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お仕事頑張りましょう
俺なんか……11 映画化決定
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絵本を読んで終わった。久しぶりに読んだが、ちょっと、胸に来て目の奥がじわり熱くなる。表情には出さずに彼女に絵本を返す。
「いいお話だね。好きなの?」
「天使はマックなの。」
「そうなんだ。」
よくわからないけど、俺はニッコリ笑う。
「天使なの。キスして!」
少し怒ったように彼女が言うので、どうやら、俺は益々困ったような顔になっていたようで…
「こらこら、ナナ。」
「だって、騎士様が天使にキスしないから…」
「ナナ!だめよ。騎士様は天使の騎士じゃないのよ。」
とうとう、彼女の母が止めにはいった。
俺にはこの状況がわかりません。誰か説明して下さい。
ナナちゃんは彼女の母に叱られ自分の席に戻った。よくわからない俺は困ってしまった。お、俺が何か悪い事した?ナナちゃん?
「ごめんなさい。うちの娘が変な事言って。」
「いえ、逆に気になりますね。絵本好きなんですね。俺も読みましたが、記憶を無くした天使の話ですよね。」
ナナちゃんが持っていた絵本は出版され話題の本として紹介された時に、俺も初めて読んだ。たしかシリーズで、何冊か出ていたように記憶している。
「ファイブさん。ここにも置いてあるのよ。」
ほら、と指差す。
店内の壁際に白いテーブルクロスのかかった小さなテーブルがあり、そこに壁に立て掛けて絵本は置いてあった。側には絵本を持った女性と店主のマックさんが並んで写っている写真があった。
絵本を手に取り何気なく表紙をめくる。
「あ、これ、サイン……」
作者のサイン入りだ。
「この本の作者が弟に会いに来た時に撮った写真なの。」
彼女は写真立てを指でつつく。
「へぇ~この方が作者なんですね。え?会いに来た?」
「作者は私の同級生なの。で、天使のモデルが弟なのよ。」
はい?弟さんが、モデルですか?
「今はもう、こんなおっさんだけどね、小さい頃はそりゃあ、もう、可愛くて可愛くて!ホント天使だったのよ。」
おっさんって、今でも、とっても、美人ですが……子どもの頃……可愛だろうなぁ……
「そうだよ、可愛い天使!」
ジグが話に乱入してきた。いつの間にかマックを抱き締めている。
「ジグ、だめ、僕の。」
サシャ、今の発言は危険だよ。
「騎士様!天使が危ない…助けてあげて!」
ナナちゃん、やっぱり、わからないです。それに、騎士様はジグでしょ?
「もう、落ち着いて下さい!皆様!」
店内に声が響いた。
「やっぱり。こうなったわね。」
なんか、怒っている人が登場した。獣人の女の子。フォーも獣人だけど彼の姿は獣に近い。彼女はほとんど人と変わらない姿で、耳と尾があり一目で獣人とわかる。
「はい、はい、そこ、離れて。」
鋭く目をやり、びしっとジグを指差して言う。それから小さなサシャに優しく声を掛ける。
「サシャ、いらっしゃい。今日も全部ご飯たべた?」
「うん。食べたよ。」
サシャの頭を撫でて、偉かったね、と言い、次にナナに顔を向ける。
「新しいご本を読んだのね。この方は絵本の騎士様じゃないのよ?わかってるでしょ?」
「でもぉ」
「似ているのは、ファイブさんをイメージしてるかもね……シンラさんに今度聞いてみるといいわ。ね?でも、ファイブさんに無理を言ってはだめ。」
「はい、ごめんなさい。」
「ファイブさん、申し訳ありません。ナナが言っていた騎士様とはこちらの本です。最近出たので、ご存知ないかとおもいます。騎士の姿が……挿し絵が似ていますから。ナナが思い入れちゃったのも無理ないかも。」
俺は渡された絵本を開いた。
「ジグさん。初めてお目にかかります。マックの婚約者のキュールです。」
「初めまして。兄のジグです。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「そろそろ彼を離していただけませんか?」
「久しぶりなのに…」
「お願い・します。」
バチバチ火花が散ってるようだけど、俺は本に夢中だった。天使と、騎士の話。悲恋だ。涙が出そうだ。ナナちゃん。確かに、騎士様は天使にキスしなきゃ!でも、俺は騎士様じゃないからね。絵本の騎士様はドラマの騎士に似ていた。うん。これは意識してると思う。マネージャーはこの本知ってるのかなぁ。帰ったら聞いてみないとな。
あ、着信、メッセージだ。
「うわっ!このタイミングで!こわっ!」
「え、何何?」
俺の手元を覗き込むレイナさん。って、なぜ?
「やっと、情報解禁だって~」
レイナさん…止めて下さい…
「映画化~」
「やった~おめでと~勿論ファイブさん主演でしょ?シンラとサクラが相談していたから…」
なぜ皆さん知ってるんです?俺より先に…たしかに、マネージャーから、連絡が今、ありました。って、マネージャーはこの作者と知り合いなの?
…天使シリーズ最新作映画化決定、『天使の騎士』主演ファイブ・ヨナ・クスクス頑張ってね…
って、そんな大事な事を事後承諾って、ありえねェ。
マネージャーから追伸
だって、オファーが来た時点で言ったら、尻込みして、受けてないでしょ?あんたはできる子だから大丈夫よ。休暇あけから打合せやるからね。忙しくなるわよ~
それから
天使に会ってみて感想は?美人でしょ?
