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第3章 欲望と謀略の秋 編
第27話 御前試合に向けて
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ミュリヌス学園2学期。
この時期、生徒達にとっては年最大のイベントである『御前試合』がある。
御前試合とは、白薔薇の騎士達が直接仕えることとなる第2王女リリライト=リ=アルマイト目の前で、学生同士がほぼ実戦に近い形式でその実力を競い合う内容の試験である。
2年生にとってはこの結果が卒業――すなわち、白薔薇騎士団への入団の可否に直接つながる程の重要なもの。1年生にとっても、リリライトに直接自分をPR出来る希少な機会であり、今後の将来を大きく左右するものだ。
2学期に入れば、生徒も教師も、共に御前試合を意識して準備を始めるようになる。自然、日々の授業にも熱が入る。
「このっ! そりゃあっ!」
鍛錬場――通称『コロッセオ』。御前試合本番と同じ会場で、何組かの学生が手合わせをしている。
手にしている武器こそ、訓練用に木で作られた物だが、持っている得物はそれぞれの得意武器。剣を持っている者もいれば、槍や杖を手にしている者も。武器でせめぎ合う組もいれば、魔術の撃合いをしている組もいる。
これはいわば御前試合の前哨戦ともいえる授業だった。生徒の得意分野などを教師が把握・分析して、本番では各々が第2王女に最高のPRが出来る組み合わせを考えるためのものである。
「――っし!」
そのコロッセオの中央よりやや南側。
体操服にブルマ姿のリアラが、刺突剣を模した木剣を手に、剣舞を舞うように剣戟を繰り出していた。
まだまだ暑い、ジリジリとした残暑がリアラの身体を照り付けている。汗を飛び散らせながらリアラが懸命に剣を奮う相手は、担当教師であるシェリー=テイチである。
「っく……このっ!」
長いストレートの茶髪が特徴的な、背の高いシュッとした美人である。目つきの鋭さと生真面目な性格からくる物腰の堅さで、自然と相手に冷たい印象を与えてしまうが、今はその表情は明らかに焦燥を見せていた。
(速いっ……これ程までに)
シェリーが手にしているのは、スタンダードな長剣。
彼女は白薔薇騎士団から、ミュリヌス学園の教師へ転属となった人物。元騎士である。そのため騎士としての実力は保証されている。
にも関わらず、教え子であるリアラに対して押され気味であった。流れるように次々と繰り出されるリアラの攻撃――視線や所作など未熟な部分があるため、その攻撃は予測が出来るのだが、いかんせん動きが速すぎる。防御に対応するので手一杯だった。
「エアリッパー!」
「っ!」
シェリーが魔法の詠唱を口にすると、リアラはいち早く反応し、後ろ向きにバク転をするように後ずさる。曲芸師の如き運動能力。
リアラがいた場所に一瞬遅れて、見えない風の刃が地面を刻む。
直撃したとしても深手は負わない程度に威力は手加減しているが、回避をする程に発動を遅らせたつもりはない。
「全く、とんでもない生徒だな」
リアラと間合いが開いたシェリーは手にした長剣を握りなおす。普段は無表情が多いその顔には、僅かに笑みのようなものが零れていた。
少なくとも、自分の学生時代とは雲泥の差だ。末恐ろしい実力と才能。
今までの教え子の中でも突出した才覚の生徒を相手に、シェリーの教師としての気概が奮いあがる。
間合いを保ったまま、リアラは刺突剣を持った手を下に垂らしていると、不意にその場で跳躍を始める。小さい跳躍を、何度も。まるでリズムを取るように。
「……聖魔法か!」
最初は怪訝にそれを見守っていたシェリーが勘付いて、更に間合いを取るべき後ろに下がる。
――が、それを上回る速度で更にリアラが間合いを詰めていく。
音速よりも、光速よりも速い――神速。
シェリーの頭にそんな言葉が浮かぶ。
リアラの目線が真っ直ぐシェリーの喉元を射抜く。刺突剣で狙う一突きは急所のその1点。このタイミングでは、シェリーは剣で防御することは不可能なはず。
「っつう!」
しかし痛みに顔をしかめたのはリアラの方だった。剣先をシェリーの喉元へ突き出そうとしたその瞬間、シェリーは即座に長剣を捨てる。そして、刺突剣を持つリアラの手を、上下から潰すように、両手の拳を叩きつける。
痛みでリアラの手から力が抜け、刺突剣を地面に落とす。そのまま体勢を崩し、隙だらけとなった彼女の顔面に、シェリーの掌底が突き出されて――
それはリアラの顔面を砕く、その寸前で止められた。
「――参りました」
掌底に遅れて吹き付けられた風がリアラの黒髪を撫でる。
降参の言を吐いたリアラは、そこで緊張を緩ませて残念そうに苦笑する。そしてシェリーも腕を下げながら、満足そうに微笑んでいた。
「私に格闘術まで使わせるとは、大したものだ。正直、現役騎士と比べても遜色ないぞ」
「ありがとうございます」
笑いつつも、胸中は悔しさでいっぱいだろう。この娘はそういう人間だ、とシェリーは理解していた。
優等生の彼女のことだ。元騎士にして教師であるシェリーよりも、自分が勝っているなどという奢りはないだろう。それでも、全力を出した結果――相手が誰であろうと、あと一歩及ばなかったことは、やはり悔しいはずだ。
それは奢りではなく自信。そして向上心を持っているからこそ湧き上がる感情。これからこの生徒はますます強くなるだろう。自分など及ぶべくもないくらい。
「せっかくお前には聖魔法という珍しい才能がある。だからこそ、それに頼らなくて済むように戦闘の幅を広げれば、そうそうお前に敵う相手などいないだろう」
シェリーはリアラにそうアドバイスする。
聖魔法とは魔法の中でも扱える人間が少ない希少な分野の魔法。相手を攻撃したり、物を破壊したりする魔法が多い中、人の治癒や物を修復する効果の魔法を聖魔法と呼ぶ。また人を癒すだけではなく、身体能力を強化する物も聖魔法に含まれる。
相手を直接攻撃する通常の魔法と違い、聖魔法は己の身体や味方に作用する効果のため、相対する相手には基本的にそれを止めることは出来ない。聖魔法による身体能力の強化はかなり強力なため、特に1対1の対人戦ではかなり有効である。正攻法であるが故に、これといった対策も立てられない。
リアラは今のところ聖魔法を剣術に組み込んでいるが、これが他の物――例えばたった今シェリーが使った格闘術などにも組み込むなど、その応用範囲が広がっていけば、教師でも手がつけられなくなるだろう。
「とんだ化け物だな、全く」
「ええと、私一応女の子なので、化け物なんて言われるとちょっと傷つきます」
手合わせを終えた2人は、タオルで汗を拭いながら冗談で笑い合う。
「というか、お前以外にもまだ化け物はいたな。本当にここ数年は逸材だらけだな」
「それって……?」
「2年首席のステラ=ストールさ。お前も聞いただろう? 最高評議会中の余興で騎士団内定が出るなんて、異例中の異例だよ。ま、私も見ていたが、ああいうのが本当の天才っていうんだろうな」
タオルに顔をうずめながら、シェリーはシンパとステラの模擬戦の様子を思い返す。白薔薇騎士団の頂点に立つ騎士団長シンパ=レイオール。あの年齢で現役騎士団長の座についているのは、れっきとした実力の裏付けがあるからだ。それこそ、一教師であるシェリーなど到底及ばない。
それを、ステラは互角以上に渡り合っていた。それも余裕を残した表情で。
むしろシンパの方に余裕がないようにも見えた。それは、あの余興の場で現役騎士団長が学生に負けるなどと、あってはならないプレッシャーもあったろう。
しかし、それを差し引いたとしても。あのままステラが本気を出していたならば、ひょっとすると――
「いいや、馬鹿らしい。そんなわけがあるものか」
リアラには聞こえないように独り言を零すシェリーは、首を横に振る。
「やっほー! リアラ、終わったー?」
と、能天気な声がシェリーとリアラの間の空気を打ち砕く。
