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1人目 『宣託の神官』ミルティアー②
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私ミルティアは、山奥の村で『宣託の神官』という役職についています。
両親は、代々続くフォルトゥナ教の敬虔な信者でしたが、ごく平凡な1教徒でした。
ところが私は数百年に1度生まれるという、女神フォルトゥナ様からの特別な力を受け継いで生まれたのです。
それは、この世界の危機を救う英雄を異世界より召喚する力。
召喚した英雄に、女神フォルトゥナからの宣託ーーすなわちこの世界を救うことを告げる神官として、『宣託の神官』という名を与えられました。
私のような召喚能力を持った人間が生まれたということは、すなわちこの世界が危機に瀕しているということです。
そんなフォルトゥナ教の言い伝えに従い、儀式として定められたその日に、私は召喚の儀を執り行いました。
「ぬおおお。こ、ここは一体ーー」
神殿内の床に描かれた魔方陣から、眩い光と共に現れた『英雄』様は、正直私が思い描いていたイメージとは大きく異なった方でした。
まずは年齢が思った以上に高く、見た目は40歳後半~50歳といったところでしょうか。身体も戦士のように鍛え抜かれているわけではなく、だからといって魔術師のように華奢で細いわけではなく、怠惰な貴族のようにでっぷりと肥え太った方でした。そして何より、そのギラついた瞳が何とも不気味な感じがしたのですが--
人を外見で判断することなどいけません。女神フォルトゥナ様も、その方に宿る真の人間性は内面に、心に宿るといいます。
英雄様を一目見て、自分の中に湧き上がった負の感情を振り払い、私は精一杯の笑みで迎えました。
「ようこそ、聖霊界『イシスタ』へ。英雄様のお名前を聞かせていただいてもよろしいですか?」
「せ……セイレイカイ? それにイシスタ……? なんと、あの女神とかいうの、頭のおかしい厨二病じゃ無かったんじゃなあ」
腰を着いた状態で、突然の状況に戸惑っている様子の英雄様は、私の言葉を聞いて立ち上がると、お尻をポンポンと叩きながら立ち上がります。
もしかすると召喚される前にフォルトゥナ様とご対面されたのでしょうか。
あの清廉で高潔なる、この世界の創造主でもあるフォルトゥナ様のお姿をお目に出来るなんて、なんという羨ましい名誉でしょうか!
「ワシは、栗栖孝弘じゃ。タカヒロ、と呼んで下され。神官様」
召喚されたばかりだというのに、あまり戸惑いも見せない英雄ーータカヒロ様。もしかすると私の宣託の前に、既にフォルトゥナ様から事の次第をお耳に入れているのでしょうか。だとしても、この落ち着きよう……頼もしい限りです。
「私は『宣託の神官』ミルティアと申します。タカヒロ様、貴方を召喚したのは故あってのことなのです。どうか、この世界の危機を救っていただけないでしょうか」
胸の前で手を組み、英雄様に懇願します。
今、この世界では『魔王』と名乗る悪魔が魔界より現れて、魔界の軍勢を引き連れて精霊界を侵略しています。魔界の軍勢の力は圧倒的で、名だたる国家は滅ぼされ、既に人類圏の半分以上が魔王の手に落ちてしまいました。
この窮地を救えるのは異世界の英雄様だけ--私は、そんな人類の希望を背負い、この度の英雄召喚に臨んだのです。
タカヒロ様は、私の懇願に少し考えるような素振りをしています。
「ふむふむ、なるほどのう」
う。
なんか、ジロジロと私の方を見てきています。
頭の上から足の先まで、まるで全身をねっとりとした視線で見られるその感覚は……あの、言ってはいけないことなんですが、正直気持ち悪いです。
私がそんなタカヒロ様の視線にビクビクしていると、やがてにっこりと笑います。
正直素敵な笑顔とは言えないのですが、その表情は私の懇願の肯定だと思い、私は顔を輝かせます。
「勿論、構いませんぞ。女神フォルティーナ様からもうかがっております。この勇者タカヒロ、魔王を打ち倒すべく、全力を尽くしますぞ」
……微妙に、フォルトゥナ様の名前を間違えているのが気になりますが。
こちらの世界に来たばかりですから、仕方ありません。
「タカヒロ様、女神さまのお名前は”フォルトゥナ”様です」
「おっと、そうでしたか。これは失礼。ぐひひひひ」
--なんか、やっぱり事前の英雄像と違い過ぎるその個性的な笑みに、正直私は引きながらも、それでも快く私の願いを受け入れてくれたタカヒロ様に失礼がないように、笑顔を返しました。若干引きつっていたかもしれません。
ふと周りを見ると、他の教徒はあからさまにタカヒロ様に対して嫌悪感をあらわにしていました。
人を外見で判断するなど、これはいけません。後で注意しなくてはいけませんね。
正直言うと気持ちは分からなくもないのですが、タカヒロ様はこの世界を救って下さる英雄様です。私たちが全力で支えなければならない方なのです。
「ミルティア様。今日のところは、ワシゃとりあえずゆっくりと休みたいんじゃが。寝床と飯を準備してくれんかのう」
「はい、勿論ですタカヒロ様。今日のところはゆっくりお休みください」
そんなタカヒロ様の堂々たる態度に、その場にいた他の教徒達が彼に向ける嫌悪はますます強くなっていくようでした。
▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼
タカヒロ様には、村の中にある使われていない廃屋を使っていただくことになりました。
廃屋とはいっても、日ごろから最低限の手入れはしており、人が寝泊まりするに必要な清掃などを行い、タカヒロ様がお休みになられる場所にしていただきました。
正直、大切なお客様を歓迎するには失礼にすら値する程なのですが、タカヒロ様は嫌な顔などせずに、そこを使っていただくことを受け入れて下さいました。
村を上げての歓待をしようと思ったのですが、タカヒロ様は疲れているからという理由で固辞されました。
代わりというわけではないですが、私が夕食をお持ちするということで、日が暮れかける頃、タカヒロ様がお休みになられている廃屋へと立ち寄ったところ。
「お、おお……ミルティア様ですか……ふおおおっ!」
中に入って、私は驚愕して、思わず開いた口を閉じられませんでした。
何と、中ではタカヒロ様が丸裸で……その、男性のアレを手で……何かしら刺激していたのです。
「ど、どうぞ……中にお入り下さいっ! ぶひぃぃぃっ!」
まるで獣のような声を出しながら、私を招くタカヒロ様。
「な、何を……何をなさっているのですか? タカヒロ様?」
思わずお持ちした夕食を床にこぼしてしまいました。
それよりも目にした光景が信じられません。
男の方の……その、男性器を見たことは、幼い頃に父のものを見たことくらいで。
それに、あの時はあんなに大きくはなかったし、何か濡れている?
