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第十六章
二十三話 【油断するなって!】
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惣一郎達は来た道を戻りながら歩いていくと、白いグルピーが目の前で、こちらに驚いていた。
いまさら感はあるが、お金にはなるか……
ミコが真っ先に出る。
「ひゃっほ~! お宝だ~」
鉈を抜くミコだったが、ベンゾウがすでに首を落としていた。
「おいおい姉弟子! そりゃないぜ」
「ミコよ、やめとけ! この島にいる間は、厄災の死骸も魔石も魔獣の素材も、全てジビカガイライのもんだ! それでいいだろ、ゼリオスもツナマヨも!」
「ええ、もちろんです」
「異論ないぞ!」
「ちぇっ! わかったよ」
クルセウスのリーダーはミコのはずだが、チームをまとめてるのはガブガの様だ……
惣一郎のサーチの反応によれば、浜辺に一匹いたはずだが、この白熊の一件でサーチを切っている間に見失った様だ。
浜辺で惣一郎は、またサーチを唱える。
すると、さっきまで反応があった厄災が海の中にいた。
デカい反応だが、どんどん海の底へ向かって行く。
厄災じゃないのか?
海の中を追いかける訳にも行かないし、違うのを探すか。
「ご主人様~ お腹空いたよ!」
「え、もう?」
太陽は高いし、もう昼なのか?
ベンゾウの正確な腹時計に合わせ、浜辺で昼食を摂る事にする。
一応みんなにリクエストを聞くが、全員食べたばかりのカレーを希望してきた。
確かに美味いけど、連日はちょっと……
「じゃ焼肉!」っと、また高い物を言い出すベンゾウを無視する。
折角海にいるのだからと、惣一郎は魚が食べたかったので、刺身にする事にした。
「じゃ、なんで聞いたの?」
痛い所をつく……
テーブルを砂浜に並べ、セシルと弁慶が作り置きのご飯と味噌汁を並べる。
小皿と醤油も。
「これなら文句あるまい!」
っと、惣一郎はテーブルに、刺身の盛り合わせを並べ始める!
ネットショップにあった、朝どれ豪華刺身盛り合わせ!
いまさらだが、どう言う仕組みで惣一郎の元に届くのか、ホント謎である。
「鉄板は出さないのですか?」
「なるほど、焼肉の様に焼くのか」
「え? 焼かないけど…… これは生でこのまま食べるんだよ」
『『『『 生で!? 』』』』
みんなの心の声が、聞こえた気がした惣一郎だった。
「いいから、これつけて食ってみろよ!」
惣一郎が食べ始める。
食べた事のあるベンゾウが、我先にと一度に何枚も刺身を口に入れると、ご飯も一緒に口に詰め込む。
うんま~!
この海の魚じゃないが、やっぱ海では刺身だよな~ 炊き立てのご飯との相性が最高だ!
焼肉と変わらない高価な昼食に、ご満悦の惣一郎。
美味そうに食べる惣一郎を見て、みんな徐々に食べ始める。
魚を生で食べる習慣がないこの世界の者には、抵抗が大きかったが、一口食べるや「うま!」を連発し、食べ始める。
「魚を生で食べれたなんて! こんな美味いなら、今度から生で食べるぞ!」
「ああ、本当に美味い!」
「あぁ、俺が出した物以外は生で食べない方がいいからな」
「何か違いがあるのですか?」
「鮮度が違う! その辺の魚を生で食べると腹痛に襲われるし、下手すりゃ死ぬぞ」
ピタっと全員の箸が止まる。
「いや、これは大丈夫だから! 新鮮だし」
慌てて誤解を解こうするも、みんな箸を置き、ゆっくり席を立とうとする。
要らん事を言ってしまったかな?
「だ、旦那様…… 後ろ!」
へ?
振り向くと、大きな山が目の前に出来ていた。
山は無数の脚を使い、身を起こす。
ダンゴムシ…… いや、さっき海に帰って行った厄災か!
海風が気配を横に流していたのか、近づくと生臭く腐った匂いがした。
足音もせず近付いた山の正体は[ダイオウグソクムシ]。
ダイオウグソクムシは、そのまま惣一郎を踏み潰そうと襲いかかる!
それを弁慶が惣一郎を抱えて、間一髪かわす!
