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お仕事の時間ですよ
王宮騎士物語 第13話 急変
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空がみるみる厚い雲で覆われた。辺りが急に暗くなり、風も強くなる。
馬車の進むスピードが上がった。周りの騎士達の声が飛び交う。
遠くでは雷の音も聞こえる。こんなに天気が急変するとは……誰も予想できなかった。
「どうしたのかしら。」
「進む速度もあがりましたね。」
ハンスは王女にしっかり手摺にに掴まるように伝えて、身体をずらして、鎧戸を押し開けようとした。急に強い風が押し戻して圧を掛け、危うく手を離しそうになったが、力を込めてゆっくりと押して、僅かな隙間を確保し、近くの騎士を呼ぶ。
「何か問題でもあったのか?」
「はい。急に天候が変わりました。少し急ぎます……あ?」
「何だ?攻撃か?」
「いいえ、攻撃されているわけではありません。しかし、嵐でしょうか…あ、あれは?……」
遠くを見つめる騎士達の目に、見たこともない形の雲が映っていた。
「窓を閉じて身体を固定して下さい。スピードを上げます。」
「わかった。」
ハンスは窓をしっかりと閉じて、王女の身体を固定するベルトを素早く掛けた。椅子との隙間にクッションを差し込み、振動で怪我をしないよう配慮する。
「少し、揺れます。」
「やっぱり……近づいてくるぞ、急げ!」
空から降りる漏斗状の雲が見えた。
「あれは何だ?雲か?」
まだ遠くに見える漏斗状の雲はどんどん地上に伸びて、それと同時に彼等のいる方向に進んでいるようだ。
「急げ!」
遠くに見えていた雲は近づくにつれて、大きく渦を巻いているのが見てとれた。ついに空から伸びた漏斗状の雲は空と地を繋ぎ、進路上の草木を巻き上げ、土埃があがる。細く伸びた渦はみるみる太くなり、進む速度も速くなったようだ。
強い雨が馬車を叩く。
「しっかり掴まっていて下さいね。」
風に煽られ、激しく揺れる。荒れた路面の凹凸を拾い、馬車の中の王女とハンスは掻き回されるような振動に翻弄される。
全力で駆ける隊列は長く伸び、力のないエリーは最後尾を付いていく。クロードが心配して並走するがエリーは、王女の元へ、先に行くように大声で伝えた。
「私は大丈夫!クロード!姫様の所へ行って!お守りして!」
「エリー、ピーターと一緒にいるんだ!必ず!…ピーター!!エリーを頼む!」
クロードは近くにいた同僚のピーターに声を掛けた。
「馬なら道を外れても駆けられるだろう。右に行け!出来るだけ雲から距離をとれ!俺は指示を出しながら先に行く!」
クロードはスピードをあげた。
渦はどんどん近づいてくる。クロードは王女の馬車を追う。
「ハンス!聞こえるか!」
大声で叫ぶが聞こえないようだ。
ハンスは遠話の能力はない。並走しながら近づき、側面を叩く。
「ハンス!こら!聞け!」
「クロードか!」
揺れる馬車の中、腕を使って移動して窓に顔を近づけた。鎧戸を少し上げ、会話をする。
「渦がこちらに近付いてくる、何かの術かも。」
「王女様を狙ってか?」
「わからない。だが、馬車で移動するより、こちらの方が早い!」
すぐ後ろを走る隊長を指差す。
「ドアを開ける。こちらから補助する。」
「了解。十!」
カウントを始める。
「隊長!王女を移動します!九!」
「まかせろ!八!」
「七!」
「王女!馬へ!」
「ええ。」
王女が頷き、ハンスが急いで固定ベルトをはずす。
「六!」
「離れて!」
「五!開けるぞ!」
「おう!」
その声と同時に出入り口の扉が中から蹴破られ吹き飛んで行った。
「四!」
「準備はいいか?」
「はい!」
「三!」
ハンスは王女を抱え、ポッカリ空いた馬車の側面に片手を突っ張り、耐える。
「二!」
「一!いくぞ!」
「サァ!」
ハンスが力強く押し出した王女はタイミング良く団長の手に受け取られ、飛び移る。すぐ後ろをクロードがフォローのために待機している。成功を確認すると、ホッと胸を撫で下ろす。
「隊長!このまま左へ!進路を変えて下さい!」
「いくぞ!最速で行くぞ!やれるな?クロード!」
「はい!」
巨大な渦は馬車の進行方向に真っ直ぐむかっていた。方向を変え走れば逃れられるはず……
「隊長!」
「なんだ!」
「渦が…進路を変えました!」
「なに!?」
「王女を狙った攻撃と思われます!!」
