異世界に転生したので婚約破棄してスローライフを楽しみます

ゆらぎ

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レンとあった日から約束のお菓子を渡すため、フルーツを使ったお菓子の練習を始めた。
この国ではフルーツはそのまま食べることがほとんどで、市販のジャムやマーマレード、ピューレなどはないのだ。
そのため、まずは自分でこれらを用意しなければいけなかった。

まずは王道のいちごジャムとオレンジのマーマレードを作りサムに味見をしてもらった。
「すごいですね、、とても美味しいですよ。
 前から気になっていたのですが、お嬢様はどうしてこのようなことを思いつくのですか?
 フルーツを砂糖で煮るなど初めて聞きましたよ」
「はは、、なんていうか、、、突然思いつくの!」
(前世の記憶があるなんて言えない、、!)
「、、、なるほど、天性の才能ということですね!
 さすがお嬢様です!!」

なんだか騙しているようで申し訳なくなりながらも、料理長からのお墨付きももらったのでよしとした。
お礼にサムにジャムをお裾分けしてその日はクッキーを作った。

この国には口金やクッキー型がないので見た目はあまり良くないがとりあえずは形になった。
(腕のいい職人を見つけていろんな道具を作ってもらわないと)

完成したクッキーをラッピングしみんなに差し入れた。
みんなやはり大喜びしてくれたので、このままレンにも渡すことにした。

クッキーが完成してからは毎日お父様にいつ連れて行ってもらえるのかを聞き、そのたびにクッキーを作った。
あの日から5回ほど王城に訪れたがなかなかレンには会えなかった。
(せめて家名と連絡先でも聞いておくべきだったかな、、?)
会えない日が続き、いつの間にか2ヶ月が過ぎていた。

もう会えないのかもしれないと思い始めていたが、レンからもらった月のネックレスを見るたびに諦めきれず1人で庭園を散歩していた。
何回も訪れた庭園は最初ほどの感動を与えてはくれず、退屈な日が続いていた。
今では広い園内で迷うこともなくなり、お気に入りの場所もできていたがやはり1人ではつまらなかった。

今日もいつものように1人で最近見つけた静かな湖で遊んでいた。
この湖は人も滅多にくることはなく、落ち着ける場所だった。
(水辺だからか、涼しくて気持ちいいな~)
湖に魚の影を見かけた気がして、体を乗り出して覗き込んだ。

________ズルッ
勢いがあまり足を滑らせてしまった。
(やばい!落ちる!)
そう思った時にはもう遅く、体は水に沈んでいた。

ドレスは布が多くどんどん水を吸い重くなる。
前世で人並みに泳ぐことができたが、着衣水泳の経験はないし4歳の体ではさらに難しかった。
息を吸おうとして口を開けるが水が入ってくるばかりで助けを呼ぶこともできなかった。

(お父様からもらったブローチはなんの役にも立たないじゃない!対人のみに有効なわけ?!)
見当違いな怒りが湧くほどには焦りが募り、もがくことしかできない自分が情けなかった。
息を吸うことを諦め、意識を手放し始めた時遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。

「、、、ナ!お、、、てくれ!」
(だれか、、呼んでる、、、?)

「、、ーナ!目を、、さ、、せ!」
(あれ、、息ができる、、気がする、、、)

「リーナ!!!」

だんだんと意識が暗闇から浮上し、目を開けると待ち侘びた人が自分を心配そうに覗き込んでいた。
久しぶりに見たその人はやっぱり綺麗で夢でも見ているようだった。

「、、、レン?
 なんでここにいるの、、?、、、、、、夢?」
「リーナ!!!!
 良かった目が覚めたな!」
「レン、、、本物なの?」
「本物だよ。本当に心配したんだからな!!」
そう言いながらレンはまだ意識がはっきりしていない私を抱きしめた。

数分たち、意識がはっきりするとようやく自分の状況が理解できた。
湖に落ちた私をレンが見つけて助けてくれたみたいだ。
なぜか服も濡れていなし寒くもない。

「本当にありがとう。私あなたが来てなかったら多分死んでたわ」
(前世より短い人生なんて勘弁してほしいし本当に運がよかったみたい)
「全くだ!なんで1人でこんなところにいたんだよ!」

レンは怒ったような口調で聞いてきた。
4歳の男の子に相当心配をかけてしまったようだ。
本当に申し訳ない。

「本当にごめんなさい、迂闊だったわ。助けてくれてありがとう、レン!」
「、、、ごめん、僕も言い過ぎた。でもすごく心配したんだ、、、!
 手遅れにならなくて本当に良かったよ。」

助かったことに今更安堵し、笑いながらお礼を再度伝えるとレンもつられたように笑ってくれた。
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