向こう側から駆けてくるのはアンナだ。
1年首席である彼女も相手も、リアラと同じく学生では務まる相手がおらず、教師が相手をしていたはずだ。Ⅰ組の副担任で、シェリーの同僚でもあるミリア=レクチリアが。
「うわ~ん、シェリー。負けちゃいましたぁ~」
駆けてくるアンナの少し後ろには、地面に膝をついて泣き喚いている同僚の姿が。顔にも服にも土がつけられている。文字通り、生徒のアンナに土をつけられたのだろう。
「あんたねぇ」
大きくため息をつくシェリー。
相性を見て、アンナにはやり辛い相手をマッチングしたつもりだったが、まさか打倒されてしまうとは。
教師が生徒に負けるなど結構大事のはずなのに、ミリアの雰囲気のせいか、どこか能天気に感じられてしまう。
「え、ミリア先生に勝ったの?」
「うん、何とかねー。でもさすがミリア先生だったよ。少しでも油断してたら、ボクがやられてた」
「す、すごいね」
そういう割には、ミリアと違ってアンナの服は綺麗なものだった。せいぜい汗で濡れているくらいか。
そんなアンナの軽さもあってか、シェリーもリアラも驚きながら苦笑するしかなかった。
「本当にお前らは末恐ろしい生徒だな。白薔薇よりも龍牙騎士団に入った方がいいんじゃないのか。何ならルエール騎士団長に推薦してやろうか?」
地面にへたりこんでいるミリアを励ましながら――まだミリアはえぐえぐと泣いていたが――シェリーは冗談交じりに言う。
「私は戦争がしたいわけではなく、王女殿下をお守りしたいので白薔薇の騎士を目指します」
真面目な優等生らしい言葉をリアラが返す。
対してアンナは、自由奔放な性格そのままに。
「お父様と同じ騎士団はちょっとやり辛いですから遠慮しておきます。それに、ボクの目標はシンパ騎士団長なのでっ! 同じ女性で、あんなに強いなんて憧れますっ!」
と、目をキラキラと輝かせて答える。
「まあいいが。とりあえず、今日も暑いからな。水分補給は怠るなよ」
そんな教師らしい注意に、リアラもアンナも真面目に「はい」と返事をしながら、授業は終わりの時間を迎えた。
この時期、生徒達にとっては年最大のイベントである『御前試合』がある。
御前試合とは、白薔薇の騎士達が直接仕えることとなる第2王女リリライト=リ=アルマイト目の前で、学生同士がほぼ実戦に近い形式でその実力を競い合う内容の試験である。
2年生にとってはこの結果が卒業――すなわち、白薔薇騎士団への入団の可否に直接つながる程の重要なもの。1年生にとっても、リリライトに直接自分をPR出来る希少な機会であり、今後の将来を大きく左右するものだ。
2学期に入れば、生徒も教師も、共に御前試合を意識して準備を始めるようになる。自然、日々の授業にも熱が入る。
「このっ! そりゃあっ!」
鍛錬場――通称『コロッセオ』。御前試合本番と同じ会場で、何組かの学生が手合わせをしている。
手にしている武器こそ、訓練用に木で作られた物だが、持っている得物はそれぞれの得意武器。剣を持っている者もいれば、槍や杖を手にしている者も。武器でせめぎ合う組もいれば、魔術の撃合いをしている組もいる。
これはいわば御前試合の前哨戦ともいえる授業だった。生徒の得意分野などを教師が把握・分析して、本番では各々が第2王女に最高のPRが出来る組み合わせを考えるためのものである。
「――っし!」
そのコロッセオの中央よりやや南側。
体操服にブルマ姿のリアラが、刺突剣を模した木剣を手に、剣舞を舞うように剣戟を繰り出していた。
まだまだ暑い、ジリジリとした残暑がリアラの身体を照り付けている。汗を飛び散らせながらリアラが懸命に剣を奮う相手は、担当教師であるシェリー=テイチである。
「っく……このっ!」
長いストレートの茶髪が特徴的な、背の高いシュッとした美人である。目つきの鋭さと生真面目な性格からくる物腰の堅さで、自然と相手に冷たい印象を与えてしまうが、今はその表情は明らかに焦燥を見せていた。
(速いっ……これ程までに)
