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第2章 それぞれの夏 編
第18話 リリライト=リ=アルマイトの場合(前編)
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王立ミュリヌス学園。
夏休みの期間、学生寮は閑散とする。そこを住居とする学生がほとんど故郷で帰省するからだ。残っているのは、そもそも出身がここの近くであったり、進路関係で学校に用事がある2年生くらいのものである。
一方学園自体の方は、こちらは夏休みに入ると、にわかに慌ただしくなる。
最高評議会――聖アルマイト王国における、月1回開催される、最高の意思決定会議である。
昔は王都ユールディアの本城で開催されていた厳粛な会議だが、当代国王ヴィジオール=ド=アルマイトの意向で、毎月各地方にて開催する方針を取っている。
開催場所として選ばれるのは、国を支えるという意味で重要な意味を持つ地方ばかり。それは農工業だったり貿易拠点だったりと様々だ。
第二王女の親衛隊である白薔薇騎士団――その養成機関であるミュリヌス学園も、その理由に相違なく、毎年この時期は最高評議会の会場として国の重職が集まる。
出席者の中には、言う間でもなく最高権力者であるヴィジール王も出席する。そのためホストとなる学園関係者は、生徒は休みといっても、この時期はその準備のため1年で最も忙しい時期となる。
「――ふう」
学園の側にある邸宅の中、自身の私室にてリリライトは大きくため息をついた。
目の前の姿見には、いつもと変わらない自分の姿が映っている。長い絹のような金髪に、翠色の瞳。新しく仕立てた純白なドレスに華奢な身体を包んでいる。
「とてもお綺麗でございます。王女殿下――」
リリライトの後ろに立ち、髪を整えていた侍女がリリライトの美しさを称える。それは決してお世辞ではない感想だが、本音を言うならば、リリライトの顔立ちに残るあどけなさもあり、「美しい」というよりは「可愛らしい」といった方が正確だったが。
リリライトは微笑を浮かべながら「ありがとうございます」と侍女に礼を返す。
すると部屋のドアがノックされる。リリライトが入室の許可を出すと、また別に侍女が扉を開けて入ってきて、恭しく上半身を折り曲げた。
「カリオス王子殿下がいらっしゃいました」
「お兄様が?」
その報告に、澄ました顔をしていたリリライトはぱあっと顔を輝かせた。
そして次の瞬間、コホンと恥ずかしそうに咳ばらいをして
「えぇと、すぐに行くから応接室でお待ちいただくよう、伝えていただけますか?」
「かしこまりました」
スカートの端をつまみながら礼をして、侍女はそのままリリライトの部屋から立ち去っていく。
兄カリオス=ド=アルマイトとは、実に半年ぶりの再会だった。
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
「お兄様、お兄様ぁっ!」
パタパタとドレスのスカートをひらめかせて、息を弾ませながら兄が待つ応接室の扉を開ける。顔は興奮で上気し、はぁはぁと息を荒げている。
「よう、リリ。久しぶりだな」
部屋で待っていたのは、リリライトと顔立ちがよく似た眉目秀麗な男性。どこかしら中性的な整った顔立ちでも、雄々しい印象を受けるのは、王族の礼服の上からでも分かる程の気骨隆々とした体つきだった。そもそもその体躯も180cmを超えており、リリライトが見上げる程に大きい。
痩躯で華奢といった典型的な「深窓のお嬢様」なリリライトに対して、雄々しく猛々しいという対照的な印象を見る相手に与える――それ聖アルマイト王国第一王子にして、王位継承権第一位であるカリオス=ド=アルマイトだった。
「お久しぶりですっ! お兄様は息災でしたか?」
そう言うや否や、立ち上がってリリライトを出迎えた兄の胸に、飛び込むようにかけていく。
「っと。いいタックルだな、ははは。俺の方は、ここしばらくは戦争もなかったし、のんびり過ごしていたさ。リリの方こそ、元気だったか?」
