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番外編⑷きみにはやっぱり敵わない
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あんなこともあったよな、と懐かしい出来事を思い出していた。一緒に住み始めてから、気付けばもう三年以上も経っている。
仕事を終えて自宅の前にたどり着く。扉を開けると、煮込んだ野菜とコンソメの香ばしい香りが鼻腔を擽った。
「あ、おかえりー」
ダイニングに続く扉を開くと、キッチンの方から明るい声が飛んできた。
つい先日芹がプレゼントしたばかりのエプロンを身に付けた愛しい姿が視界に飛び込んでくる。
「ただいま。似合ってるねそれ」
おたま片手に芹の方を振り向いた未紘は、照れたようにはにかんだ。
「ほんと? なんかちょっと恥ずかしい。付け方間違ってない?」
「合ってるよ。でもリボン解けそうだから、結んであげる」
芹はそう言うと、未紘の正面に近付いた。腹の前でリボンを結んでいると、未紘がそわそわとした様子で顔を覗き込んでくる。
「なに、キス待ち?」
「……っ、わかってんなら、焦らすなよ」
つんと尖らせた薄い唇は、どんな菓子よりも甘いことを知っている。リボンを結び終えると同時に顔を寄せると、柔らかい感触が胸を満たした。
薄く目を開くと、ぎゅっと目を閉じてキスを受け入れる恋人の顔が視界いっぱいに広がる。腐るほどキスをしてきたのに、未だに未紘が慣れてくれる様子はない。
それもこんな、触れるだけのものなのに。たまらなくなって、角度を変えて何度か吸い付いた後に、閉じられた唇の隙間を割って舌を入れた。
「っ、ふ、んぅ……っは、んん……」
突然入ってきた舌にびくっと肩を震わせて、おそらく無意識に芹の首に手を回してきた。無自覚にこういうことをしてくるから、芹も止まれなくなってしまう。
熱い咥内を貪り、時折舌を絡めると、気持ちよさそうにくぐもった声をあげた。頑なに目を閉じている未紘は、この間もずっと芹に観察されていることを知る由もない。
そうして散々堪能した後に唇を離すと、ようやく未紘はゆっくりと瞼を持ち上げた。
「……そこまでしろって言ってない」
「ぎゅーって抱きついてきてんの誰?」
「っ、違う、これは……っ!」
慌てて手を離す未紘を見て、自然と頬が緩んでしまう。仕事中はずっと気を張っているせいか、基本的に未紘の前では表情筋が仕事しない。
「俺らあんなにエロいことしてきてんのに、今更こんなことで恥ずかしがるの可愛いよね、未紘って」
「うるさ、経験豊富な藤城と違ってこっちは慣れてねえんだよ。……うわっ、なんか臭いと思ったら焦げそうになってんじゃん!」
突然慌て出した未紘は芹の身体を押し退けると、ばたばたとコンロの方に向かっていった。
様子を見ながら丁寧に鍋の中身をかき混ぜる様子は、すっかり様になっている。
「つーかスルーしそうになったけど、経験豊富ってなに?」
「え? だから、そのまんまの意味だってば。俺と出会う前に色々……あっただろ」
未紘は最初にちらっと視線を寄越してから、一切こちらを見なくなってしまった。
どこか寂しそうな横顔を見て、何か大きな誤解を生んでいるということに気付く。
「ないよ、おまえが初めて」
「…………?」
「誰ともしたことないよ。未紘だけ。ついでに言うなら付き合うのも初めて」
きょとんとした顔が愛らしい。基本的に仏頂面の未紘だったが、色んな表情を見せてくれるぐらいには、随分心を許してくれるようになったと思う。
「初めて? 俺が、藤城の?」
「そうだよ」
「いや、あれが初めての男のすることか……?」
彼の脳内では一体どんな回想が始まっているのだろう。恐れ慄く未紘の前で、芹は笑顔を貼り付けたまま固まってしまった。
「……なんかごめん」
「いやいいけどさ……でも嬉しい。これで嫉妬する人間いなくなった」
ふにゃりと眉を垂らして笑う顔を見て、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「可愛い、大好き」
耐え切れず心の声を漏らしながら抱き着こうとすれば、片手が伸びてきてすんでのところで制止をかけられた。
「なんで邪魔すんの?」
「いまメシ作ってるからやめて」
「未紘は俺に抱き締められたくないの?」
「そりゃされたい……けど、今は違う。キッチンは神聖な場所だから」
「さっきまで濃厚なチューしといてどの口が言ってんだよ」
未紘の手を払い除けて再び抱き着こうと試みるが、やっぱりひょいっと避けられてしまう。そのまま背を向けられてしまったからには面白くない。
そもそも自分のプレゼントした黒色のエプロン姿が悪い。ここまで似合うなんて、いや想像はしていたが、軽く想像を超えてきた。
