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お仕事の時間ですよ 2
王宮騎士物語 第15話
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あっという間であった。
地面を易々と剥がされ、宙に浮かぶ身体は自分ではもう制御できなかった。目を凝らして周囲を探すが、隊長や王女の姿は見えない。何かに捕まれないか、手を伸ばしてみたが、何も無い。脱出の取っ掛かりはないか、どこへ向かっているのか、クロードは意識を伸ばして探るが、障壁に遮られ、徒労に終わった。通信部の騎士の誰かと繋がらないか試すが、風の音に混じって人の声とは思えぬ甲高い叫び声が聞こえるだけで、魔力を温存するため、遠話は断念した。
どのくらいの時間運ばれたのか、悲鳴が聞こえた。
「ソフィーナ様!?」
姿は見えないが、近くにいたのか? クロードは大声で呼び掛けた。
「この声が聞こえますかソフィーナ様!」
「クロード……落ちる……きゃあぁぁ……」
「ソフィーナ様!」
迷っている暇はない、クロードは魔力を放出し足下の風を切り裂いた。
裂け目から眼下に拡がる森に落下を始めた。声の方に王女の姿を見つけた。
「ソフィーナ様!必ずお助けいたします!それまで……」
それに、答えるように王女の声が微かに届いた。
「……無事で………ぁぁ……」
クロードは残り少ない魔力を王女に飛ばして守りのベールを幾重にもかけ、枝葉の衝撃を抑え、落下速度を緩めた。
自らは太い木の枝を蹴って方向を変え、木々の葉の密集した所を狙い、少しでも身体に受ける衝撃を減らす。もう魔力はほとんどない。だが、届くか……遠話を飛ばす…どうか……受け取って……王女を……
身体の痛みに暫く動けずにいたが、このままここに居ては危険だ。どこか身を隠す場所を探さないと……
「ここは…どこ…?」
周りの太い木々は空を隠すように葉を繁らせ、森の中は暗い。太陽を求めて細く伸びた若木や鋭く伸びた草の葉先が行く先を阻む。刺のある蔓薔薇が足を掻き、進みは遅い。
「まずは、水……川は近くにないかしら……」
落ちたときの衝撃で左足を痛めてしまった。一歩毎に痛むが、進まなければならない。いずれ助けが来る。しかし、それがいつ来るか…今日か明日か、それとも数日後?
「とにかく、生きていれば助けがくるわ。近くにクロードがいるはずたもの。」
だが、頼みのクロードも魔力が底をつき、遠話も追跡もできない状態であることを王女は知らない。
「うっ……」
クロードは遠話で魔力を全て使いきり動けずにいた。さらに激しい頭痛と吐き気に襲われてえずき、落下する時に木々の枝で打たれ手や顔は切り傷だらけだ。
身体を丸めて耐えていると、知らず知らずのうちに、うめき声をあげていた。王女を探さなければ…そう、思うものの身体は動かない。顔をあげることもできない。今敵に遭遇したなら、抵抗できずにここで命を散らすしかない……
草をかき分け、枝を踏む音が聞こえた。
「誰かいるのか?」
声を絞り出したが返事はなく、身体が浮遊する感覚……誰かに担がれたようだ。
地面を易々と剥がされ、宙に浮かぶ身体は自分ではもう制御できなかった。目を凝らして周囲を探すが、隊長や王女の姿は見えない。何かに捕まれないか、手を伸ばしてみたが、何も無い。脱出の取っ掛かりはないか、どこへ向かっているのか、クロードは意識を伸ばして探るが、障壁に遮られ、徒労に終わった。通信部の騎士の誰かと繋がらないか試すが、風の音に混じって人の声とは思えぬ甲高い叫び声が聞こえるだけで、魔力を温存するため、遠話は断念した。
どのくらいの時間運ばれたのか、悲鳴が聞こえた。
「ソフィーナ様!?」
姿は見えないが、近くにいたのか? クロードは大声で呼び掛けた。
「この声が聞こえますかソフィーナ様!」
「クロード……落ちる……きゃあぁぁ……」
「ソフィーナ様!」
迷っている暇はない、クロードは魔力を放出し足下の風を切り裂いた。
裂け目から眼下に拡がる森に落下を始めた。声の方に王女の姿を見つけた。
「ソフィーナ様!必ずお助けいたします!それまで……」
それに、答えるように王女の声が微かに届いた。
「……無事で………ぁぁ……」
クロードは残り少ない魔力を王女に飛ばして守りのベールを幾重にもかけ、枝葉の衝撃を抑え、落下速度を緩めた。
自らは太い木の枝を蹴って方向を変え、木々の葉の密集した所を狙い、少しでも身体に受ける衝撃を減らす。もう魔力はほとんどない。だが、届くか……遠話を飛ばす…どうか……受け取って……王女を……
身体の痛みに暫く動けずにいたが、このままここに居ては危険だ。どこか身を隠す場所を探さないと……
「ここは…どこ…?」
周りの太い木々は空を隠すように葉を繁らせ、森の中は暗い。太陽を求めて細く伸びた若木や鋭く伸びた草の葉先が行く先を阻む。刺のある蔓薔薇が足を掻き、進みは遅い。
「まずは、水……川は近くにないかしら……」
落ちたときの衝撃で左足を痛めてしまった。一歩毎に痛むが、進まなければならない。いずれ助けが来る。しかし、それがいつ来るか…今日か明日か、それとも数日後?
「とにかく、生きていれば助けがくるわ。近くにクロードがいるはずたもの。」
だが、頼みのクロードも魔力が底をつき、遠話も追跡もできない状態であることを王女は知らない。
「うっ……」
クロードは遠話で魔力を全て使いきり動けずにいた。さらに激しい頭痛と吐き気に襲われてえずき、落下する時に木々の枝で打たれ手や顔は切り傷だらけだ。
身体を丸めて耐えていると、知らず知らずのうちに、うめき声をあげていた。王女を探さなければ…そう、思うものの身体は動かない。顔をあげることもできない。今敵に遭遇したなら、抵抗できずにここで命を散らすしかない……
草をかき分け、枝を踏む音が聞こえた。
「誰かいるのか?」
声を絞り出したが返事はなく、身体が浮遊する感覚……誰かに担がれたようだ。
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