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十三章
五話 【命乞い】
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惣一郎は鉄球を仕舞い、ククリ刀を出し回転させる。
「奴も魔導士だ! 恐れることはない!」
オルソンの言葉に、余裕の表情を浮かべる聖騎士達が、密集陣形をとり剣を構える。
惣一郎は黙って、円盤を投げ込む!
だが、コントロールを失い、地面と壁に刺さるククリ刀。
「はっははは! 魔導士では我々聖騎士に、勝つ事は出来んのよ! 教皇様より預かりし、この魔導具は、魔法を無効化にするのでね!」
なるほど…… スワロがこんな奴らに負ける訳だ。
怒りが惣一郎を染めていく。
惣一郎の周りに無数の鉄球があらわれる。
惣一郎の周りでは、問題無い様だ。
となると範囲は限られる。
魔法で作り出す光剣では、何も出来ないだろう。
スワロの悔しさが、さらに怒りを生む。
無数の鉄球は広間に、雨の様に降り注ぎ、聖騎士だけじゃなく、階段や床をも削り壊して行く。
勢いを付けるだけなら関係なかった。
鉄球は盾も鎧も壁も床も関係なく、無差別に破壊して行く。
威勢の良かった聖騎士達は、鉄球の雨を受け、呻き声を上げ倒れて行く。
オルソンも崩れる床と一緒に落ち、手に持つ魔導具を手放す。
コントロールが戻るとすかさず、魔導具を破壊し聖騎士達の頭に鉄球が赤く染まって行く。
「まっ、待て! なんだその魔法は! 聞いておらんぞ!」
オルソンの足を鉄球が潰すと、汚い悲鳴を上げ、這いつくばって逃げようとするオルソン。
「何処へ行く?」
地面を必死で引っ掻き進もうとするオルソンの手に鉄球が落ち、また悲鳴をあげる。
「なぜ、スワロを殺した?」
「……ゔぅ……うぅ」
「なぜ殺したか、聞いているんだが?」
鉄球が聖騎士の両膝を潰す。
ぎゃあああああ!!
また同じ質問をする惣一郎。
「きょ、教皇様の……ご命令……で」
「理由も聞かなかったのか?」
「…っつ……クゥ……」
腰を潰す。
「ギャッ! めめ……め、命令で……ぇ」
両肘を潰す。
「ガッ! クッ、ゴ、ゴキコロリを崇める者が……増えた…為、マイズの聖女と呼ばれる……ダ…ダークエルフも……ゴキコロリ…同様、背信者だと……教皇様が」
頭を潰す。
こんな奴らに…… 報われない。
理喪棍にぶら下がる様に浮かび、崩れた階段を無視して二階へ進む惣一郎。
続々現れる兵士も、遠巻きに見ているだけになった。
その兵士達が遠巻きに通路を塞ぎ、扉の前に立つものだから、先の謁見の間まで道が出来ていた。
謁見の間に着くと、扉を鉄球で破壊して中に入る。
「お前が、教皇か?」
聖職者ポイ豪華な格好の老人が、豪華な王の椅子に座り惣一郎を見て驚く。
隣には聖職者だろう男がふたりと、白い法衣を纏う、白髪の若い少女が立ちその後ろに、白銀の鎧を着た大男が立っていた。
「い、いかにも! 私がセルロス神の代弁者にして、世界を導くも…ドガ!」
鉄球が豪華な椅子の背もたれに埋る。
顔を潰された教皇は、頭部から覗く椅子の向こうの景色を見せながら、前のめりに倒れる。
その場の誰も声を上げなかった。
ふたりの男は、みるみる汗が吹き出し固まり、惣一郎を見る事も出来ずにいた。
法衣の少女が、声を振り絞る。
「やはり……あなたが…魔王……」
白銀の鎧が少女の前に守る様に出る。
惣一郎は作った笑顔で、少女に答える。
「そそ! そしてその魔王を産んだのが、お前らだ」
「「「 ……………… 」」」
そこに、大勢の聖騎士が雪崩込み、惣一郎を囲む。
「お待ちなさい!」
少女の声に、聖騎士達が止まる。
「[セシル]様、此奴は教皇を!」
「いいのです…… 止めたにも関わらず、欲に走った教皇が招いた結果です」
「しかし……」
言いかけた騎士を睨む少女が、
「ゴキコロリ様ですね…… 私は今代の聖女セシル。お告げを受け魔王を倒すべく、この男に頼ってしまったのが間違いでした。お仲間には大変申し訳ない事をしてしまいました」
「事情は知らん、結果は皆殺しだ」
惣一郎はククリ刀を円盤に変え、周りに飛ばす。
「お待ちください! 賢者を失ったのは私達にも大きい! ですがこのままお怒りになれば、あなたは」
「お前、うるさいな……」
「ど、どうか! どうかお話を!」
円盤が少女の頬を掠め、長い白髪の半分を切り、壁に刺さる。
少女の足は、ガタガタと音を立てる。
その少女の前で、壁になっていたはずの白銀の騎士が、我慢出来ずに剣を構える。
だが、構えた剣は鉄球に折られ、痺れた両手から折れた剣がこぼれる。
聖騎士達も、慕う上官の危機に誰もが構え反撃に出たかった! 出たかったが、誰もが足を踏み出せずにいた。
惣一郎はククリ刀をいくつも浮かせ、円盤が部屋中に音を響かせる。
「いいよ…… 聞いてあげるよ、スワロを殺した言い訳と命乞いを……」
「奴も魔導士だ! 恐れることはない!」
オルソンの言葉に、余裕の表情を浮かべる聖騎士達が、密集陣形をとり剣を構える。
惣一郎は黙って、円盤を投げ込む!
