黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

文字の大きさ
42 / 82

39話 初依頼を受ける

しおりを挟む
メイジーは急いで部屋に戻り、混乱が冷めやらぬ羞恥心にベッドで悶絶していた。

ベッドで枕を抱きながら心臓が落ち着くのを待つ。

はぁ。ホントなんだったの?
男性にあんな目の前で見つめあう事なんて…付き合っていた彼とだって、あんな事、しなかった…のに。
あれ?
あれは付き合っていたと言えるのか?
一人暮らししていた私の所に来てはゲームばかり…
えーと、あれ?

だんだんと変な方向に考え始め頭が冷えていき、無理矢理思考をとめ左右に首を振る。
アディス達を待たせている事に気付き、急いでクリーンを掛け服を着替える。
その後は部屋を出て食堂に向かった。

「アレ?まだ朝食食べていなかったんですか?」

「さっき頼んだとこだよ。もう少しで来ると思う。」

「そうなんですね。」

ちょうど女将さんが料理を持ってやって来た。

「メイジーちゃんも席に着いたんだね。今日から依頼を受けるんだって?」

「あ、はい。」

「じゃあ、朝食をしっかり食べて。頑張ってきな!」

うっ、痛い。
また、背中を叩かれた。
これは気合い入れろって言っているスキンシップみたいなものなのかな…。




朝食を食べ終えて、宿を出る。
今はギルド内の掲示板前、朝の混雑で依頼表が見えない。

仕方がない、ここは…。

『 鷹の目 』

なになに?目当てのものは…、あった!

"Fランク 薬草採取  グリナ草  五束  1000ギル"

「アディス、依頼書を見つけた。行って来る。」

エヴァドネが引き止める間も無くごった返している人混みの中に入って行った。

掲示板にたどり着き、即座に依頼書を剥ぎ取って、アディス達の所へ戻る。

「お待たせ!これでどうかな?」

「何処から突っ込めばいいのか…。」

掲示板から少し離れた場所から、鷹の目スキルを使って依頼書を探し出し、あの人混みをラクラク潜り抜け依頼書を持って戻って来た事に、エヴァドネは呆れていた。

「薬草採取は常時依頼だから、わざわざ取りに行かなくても大丈夫だったんだが…」

ライアスもここでスキルを使用してまで依頼書を取りに行ったメイジーを戸惑いながら告げる。

「え?そっだったの?」

「ああ。ある程度、人がけたら掲示板の内容を見るだけにしようと思っていたんだ。森の討伐依頼も今は非常時だから、Cランク以上はすぐに受けられる。」

アディスが補足するように話に加わった。

え、それを先に言ってよー。

「でも、今回は依頼書が必要だったみたいだ。注意事項が書かれている。」


"パマディマの森は閉鎖中。Cランク以上のパーティと依頼を受ける事が必須。
その為、危険手当が付き報酬金額が倍額となります。"

「私達なら問題ないね。」

「そうだな。」

メイジーが依頼書に書かれている注意事項を読んで問題無いとアディス達に伝え、アディスがそれに頷く。

その後は、軽くメイジーに掲示板の説明をする。

「説明するほど無いんだが、掲示板の左から常時依頼が張り出され、次に通常依頼が張り出される。その通常依頼も左からF、E、D、C、B、A、S、SSと張り出される。後は指名依頼と緊急依頼、指名依頼は受付嬢かギルマスから依頼を言われる。緊急依頼はギルマスから発令され、ある程度のランクの者は強制的に参加させられる。…まあ、こんな感じだ。」

アディスの掲示板と依頼についての説明を聞き頷いた。

早速依頼を受けに受付前に並び順番を待つ。程なくして、私達の番になった。

「ご用件をお伺い致します。」

「パーティーでパマディマの森の討伐を受けたい。それと、メイジーの薬草採取も追加で依頼を受ける。」

代表でアディスが話し、依頼書をカウンターに出す。

「では、ギルドカードを出して下さい。」

受付嬢は四枚のカードを預かりデータを確認する。
問題無いと判断して依頼を受け付ける。

「メイジー様は個人ランクがFではありますが、正規のパーティーメンバーがBランクと一緒ですので、パマディマの森の討伐と薬草採取の依頼二件分を受け付けさせて頂きます。」

アディス達は頷きカードを返却してもらう。
その後はギルドを出て門に向かうのだった。




森に近い門に向かって歩いていると、徐々に門を出る冒険者や商人達が目に付き始める。
先に進むと門には警備兵達が立っており治安維持の為、検問を行なっていた。
街の外に出る時にも、検問を行う。
メイジーのギルドカードには身分を証明できる効力がある為、スムーズに街から出る事が出来た。

身分証があるのと無いのとでは違うんだな~。
取り敢えず、マップ展開っと。んー、森の方に赤い点って事は魔物?緑は冒険者ってところかな?
森と街から遠ざかっているのは商人…かな?
その前にマップ展開中から気になってるんだけど、棒が点滅している、このカーソルっぽいものって何なのかな?

アディス達と森に向かって歩きながら、気になっているカーソルに思考を集中させる。

"文字を入力して下さい。"と出た。

え?何を?どうやって?

「メイジーどうした?」

戸惑った雰囲気に気付いたアディスは声を掛ける。

「え?なんでも無い。」

アディスからの視線をメイジーは目の端で感じながら平静を装う。
視線が外れた所で、またマップに思考する。

文字を入力…どうやって?

カーソルを見つめ内心唸っていると"んんんんんんんんん"と入力され疑問符をついた時も同じく"?"が付いた。
視線を外し、思考を逸らす。もうすぐ森に入る事を確認して、また視線をマップに戻す。
そこには、入力されていないカーソルが点滅していた。

集中して思念を送るのかな?
でも何を入力したらいいのか…。
思いついたもので…"ゴブリン"っと

マップに複数の赤い点がある中で、赤い点の上に白の逆三角形が付いている物が複数ある。

もしかして、検索機能が付いているの?

グレーウルフ、コボルトなどを入力してみると逆三角形のマークが移動する。

確実に検索機能だね~。
…ということは"グリナ草"を入れると?

何も無い所にマークが複数移動する。

ここに薬草があるのかな?
フムフム。
でも、この赤い点もう少し分かりやすい様にならないかな~。

マップに夢中になっていて、いつの間にか森に入っていた。



しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...