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第2章 それぞれの夏 編
第26話 2章エピローグ
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ミュリヌス学園夏休み最終日。
今日が終われば、ミュリヌス学園の夏休みは終わり、2学期が始まる。
実家に帰省した生徒の中には、始業前日の今日に学園寮に戻ってくる者も多い。夏休みの間は閑散としていた学生寮も、俄かにいつもの騒々しさを取り戻していた。
リリライトは、その学園寮の廊下を歩いていた。
特に寮に予定があったというわけではない。寮や戻ってくる生徒達の様子をうかがうために、ただなんとなく散歩しているような感じで、寮の廊下を歩み進んでいた。
いつもと変わらない優雅な純白のドレス姿で、第2王女が普通に寮内を闊歩していることに、すれ違う学生達は恐縮しながらすれ違っていく。無理もない。
そんな生徒達に、リリライトもまた笑顔で応じるのだった。
「あっ。お……王女殿下っ?」
リリライトの姿を認め、また声を掛けてくる学生が一人。声色から、やはり緊張しているのが分かる。リリライトが振り向くと、そこには
「こんにちは、アンナ。今日から寮ですか? 実家の方はいかがでしたか?」
にっこりとした――邪気や悪意といった、そんな言葉とは全く対照的な笑顔で、栗毛のツインテールの学生アンナ=ヴァルガンダルに話しかけるリリライト。
「はい。おかげさまで、この夏は実家でゆっくりと休養が出来ました。2学期からも、また勉学に励んでいきます」
他の生徒と比べると、いささか緊張は緩んでいる感じだが、それでもかしこまった礼をするアンナに、リリライトは微笑みながら
「期待していますよ。貴女の御父上には、私の兄もお世話になっているようですから。ぜひアンナにも白薔薇騎士団に入っていただきたいです」
「王女殿下にそう言っていただけるなんて、光栄です」
礼儀を欠かさないと共に、自信に満ちた凛々しい表情。体型は幼さが残りつつも、その太陽のような輝く魅力のアンナは、夏休み前と何ら変わってはいない。
リリライトは寮を訪れた目的を達成したと感じ、寮を後にしようとする。
その時――
「あ、リアラ」
リリライトの後方へ視線を見やり、アンナがそうつぶやく。リリライトは思わずその補講を見ると、廊下の先からショートカットの黒髪の学生――リアラ=リンデブルグが旅行鞄を転がしながら、こちらへ歩いていくのが見えた。
「アンナに、リリライト様。お久しぶりです」
久しぶりの再会に、リアラは笑顔を見せながら挨拶をしてくる。
「珍しいですね、リリライト様が寮のほうへお姿をお見せするなんて」
「は、はい……そ、そうですね。その……ほんの気まぐれで……」
予期していなかったリアラとの再会に、リリライトはらしくもなく取り乱した様子を見せる。
相変わらず王族の自分に親しげに接してくるリアラの態度が、やはり嬉しい。
アンナとは明らかに違う態度を見せてしまったようだが、特にアンナはそれを気にした様子はなかった。リアラと久しぶりの再会の挨拶を交わしている。
「アンナ、実家の方は大丈夫だった? ちょっと心配したんだよ」
「? 別に何もなくて、のんびりしていたけど。うーん、でものんびりしていた割にはボク、ちょっと身体が疲れている感じなんだよねー」
「…? そうなんだ? あんまり無理しちゃダメだよ」
微妙に会話が噛み合っていない二人。リリライトは内心の緊張を気取られないように努めながら、それを見守っていると
「リアラ、お帰りなさい」
ちょうど、彼女らが立ち止まっていたのがリアラとステラの部屋の近くだった。少し先の部屋のドアから、会話の声が聞こえたのだろう――ステラが姿を見せて声を掛けてくる。
彼女の、豊満な体つき、魅惑的な顔立ち。それも夏休み前と何ら変わることは無かった。
「――あ。おね……先輩」