だが、コントロールを失い、地面と壁に刺さるククリ刀。
「はっははは! 魔導士では我々聖騎士に、勝つ事は出来んのよ! 教皇様より預かりし、この魔導具は、魔法を無効化にするのでね!」
なるほど…… スワロがこんな奴らに負ける訳だ。
怒りが惣一郎を染めていく。
惣一郎の周りに無数の鉄球があらわれる。
惣一郎の周りでは、問題無い様だ。
となると範囲は限られる。
魔法で作り出す光剣では、何も出来ないだろう。
スワロの悔しさが、さらに怒りを生む。
無数の鉄球は広間に、雨の様に降り注ぎ、聖騎士だけじゃなく、階段や床をも削り壊して行く。
勢いを付けるだけなら関係なかった。
鉄球は盾も鎧も壁も床も関係なく、無差別に破壊して行く。
威勢の良かった聖騎士達は、鉄球の雨を受け、呻き声を上げ倒れて行く。
オルソンも崩れる床と一緒に落ち、手に持つ魔導具を手放す。
コントロールが戻るとすかさず、魔導具を破壊し聖騎士達の頭に鉄球が赤く染まって行く。
「まっ、待て! なんだその魔法は! 聞いておらんぞ!」
オルソンの足を鉄球が潰すと、汚い悲鳴を上げ、這いつくばって逃げようとするオルソン。
「何処へ行く?」
地面を必死で引っ掻き進もうとするオルソンの手に鉄球が落ち、また悲鳴をあげる。
「なぜ、スワロを殺した?」
「……ゔぅ……うぅ」
「なぜ殺したか、聞いているんだが?」
鉄球が聖騎士の両膝を潰す。
ぎゃあああああ!!
また同じ質問をする惣一郎。
「きょ、教皇様の……ご命令……で」
「理由も聞かなかったのか?」
「…っつ……クゥ……」
腰を潰す。
「ギャッ! めめ……め、命令で……ぇ」
両肘を潰す。
「ガッ! クッ、ゴ、ゴキコロリを崇める者が……増えた…為、マイズの聖女と呼ばれる……ダ…ダークエルフも……ゴキコロリ…同様、背信者だと……教皇様が」
頭を潰す。
こんな奴らに…… 報われない。
理喪棍にぶら下がる様に浮かび、崩れた階段を無視して二階へ進む惣一郎。
続々現れる兵士も、遠巻きに見ているだけになった。
その兵士達が遠巻きに通路を塞ぎ、扉の前に立つものだから、先の謁見の間まで道が出来ていた。
謁見の間に着くと、扉を鉄球で破壊して中に入る。
「お前が、教皇か?」
聖職者ポイ豪華な格好の老人が、豪華な王の椅子に座り惣一郎を見て驚く。
隣には聖職者だろう男がふたりと、白い法衣を纏う、白髪の若い少女が立ちその後ろに、白銀の鎧を着た大男が立っていた。
「い、いかにも! 私がセルロス神の代弁者にして、世界を導くも…ドガ!」
鉄球が豪華な椅子の背もたれに埋る。
顔を潰された教皇は、頭部から覗く椅子の向こうの景色を見せながら、前のめりに倒れる。
その場の誰も声を上げなかった。
ふたりの男は、みるみる汗が吹き出し固まり、惣一郎を見る事も出来ずにいた。
法衣の少女が、声を振り絞る。
「やはり……あなたが…魔王……」
白銀の鎧が少女の前に守る様に出る。
惣一郎は作った笑顔で、少女に答える。
「そそ! そしてその魔王を産んだのが、お前らだ」
「「「 ……………… 」」」
そこに、大勢の聖騎士が雪崩込み、惣一郎を囲む。
「お待ちなさい!」
少女の声に、聖騎士達が止まる。
「[セシル]様、此奴は教皇を!」
「いいのです…… 止めたにも関わらず、欲に走った教皇が招いた結果です」
「しかし……」
言いかけた騎士を睨む少女が、
「ゴキコロリ様ですね…… 私は今代の聖女セシル。お告げを受け魔王を倒すべく、この男に頼ってしまったのが間違いでした。お仲間には大変申し訳ない事をしてしまいました」
「事情は知らん、結果は皆殺しだ」
惣一郎はククリ刀を円盤に変え、周りに飛ばす。
「お待ちください! 賢者を失ったのは私達にも大きい! ですがこのままお怒りになれば、あなたは」
「お前、うるさいな……」
「ど、どうか! どうかお話を!」
円盤が少女の頬を掠め、長い白髪の半分を切り、壁に刺さる。
少女の足は、ガタガタと音を立てる。
その少女の前で、壁になっていたはずの白銀の騎士が、我慢出来ずに剣を構える。
だが、構えた剣は鉄球に折られ、痺れた両手から折れた剣がこぼれる。
聖騎士達も、慕う上官の危機に誰もが構え反撃に出たかった! 出たかったが、誰もが足を踏み出せずにいた。
惣一郎はククリ刀をいくつも浮かせ、円盤が部屋中に音を響かせる。
「いいよ…… 聞いてあげるよ、スワロを殺した言い訳と命乞いを……」
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