黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

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46話 無茶をする

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あらかた魔物も討伐し落ち着いた時、なんだか嫌な感覚にマップを確認する。

すると、近くには魔物がいないが少し離れた場所で、弓をつがえているゴブリンアーチャーを見つけた。
放たれた後に気付く、その対角線上にいるのはアディスだった。
メイジーは焦った。

「アディスー!」

直ぐに立ち上がり、身体強化を使用し駆ける。背後からはライアスの声が聞こえたが聞き取れなかった、それどころではない。
ライアスだけに見えるようにホログラムのマップを展開し問題の部分に逆三角形の印を付けて目の前に表示させておく。
アディスはメイジーに名前を叫ばれ、どうしたのかと振り向く。
その振り向く瞬間、メイジーにはスローモーションの如く遅く過ぎていった。

目の端に矢を捉え身体強化だけでは間に合わないと思い縮地も使用する。

アディスはメイジーがものすごい勢いで向かって来ている事に眉を寄せ困惑する。

「…メイジー?」

アディスが呟いた声はメイジーの耳には入らない。
それどころか、右手を前に突き出す。


あともう少し 『 …縮地! 』


ズザザーゴロゴロゴロゴローーー!!


アディスの横を通り過ぎ、メイジーがものすごい勢いで転がって行った事に目を見開いて驚き、叫ぶ。

「メイジー!」

ホブゴブリンを斬り捨て、急いでメイジーに駆け寄る。

「メイジー!」

膝を突き両手剣を脇に置いたアディスはメイジーの右手に矢が握られている事に気付き、眉間に皺を寄せ戸惑う。

「メイジー?」

「はぁ…はぁ…ま、はぁ…ん、間に合っ、て良かったぁ…はぁー。」

いつもなら息を荒げる事は無いのだが冷静さをかき、あまりにも急いでいた為、極力息を抑えて駆け出したのだ。
仰向けに未だ息を荒げている。

「大、丈夫、なのか?」

メイジーの上半身をアディスが起こし真剣な表情で心配する。

「怪我はしてないよ。ちょっと休憩すれば大丈夫。……でも焦った~。これ。」

メイジーの右手に持っている矢をアディスに見せる。

「何があった?」

「ゴブリンアーチャーが放った矢だよ。多分希少種。
ここから少し離れた場所で、この毒矢をアディス目掛けて放ったから焦っちゃって。」

アディスは眉間に皺を寄せる。

「この間のように、魔法を使えなかったのか?」

「放った後だったから…。後の事、ライアスにマップで知らせたんだけど。……なんとかなったみたいね。」

ホログラムマップをアディスとメイジーの前に出して確認すると、ちょうどライアスがゴブリンアーチャーを討伐し終えた所だった。

「はぁ。無茶はしないでくれ。」

「嫌よ。私は私の出来る限り、仲間を守るんだから!アディスだってそうでしょう?」

眉を下げ仕方ない表情を見せるアディスは、両手剣を持ち立ち上がりながらメイジーに手を差し伸べる。
メイジーは毒矢をアイテムポーチに直し、差し伸べられた手を掴み、立ち上がったが軽い立ち眩みに見舞われてよろけてしまいアディスの手を再び力を入れて掴んだ。
アディスは再び掴まれた事に驚く。

「おい!」

「ごめん、大丈夫。」

メイジーは目の前が白い砂嵐で埋め尽くされて立ち眩みを起こし、足下がふらついてしまったのだ。すぐに収まった為、手を離そうとした所、アディスに引き止められた。

「大丈夫じゃあないだろう!魔物も討伐し終えているし、この辺りの魔物ももういないのだろう?…魔力回復ポーションを渡しておく、これを飲んでここで休んでおけ。」

手を掴み返し、心配するアディス。
周りを見渡し、魔物を討伐し終えている事を確認する。
先程ホログラムマップを見た時も、周りに魔物がいる気配はなかった。
アディスはアイテムバックから回復薬を取り出しメイジーに手渡し、木に持たれ掛けさせた後、事後処理に向かった。


メイジーはアディスの後ろ姿を見つめていると、不意にシルフィから念話で呼び掛けられた。

《ご主人様。》

《んー?》

メイジーは気の抜けた返事を返す。
すると言葉を強めて話し始めた。

《ゲームの時の様に動いては、体が持ちませんよ。私達がどれだけ心配したか、ご主人様には分からないんです。》

シルフィからガルに話を引き継がれる。

《シルフィの言う通りだ。レベルがErrorだからと言って、高いとは限らない。今回は、高レベルの魔法を二度も使い、その後すぐに連続魔法を使用しても大丈夫だったから良いものの。この立ち眩みは体力と魔力が新しい体についてこれなかった事で生じた負荷だろう。精神的なものも然りだ。》

ガルが話し終わるとディーネが加わる。

《妾達は心配で気が気じゃないのじゃ!》

従魔達に心配されメイジーは困った様に笑い、アディスから手渡された回復薬を見つめ一気に飲み干す。

《皆んな、心配掛けてごめん。ゲームの中とは違って、ここはゲームに酷似した現実世界なんだよね。日本、地球には無かった魔力という感覚を味わっているのだから、身体に負荷が掛かるのは必然。それでも、仲間の危機には助けたい。》

《でしたら仲間を頼っとぉくれやす。一人とちゃうんですから。》

コルネなりに心配しメイジーに伝える。

《…善処するよ。》

眉を下げて微笑み肩を竦める。

仕方ないな~、と左右に頭を振っていたり溜息をついていたりと従魔達の間で交わされていたのだった。

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