「はい! リリも元気で過ごしておりました。勉強も武芸も政務も、サボらずに励んでおりましたよ」
「そうか。よーし、良い子だ」
胸の中のリリライトの金髪を、その逞しい手で優しく撫でるカリオス。リリライトは猫のように喉を鳴らしながら、嬉しそうな表情で頭を撫でられていた。
彼女が決して、兄以外の前では見せない表情である。そこにいるは、高貴なる王族たる身分に相応しい姫君ではなく、兄との再会を喜ぶ無邪気な少女の姿だった。
「今日は、お屋敷に泊まれるのですか?」
ひとしきり頭を撫でてもらった後、期待に満ちた顔で兄を見上げるリリライト。あまりにも眩しすぎ、太陽のような笑顔だった。
そんな眩しさに、カリオスは気まずそうに顔を背ける。
「あー、その……すまんな。明日の会議について、親父と打合せがあってだな。今夜は遅くなりそうだから、学生寮の適当な部屋を準備してもらっているんだわ」
王族――しかも次期国王の最有力候補が学生寮に宿泊するなど、勿論その中でも最高クラスの部屋が準備されているのだろうが、前代未聞である。しかし、このカリオスという王子は、これまでにも多くの「前代未聞」なことを平気でしでかしている。
今更そんなことに驚かない――というか、むしろリリライトはカリオスに似た気質を持っており、自分だって学生寮で生活したいと密かに考えていたりする。
それはさておき、リリライトはそんな兄の返答を聞くや否や、不機嫌に顔を歪ませると、ぽかぽかと擬音が聞こえるかのようにカリオスの胸を両手で叩く。
「意地悪、意地悪、意地悪っ! せっかくリリと一緒に過ごせますのにー! お兄様のばかばかばかっ!」
「はっはっは。こいつは、困ったな」
全く困ってなどいないキラキラとした笑顔で言うカリオス。妹の愛を周囲に見せつけるかのように振舞う。その部屋に、今は二人以外いなかったが。
それから、兄の事情を受け入れようとしないリリライトを、カリオスが時間をかけて(嬉しそうに)なだめながら、久々の兄妹の親交を楽しむ二人。
やがて程なくして、リリライトが落ち着いたころ合いに、リリライト付きの侍女が二人分の紅茶を持って入ってくる。第一王子と第二王子――国の超重要人物二人を前に、侍女がティーカップを持つ手が緊張に震えていた。
「――そうか、学園の方も順調か」
用意されたカップに口をつけて、カリオスは嬉しそうな表情でそう言う。
リリライトが、王都ユールディアを離れて、ここミュリヌス地方に居を移したいと言い出したのは、1年程前。
そんなことを妹が言い出したのは、王宮暮らしの窮屈な生活から解放されたかったのは明らか。自身にあてがわれた白薔薇騎士団候補生と仲良くなりたいというのも、建前且つ本心だっただろう。
リリライトから見た父と姉――国王と第一王女は猛反対をしたが、唯一カリオスはリリライトの味方のしたのだった。妹の年齢相応で何ら特別なことではない感情を尊重してやりたかった。また、王族として国民や騎士と距離が近づくことは悪いことではない、とカリオスは考えていたのだ。
兄の後押しを得て、半ば強引にここミュリヌス学園に生活の場を移したリリライトは、良い意味で父と姉の予想を裏切り、ここ1年で急速に成長した。
王宮にいる時は、部屋で読書をしたり庭で紅茶を飲んで花を愛でていたりすることが多かったリリライトだが、こちらに来てからは、鋭意的に公務をこなし、苦手な武芸にも積極的に取り組んでいるという。但し残念なことに、カリオスが聞く限りでは剣や槍の扱いについての成長は見受けられないそうだが。
ただ、そういった細々な事情よりなによりも、紅茶が運ばれてから嬉しそうにミュリヌス学園の話をするリリライトの笑顔が、何よりも嬉しかった。
どうも最近、特に親しくなった生徒がいるという。本当は夏休み前にお茶をする時間を作りたかったが、それは叶わず。休みが明けたら絶対にそれを実現させると興奮気味に言う。
そんな妹の姿を見て、カリオスはリリライトの後押しをしたのが間違いではなかったと確信する。