そんなステラを見ると、リアラは頬を赤く染めて、顔を少しうつむかせる。暗く落ち込むというのではなく、どこか恥ずかしそうにしている感じだった。
そんなリアラの反応に、リリライトもアンナも首を傾げる。
「あ、ステラ先輩。聞きましたよ。何でも最高評議会中に白薔薇騎士団への入団が内定したって」
「え、ええっ? そうなの?」
場の空気を読まないアンナの問いかけに、リアラが今度は赴く。ステラは余裕のある笑みでうなずきながら二人は、今度はリリライトを見てくる。
「は、はい。そうですね……シンパとの手合わせはお見事の一言でした。といっても、私は武芸のことはからっきしですが。父上――陛下も大層お喜びになりまして、その場で決まったんですよ」
と、補足する言葉に、リアラもアンナも感心のため息を吐く。
「す、すごいなぁ! よーし、ボクも負けないように頑張らないと。ステラ先輩は2年で内定したなら、ボクは1年のうちにもらえるように頑張ろう」
相変わらず、前向きでストイックな決意をするアンナ。それに触発されたのか、リアラも意気込んだ表情を見せる。
リリライトは、アンナに対してはどこか冷たい目線を送っていた。
「それではリアラ。早く部屋にいらっしゃい。たくさんお話したいことがあるんですのよ」
「あ……は、はい」
ステラに改めて呼ばれると、リアラはフラフラとした足取りで、自分の部屋へと歩み進んでいく。それまで会話をしていた、アンナやリリライトのことも気にもかけずに。
「あ、あの……リアラ!」
そんなリアラを呼び止めるリリライトの声。声を掛けられると、リアラは足を止めて、リリライトの方へ向き変える。
「そ、その……休み前の約束――お茶の件ですが、必ず近いうちに! 2学期からも、宜しくお願いしますね」
微笑みながらリリライトがいうと、リアラも表情を緩めて、にっこりとうなずきながら。
「はい、リリライト様。こちらこそ宜しくお願いいたします」
白薔薇の騎士候補生であるリアラ=リンデブルグ。
聖アルマイト王国第2王女「純白の姫」リリライト=リ=アルマイト。
彼女らを取り巻く、ミュリヌス学園の2学期が始まろうとしていた
今日が終われば、ミュリヌス学園の夏休みは終わり、2学期が始まる。
実家に帰省した生徒の中には、始業前日の今日に学園寮に戻ってくる者も多い。夏休みの間は閑散としていた学生寮も、俄かにいつもの騒々しさを取り戻していた。
リリライトは、その学園寮の廊下を歩いていた。
特に寮に予定があったというわけではない。寮や戻ってくる生徒達の様子をうかがうために、ただなんとなく散歩しているような感じで、寮の廊下を歩み進んでいた。
いつもと変わらない優雅な純白のドレス姿で、第2王女が普通に寮内を闊歩していることに、すれ違う学生達は恐縮しながらすれ違っていく。無理もない。
そんな生徒達に、リリライトもまた笑顔で応じるのだった。
「あっ。お……王女殿下っ?」
リリライトの姿を認め、また声を掛けてくる学生が一人。声色から、やはり緊張しているのが分かる。リリライトが振り向くと、そこには
「こんにちは、アンナ。今日から寮ですか? 実家の方はいかがでしたか?」
にっこりとした――邪気や悪意といった、そんな言葉とは全く対照的な笑顔で、栗毛のツインテールの学生アンナ=ヴァルガンダルに話しかけるリリライト。
「はい。おかげさまで、この夏は実家でゆっくりと休養が出来ました。2学期からも、また勉学に励んでいきます」
他の生徒と比べると、いささか緊張は緩んでいる感じだが、それでもかしこまった礼をするアンナに、リリライトは微笑みながら
「期待していますよ。貴女の御父上には、私の兄もお世話になっているようですから。ぜひアンナにも白薔薇騎士団に入っていただきたいです」
「王女殿下にそう言っていただけるなんて、光栄です」
礼儀を欠かさないと共に、自信に満ちた凛々しい表情。体型は幼さが残りつつも、その太陽のような輝く魅力のアンナは、夏休み前と何ら変わってはいない。
リリライトは寮を訪れた目的を達成したと感じ、寮を後にしようとする。
