124 / 159
お仕事の時間ですよ 3
王宮騎士物語 第40話 古い本
しおりを挟む
休みの間ブリジットはクレッセリアを連れてあちこちに出掛けた。珍しい国外の雑貨を扱う店、人気の菓子屋、服屋、植物園……毎日ブリジットは思い付くままクレッセリアを連れ出した。
「あ、本屋さん……」
ブリジットの買い物に付き合い、街を歩いていたクレッセリア。途中、読書好きな彼女の目に止まったのは一件の古本屋。
「ちょっと寄っていい?」
「ええ、もちろん。ゆっくり見てきて。私は隣のカフェにいるから。」
ブリジットはそう言って手を振った。
「じゃあ、後でね。」
しばらく店内を見て回り、気に入った本を一冊買った。貴族ではないクレッセリアが自由に使えるお金には限りがある。田舎の叔母さんの家からの仕送りは多くはないので、ほとんどは図書館で借りている。田舎には貸本屋しかなかったが、王立学院に入学が決まったとき、図書館があると聞いて王都に来るのが楽しみだった。だが、喜び勇んで足を踏み入れた彼女は少々がっかりした。図書館とは名ばかりで、古いかび臭い傷んだ本が整理整頓もされずに積み重ねてあるだけ。それでも彼女はじっくり本を探し、様々な分野の本を読んだ。当然流行の恋愛の本などなく、そういった本を手に入れるのは古本屋である。古本屋は新刊も扱っていたが、高くて手が出ない。いつも読み終わった本を売り、差し引いてもらって、古本を買う。
一冊だけ、ずっと手元に置いている本がある。いつも持ち歩いている古い恋愛小説本。彼女の大切な写真を挟んであるその本は手放さないと決めている。
「その本も引き取ろうか?」
本を物入れから出す時に店主に見られ、尋ねられた。
「いえ、これは……」
「ああ、少し見せてもらえないか。」
「ごめんなさい。」
慌てて、店を出ようとした。だが何故か店主に引き留められた。
「少しでいい、見せてくれないか。」
店先での二人のやり取りを隣のカフェで見ていたブリジットは店を飛び出した。
「あ、本屋さん……」
ブリジットの買い物に付き合い、街を歩いていたクレッセリア。途中、読書好きな彼女の目に止まったのは一件の古本屋。
「ちょっと寄っていい?」
「ええ、もちろん。ゆっくり見てきて。私は隣のカフェにいるから。」
ブリジットはそう言って手を振った。
「じゃあ、後でね。」
しばらく店内を見て回り、気に入った本を一冊買った。貴族ではないクレッセリアが自由に使えるお金には限りがある。田舎の叔母さんの家からの仕送りは多くはないので、ほとんどは図書館で借りている。田舎には貸本屋しかなかったが、王立学院に入学が決まったとき、図書館があると聞いて王都に来るのが楽しみだった。だが、喜び勇んで足を踏み入れた彼女は少々がっかりした。図書館とは名ばかりで、古いかび臭い傷んだ本が整理整頓もされずに積み重ねてあるだけ。それでも彼女はじっくり本を探し、様々な分野の本を読んだ。当然流行の恋愛の本などなく、そういった本を手に入れるのは古本屋である。古本屋は新刊も扱っていたが、高くて手が出ない。いつも読み終わった本を売り、差し引いてもらって、古本を買う。
一冊だけ、ずっと手元に置いている本がある。いつも持ち歩いている古い恋愛小説本。彼女の大切な写真を挟んであるその本は手放さないと決めている。
「その本も引き取ろうか?」
本を物入れから出す時に店主に見られ、尋ねられた。
「いえ、これは……」
「ああ、少し見せてもらえないか。」
「ごめんなさい。」
慌てて、店を出ようとした。だが何故か店主に引き留められた。
「少しでいい、見せてくれないか。」
店先での二人のやり取りを隣のカフェで見ていたブリジットは店を飛び出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
指令を受けた末っ子は望外の活躍をしてしまう?
秋野 木星
ファンタジー
隣国の貴族学院へ使命を帯びて留学することになったトティ。入国しようとした船上で拾い物をする。それがトティの人生を大きく変えていく。
※「飯屋の娘は魔法を使いたくない?」のよもやま話のリクエストをよくいただくので、主人公や年代を変えスピンオフの話を書くことにしました。
※ この作品は、小説家になろうからの転記掲載です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる