黒頭巾は異世界で…

雪城 いぶき

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49話 デジャブ

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「初依頼達成おめでとう!」

宿屋に入って直ぐ女将コリーナさんが出迎えてくれた。
メイジーの初依頼が無事やり遂げた事にお祝いの言葉を掛けてくれたのだ。
やはり背中をバシバシと叩くスキンシップ付きである。

「あ、ありがとう。」

「ここのテーブルが空いてる。直ぐに料理を持ってくるよ!」

コリーナさんは厨房に入って行った。



「私の背中ってそんなに叩きやすい背中をしてるんですかね?」

テーブル席につきながら独り言のように皆んなに告げる。
アディス達は顔を見合わせ笑いながら席に着く。

「女将さんの激励だな。」

「新人冒険者の励ましみたいなもんだよ。可愛い女の子が冒険者で頑張ってるっていう。」

ライアスとエヴァドネが女将コリーナの気持ちを代弁する。

可愛いは余計だよ。なんだか恥ずかしい。

メイジーは聞き慣れない単語を聞いて、なんだか恥ずかしくなるがポーカーフェイスで堪える。
でも、みんな私の事心配し過ぎだよ。

《ご主人様が無茶しないか、皆んな心配なんですよ。》

《?バズヴ?…無茶はしないよ~。だって私にだって出来ない事は出来ないもの。》

《出来ない事を出来る方法で考えますよね?》

《考えなくても思い付くのだから仕方ないよ~。》

《ご主人様!!》

《バズヴ、念話で怒鳴んないでよ~。》

《ご主人様のそういうところが心配なのです。》

《主様。》

《オルト。ディーネにもお願いしたい事があるから後でね。》

《……分かりました。》


念話を終わらせた後に、女将さんが料理を持ってやってきた。

「お待たせ!ゆっくり食べていきな!」

「頂きます!」

「「「頂きます。」」」

女将さんは首を傾げる。そこにエヴァドネが食前と食後の挨拶について話していた。


食後に飲み物を飲みながら、アディス達に話掛ける。

「今日、武器見せられなかったね。明日も森に行くんでしょう?」

「そう、だな。」

「?明日の予定、まだ決めてなかったり?」

「いや、そうじゃないんだが。」

アディスの歯切れが悪い。

どうしたんだろう?

エヴァドネが横でクスクス肩を揺らして笑っており、ライアスは片方の口角を上げて笑っている。

え?何?

「アディスはメイジーの事が心配なのよ。」

「え?まだ心配してたの?大丈夫だよ~、ほら。」

メイジーはオーバーなくらいに手振り身振りで証明する。
その動きを見て皆んな笑い出す。
アディスは、片方の口角を上げて降参とばかりに軽く両手を上げる。

「明日は森に出る。だが、メイジーの体調次第だ。」

「なんともないのに~。」

メイジーは頰を膨らませて抗議した。
またみんなで笑いだしメイジーの頭をエヴァドネが撫でるのであった。




部屋に戻り、ベッドに寝転ぶ。そこにスライムのミストが出てきてすり寄って来る。

「ミストまで心配してるの?…ゴメンね?」

プニプニ、モミモミしながらなだめる。

「主様。…主様の事が心配でなりません。私達を上手く使って下さい。」

オルトも出て来たのでベッドから起き上がり、結界を張る。

「そんなに心配する事、無いじゃない。」

「主様は無理や無茶をしやすい傾向があります。体を労って下さい。」

「わかった。気をつけるよ(多分)」

オルトはジト目で睨み、メイジーは目を逸らす。
オルトの視線に耐えきれずディーネを呼ぶ。

「ディーネ。」

「ご主人様、妾もオルトに同意じゃ。…して、どうしたのじゃ?お願いがあるとか。」

「ちょっとした事なんだけど。私が薬草を採取した後、根と少し葉と茎が残るでしょう?で、ここからがお願いなんだけど。オルトの"緑の手"で掘り出して森の浅瀬に埋め直す。その時にディーネの"癒しの水"で枯れない様にする。出来るかな…どう?」

「どう?と言われましても。」

「え?出来ない?」

「出来ますが、どうしてそこまで?」

「誰かに依頼された訳でもないのじゃ。」

「そう、なんだけど…。あの受付のお姉さんの反応を見るとね~。それに、ポーションの質が低いのって…」

そう、月虹龍のサーシャに何本ものポーションを使ったけれど、効果が少なかったのは薬草の質が悪かったのもあるんじゃないだろうか?
それにポーションの材料が無くなれば、廻り回って回復魔法が使える者に負担が掛かって私まで駆り出される恐れがある。そうなると…。

主が思考に浸っている間にオルトとディーネは肩を竦めあい頷いて、オルトが代表して伝える。

「主様、お手伝い致しますよ。」

思考に沈んでいたメイジーはオルトの声で我に返る。

「オルト、ディーネありがと。」

顔をほころばせるとオルトもディーネもつられて笑顔になる。




翌朝、日が出ないうちから目が醒める。

何故だ!?
そういう体質だと思えばいいのか!?
こうなったら開き直りだ!!

バッと起き上がり、また、バズヴにメモを頼み服を着替えて裏庭に向かう。
体をほぐし順に、体術、トンファー、鉄扇、刀と鍛錬をしていく。


いつの間にか朝日も出始め、そろそろ戻って着替えれば誰にも会わずに部屋に戻れるだろうと振り返る、いつからそこに居たのか壁にもたれかかっているアディスがいた。


へ?
何故アディスが、ここに?
え?

メイジーは混乱で固まっていた。
突然バズヴから念話ではなく声で伝えてきた。

「ご主人様のメモを持って、昨日と同じ様にテーブルの上に置きに行ったら、そのテーブルにメモが置いてあったの…。」

「俺が、朝日が出る少し前に起こしてくれと頼んだんだ。」

バズヴの話しを遮りアディスが話に割って入り、メイジーに近寄る。

「…お、おはよう?アディス。」

真剣な表情で近寄られ、動揺したメイジーは口籠もりながら挨拶をする。

デジャブだわ。これ。

一歩後ずさるがアディスに両手で顔を固定され見つめられている。

な、なんでイケメン顔を、間近で、見つめられなければいけないのーー!!

と、ボボボっと顔を赤くする。

恥ずか死ねる………。

「顔が赤い。」

誰の所為だとおもってんのーー!
そりゃそうでしょうよ!
イケメンにこんな事されたら、誰だって顔を赤くするってーの!

ここは大人の対応を…。
冷静に、冷静、に。

心臓の鼓動が聞こえるんじゃないかと思うほどドキドキしている。
まだ、アディスに顔を固定されている為、このまま話す事にした。

「顔が赤いのは誰の所為だと?」

「?」

ここで首を傾げられても困るのだが。
はぁ…。

「アディス?私の顔に固定してまで見つめなければならない何かがあるのかな?」

アディスはメイジーに言われて気付く、メイジーの頰に両手で押さえ上向きにさせている事に。

「…………あー、すまない。…ちゃんと眠っているのか目の下にクマがないか確かめたかった。」

こんな朝早くに起きて、体を動かしていたら、眠りが浅くて眠れてないのかって…たしかに誤解するよね。
だけど……

「熟睡もしているし体調も大丈夫だけど。…いつまで私の顔を固定しているのかな?」

「食堂に行っているから着替えてこい。」

メイジーに言われ、即座に手を離し背中を向け室内に戻って行った。

フードを被っていたアディスが顔をそらした瞬間、フードがなびきアディスの耳が赤かった事にメイジーはアディスの背中を見つめて固まっていた。



え!?何故アディスが恥ずかしがってんの?

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