「ヘルベルト連合からも、変なちょっかいは受けてないか?」
リリライトの話がひと段落したところで、カリオスは口にする。それはリリライトをこの地に送り出すにあたって、唯一懸念していた政治的な不安点。
ヘルベルト連合国――聖アルマイト王国から見て南西部に領土を持つ国で、ミュリヌス学園があるミュリヌス地方は、そこの国境線近くに位置する。つい数年前まで、この両国は冷戦状態と言えるほどの険悪だった。しかし数年前に外交交渉が功を奏して、今はお互いが協力しあう同盟条約を結ぶに至ったのだ。
「はい、大丈夫ですよ。グスタフがよくやってくれています」
ティーカップをテーブルに置きながら、何ともなしにリリライトがそういう。妹が口にした側近の名前に、カリオスは僅かに表情を曇らせた。
ヘルベルト連合との外交交渉を担ったのが、実はそのグスタフなのだ。如何にしてヘルベルト連合を口説いて同盟条約を結んだのか、カリオスは知らされていない。
現実にはヘルベルト連合は条約締結後からは、それを遵守し、お互いに益が出るような良好な関係が築けている。しかし、それでもカリオスは心の底からヘルベルト連合を信用することは出来なかった。それを実現させたグスタフにも。何かがあるのではと、つい勘繰ってしまう。
そんなヘルベルト連合と地理的に近い地へ、しかも側近にはグスタフが。何か良からぬことを企んでいるのでは、それにリリライトが巻き込まれるのではと危惧してしまうのは、兄馬鹿だろうか。
「そうかぁ。いや、俺はえらい心配でな。ヘルベルト連合のことは勿論だが、あの豚野郎がリリの近くにいると思うと、どうもなあ。大丈夫か、セクハラされてないか? あのクソ野郎、王族にも誰彼構わず、平気でセクハラしやがりそうだからな」
その外見もあってから、次期国王候補から散々な評価のグスタフに、リリライトは内心で同情する。
「大丈夫ですよ。確かに、下衆でクズで獣のように本能丸出しで、鼻息が荒くて脂ぎっていていつも汗を掻いていて、女性を性的な視線でねっとり見つめて、出来れば一刻も早くこの世からその存在を抹消したくなるほど気持ち悪い男ですが、ああ見えて学園の運営や私の公務の補佐など、よくやってくれています」
「えーと……リリ?」
話題を振ったのはカリオスの方だったが――昔から知る、柔らかで純粋で無邪気な声から、意外過ぎる辛辣な言葉に数々に、カリオスは言葉を失い。
「あ、そうそう。セクハラも、私には決してしませんよ。――学園の生徒には、日常茶飯事ですけど」
「……俺の影響かなぁ」
そんな言葉をどこで覚えたかといえば、心当たりは自分しかいない。ちょっと自分の言動を見直した方がいいかな、と傷心するカリオスを見て、リリライトはようやく気付いたようだった。
「あっ……ああ。えーと……あは、あははは」
ついつい喋り出すと止まらない癖が出てしまったリリライトは口元を抑えて恥ずかしそうに笑う。
いけない、いけない――地が出すぎてしまったかな、と。
「っていうか、あの豚野郎! やっぱりクソ野郎じゃねえか。そんな奴をリリの側に置いておけるか。王子特権で左遷してやる」
「えと……お、お兄様。落ち着いて下さい。ね?」
呆気に取られていたカリオスだが、よくよく妹の話を聞けばとんでもない男だ。リリライトが直接被害を被ってないとはいえ――逆によく補佐をしてくれているようだが、そんなことは関係ない。教育上、よろしくない。きっと、リリライトの言葉使いが悪くなったのもグスタフのせいだ。そういうことにしておこう。
引き金をひいたのは自分だったが、怒りに興奮したカリオスは収まりそうもない。このままでは本当に有言実行しかねない。
リリライトが困っていると、その場の空気を冷ましたのは意外な人物だった。
「あらあら~。いいじゃないですか~。私は~、あの男はぁ~、見るところがある面白い人物だと思うよ~?」
間延びした声――聞くだけで全身が脱力してしまうようなその声に、リリライトもカリオスも、部屋のドアへ視線を滑らす。
