異世界で買った奴隷が強すぎるので説明求む!

夜間救急事務受付

文字の大きさ
355 / 409
第十六章

二十二話 【優等生?】

しおりを挟む
惣一郎はすぐにミコの靴を脱がせ、火傷の手当をする。

「すまん、油断した……」

「舐め過ぎたな」

そんな惣一郎も気付くのに遅れた事を反省していた。

火傷は大した事なさそうで本人も強くリベンジを望む為、新しく地球産の編上げブーツを渡すと前のブーツとの差に驚いていた。

「本当にあんた何者なんだ? 常識を覆す物をポンポン出して……」

「詮索しないでくれ、要らないなら別だが?」

「いや! わかった。もう聞かないと誓おう」

ミコだけでなくその場にいた全員が惣一郎のアイテムの価値を考え、心の中で詮索しないと誓う。

すると、またも惣一郎のサーチに反応が出る。

「一匹、近付いて来るぞ!」

「ミコさん! 貴女は少しお休み下さい。ここは我々スーサイド・キップスにお任せを」

反論を言い掛けたミコを、惣一郎が止める。

「クルセウスは一回休み! ゼリオス、任せるよ」

「お任せ下さい!」

ゼリオスはすぐ仲間に指示を飛ばし、惣一郎が示した方角へ杖を構える。

森の奥から現れたのは、グリーンメタリックに輝く、軽トラック程の大きなカナブンであった。

近くまで飛んで来たのか、茶色い羽が仕舞い切れてない。

のそりのそりと、警戒する素振りも見せず近付いて来る。

ただ、目の前の餌に近付く。

ゼリオスが麻袋を投げ込むと、風刃が粉を撒き散らし、竜巻の様にカナブンと殺虫剤を巻き込む。

動きを止めたカナブンは、口元から生えた触角が小刻みに動きだすと、口から泡の様な物を噴き出す。

お、カナブンには効果大か?

すると、羽を広げて羽音を響かせる!

キンブルがプロットを唱え、飛ばせない様に盾を構え突っ込む!

カナブンも真上には飛べないのか、キンブルめがけ進みだすが、頭上にクルトの青い炎槍が落ちると、青い炎がカナブンの全身に広がり、地面に脚を繋ぎ止める。

そこへキンブルの盾でのタックルが、カナブンを押し戻す!

キンブルの体は、水に覆われていた!

グリコの魔法がクルトの青い炎から守っていた。

カナブンはそのまま仰向けにひっくり返り、羽をバタつかせるが、炎が薄い羽を焼いていく。

すると上空に風が集まりだし竜巻になると、クルトとグリコの炎槍と風刃が、竜巻に混ざり合う。

青い大きな火柱が、カナブンを包む!

カナブンは地面でコマの様に青い炎に切り裂かれながらクルクル回りだす。

固い外殻に傷を付けながら回るカナブンは、もがく様に動かしていた脚をたたみ、切り焼かれた羽も動かなく見えた。

高く昇る火柱はゆっくり消え、ただ燃えるカナブンも、ゆっくりと回るのをやめる。

傷だらけの煤けた緑のカナブンは死んでいた。

「如何でしょうか? 厄災といえど、息が出来なければ倒すのも容易かと思いまして、水で包むのも考えましたが、仲間との相談の結果、火で包んでみました」

包んでみましたって料理みたいに言うが、小さな災害であった。

「相談?」

ゼリオス達は、常にコールで話しながら戦っていたらしい。

「なるほど、応用が効きそうだな!」

惣一郎は魔導士だけのチームに、考えを改めさせる。

セシルが、

「あれなら少量の水で口を塞げば、私でも倒せるかも知れませんね!」

グリコが、

「いえ、相手が止まっていれば可能かも知れませんが、動く相手の顔に水を留めて置くのは相当魔力を使います。私もキンブルを炎から守るだけで、魔力を相当使いましたので、乱戦では使えないですね。もっと経験を積まなければ」

それで火柱にしたのね…… 冷静だこと。

蜂やバッタみたいに数が多いと、魔力切れが先か……

「まぁ、今日は最後に、クルセウスの戦いを見て、戻ろうか」

「ああ、今度は油断しないぜ!」

「ガウ」






しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...