すまん、間に合わなかった……」
村人達の悲痛な叫びが、惣一郎をさらに締め付ける。
「私はイルマ。 族長スワロ様に仕えていた者です。 一体何が起きてるんでしょうか? スワロ様がどうして……」
「すまん…… 俺のせいだ……」
「村を襲った騎士達は、我々をマオウの仲間だと、マオウとはなんなのですか!」
………
惣一郎にも分からなかった。
仮に惣一郎が魔王なら、魔王を倒すはずのスワロを何故、襲ったのか。
「直接聞くしかなさそうだな……」
村の安全を確認すると、惣一郎はイルマに、スワロが安らかに眠れる場所を尋ねる。
神木の側に案内された惣一郎は、弁慶とベンゾウに穴を掘ってもらい、スワロを寝かせる。
イルマは声を殺して泣き崩れる。
「ベンゾウ、弁慶、大事な話がある」
真剣な表情の惣一郎に、ふたりとも逆らえない空気を感じ取る。
「また、村が襲われるかも知れない。俺は教国を止めに行くので、ふたりはここを守っていてくれ」
上手い言い回しだが、別れを示唆する言葉であった。
「ベンゾウは離れない!」
「ベンゾウ、一緒にいると危険なんだ。お前の事も教国は手先だと思っているはずだ。俺はもう誰も失いたく無い」
だが、頑として譲らないベンゾウ。
惣一郎が、主人として奴隷に命令すると、
「ずるい……」
っと泣き崩れるベンゾウ。
「弁慶! ベンゾウを頼む」
「旦那様…… 戻ってくるんだよな!」
「……ああ、必ず」
弁慶の目にも涙が見えた。
「クロ、ふたりをよろしくな」
近くにテントを出して、大事な物を詰め込んだマジックバッグを渡す。
正直、無理矢理にでも付いてくるかもと思って、別の手を用意していた惣一郎は、気付いていなかった。
自分が怒りで、どんな顔をしているのかを……
ピノが作っただろう墓石には、名前だけが刻まれている。
時間を忘れ見つめる惣一郎。
「旦那様…… 寝れなかったのか?」
「ああ、まだ信じられなくてな」
弁慶が会うことが出来なかったスワロに、手を合わせる。
世界が違っても祈りの仕草は同じだった。
「故郷に帰してやろう」
ピノでは運べなかったから、スライムが集る前に埋めたのだろう。
惣一郎は墓石を収納し、弁慶にスコップを渡す。
「すまん頼む」
「ベンゾウも手伝う」
遅れて起きてきたベンゾウは、まだ目を腫らしていた。
穴は深くなかった。
土で汚れた褐色の肌を見ると、膝を突く惣一郎。
国を救うと一緒に旅をしたスワロ。
そのスワロを国が……
惣一郎には失った悲しみより、怒りが込み上げる。
クリーンで綺麗にして収納する。
「マイズに向かうぞ」
テントを収納し、クロの荷車に乗り込む。
道中惣一郎は、ベリルへ言った言葉を思い出す。
『ダンジョンの宝は強い思いで出来ている』
酷く無責任な言葉に惣一郎は、本人は望んでいるのだろうか? 蘇生薬なんて…… この世界でも知られていない物を、その場しのぎの慰めの言葉でしかなかった事に、当事者になった惣一郎は深く反省する……
マイズの村には、クロの荷車で3時間程で着いた。
教国の兵が村人を檻に入れ、村は荒らされていた。
「ベンゾウ、弁慶は手を出すな」
惣一郎は理喪棍で飛び、ひとり先に入り、容赦なく兵を円盤で両断していく。
なんの感情もなく機械的にこなす惣一郎は、全ての兵を倒すと、檻を切り裂き、村人を助け出す。
「すまん、迷惑をかけた」
意味も分からず、驚き戸惑う村人が、
「もしかして、族長のお仲間ですか?」
「ああ、ジビカガイライの惣一郎だ」
「あなたが! 族長には会えなかったのですか! あなたを追って……… まさか」
…………
「嘘だ!」
「すまん、間に合わなかった……」
村人達の悲痛な叫びが、惣一郎をさらに締め付ける。
「私はイルマ。 族長スワロ様に仕えていた者です。 一体何が起きてるんでしょうか? スワロ様がどうして……」
「すまん…… 俺のせいだ……」
「村を襲った騎士達は、我々をマオウの仲間だと、マオウとはなんなのですか!」
………
惣一郎にも分からなかった。
仮に惣一郎が魔王なら、魔王を倒すはずのスワロを何故、襲ったのか。
「直接聞くしかなさそうだな……」
村の安全を確認すると、惣一郎はイルマに、スワロが安らかに眠れる場所を尋ねる。
神木の側に案内された惣一郎は、弁慶とベンゾウに穴を掘ってもらい、スワロを寝かせる。
イルマは声を殺して泣き崩れる。
「ベンゾウ、弁慶、大事な話がある」
真剣な表情の惣一郎に、ふたりとも逆らえない空気を感じ取る。
「また、村が襲われるかも知れない。俺は教国を止めに行くので、ふたりはここを守っていてくれ」
上手い言い回しだが、別れを示唆する言葉であった。
「ベンゾウは離れない!」
「ベンゾウ、一緒にいると危険なんだ。お前の事も教国は手先だと思っているはずだ。俺はもう誰も失いたく無い」
だが、頑として譲らないベンゾウ。
惣一郎が、主人として奴隷に命令すると、
「ずるい……」
っと泣き崩れるベンゾウ。
「弁慶! ベンゾウを頼む」
「旦那様…… 戻ってくるんだよな!」
「……ああ、必ず」
弁慶の目にも涙が見えた。
「クロ、ふたりをよろしくな」
近くにテントを出して、大事な物を詰め込んだマジックバッグを渡す。
正直、無理矢理にでも付いてくるかもと思って、別の手を用意していた惣一郎は、気付いていなかった。
自分が怒りで、どんな顔をしているのかを……
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