そこには、申し訳無さそうな表情でリリライトを見て頭を下げる侍女が経っていた。
「あの申し訳ありません。リリライト殿下に、お伝えしてから案内しようかと思ったのですが、構わないとおっしゃられまして――」
つい言い訳がましく言う侍女の横に、彼女は立っていた。
リリライトやカリオスと同じ、金髪に翠色の瞳の女性。大胆に肩が露出し胸元が開いたその赤いドレスは、彼女の自慢の身体をより魅惑的に表現している。それでいて下品な空気など全くない、優雅で気品溢れる印象を見る者に与えるのは、彼女に流れる王族の血がそうさせるのだろうか。
聖アルマイト王国第一王女ラミア=リ=アルマイト。王位継承権第二位、リリライトの姉にして、カリオスのもう一人の妹である。
「ラミア姉様――」
カリオスとの会話に華を咲かせていたリリライトの表情が僅かに曇る。そんなリリライトの様子を察してか、カリオスはため息をつきながら
「ラミア、意地悪は止してやれよ」
「そうやってぇ~、兄様とリリはいつも私を仲間外れにするんですからぁ~。いつも寂しい思いをしているんですよぉ~」
聞いていると脱力せずにはいられないような声。しかしラミアを連れてきた侍女は、緊張感に包まれながら、兄弟三人の会話を見守っていた。
「そんな……仲間外れだなんて」
ボソボソと弱弱しい声でリリライトがラミアの言葉を否定する。反応した妹姫の言葉に、ラミアはにんまりと微笑みながら。
「それでぇ~、何の話でしたっけぇ~? ああ、そうそう。グスタフ卿のことでしたね~。確かに見かけはアレですけどぉ、能力は素晴らしいじゃないですかぁ~」
二人だけだった時と比べると、明らかに空気が重くなった室内。そんな空気を察していないのか、それとも察した上なのか、ラミアはのんびりとした声でケラケラと笑う。
相変わらず暗い顔をしているリリライトを見やりながら、カリオスは立ち上がって頭をぼりぼりを掻きむしる。
「それじゃ、さっさと親父の所行くぞ。明日の打ち合わせがあるだろ」
「カリオス兄様~、親父ではなく国王陛下ですよ。あと、お兄様ばかりずるいです~。私もリリと久しぶりのお話したかったのですが~」
「あ、えと……その……」
「リリはこれから所用があるんだってよ。俺もお前が来るのを待ってたんだよ。全く、遅刻なんてしやがって」
「あら? あらあらあら~。それじゃ、リリ。また明日、会議でね~」
カリオスに背中を押されて、半強制的に部屋から退室させられるラミア。彼女の身体が半身、部屋の外で出て行ったところで
「あのっ、ラミア姉様っ!」
強い口調でリリライトが呼び止める。珍しく強い語調に、カリオスもラミアも驚きの表情を見せながら動きを固まらせた。そしてリリライトは、深呼吸をするように大きく息を吸い込んで
「私は――リリライト、です」
思い切ったようにそう言うリリライト。
そんな様を見ている侍女がハッと息を飲む。部屋の空気が急速に冷え切り、止まるのが分かるようだった。気づけば脂汗を掻いている程――
そんな張り詰めた空気を破ったのはラミアだった。
「ええ、分かっていますよ。それではまたね……“リリ”」
そのまま兄を姉は扉を閉めて、部屋を後にする。
残ったのは、リリライトと侍女の二人――侍女はリリライトにはバレないように緊張を弛緩させるように全身の力を抜いた。
それに一瞬遅れるようにして、いつの間にか立ち上がっていたリリライトは、そのままストンとソファに腰を下ろした。
「リリライト殿下……」
心配そうに声を掛ける侍女。しかしリリライトはその声が届いているのかいないのか分からない様子で、ぼそりとつぶやくように言葉を零す。
「そうでしたね。お兄様だけではなく、あの人もいらっしゃるんですよね。最高評議会ですから……」
国の運営管理を任されている幹部達が一堂に集う最高評議会――その中にはリリライトを疎ましく思う立場の人間もいれば、リリライトが苦手に思う人間も少なくはない。
