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黒の国の王子
+王宮騎士物語 第64話 赤子
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「サーバ!」
「ブリジット!おめでとう!女の子だってな。」
サーバスは王都に戻り、祝いの品を持って親友の家を訪ねた。王都を飛び出した後、サーバスから一度手紙を送っただけで、行き先も知らせていなかったのに、ハアンゼン宛にサーバスへの手紙が届いたのは長い付き合い故に行動を読まれていたのだろうと、納得したが、その知らせによって第三子のことを知った。
「お帰り!可愛いでしょう?ほら、抱っこして!」
小さなふにゃふにゃな赤ん坊を、着くなり断る暇なしに渡される。
「おおお。」
赤ん坊を抱く機会など、なかったサーバスは、ハマーとブリジットの一子の時も二子の時も、産まれてすぐは、落としそうで怖いと、頑なに断った。だから、今回は断る前に『マリー』を強引にブリジットが押し付ける。
なんとも言葉にし難い感情が溢れて、ぎこちなく子どもを抱き、自然に微笑むサーバスを嬉しそうに見つめるハマーとブリジット。
本当なら、ここにいるべきはずのクレッセリアはいない。ここを去って数日たつ。
「可愛いなあ……」
サーバスのそんな小さな呟きに、偶然なのか、マリーがふにゃりと笑った。それを見てサーバスの顔が同じようにふにゃりと崩れる。それを見て、こんなサーバスの顔は初めて見たと、ブリジットがクスクス笑った。
「小さいなあ…赤ん坊はこんなに柔らかいのだな……」
「マリーって言うのよ。呼んであげて。」
「マリー。」
サーバスの腕の中の赤子が、呼び掛けに対して、あうあうと声をあげる。
「返事をしているみたいだ。」
まるで、どこかの親バカのような言葉に、笑いながらハマーも続く。
「そうだろう、うちの娘は呼び掛けると答えるんだよ。まるでこちらの言葉を理解しているみたいにね。」
「マリー、お父さん達はあなたが何をしても、喜ぶみたいよ。よかったわねぇ。」
その声にマリーが顔をわずかに動かし、握った両手を数回振った。
「おお~!」
ハマーとサーバは同時に声をあげた。
その声にビックリしたのかマリーが泣き出してしまった。
「あ~よしよし。」
サーバスがあわてて、あやすように身体をゆっくり揺らした。
泣き声は次第に小さくなり、時折拳を動かす。
サーバスが可愛らしいぷくぷくの指に自分の指を重ねると、マリーは反射的に彼の人差し指を握り、安心したように規則正しい寝息をたて始めた。
「ブリジット!おめでとう!女の子だってな。」
サーバスは王都に戻り、祝いの品を持って親友の家を訪ねた。王都を飛び出した後、サーバスから一度手紙を送っただけで、行き先も知らせていなかったのに、ハアンゼン宛にサーバスへの手紙が届いたのは長い付き合い故に行動を読まれていたのだろうと、納得したが、その知らせによって第三子のことを知った。
「お帰り!可愛いでしょう?ほら、抱っこして!」
小さなふにゃふにゃな赤ん坊を、着くなり断る暇なしに渡される。
「おおお。」
赤ん坊を抱く機会など、なかったサーバスは、ハマーとブリジットの一子の時も二子の時も、産まれてすぐは、落としそうで怖いと、頑なに断った。だから、今回は断る前に『マリー』を強引にブリジットが押し付ける。
なんとも言葉にし難い感情が溢れて、ぎこちなく子どもを抱き、自然に微笑むサーバスを嬉しそうに見つめるハマーとブリジット。
本当なら、ここにいるべきはずのクレッセリアはいない。ここを去って数日たつ。
「可愛いなあ……」
サーバスのそんな小さな呟きに、偶然なのか、マリーがふにゃりと笑った。それを見てサーバスの顔が同じようにふにゃりと崩れる。それを見て、こんなサーバスの顔は初めて見たと、ブリジットがクスクス笑った。
「小さいなあ…赤ん坊はこんなに柔らかいのだな……」
「マリーって言うのよ。呼んであげて。」
「マリー。」
サーバスの腕の中の赤子が、呼び掛けに対して、あうあうと声をあげる。
「返事をしているみたいだ。」
まるで、どこかの親バカのような言葉に、笑いながらハマーも続く。
「そうだろう、うちの娘は呼び掛けると答えるんだよ。まるでこちらの言葉を理解しているみたいにね。」
「マリー、お父さん達はあなたが何をしても、喜ぶみたいよ。よかったわねぇ。」
その声にマリーが顔をわずかに動かし、握った両手を数回振った。
「おお~!」
ハマーとサーバは同時に声をあげた。
その声にビックリしたのかマリーが泣き出してしまった。
「あ~よしよし。」
サーバスがあわてて、あやすように身体をゆっくり揺らした。
泣き声は次第に小さくなり、時折拳を動かす。
サーバスが可愛らしいぷくぷくの指に自分の指を重ねると、マリーは反射的に彼の人差し指を握り、安心したように規則正しい寝息をたて始めた。
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