シェリーが手にしているのは、スタンダードな長剣。
彼女は白薔薇騎士団から、ミュリヌス学園の教師へ転属となった人物。元騎士である。そのため騎士としての実力は保証されている。
にも関わらず、教え子であるリアラに対して押され気味であった。流れるように次々と繰り出されるリアラの攻撃――視線や所作など未熟な部分があるため、その攻撃は予測が出来るのだが、いかんせん動きが速すぎる。防御に対応するので手一杯だった。
「エアリッパー!」
「っ!」
シェリーが魔法の詠唱を口にすると、リアラはいち早く反応し、後ろ向きにバク転をするように後ずさる。曲芸師の如き運動能力。
リアラがいた場所に一瞬遅れて、見えない風の刃が地面を刻む。
直撃したとしても深手は負わない程度に威力は手加減しているが、回避をする程に発動を遅らせたつもりはない。
「全く、とんでもない生徒だな」
リアラと間合いが開いたシェリーは手にした長剣を握りなおす。普段は無表情が多いその顔には、僅かに笑みのようなものが零れていた。
少なくとも、自分の学生時代とは雲泥の差だ。末恐ろしい実力と才能。
今までの教え子の中でも突出した才覚の生徒を相手に、シェリーの教師としての気概が奮いあがる。
間合いを保ったまま、リアラは刺突剣を持った手を下に垂らしていると、不意にその場で跳躍を始める。小さい跳躍を、何度も。まるでリズムを取るように。
「……聖魔法か!」
最初は怪訝にそれを見守っていたシェリーが勘付いて、更に間合いを取るべき後ろに下がる。
――が、それを上回る速度で更にリアラが間合いを詰めていく。
音速よりも、光速よりも速い――神速。
シェリーの頭にそんな言葉が浮かぶ。
リアラの目線が真っ直ぐシェリーの喉元を射抜く。刺突剣で狙う一突きは急所のその1点。このタイミングでは、シェリーは剣で防御することは不可能なはず。
「っつう!」
しかし痛みに顔をしかめたのはリアラの方だった。剣先をシェリーの喉元へ突き出そうとしたその瞬間、シェリーは即座に長剣を捨てる。そして、刺突剣を持つリアラの手を、上下から潰すように、両手の拳を叩きつける。
痛みでリアラの手から力が抜け、刺突剣を地面に落とす。そのまま体勢を崩し、隙だらけとなった彼女の顔面に、シェリーの掌底が突き出されて――
それはリアラの顔面を砕く、その寸前で止められた。
「――参りました」
掌底に遅れて吹き付けられた風がリアラの黒髪を撫でる。
降参の言を吐いたリアラは、そこで緊張を緩ませて残念そうに苦笑する。そしてシェリーも腕を下げながら、満足そうに微笑んでいた。
「私に格闘術まで使わせるとは、大したものだ。正直、現役騎士と比べても遜色ないぞ」
「ありがとうございます」
笑いつつも、胸中は悔しさでいっぱいだろう。この娘はそういう人間だ、とシェリーは理解していた。
優等生の彼女のことだ。元騎士にして教師であるシェリーよりも、自分が勝っているなどという奢りはないだろう。それでも、全力を出した結果――相手が誰であろうと、あと一歩及ばなかったことは、やはり悔しいはずだ。
それは奢りではなく自信。そして向上心を持っているからこそ湧き上がる感情。これからこの生徒はますます強くなるだろう。自分など及ぶべくもないくらい。
「せっかくお前には聖魔法という珍しい才能がある。だからこそ、それに頼らなくて済むように戦闘の幅を広げれば、そうそうお前に敵う相手などいないだろう」
シェリーはリアラにそうアドバイスする。
聖魔法とは魔法の中でも扱える人間が少ない希少な分野の魔法。相手を攻撃したり、物を破壊したりする魔法が多い中、人の治癒や物を修復する効果の魔法を聖魔法と呼ぶ。また人を癒すだけではなく、身体能力を強化する物も聖魔法に含まれる。
相手を直接攻撃する通常の魔法と違い、聖魔法は己の身体や味方に作用する効果のため、相対する相手には基本的にそれを止めることは出来ない。聖魔法による身体能力の強化はかなり強力なため、特に1対1の対人戦ではかなり有効である。正攻法であるが故に、これといった対策も立てられない。