その時――
「あ、リアラ」
リリライトの後方へ視線を見やり、アンナがそうつぶやく。リリライトは思わずその補講を見ると、廊下の先からショートカットの黒髪の学生――リアラ=リンデブルグが旅行鞄を転がしながら、こちらへ歩いていくのが見えた。
「アンナに、リリライト様。お久しぶりです」
久しぶりの再会に、リアラは笑顔を見せながら挨拶をしてくる。
「珍しいですね、リリライト様が寮のほうへお姿をお見せするなんて」
「は、はい……そ、そうですね。その……ほんの気まぐれで……」
予期していなかったリアラとの再会に、リリライトはらしくもなく取り乱した様子を見せる。
相変わらず王族の自分に親しげに接してくるリアラの態度が、やはり嬉しい。
アンナとは明らかに違う態度を見せてしまったようだが、特にアンナはそれを気にした様子はなかった。リアラと久しぶりの再会の挨拶を交わしている。
「アンナ、実家の方は大丈夫だった? ちょっと心配したんだよ」
「? 別に何もなくて、のんびりしていたけど。うーん、でものんびりしていた割にはボク、ちょっと身体が疲れている感じなんだよねー」
「…? そうなんだ? あんまり無理しちゃダメだよ」
微妙に会話が噛み合っていない二人。リリライトは内心の緊張を気取られないように努めながら、それを見守っていると
「リアラ、お帰りなさい」
ちょうど、彼女らが立ち止まっていたのがリアラとステラの部屋の近くだった。少し先の部屋のドアから、会話の声が聞こえたのだろう――ステラが姿を見せて声を掛けてくる。
彼女の、豊満な体つき、魅惑的な顔立ち。それも夏休み前と何ら変わることは無かった。
「――あ。おね……先輩」
そんなステラを見ると、リアラは頬を赤く染めて、顔を少しうつむかせる。暗く落ち込むというのではなく、どこか恥ずかしそうにしている感じだった。
そんなリアラの反応に、リリライトもアンナも首を傾げる。
「あ、ステラ先輩。聞きましたよ。何でも最高評議会中に白薔薇騎士団への入団が内定したって」
「え、ええっ? そうなの?」
場の空気を読まないアンナの問いかけに、リアラが今度は赴く。ステラは余裕のある笑みでうなずきながら二人は、今度はリリライトを見てくる。
「は、はい。そうですね……シンパとの手合わせはお見事の一言でした。といっても、私は武芸のことはからっきしですが。父上――陛下も大層お喜びになりまして、その場で決まったんですよ」
と、補足する言葉に、リアラもアンナも感心のため息を吐く。
「す、すごいなぁ! よーし、ボクも負けないように頑張らないと。ステラ先輩は2年で内定したなら、ボクは1年のうちにもらえるように頑張ろう」
相変わらず、前向きでストイックな決意をするアンナ。それに触発されたのか、リアラも意気込んだ表情を見せる。
リリライトは、アンナに対してはどこか冷たい目線を送っていた。
「それではリアラ。早く部屋にいらっしゃい。たくさんお話したいことがあるんですのよ」
「あ……は、はい」
ステラに改めて呼ばれると、リアラはフラフラとした足取りで、自分の部屋へと歩み進んでいく。それまで会話をしていた、アンナやリリライトのことも気にもかけずに。
「あ、あの……リアラ!」
そんなリアラを呼び止めるリリライトの声。声を掛けられると、リアラは足を止めて、リリライトの方へ向き変える。
「そ、その……休み前の約束――お茶の件ですが、必ず近いうちに! 2学期からも、宜しくお願いしますね」
微笑みながらリリライトがいうと、リアラも表情を緩めて、にっこりとうなずきながら。
「はい、リリライト様。こちらこそ宜しくお願いいたします」
白薔薇の騎士候補生であるリアラ=リンデブルグ。
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彼女らを取り巻く、ミュリヌス学園の2学期が始まろうとしていた
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