大好きな兄との再会にすっかり浮かれていたリリライトは、急に現実に引き戻された。カリオスと話していた時とは打って変わって、意気消沈したように、しばらくの間そのままソファに座り呆けていた。
夏休みの期間、学生寮は閑散とする。そこを住居とする学生がほとんど故郷で帰省するからだ。残っているのは、そもそも出身がここの近くであったり、進路関係で学校に用事がある2年生くらいのものである。
一方学園自体の方は、こちらは夏休みに入ると、にわかに慌ただしくなる。
最高評議会――聖アルマイト王国における、月1回開催される、最高の意思決定会議である。
昔は王都ユールディアの本城で開催されていた厳粛な会議だが、当代国王ヴィジオール=ド=アルマイトの意向で、毎月各地方にて開催する方針を取っている。
開催場所として選ばれるのは、国を支えるという意味で重要な意味を持つ地方ばかり。それは農工業だったり貿易拠点だったりと様々だ。
第二王女の親衛隊である白薔薇騎士団――その養成機関であるミュリヌス学園も、その理由に相違なく、毎年この時期は最高評議会の会場として国の重職が集まる。
出席者の中には、言う間でもなく最高権力者であるヴィジール王も出席する。そのためホストとなる学園関係者は、生徒は休みといっても、この時期はその準備のため1年で最も忙しい時期となる。
「――ふう」
学園の側にある邸宅の中、自身の私室にてリリライトは大きくため息をついた。
目の前の姿見には、いつもと変わらない自分の姿が映っている。長い絹のような金髪に、翠色の瞳。新しく仕立てた純白なドレスに華奢な身体を包んでいる。
「とてもお綺麗でございます。王女殿下――」
リリライトの後ろに立ち、髪を整えていた侍女がリリライトの美しさを称える。それは決してお世辞ではない感想だが、本音を言うならば、リリライトの顔立ちに残るあどけなさもあり、「美しい」というよりは「可愛らしい」といった方が正確だったが。
リリライトは微笑を浮かべながら「ありがとうございます」と侍女に礼を返す。
すると部屋のドアがノックされる。リリライトが入室の許可を出すと、また別に侍女が扉を開けて入ってきて、恭しく上半身を折り曲げた。
「カリオス王子殿下がいらっしゃいました」
「お兄様が?」
その報告に、澄ました顔をしていたリリライトはぱあっと顔を輝かせた。
そして次の瞬間、コホンと恥ずかしそうに咳ばらいをして
「えぇと、すぐに行くから応接室でお待ちいただくよう、伝えていただけますか?」
「かしこまりました」
スカートの端をつまみながら礼をして、侍女はそのままリリライトの部屋から立ち去っていく。
兄カリオス=ド=アルマイトとは、実に半年ぶりの再会だった。
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「お兄様、お兄様ぁっ!」
パタパタとドレスのスカートをひらめかせて、息を弾ませながら兄が待つ応接室の扉を開ける。顔は興奮で上気し、はぁはぁと息を荒げている。
「よう、リリ。久しぶりだな」
部屋で待っていたのは、リリライトと顔立ちがよく似た眉目秀麗な男性。どこかしら中性的な整った顔立ちでも、雄々しい印象を受けるのは、王族の礼服の上からでも分かる程の気骨隆々とした体つきだった。そもそもその体躯も180cmを超えており、リリライトが見上げる程に大きい。
痩躯で華奢といった典型的な「深窓のお嬢様」なリリライトに対して、雄々しく猛々しいという対照的な印象を見る相手に与える――それ聖アルマイト王国第一王子にして、王位継承権第一位であるカリオス=ド=アルマイトだった。
「お久しぶりですっ! お兄様は息災でしたか?」
そう言うや否や、立ち上がってリリライトを出迎えた兄の胸に、飛び込むようにかけていく。
「っと。いいタックルだな、ははは。俺の方は、ここしばらくは戦争もなかったし、のんびり過ごしていたさ。リリの方こそ、元気だったか?」
「はい! リリも元気で過ごしておりました。勉強も武芸も政務も、サボらずに励んでおりましたよ」
「そうか。よーし、良い子だ」
