120 / 159
お仕事の時間ですよ 3
+王宮騎士物語 第36話
しおりを挟む
使節団がやって来た。
「本当に黒い髪に黒い瞳の方ばかり……」
一台目の馬車から降り立った二人の長身の男性。長い黒髪を後ろで一つに束ね、堂々とした所作で一目で使節団の代表だとわかる。もう一人の金の細工の入った櫃を両手で持つ者はシャノアの王からの親書を託された者。
続いて腰に剣を携えた二人の護衛は待ち構えた従者に剣を渡す。それぞれ捧げ持ちながら数歩さがり、待機する。二代目の馬車から数人の従者が静かに降り護衛の後ろをついていく。
マリーは彼らの様子をこっそり眺めていた。彼らの容姿を聞いて、知ってはいたものの、実際にそこにいる人達を見ると、無表情で見分けのつかない似たような顔立ちと色に驚いていた。
シャノアから来た使節団は護衛を合わせても十人ほどの少人数である。
王都に入る門の前で出迎えた第七部隊の面々に案内されて城に到着し、団長の先導ですぐに、王への謁見。その後は長旅の身体を休めてもらおうと、迎賓館に場所を移す。付き添いはすべて第七部隊が担当し、翌日から会談やら、パーティーやら、視察やら、予定は詰まっている。
フォムボトル団長と使節団代表が話し込んでいた。能力者に対しては、第七部隊の他に対応できる者はいないからすべて任せると、丸投げされたフォムボトルは、能力があろうとなかろうと、人と人の話し合いや交渉に優劣はないと主張したのだが、魔力や能力といった目に見えないものを、持たないものは恐れ疑うのであろう、聞く耳を持たない一方的ないいつけで、役目を受けた。
「我々はそんなに恐ろしい存在ですかね。」
シャノアを出て、道すがら街や人々を見てきた使節団の代表。自分達をみる目が感情が、黒い髪や瞳を見た瞬間変わるところを、何度も見てきた。不安、恐れ、嫌悪。魔力があるからといって、人の心を読んだり、操ったり出来る訳ではない。百年にひとりと言われるヨークラウデン王のように膨大な魔力持ちならともかく、ほとんどのシャノアの人は、少しだけ感じやすいだけだ。
「道中も不快な思いをされたでしょう。魔力とは、能力とはどんなものか、もっと、世に広く情報を知らしめるべきだった。人が未知の力に、恐怖を感じ排斥することは、我々が経験してきたこたなのにな。」
そう言うフォムボトルは、自身の幼い頃の苦い記憶を振り返る。
「お気になさらず。承知の上で、まいりましたから。団長殿は、親書の内容はご覧になりましたか?」
「はい。しかし、なぜ…今、なのかは、教えてはいただけないのでしょうか。」
にっこりと笑う使節団代表。
「ええ。我が国は争いたい訳ではない。そして、シャノア国王は王子と貴国の王女の婚礼が成る事を希望している。フォムボトル殿、私が嘘を言っているかな?」
フォムボトルは首を振る。
「いいえ。」
「本当に黒い髪に黒い瞳の方ばかり……」
一台目の馬車から降り立った二人の長身の男性。長い黒髪を後ろで一つに束ね、堂々とした所作で一目で使節団の代表だとわかる。もう一人の金の細工の入った櫃を両手で持つ者はシャノアの王からの親書を託された者。
続いて腰に剣を携えた二人の護衛は待ち構えた従者に剣を渡す。それぞれ捧げ持ちながら数歩さがり、待機する。二代目の馬車から数人の従者が静かに降り護衛の後ろをついていく。
マリーは彼らの様子をこっそり眺めていた。彼らの容姿を聞いて、知ってはいたものの、実際にそこにいる人達を見ると、無表情で見分けのつかない似たような顔立ちと色に驚いていた。
シャノアから来た使節団は護衛を合わせても十人ほどの少人数である。
王都に入る門の前で出迎えた第七部隊の面々に案内されて城に到着し、団長の先導ですぐに、王への謁見。その後は長旅の身体を休めてもらおうと、迎賓館に場所を移す。付き添いはすべて第七部隊が担当し、翌日から会談やら、パーティーやら、視察やら、予定は詰まっている。
フォムボトル団長と使節団代表が話し込んでいた。能力者に対しては、第七部隊の他に対応できる者はいないからすべて任せると、丸投げされたフォムボトルは、能力があろうとなかろうと、人と人の話し合いや交渉に優劣はないと主張したのだが、魔力や能力といった目に見えないものを、持たないものは恐れ疑うのであろう、聞く耳を持たない一方的ないいつけで、役目を受けた。
「我々はそんなに恐ろしい存在ですかね。」
シャノアを出て、道すがら街や人々を見てきた使節団の代表。自分達をみる目が感情が、黒い髪や瞳を見た瞬間変わるところを、何度も見てきた。不安、恐れ、嫌悪。魔力があるからといって、人の心を読んだり、操ったり出来る訳ではない。百年にひとりと言われるヨークラウデン王のように膨大な魔力持ちならともかく、ほとんどのシャノアの人は、少しだけ感じやすいだけだ。
「道中も不快な思いをされたでしょう。魔力とは、能力とはどんなものか、もっと、世に広く情報を知らしめるべきだった。人が未知の力に、恐怖を感じ排斥することは、我々が経験してきたこたなのにな。」
そう言うフォムボトルは、自身の幼い頃の苦い記憶を振り返る。
「お気になさらず。承知の上で、まいりましたから。団長殿は、親書の内容はご覧になりましたか?」
「はい。しかし、なぜ…今、なのかは、教えてはいただけないのでしょうか。」
にっこりと笑う使節団代表。
「ええ。我が国は争いたい訳ではない。そして、シャノア国王は王子と貴国の王女の婚礼が成る事を希望している。フォムボトル殿、私が嘘を言っているかな?」
フォムボトルは首を振る。
「いいえ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
指令を受けた末っ子は望外の活躍をしてしまう?
秋野 木星
ファンタジー
隣国の貴族学院へ使命を帯びて留学することになったトティ。入国しようとした船上で拾い物をする。それがトティの人生を大きく変えていく。
※「飯屋の娘は魔法を使いたくない?」のよもやま話のリクエストをよくいただくので、主人公や年代を変えスピンオフの話を書くことにしました。
※ この作品は、小説家になろうからの転記掲載です。
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる