太古の女神様は人に転生しても歌がお好き

五月雨 歌織

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1章~女神様が消えた理由とその後、そして転生

女神様が消えた理由(???視点)*

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「死ねぇぇぇぇ!!」
剣が振り上げられる。凶刃が肉に突き刺さる。鉄の匂いが鼻をつく。血飛沫が舞う。僕は死ぬ覚悟をした。したのに、、、



「うっ!」
「「「お母様(母上)!!」」」
「は、はうえ?母上!!なんで庇ったの!!??」
「あら、大事な私の息子の貴方を守らなくて何が母親よ。貴方達4人は種族が違っても私の子だもの。」
そう言って母上は微笑む。この場に、己の血で周りを紅く紅く染め抜いているこの現状に、そぐわない程気高く、優しい、慈愛に満ちた美しい笑みだった。その様に僕は涙が溢れる。
(僕のせいだ!!僕のせいで母上は!!!)
自己嫌悪で胸が苛まれていたその時。
ピト、と僕の涙に濡れた頬にひんやりした手が触れる。いつもより温度を失ったその手に僕の体は強ばった。
「ふふ。リヒトの事だから、僕のせいでーとか考えてるんでしょう?」
それは疑問系だが、これは確認だ。母上はほんとに色んなことを知っている。女神様。僕の、僕達の母上。この世で1番綺麗な僕の大好きな母上。
「リヒトのせいじゃないよ。これは私の意思。誰になんと言われても、ね。貴方はそれをよく知ってるでしょう?」
そうだ。僕はよく知っている。母上は自分の意思を最後まで貫く。誰になんと言われようと絶対に曲げない。だから。
「うん。知ってる。知ってるよ。母上と同じくらい僕達も母上のことを知ってる。」
そう言えばさっきからアリサ達の声が聞こえない。気をつかってくれてるんだろう。
「アリサ。」
「うん。なに?お母様」
「精霊王としてやってたら辛いこともあるでしょうけど、貴女なら大丈夫って信じてるから。」
「っ!!分かった!頑張る!!だから絶対帰って来てね」
「ふふ。こっそり頑張ってるのを見てから帰るのもありね。」
「ええ!?お母様ぁぁ」
「うふふふ。クレア」
「うん。なぁにお母様。」
「貴女はこの中で獣人なだけあってお転婆だから色々心配だけど皆いるなら大丈夫ね」
この時クレアを除いた皆心境同じだったと思う。
(((色々、ねぇー)))
って。でも
「っ!うん!頑張る!!皆いるから大丈夫!!」
イマイチ伝わってない気がする。
「よしよし。アイン」
「ん。なんだ?母上」
「魔族は魔物のこともあって変なイメージがつきまとうでしょうけど、大丈夫よね。私のことを何気に助けてくれた貴方なら。」
「っっ!!ああ。任せてくれ。」
「ん。じゃあリヒト。」
「っ!う、ん。」
「大丈夫。貴方のせいじゃない。これは私が勝手にしたこと。人間の貴方は能力も、魔法も、他の皆は及ばない。「っ!」けどね。貴方は他の誰も持たないものを持ってる。何かわかる?」
「分からない………」
「それはねリヒト。優しさよ」
「え?」
「貴方は弱いからこその優しさがある。そしてその優しさは仇となる事もあるかもしれない。でもきっと貴方のその優しさは他の皆と負けず劣らずの武器になる。だからね。自分を信じて。自分の道を歩んで。」
「っっっ!!!う、ぅぁ。分か、った。」
「よし!いい子。皆私が消えてしばらくはこの結界も続くから。貴方達で相談してどうするか決めなさい」
そう言って母上は真っ白な光の粒になって消えた。
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