でもね、天使に恋しちゃだめだよ~
「いいお話だね。好きなの?」
「天使はマックなの。」
「そうなんだ。」
よくわからないけど、俺はニッコリ笑う。
「天使なの。キスして!」
少し怒ったように彼女が言うので、どうやら、俺は益々困ったような顔になっていたようで…
「こらこら、ナナ。」
「だって、騎士様が天使にキスしないから…」
「ナナ!だめよ。騎士様は天使の騎士じゃないのよ。」
とうとう、彼女の母が止めにはいった。
俺にはこの状況がわかりません。誰か説明して下さい。
ナナちゃんは彼女の母に叱られ自分の席に戻った。よくわからない俺は困ってしまった。お、俺が何か悪い事した?ナナちゃん?
「ごめんなさい。うちの娘が変な事言って。」
「いえ、逆に気になりますね。絵本好きなんですね。俺も読みましたが、記憶を無くした天使の話ですよね。」
ナナちゃんが持っていた絵本は出版され話題の本として紹介された時に、俺も初めて読んだ。たしかシリーズで、何冊か出ていたように記憶している。
「ファイブさん。ここにも置いてあるのよ。」
ほら、と指差す。
店内の壁際に白いテーブルクロスのかかった小さなテーブルがあり、そこに壁に立て掛けて絵本は置いてあった。側には絵本を持った女性と店主のマックさんが並んで写っている写真があった。
絵本を手に取り何気なく表紙をめくる。
「あ、これ、サイン……」
作者のサイン入りだ。
「この本の作者が弟に会いに来た時に撮った写真なの。」
彼女は写真立てを指でつつく。
「へぇ~この方が作者なんですね。え?会いに来た?」
「作者は私の同級生なの。で、天使のモデルが弟なのよ。」
はい?弟さんが、モデルですか?
「今はもう、こんなおっさんだけどね、小さい頃はそりゃあ、もう、可愛くて可愛くて!ホント天使だったのよ。」
おっさんって、今でも、とっても、美人ですが……子どもの頃……可愛だろうなぁ……
「そうだよ、可愛い天使!」
ジグが話に乱入してきた。いつの間にかマックを抱き締めている。
「ジグ、だめ、僕の。」
サシャ、今の発言は危険だよ。
「騎士様!天使が危ない…助けてあげて!」
ナナちゃん、やっぱり、わからないです。それに、騎士様はジグでしょ?
「もう、落ち着いて下さい!皆様!」
店内に声が響いた。
「やっぱり。こうなったわね。」
なんか、怒っている人が登場した。獣人の女の子。フォーも獣人だけど彼の姿は獣に近い。彼女はほとんど人と変わらない姿で、耳と尾があり一目で獣人とわかる。
「はい、はい、そこ、離れて。」
鋭く目をやり、びしっとジグを指差して言う。それから小さなサシャに優しく声を掛ける。
「サシャ、いらっしゃい。今日も全部ご飯たべた?」
「うん。食べたよ。」
サシャの頭を撫でて、偉かったね、と言い、次にナナに顔を向ける。
「新しいご本を読んだのね。この方は絵本の騎士様じゃないのよ?わかってるでしょ?」
「でもぉ」
「似ているのは、ファイブさんをイメージしてるかもね……シンラさんに今度聞いてみるといいわ。ね?でも、ファイブさんに無理を言ってはだめ。」
「はい、ごめんなさい。」
「ファイブさん、申し訳ありません。ナナが言っていた騎士様とはこちらの本です。最近出たので、ご存知ないかとおもいます。騎士の姿が……挿し絵が似ていますから。ナナが思い入れちゃったのも無理ないかも。」
俺は渡された絵本を開いた。
「ジグさん。初めてお目にかかります。マックの婚約者のキュールです。」
「初めまして。兄のジグです。」
「よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「そろそろ彼を離していただけませんか?」
「久しぶりなのに…」
「お願い・します。」
バチバチ火花が散ってるようだけど、俺は本に夢中だった。天使と、騎士の話。悲恋だ。涙が出そうだ。ナナちゃん。確かに、騎士様は天使にキスしなきゃ!でも、俺は騎士様じゃないからね。絵本の騎士様はドラマの騎士に似ていた。うん。これは意識してると思う。マネージャーはこの本知ってるのかなぁ。帰ったら聞いてみないとな。
あ、着信、メッセージだ。
「うわっ!このタイミングで!こわっ!」
「え、何何?」
俺の手元を覗き込むレイナさん。って、なぜ?
「やっと、情報解禁だって~」
レイナさん…止めて下さい…
「映画化~」
「やった~おめでと~勿論ファイブさん主演でしょ?シンラとサクラが相談していたから…」
なぜ皆さん知ってるんです?俺より先に…たしかに、マネージャーから、連絡が今、ありました。って、マネージャーはこの作者と知り合いなの?
…天使シリーズ最新作映画化決定、『天使の騎士』主演ファイブ・ヨナ・クスクス頑張ってね…
って、そんな大事な事を事後承諾って、ありえねェ。
マネージャーから追伸
だって、オファーが来た時点で言ったら、尻込みして、受けてないでしょ?あんたはできる子だから大丈夫よ。休暇あけから打合せやるからね。忙しくなるわよ~
それから
天使に会ってみて感想は?美人でしょ?
でもね、天使に恋しちゃだめだよ~
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