胸の中のリリライトの金髪を、その逞しい手で優しく撫でるカリオス。リリライトは猫のように喉を鳴らしながら、嬉しそうな表情で頭を撫でられていた。
彼女が決して、兄以外の前では見せない表情である。そこにいるは、高貴なる王族たる身分に相応しい姫君ではなく、兄との再会を喜ぶ無邪気な少女の姿だった。
「今日は、お屋敷に泊まれるのですか?」
ひとしきり頭を撫でてもらった後、期待に満ちた顔で兄を見上げるリリライト。あまりにも眩しすぎ、太陽のような笑顔だった。
そんな眩しさに、カリオスは気まずそうに顔を背ける。
「あー、その……すまんな。明日の会議について、親父と打合せがあってだな。今夜は遅くなりそうだから、学生寮の適当な部屋を準備してもらっているんだわ」
王族――しかも次期国王の最有力候補が学生寮に宿泊するなど、勿論その中でも最高クラスの部屋が準備されているのだろうが、前代未聞である。しかし、このカリオスという王子は、これまでにも多くの「前代未聞」なことを平気でしでかしている。
今更そんなことに驚かない――というか、むしろリリライトはカリオスに似た気質を持っており、自分だって学生寮で生活したいと密かに考えていたりする。
それはさておき、リリライトはそんな兄の返答を聞くや否や、不機嫌に顔を歪ませると、ぽかぽかと擬音が聞こえるかのようにカリオスの胸を両手で叩く。
「意地悪、意地悪、意地悪っ! せっかくリリと一緒に過ごせますのにー! お兄様のばかばかばかっ!」
「はっはっは。こいつは、困ったな」
全く困ってなどいないキラキラとした笑顔で言うカリオス。妹の愛を周囲に見せつけるかのように振舞う。その部屋に、今は二人以外いなかったが。
それから、兄の事情を受け入れようとしないリリライトを、カリオスが時間をかけて(嬉しそうに)なだめながら、久々の兄妹の親交を楽しむ二人。
やがて程なくして、リリライトが落ち着いたころ合いに、リリライト付きの侍女が二人分の紅茶を持って入ってくる。第一王子と第二王子――国の超重要人物二人を前に、侍女がティーカップを持つ手が緊張に震えていた。
「――そうか、学園の方も順調か」
用意されたカップに口をつけて、カリオスは嬉しそうな表情でそう言う。
リリライトが、王都ユールディアを離れて、ここミュリヌス地方に居を移したいと言い出したのは、1年程前。
そんなことを妹が言い出したのは、王宮暮らしの窮屈な生活から解放されたかったのは明らか。自身にあてがわれた白薔薇騎士団候補生と仲良くなりたいというのも、建前且つ本心だっただろう。
リリライトから見た父と姉――国王と第一王女は猛反対をしたが、唯一カリオスはリリライトの味方のしたのだった。妹の年齢相応で何ら特別なことではない感情を尊重してやりたかった。また、王族として国民や騎士と距離が近づくことは悪いことではない、とカリオスは考えていたのだ。
兄の後押しを得て、半ば強引にここミュリヌス学園に生活の場を移したリリライトは、良い意味で父と姉の予想を裏切り、ここ1年で急速に成長した。
王宮にいる時は、部屋で読書をしたり庭で紅茶を飲んで花を愛でていたりすることが多かったリリライトだが、こちらに来てからは、鋭意的に公務をこなし、苦手な武芸にも積極的に取り組んでいるという。但し残念なことに、カリオスが聞く限りでは剣や槍の扱いについての成長は見受けられないそうだが。
ただ、そういった細々な事情よりなによりも、紅茶が運ばれてから嬉しそうにミュリヌス学園の話をするリリライトの笑顔が、何よりも嬉しかった。
どうも最近、特に親しくなった生徒がいるという。本当は夏休み前にお茶をする時間を作りたかったが、それは叶わず。休みが明けたら絶対にそれを実現させると興奮気味に言う。
そんな妹の姿を見て、カリオスはリリライトの後押しをしたのが間違いではなかったと確信する。
「ヘルベルト連合からも、変なちょっかいは受けてないか?」
リリライトの話がひと段落したところで、カリオスは口にする。それはリリライトをこの地に送り出すにあたって、唯一懸念していた政治的な不安点。
ヘルベルト連合国――聖アルマイト王国から見て南西部に領土を持つ国で、ミュリヌス学園があるミュリヌス地方は、そこの国境線近くに位置する。つい数年前まで、この両国は冷戦状態と言えるほどの険悪だった。しかし数年前に外交交渉が功を奏して、今はお互いが協力しあう同盟条約を結ぶに至ったのだ。
「はい、大丈夫ですよ。グスタフがよくやってくれています」
ティーカップをテーブルに置きながら、何ともなしにリリライトがそういう。妹が口にした側近の名前に、カリオスは僅かに表情を曇らせた。
ヘルベルト連合との外交交渉を担ったのが、実はそのグスタフなのだ。如何にしてヘルベルト連合を口説いて同盟条約を結んだのか、カリオスは知らされていない。
現実にはヘルベルト連合は条約締結後からは、それを遵守し、お互いに益が出るような良好な関係が築けている。しかし、それでもカリオスは心の底からヘルベルト連合を信用することは出来なかった。それを実現させたグスタフにも。何かがあるのではと、つい勘繰ってしまう。
そんなヘルベルト連合と地理的に近い地へ、しかも側近にはグスタフが。何か良からぬことを企んでいるのでは、それにリリライトが巻き込まれるのではと危惧してしまうのは、兄馬鹿だろうか。
「そうかぁ。いや、俺はえらい心配でな。ヘルベルト連合のことは勿論だが、あの豚野郎がリリの近くにいると思うと、どうもなあ。大丈夫か、セクハラされてないか? あのクソ野郎、王族にも誰彼構わず、平気でセクハラしやがりそうだからな」
その外見もあってから、次期国王候補から散々な評価のグスタフに、リリライトは内心で同情する。
「大丈夫ですよ。確かに、下衆でクズで獣のように本能丸出しで、鼻息が荒くて脂ぎっていていつも汗を掻いていて、女性を性的な視線でねっとり見つめて、出来れば一刻も早くこの世からその存在を抹消したくなるほど気持ち悪い男ですが、ああ見えて学園の運営や私の公務の補佐など、よくやってくれています」
「えーと……リリ?」
話題を振ったのはカリオスの方だったが――昔から知る、柔らかで純粋で無邪気な声から、意外過ぎる辛辣な言葉に数々に、カリオスは言葉を失い。
「あ、そうそう。セクハラも、私には決してしませんよ。――学園の生徒には、日常茶飯事ですけど」
「……俺の影響かなぁ」
そんな言葉をどこで覚えたかといえば、心当たりは自分しかいない。ちょっと自分の言動を見直した方がいいかな、と傷心するカリオスを見て、リリライトはようやく気付いたようだった。
「あっ……ああ。えーと……あは、あははは」
ついつい喋り出すと止まらない癖が出てしまったリリライトは口元を抑えて恥ずかしそうに笑う。
いけない、いけない――地が出すぎてしまったかな、と。
「っていうか、あの豚野郎! やっぱりクソ野郎じゃねえか。そんな奴をリリの側に置いておけるか。王子特権で左遷してやる」
「えと……お、お兄様。落ち着いて下さい。ね?」
呆気に取られていたカリオスだが、よくよく妹の話を聞けばとんでもない男だ。リリライトが直接被害を被ってないとはいえ――逆によく補佐をしてくれているようだが、そんなことは関係ない。教育上、よろしくない。きっと、リリライトの言葉使いが悪くなったのもグスタフのせいだ。そういうことにしておこう。
引き金をひいたのは自分だったが、怒りに興奮したカリオスは収まりそうもない。このままでは本当に有言実行しかねない。
リリライトが困っていると、その場の空気を冷ましたのは意外な人物だった。
「あらあら~。いいじゃないですか~。私は~、あの男はぁ~、見るところがある面白い人物だと思うよ~?」
間延びした声――聞くだけで全身が脱力してしまうようなその声に、リリライトもカリオスも、部屋のドアへ視線を滑らす。
そこには、申し訳無さそうな表情でリリライトを見て頭を下げる侍女が経っていた。
「あの申し訳ありません。リリライト殿下に、お伝えしてから案内しようかと思ったのですが、構わないとおっしゃられまして――」
