黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

文字の大きさ
40 / 82

38話 どういう状況?!

しおりを挟む
話も一段落ついた為、切り上げる事になった。
アディスとメイジーが席を立ち、メイジーが思い出したように皆んなに告げる。

「あっ、そうだ。エヴァドネが言っていたんだけど。皆んな念話が使えるって聞いたよ~。私も使えるから依頼とかでも、念話での報告が出来るよ。」

「そうか。わかった。」

ライアスが返事を返し、アディスは頷いていた。
結界を解き部屋を出たアディスとメイジー。
不意にアディスから声を掛けられる。

「メイジー、何か不安な事や何かあればすぐに言え。」

本当に優しい人。アディスだって黒持ちとして長くここで生きて来たっていうのに…。

「わかった。」

アディスに向かって大きく頷いた。



自分の部屋に戻りベッドに腰掛け、穏やかに呼びかける。

「オルト。」

「はい。」

「これ、皆んなに付けてもらって。」

アイテムボックスから取り出したのは"従魔の証"それをオルトに渡す。

「あっ、少し待って。」

「はい。」

『 結界 』

オルトは首を傾げる。結界を張ってまで何かをするのかと。

メイジーは布と糸、あとは少しの金属を取り出す。

『 錬金 :首輪 』

ふわっと物が出来上がる。
首輪が五本出来ていて、オルトは納得した。

「これをクリルとコルネとガルとフェンダーとバズヴに従魔の証を付けられるように、伸縮出来るタイプにしてあるからお願いね。」

「分かりました。みなに渡します。」

オルトは異空間に戻って行った。
次は、タレ付きカツである、これをサンドイッチにしてアイテムボックスにいれておく。
部屋に匂いが充満している為クリーンを掛け、寝巻きに着替えて結界を解き眠りについた。




翌朝、またしても日も出ていない時間に起きてしまう。

何故だ。昨日も疲れて寝たはずなのに、身体はすっきりしている。
ウムムムム。

二度寝を試みる…が。

無理だ!

がばっと起きて、運動着に着替えクリーンを掛け一階に降りる。
そこに女将さんが朝の支度をしていた。
その後ろ姿に声を掛ける。

「おはようご…。っと。」

女将さんは後ろから急に声を掛けられたのをびっくりして、急に振り向き右ストレートが放たれる。
ここで避けると女将さんがよろけて危ない為掌で受け止めた。

「女将さんメイジーです。急に声を掛けてごめんなさい。」

「メイジーちゃんかい、びっくりしたよ。後ろから急に現れないでおくれ。…それにしても、どうしたんだい?眠れなかったかい?」

「いえ、スッキリですよ。何故か目が冴えてしまって。」

「そうなのかい?朝食までもう少し掛かるよ。」

女将さんは眉を八の字にして申し訳なくなる。

「大丈夫です。あのこの辺で運動出来る広い場所ってあります?…無いですかね。冒険者ギルドまで行かないとないかな~?」

「そこまで行かなくても、うちの裏手にあるよ。」

「そうなんですか?そこで少し鍛錬しても大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。」

裏手に向かう。まあまあ広い。

そうだ、メモ残しておかないと…
えーと"宿屋の裏手で運動してます"っと、これを二枚書いて。

「バズヴ」

「ご主人様、おはようございます。」

「おはよう~。これをアディスの部屋とライアス、エヴァドネの部屋のテーブルの上に置いてきて。」

「任せて!」

「お願いね~。」

バズヴは影の様にドアの隙間を利用して部屋に入る事が出来るため、くちばしにメモを二枚挟み頼んだ。
その後は、柔軟から始まり鉄扇、トンファー、刀と鍛錬をしているうちに太陽が出始める。

そろそろ服も着替えて朝食をとる為に戻る事にした。その時、脇で見ていたバズヴはメイジーの肩に乗る。

部屋へ向かっていると、アディスが部屋から出る所だった。

「アディス。おはよう。」

「…おはよう。………メイジー?」

アディスから朝の挨拶を貰い、少し間があった後、名前を呼ばれたので首を傾げる。

「はい?……い!?」

アディスの両手がメイジーの顔を持ち上げ、ジーッと目を見つめ続ける。

え!?なに、なに、なに!?
私どういう状況?!

アディスの突拍子もない行動にびっくりし混乱する。
近くにイケメンの顔があって無意識のうちに息を止めていた。
少し見つめられた後、アディスの手がメイジーの顔を離す。

「先に食堂に向かう。」

メイジーに背中を向け降りて行った。

え!?ちょっと!なんなの?!

メイジーはイケメンの顔が間近にあり、目を見つめられていた間、混乱し心臓が張り裂けそうになっていた。

「ぅきゃっ!?」

まだ混乱から立ち直っていないメイジーは、急にドアが開いた事に驚き飛び退く。
びっくりしたのはライアスだ。
開けた瞬間に悲鳴を上げられたのだから。

「え?何?」

ライアスの後ろからエヴァドネが現れる。

「あ。メイジー、おはよう。」

「お、おはよう!じゃあ、また後で!」

ライアスとエヴァドネはメイジーの慌てように一体何があったのか二人して首を傾げたのだった。





しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

処理中です...