リアラは今のところ聖魔法を剣術に組み込んでいるが、これが他の物――例えばたった今シェリーが使った格闘術などにも組み込むなど、その応用範囲が広がっていけば、教師でも手がつけられなくなるだろう。
「とんだ化け物だな、全く」
「ええと、私一応女の子なので、化け物なんて言われるとちょっと傷つきます」
手合わせを終えた2人は、タオルで汗を拭いながら冗談で笑い合う。
「というか、お前以外にもまだ化け物はいたな。本当にここ数年は逸材だらけだな」
「それって……?」
「2年首席のステラ=ストールさ。お前も聞いただろう? 最高評議会中の余興で騎士団内定が出るなんて、異例中の異例だよ。ま、私も見ていたが、ああいうのが本当の天才っていうんだろうな」
タオルに顔をうずめながら、シェリーはシンパとステラの模擬戦の様子を思い返す。白薔薇騎士団の頂点に立つ騎士団長シンパ=レイオール。あの年齢で現役騎士団長の座についているのは、れっきとした実力の裏付けがあるからだ。それこそ、一教師であるシェリーなど到底及ばない。
それを、ステラは互角以上に渡り合っていた。それも余裕を残した表情で。
むしろシンパの方に余裕がないようにも見えた。それは、あの余興の場で現役騎士団長が学生に負けるなどと、あってはならないプレッシャーもあったろう。
しかし、それを差し引いたとしても。あのままステラが本気を出していたならば、ひょっとすると――
「いいや、馬鹿らしい。そんなわけがあるものか」
リアラには聞こえないように独り言を零すシェリーは、首を横に振る。
「やっほー! リアラ、終わったー?」
と、能天気な声がシェリーとリアラの間の空気を打ち砕く。
向こう側から駆けてくるのはアンナだ。
1年首席である彼女も相手も、リアラと同じく学生では務まる相手がおらず、教師が相手をしていたはずだ。Ⅰ組の副担任で、シェリーの同僚でもあるミリア=レクチリアが。
「うわ~ん、シェリー。負けちゃいましたぁ~」
駆けてくるアンナの少し後ろには、地面に膝をついて泣き喚いている同僚の姿が。顔にも服にも土がつけられている。文字通り、生徒のアンナに土をつけられたのだろう。
「あんたねぇ」
大きくため息をつくシェリー。
相性を見て、アンナにはやり辛い相手をマッチングしたつもりだったが、まさか打倒されてしまうとは。
教師が生徒に負けるなど結構大事のはずなのに、ミリアの雰囲気のせいか、どこか能天気に感じられてしまう。
「え、ミリア先生に勝ったの?」
「うん、何とかねー。でもさすがミリア先生だったよ。少しでも油断してたら、ボクがやられてた」
「す、すごいね」
そういう割には、ミリアと違ってアンナの服は綺麗なものだった。せいぜい汗で濡れているくらいか。
そんなアンナの軽さもあってか、シェリーもリアラも驚きながら苦笑するしかなかった。
「本当にお前らは末恐ろしい生徒だな。白薔薇よりも龍牙騎士団に入った方がいいんじゃないのか。何ならルエール騎士団長に推薦してやろうか?」
地面にへたりこんでいるミリアを励ましながら――まだミリアはえぐえぐと泣いていたが――シェリーは冗談交じりに言う。
「私は戦争がしたいわけではなく、王女殿下をお守りしたいので白薔薇の騎士を目指します」
真面目な優等生らしい言葉をリアラが返す。
対してアンナは、自由奔放な性格そのままに。
「お父様と同じ騎士団はちょっとやり辛いですから遠慮しておきます。それに、ボクの目標はシンパ騎士団長なのでっ! 同じ女性で、あんなに強いなんて憧れますっ!」
と、目をキラキラと輝かせて答える。
「まあいいが。とりあえず、今日も暑いからな。水分補給は怠るなよ」
そんな教師らしい注意に、リアラもアンナも真面目に「はい」と返事をしながら、授業は終わりの時間を迎えた。
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