つい言い訳がましく言う侍女の横に、彼女は立っていた。
リリライトやカリオスと同じ、金髪に翠色の瞳の女性。大胆に肩が露出し胸元が開いたその赤いドレスは、彼女の自慢の身体をより魅惑的に表現している。それでいて下品な空気など全くない、優雅で気品溢れる印象を見る者に与えるのは、彼女に流れる王族の血がそうさせるのだろうか。
聖アルマイト王国第一王女ラミア=リ=アルマイト。王位継承権第二位、リリライトの姉にして、カリオスのもう一人の妹である。
「ラミア姉様――」
カリオスとの会話に華を咲かせていたリリライトの表情が僅かに曇る。そんなリリライトの様子を察してか、カリオスはため息をつきながら
「ラミア、意地悪は止してやれよ」
「そうやってぇ~、兄様とリリはいつも私を仲間外れにするんですからぁ~。いつも寂しい思いをしているんですよぉ~」
聞いていると脱力せずにはいられないような声。しかしラミアを連れてきた侍女は、緊張感に包まれながら、兄弟三人の会話を見守っていた。
「そんな……仲間外れだなんて」
ボソボソと弱弱しい声でリリライトがラミアの言葉を否定する。反応した妹姫の言葉に、ラミアはにんまりと微笑みながら。
「それでぇ~、何の話でしたっけぇ~? ああ、そうそう。グスタフ卿のことでしたね~。確かに見かけはアレですけどぉ、能力は素晴らしいじゃないですかぁ~」
二人だけだった時と比べると、明らかに空気が重くなった室内。そんな空気を察していないのか、それとも察した上なのか、ラミアはのんびりとした声でケラケラと笑う。
相変わらず暗い顔をしているリリライトを見やりながら、カリオスは立ち上がって頭をぼりぼりを掻きむしる。
「それじゃ、さっさと親父の所行くぞ。明日の打ち合わせがあるだろ」
「カリオス兄様~、親父ではなく国王陛下ですよ。あと、お兄様ばかりずるいです~。私もリリと久しぶりのお話したかったのですが~」
「あ、えと……その……」
「リリはこれから所用があるんだってよ。俺もお前が来るのを待ってたんだよ。全く、遅刻なんてしやがって」
「あら? あらあらあら~。それじゃ、リリ。また明日、会議でね~」
カリオスに背中を押されて、半強制的に部屋から退室させられるラミア。彼女の身体が半身、部屋の外で出て行ったところで
「あのっ、ラミア姉様っ!」
強い口調でリリライトが呼び止める。珍しく強い語調に、カリオスもラミアも驚きの表情を見せながら動きを固まらせた。そしてリリライトは、深呼吸をするように大きく息を吸い込んで
「私は――リリライト、です」
思い切ったようにそう言うリリライト。
そんな様を見ている侍女がハッと息を飲む。部屋の空気が急速に冷え切り、止まるのが分かるようだった。気づけば脂汗を掻いている程――
そんな張り詰めた空気を破ったのはラミアだった。
「ええ、分かっていますよ。それではまたね……“リリ”」
そのまま兄を姉は扉を閉めて、部屋を後にする。
残ったのは、リリライトと侍女の二人――侍女はリリライトにはバレないように緊張を弛緩させるように全身の力を抜いた。
それに一瞬遅れるようにして、いつの間にか立ち上がっていたリリライトは、そのままストンとソファに腰を下ろした。
「リリライト殿下……」
心配そうに声を掛ける侍女。しかしリリライトはその声が届いているのかいないのか分からない様子で、ぼそりとつぶやくように言葉を零す。
「そうでしたね。お兄様だけではなく、あの人もいらっしゃるんですよね。最高評議会ですから……」
国の運営管理を任されている幹部達が一堂に集う最高評議会――その中にはリリライトを疎ましく思う立場の人間もいれば、リリライトが苦手に思う人間も少なくはない。
大好きな兄との再会にすっかり浮かれていたリリライトは、急に現実に引き戻された。カリオスと話していた時とは打って変わって、意気消沈したように、しばらくの間そのままソファに座り呆けていた。
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