どんどんスピードを上げて近付いてくる巨大な渦に王女と隊長、クロードは馬ごと飲み込まれた。
強い上昇気流は地上から小さな生物達を簡単に持ち上げ、連れ去った。
馬車の進むスピードが上がった。周りの騎士達の声が飛び交う。
遠くでは雷の音も聞こえる。こんなに天気が急変するとは……誰も予想できなかった。
「どうしたのかしら。」
「進む速度もあがりましたね。」
ハンスは王女にしっかり手摺にに掴まるように伝えて、身体をずらして、鎧戸を押し開けようとした。急に強い風が押し戻して圧を掛け、危うく手を離しそうになったが、力を込めてゆっくりと押して、僅かな隙間を確保し、近くの騎士を呼ぶ。
「何か問題でもあったのか?」
「はい。急に天候が変わりました。少し急ぎます……あ?」
「何だ?攻撃か?」
「いいえ、攻撃されているわけではありません。しかし、嵐でしょうか…あ、あれは?……」
遠くを見つめる騎士達の目に、見たこともない形の雲が映っていた。
「窓を閉じて身体を固定して下さい。スピードを上げます。」
「わかった。」
ハンスは窓をしっかりと閉じて、王女の身体を固定するベルトを素早く掛けた。椅子との隙間にクッションを差し込み、振動で怪我をしないよう配慮する。
「少し、揺れます。」
「やっぱり……近づいてくるぞ、急げ!」
空から降りる漏斗状の雲が見えた。
「あれは何だ?雲か?」
まだ遠くに見える漏斗状の雲はどんどん地上に伸びて、それと同時に彼等のいる方向に進んでいるようだ。
「急げ!」
遠くに見えていた雲は近づくにつれて、大きく渦を巻いているのが見てとれた。ついに空から伸びた漏斗状の雲は空と地を繋ぎ、進路上の草木を巻き上げ、土埃があがる。細く伸びた渦はみるみる太くなり、進む速度も速くなったようだ。
強い雨が馬車を叩く。
「しっかり掴まっていて下さいね。」
風に煽られ、激しく揺れる。荒れた路面の凹凸を拾い、馬車の中の王女とハンスは掻き回されるような振動に翻弄される。
全力で駆ける隊列は長く伸び、力のないエリーは最後尾を付いていく。クロードが心配して並走するがエリーは、王女の元へ、先に行くように大声で伝えた。
「私は大丈夫!クロード!姫様の所へ行って!お守りして!」
「エリー、ピーターと一緒にいるんだ!必ず!…ピーター!!エリーを頼む!」
クロードは近くにいた同僚のピーターに声を掛けた。
「馬なら道を外れても駆けられるだろう。右に行け!出来るだけ雲から距離をとれ!俺は指示を出しながら先に行く!」
クロードはスピードをあげた。
渦はどんどん近づいてくる。クロードは王女の馬車を追う。
「ハンス!聞こえるか!」
大声で叫ぶが聞こえないようだ。
ハンスは遠話の能力はない。並走しながら近づき、側面を叩く。
「ハンス!こら!聞け!」
「クロードか!」
揺れる馬車の中、腕を使って移動して窓に顔を近づけた。鎧戸を少し上げ、会話をする。
「渦がこちらに近付いてくる、何かの術かも。」
「王女様を狙ってか?」
「わからない。だが、馬車で移動するより、こちらの方が早い!」
すぐ後ろを走る隊長を指差す。
「ドアを開ける。こちらから補助する。」
「了解。十!」
カウントを始める。
「隊長!王女を移動します!九!」
「まかせろ!八!」
「七!」
「王女!馬へ!」
「ええ。」
王女が頷き、ハンスが急いで固定ベルトをはずす。
「六!」
「離れて!」
「五!開けるぞ!」
「おう!」
その声と同時に出入り口の扉が中から蹴破られ吹き飛んで行った。
「四!」
「準備はいいか?」
「はい!」
「三!」
ハンスは王女を抱え、ポッカリ空いた馬車の側面に片手を突っ張り、耐える。
「二!」
「一!いくぞ!」
「サァ!」
ハンスが力強く押し出した王女はタイミング良く団長の手に受け取られ、飛び移る。すぐ後ろをクロードがフォローのために待機している。成功を確認すると、ホッと胸を撫で下ろす。
「隊長!このまま左へ!進路を変えて下さい!」
「いくぞ!最速で行くぞ!やれるな?クロード!」
「はい!」
巨大な渦は馬車の進行方向に真っ直ぐむかっていた。方向を変え走れば逃れられるはず……
「隊長!」
「なんだ!」
「渦が…進路を変えました!」
「なに!?」
「王女を狙った攻撃と思われます!!」
どんどんスピードを上げて近付いてくる巨大な渦に王女と隊長、クロードは馬ごと飲み込まれた。
強い上昇気流は地上から小さな生物達を簡単に持ち上げ、連れ去った。
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