先に風呂に入ったのだろう。いつもは左右に跳ねさせている髪はストレートに下ろされていて、やけに色っぽい。項には芹が付けた噛み痕と、首筋に無数のキスマーク。
襟ぐりの広いスウェットを着ているせいか、こんがり焼けた肌の面積が広くて目に毒だ。
「っん、なあ、危ないから……っ」
気付けば芹はその背後を陣取って、吸い寄せられるように項に唇を寄せていた。
「ちょっとだけ、俺のことは気にしないで」
「気になるだろ、ッひあっ、手ぇ入れんなばかっ」
「ほら、鍋見てないと焦げちゃうよ」
いけるかな、これ。
未紘の様子を探りながら、下から彼の服の中に手を突っ込んで指を這わす。敏感な突起を親指と人差し指でこりこりと弄ると、大袈裟に身体が震えた。
同時に張り詰めた自身を尻に擦り付けながら、脚の間に片膝を捩じ込む。未紘の股の間を膝で刺激すると、既にそこは硬くなっていた。
「神聖なキッチンで料理してんのに興奮しちゃうなんて、未紘は悪い子だね」
「んん……っばか、そんなことするから、だろ……っ!」
胸の突起を抓る手を左右に増やして責め立てると、未紘は前のめりになってがくがくと震え始めた。
膝で身体を支えながら強めに突起を引っ張り、後ろから右側の耳に舌を這わす。わざと水音を立てながら窪みに舌を突っ込むと、未紘が手に持っていたおたまがころんと床に落ちた。
「……ねえ、ベッド行こ」
耳を責めるのをやめて、耳元にそっと息を吹き込んだ。芹の方を振り向いた未紘の顔は、すっかり蕩けて緩んでいる。とろんとした目が可愛くて、その唇に触れるだけのキスを落とす。
目を閉じて受け入れていたはずなのに、急にハッとしたようにその目が見開かれた。
「行かねえよばか」
「うわっ、殴ることねえだろ」
「また藤城に騙されるところだった……!」
まるで人のことを詐欺師か何かのような言い方をしてくる。未紘はぶつくさ言いながら落ちたおたまを拾い上げた。
「もう。あんたのために美味いメシ作ってるんだから、いい子に待ってろよ」
言いながら鼻を摘まれて、面食らっている間に未紘の唇が寄せられた。ちゅ、と音を立てて重なると、すぐに離れていく。
「あとでたくさんしてもいいから、今はこれで我慢な」
未紘はそう言うと、白い歯を見せて悪戯っぽく笑った。
背を向けて再び忙しなく動き始めた後ろ姿は、記憶の中の今より少し若い頃の未紘と重なる。
未紘はすっかり料理上手になった。日々勉強しているのかレパートリーも増えて、おそらく芹よりも作れる料理の数が多い。
あの頃はまさか、自分がこんな風に誰かを愛しく思う日がくるとは思わなかった。
「ぜってー抱き潰す……」
今日のところは芹の完敗だ。
大人しく壁に寄りかかって、夕飯が出来上がるのを待つことにしよう。
仕事を終えて自宅の前にたどり着く。扉を開けると、煮込んだ野菜とコンソメの香ばしい香りが鼻腔を擽った。
「あ、おかえりー」
ダイニングに続く扉を開くと、キッチンの方から明るい声が飛んできた。
つい先日芹がプレゼントしたばかりのエプロンを身に付けた愛しい姿が視界に飛び込んでくる。
「ただいま。似合ってるねそれ」
おたま片手に芹の方を振り向いた未紘は、照れたようにはにかんだ。
「ほんと? なんかちょっと恥ずかしい。付け方間違ってない?」
「合ってるよ。でもリボン解けそうだから、結んであげる」
芹はそう言うと、未紘の正面に近付いた。腹の前でリボンを結んでいると、未紘がそわそわとした様子で顔を覗き込んでくる。
「なに、キス待ち?」
「……っ、わかってんなら、焦らすなよ」
つんと尖らせた薄い唇は、どんな菓子よりも甘いことを知っている。リボンを結び終えると同時に顔を寄せると、柔らかい感触が胸を満たした。
薄く目を開くと、ぎゅっと目を閉じてキスを受け入れる恋人の顔が視界いっぱいに広がる。腐るほどキスをしてきたのに、未だに未紘が慣れてくれる様子はない。
それもこんな、触れるだけのものなのに。たまらなくなって、角度を変えて何度か吸い付いた後に、閉じられた唇の隙間を割って舌を入れた。
「っ、ふ、んぅ……っは、んん……」
突然入ってきた舌にびくっと肩を震わせて、おそらく無意識に芹の首に手を回してきた。無自覚にこういうことをしてくるから、芹も止まれなくなってしまう。
熱い咥内を貪り、時折舌を絡めると、気持ちよさそうにくぐもった声をあげた。頑なに目を閉じている未紘は、この間もずっと芹に観察されていることを知る由もない。
そうして散々堪能した後に唇を離すと、ようやく未紘はゆっくりと瞼を持ち上げた。
「……そこまでしろって言ってない」
「ぎゅーって抱きついてきてんの誰?」
「っ、違う、これは……っ!」
慌てて手を離す未紘を見て、自然と頬が緩んでしまう。仕事中はずっと気を張っているせいか、基本的に未紘の前では表情筋が仕事しない。
「俺らあんなにエロいことしてきてんのに、今更こんなことで恥ずかしがるの可愛いよね、未紘って」