慌てて身構える惣一郎だが、ダイオウグソクムシは、踏み潰したテーブルの刺身を食べていた。
「くっせ~! なんで誰も気付かないんだよ!」
「こんな大きな厄災に、ここまで気付かないとは!」
「ああ、なんかあるぜコイツ!」
なかった……
ただただみんな、食事に夢中になっていただけだった。
「今なら、口を塞げば!」
「いや口で呼吸してる訳じゃなく、気門という穴が…… まぁ、口じゃないって事だ! そもそも海の中にいたし」
「塞ぐなら全身をって事ですか、ですがあの大きさでは……」
「そんな、ちいせ~事はいいんだよ! いくぞガブガ、ガオ!」
クルセウスの番が来た。
いまさら感はあるが、お金にはなるか……
ミコが真っ先に出る。
「ひゃっほ~! お宝だ~」
鉈を抜くミコだったが、ベンゾウがすでに首を落としていた。
「おいおい姉弟子! そりゃないぜ」
「ミコよ、やめとけ! この島にいる間は、厄災の死骸も魔石も魔獣の素材も、全てジビカガイライのもんだ! それでいいだろ、ゼリオスもツナマヨも!」
「ええ、もちろんです」
「異論ないぞ!」
「ちぇっ! わかったよ」
クルセウスのリーダーはミコのはずだが、チームをまとめてるのはガブガの様だ……
惣一郎のサーチの反応によれば、浜辺に一匹いたはずだが、この白熊の一件でサーチを切っている間に見失った様だ。
浜辺で惣一郎は、またサーチを唱える。
すると、さっきまで反応があった厄災が海の中にいた。
デカい反応だが、どんどん海の底へ向かって行く。
厄災じゃないのか?
海の中を追いかける訳にも行かないし、違うのを探すか。
「ご主人様~ お腹空いたよ!」
「え、もう?」
太陽は高いし、もう昼なのか?
ベンゾウの正確な腹時計に合わせ、浜辺で昼食を摂る事にする。
一応みんなにリクエストを聞くが、全員食べたばかりのカレーを希望してきた。
確かに美味いけど、連日はちょっと……
「じゃ焼肉!」っと、また高い物を言い出すベンゾウを無視する。
折角海にいるのだからと、惣一郎は魚が食べたかったので、刺身にする事にした。
「じゃ、なんで聞いたの?」
痛い所をつく……
テーブルを砂浜に並べ、セシルと弁慶が作り置きのご飯と味噌汁を並べる。
小皿と醤油も。
「これなら文句あるまい!」
っと、惣一郎はテーブルに、刺身の盛り合わせを並べ始める!
ネットショップにあった、朝どれ豪華刺身盛り合わせ!
いまさらだが、どう言う仕組みで惣一郎の元に届くのか、ホント謎である。
「鉄板は出さないのですか?」
「なるほど、焼肉の様に焼くのか」
「え? 焼かないけど…… これは生でこのまま食べるんだよ」
『『『『 生で!? 』』』』
みんなの心の声が、聞こえた気がした惣一郎だった。
「いいから、これつけて食ってみろよ!」
惣一郎が食べ始める。
食べた事のあるベンゾウが、我先にと一度に何枚も刺身を口に入れると、ご飯も一緒に口に詰め込む。
うんま~!
この海の魚じゃないが、やっぱ海では刺身だよな~ 炊き立てのご飯との相性が最高だ!
焼肉と変わらない高価な昼食に、ご満悦の惣一郎。
美味そうに食べる惣一郎を見て、みんな徐々に食べ始める。
魚を生で食べる習慣がないこの世界の者には、抵抗が大きかったが、一口食べるや「うま!」を連発し、食べ始める。
「魚を生で食べれたなんて! こんな美味いなら、今度から生で食べるぞ!」
「ああ、本当に美味い!」
「あぁ、俺が出した物以外は生で食べない方がいいからな」
「何か違いがあるのですか?」
「鮮度が違う! その辺の魚を生で食べると腹痛に襲われるし、下手すりゃ死ぬぞ」
ピタっと全員の箸が止まる。
「いや、これは大丈夫だから! 新鮮だし」
慌てて誤解を解こうするも、みんな箸を置き、ゆっくり席を立とうとする。
要らん事を言ってしまったかな?
「だ、旦那様…… 後ろ!」
へ?
振り向くと、大きな山が目の前に出来ていた。
山は無数の脚を使い、身を起こす。
ダンゴムシ…… いや、さっき海に帰って行った厄災か!
海風が気配を横に流していたのか、近づくと生臭く腐った匂いがした。
足音もせず近付いた山の正体は[ダイオウグソクムシ]。
ダイオウグソクムシは、そのまま惣一郎を踏み潰そうと襲いかかる!
それを弁慶が惣一郎を抱えて、間一髪かわす!
慌てて身構える惣一郎だが、ダイオウグソクムシは、踏み潰したテーブルの刺身を食べていた。
「くっせ~! なんで誰も気付かないんだよ!」
「こんな大きな厄災に、ここまで気付かないとは!」
「ああ、なんかあるぜコイツ!」
なかった……
ただただみんな、食事に夢中になっていただけだった。
「今なら、口を塞げば!」
「いや口で呼吸してる訳じゃなく、気門という穴が…… まぁ、口じゃないって事だ! そもそも海の中にいたし」
「塞ぐなら全身をって事ですか、ですがあの大きさでは……」
「そんな、ちいせ~事はいいんだよ! いくぞガブガ、ガオ!」
クルセウスの番が来た。
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