仕事やめても……いいですか……?

キュー

文字の大きさ
126 / 159
お仕事の時間ですよ 3

王宮騎士物語 第42話 図書館

しおりを挟む
「サーバ、今日はよろしくね。」
ブリジットに向かってサーバスが手を差し出す。その手に片手を優雅に乗せ馬車から降りるブリジット。その手は続いてクレッセリアに伸ばされた。
「さあ、どうぞ、お嬢様。」
その言い方にクレッセリアは……似合ってないと言いたいのね……と内心カチンときたが、ここは城内、無作法はするべきではないと言葉を飲み込む。
「ありがとう。」
クレッセリアは微笑み、軽く触れるくらい手を乗せる。サーバスは羽のように感じるその手を引き導く。
「ようこそ。王立図書館に御用がおありとか。私が案内を任されました。」
サーバスはニッコリ笑って、先に立って案内を始めた。

  図書館に入るなり、クレッセリアは独りで書架の森に潜って、さっさと自分の世界に入ってしまった。サーバスもブリジットも本にさほど興味は無いので、椅子に座って暇を持て余していた。
「ブ、ブリジット……あれは本当にクレッセリアか?」
小声で喋るサーバス。静かな図書館では話し声はよく響く。普段の男前なファッションのクレッセリアしか見たことなかったサーバスは、実は美しい彼女のドレス姿を見た時、見とれて言葉がすぐに出なかった。
「驚いた?流石、青い薔薇。」
「驚いた。パーティーでも彼女はスーツ着てたよな?あれはあれで似合っていたが、ドレスとか初めてみたよ……化けるもんだな、女は………」
「彼女、美人よね。惚れ直したでしょう?」
「な、何を!…ほ…惚れて…なんか……ばかか!」
「あら、違うの?」
黙り込むサーバス。その顔は真っ赤である。
「本当、わかりやすいわ。あなたは。」
「………決めつけるなよ。」
「告白しないの?」
「そんな、簡単に……言うなよ。」
「だって、もうすぐ卒業よ?」
  彼女は卒業後はどうするのだろう。ブリジットも聞いていないという。彼女は故郷へ戻ってしまうのだろうか。サーバスはムウウと唸ると、黙り込んだ。
「難しく考える事なんて、ないわよ。クレッセリアだって……あっ…」
ブリジットは失言、とばかりに、口を噤んだ。
「ブリジット、何か、知っているのか?」
ブンブンと首を振る。
「と、とにかく、家にいる間、ここに通ってもいいわよね?」
「そりゃ…かまわないよ。 門番に言い付けておくから…」
「うん?……フリーパスでほったらかし…なんてだめよ。あなたが毎回案内しなさいね。」
「あ?面倒じゃ…あ………うっ」
すかさず殴られる。痛ぇなぁ、と殴られた腹をさする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...