「うるさ、経験豊富な藤城と違ってこっちは慣れてねえんだよ。……うわっ、なんか臭いと思ったら焦げそうになってんじゃん!」
突然慌て出した未紘は芹の身体を押し退けると、ばたばたとコンロの方に向かっていった。
様子を見ながら丁寧に鍋の中身をかき混ぜる様子は、すっかり様になっている。
「つーかスルーしそうになったけど、経験豊富ってなに?」
「え? だから、そのまんまの意味だってば。俺と出会う前に色々……あっただろ」
未紘は最初にちらっと視線を寄越してから、一切こちらを見なくなってしまった。
どこか寂しそうな横顔を見て、何か大きな誤解を生んでいるということに気付く。
「ないよ、おまえが初めて」
「…………?」
「誰ともしたことないよ。未紘だけ。ついでに言うなら付き合うのも初めて」
きょとんとした顔が愛らしい。基本的に仏頂面の未紘だったが、色んな表情を見せてくれるぐらいには、随分心を許してくれるようになったと思う。
「初めて? 俺が、藤城の?」
「そうだよ」
「いや、あれが初めての男のすることか……?」
彼の脳内では一体どんな回想が始まっているのだろう。恐れ慄く未紘の前で、芹は笑顔を貼り付けたまま固まってしまった。
「……なんかごめん」
「いやいいけどさ……でも嬉しい。これで嫉妬する人間いなくなった」
ふにゃりと眉を垂らして笑う顔を見て、胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
「可愛い、大好き」
耐え切れず心の声を漏らしながら抱き着こうとすれば、片手が伸びてきてすんでのところで制止をかけられた。
「なんで邪魔すんの?」
「いまメシ作ってるからやめて」
「未紘は俺に抱き締められたくないの?」
「そりゃされたい……けど、今は違う。キッチンは神聖な場所だから」
「さっきまで濃厚なチューしといてどの口が言ってんだよ」
未紘の手を払い除けて再び抱き着こうと試みるが、やっぱりひょいっと避けられてしまう。そのまま背を向けられてしまったからには面白くない。
そもそも自分のプレゼントした黒色のエプロン姿が悪い。ここまで似合うなんて、いや想像はしていたが、軽く想像を超えてきた。
先に風呂に入ったのだろう。いつもは左右に跳ねさせている髪はストレートに下ろされていて、やけに色っぽい。項には芹が付けた噛み痕と、首筋に無数のキスマーク。
襟ぐりの広いスウェットを着ているせいか、こんがり焼けた肌の面積が広くて目に毒だ。
「っん、なあ、危ないから……っ」
気付けば芹はその背後を陣取って、吸い寄せられるように項に唇を寄せていた。
「ちょっとだけ、俺のことは気にしないで」
「気になるだろ、ッひあっ、手ぇ入れんなばかっ」
「ほら、鍋見てないと焦げちゃうよ」
いけるかな、これ。
未紘の様子を探りながら、下から彼の服の中に手を突っ込んで指を這わす。敏感な突起を親指と人差し指でこりこりと弄ると、大袈裟に身体が震えた。
同時に張り詰めた自身を尻に擦り付けながら、脚の間に片膝を捩じ込む。未紘の股の間を膝で刺激すると、既にそこは硬くなっていた。
「神聖なキッチンで料理してんのに興奮しちゃうなんて、未紘は悪い子だね」
「んん……っばか、そんなことするから、だろ……っ!」
胸の突起を抓る手を左右に増やして責め立てると、未紘は前のめりになってがくがくと震え始めた。
膝で身体を支えながら強めに突起を引っ張り、後ろから右側の耳に舌を這わす。わざと水音を立てながら窪みに舌を突っ込むと、未紘が手に持っていたおたまがころんと床に落ちた。
「……ねえ、ベッド行こ」
耳を責めるのをやめて、耳元にそっと息を吹き込んだ。芹の方を振り向いた未紘の顔は、すっかり蕩けて緩んでいる。とろんとした目が可愛くて、その唇に触れるだけのキスを落とす。
目を閉じて受け入れていたはずなのに、急にハッとしたようにその目が見開かれた。
「行かねえよばか」
「うわっ、殴ることねえだろ」
「また藤城に騙されるところだった……!」
まるで人のことを詐欺師か何かのような言い方をしてくる。未紘はぶつくさ言いながら落ちたおたまを拾い上げた。
「もう。あんたのために美味いメシ作ってるんだから、いい子に待ってろよ」
言いながら鼻を摘まれて、面食らっている間に未紘の唇が寄せられた。ちゅ、と音を立てて重なると、すぐに離れていく。
「あとでたくさんしてもいいから、今はこれで我慢な」
未紘はそう言うと、白い歯を見せて悪戯っぽく笑った。
背を向けて再び忙しなく動き始めた後ろ姿は、記憶の中の今より少し若い頃の未紘と重なる。
未紘はすっかり料理上手になった。日々勉強しているのかレパートリーも増えて、おそらく芹よりも作れる料理の数が多い。
あの頃はまさか、自分がこんな風に誰かを愛しく思う日がくるとは思わなかった。
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