「ぐひひひ。何って、オナニーですよ。オナニー」
おな……?
その単語の意味が全く分かりません。
タカヒロ様の世界での専門用語でしょうか?
意味は分かりませんが……何故か、その言葉は私の耳にこびりつくようになり、聞いていると胸がどきどきとしてきます。
「さ、ドアを閉めて入ってきてください。ああ、こぼした飯はそのままでいいですぞ。後でワシが掃除しておきましょう」
タカヒロ様はなおも男性器を弄って……よく見ると擦っているようです。
息も荒げており、声も必死な感じがするのですが……痛くないのでしょうか?
しかし、その姿が、何故か私には逞しく思えました。
私はぼーっとしながら、タカヒロ様の言う通り、建物のドアを閉めてから部屋の中に入ります。
「あ、あの……タカヒロ様。おなにー、とは一体何なんでしょうか?」
「ぶひぃぃぃぃっ!」
私がそういうと、タカヒロ様は豚のような声を出して、更に男性器を激しく擦ります。
「あ、あのっ! 大丈夫でしょうか?」
「だ、大丈夫じゃあ! み、ミルティア様。もう1度言って下さい。今、なんと言いましたか?」
「え、えぇと……おなにーとは一体ーー」
「ぶひぃぃぃ!」
どうやら「おなにー」という言葉に反応しているようです。
よく見ると、男性器の先からぴゅっと透明な液体が出ています。
うう、正直気持ち悪い……はずなのに、何故か私はその男性器から目が離せませんでした。
「ぐひひひ。ミルティア様は、これに興味深々ですかのぅ?」
私の視線に気づいたタカヒロ様が、まるで見せつけるように、男性器をぶらぶらと揺らしてきます。
その亀の頭のような先端部はこちらに向けられていて、溢れてきた透明な液体で表面がヌメっています。
生理的な嫌悪を感じてしまい、思わず私は顔をしかめるのですが……そこから発する得体のしれない匂いに、私に心臓の鼓動はどんどん速くなっていくのです。
何か、お腹の底が熱く疼くような違和感もあります。
「オナニーとは、人間が幸せになるために必要な儀式ーーみたいなものですじゃ」
「はあ……幸せになるための……」
そのような名前も、タカヒロ様がされていた行為も、聞いたことも見たこともない。タカヒロ様の世界の宗教の儀式ということだろうか。
「今、この世界は魔王に支配されて絶望に包まれておる。そんな今だからこそ、人間1人1人が幸せになることが大切ですじゃろう?」
「っ! そ、それは勿論そうです!」
やはりタカヒロ様は英雄様です。とても良いことをおっしゃいます。
「だから、オナニーもこの時代だからこそ、必要な儀式なのですじゃ。誰もが、この絶望的な時代で幸せになるための大切な行為なのですぞ」
「そ、そうなのですか?」
なんだか、タカヒロ様の「おなにー」を見てから、頭が上手く働かないような気がします。
あんな裸になって性器を弄ることが幸せ? みんなに幸せになるために必要なこと?
そんなことがあるわけがないのに、私はどうしてか、タカヒロ様のその言葉に聞き入ってしまいます。
「どうもミルティア様は半信半疑のようですじゃな」
「い、いえっ! そんなことは……ただ、全く未知のことですので。なんというか……あうう……」
そもそも自らの恥部を見られて、タカヒロ様は恥ずかしくないのだろうか。英雄様だからこそ、気にならないのだろうか。自信満々に言ってくるタカヒロ様に、私が思う常識の方が間違っていると思うようになってきます。
「ふむ、なるほど。では、ミルティア様もやってみるといいですぞ。宣託の神官たる貴女自身が、オナニーによる幸せをまず享受することですじゃ。そうすることで、フォールディア様の神官たる本分ーー皆を幸せにすることも出来るでしょう」
タカヒロ様がまたフォルトゥナ様の名前を間違っているのは、もう気になりませんでした。それよりも自分自身が「おなにー」をすると思うと、心臓が爆発しそうで、それ以外のことは考えられません。
「で、でもっ! やったこともないですし……どうすればいいのか」
「ぐひひひ。安心して下され。オナニーは男女一緒にやることで、その効果を抜群に高められるのですじゃ。ワシが手取り足取り、ご指導させていただきますぞ」
--これが、昨夜のタカヒロ様と私のやり取りの一部始終です。
両親は、代々続くフォルトゥナ教の敬虔な信者でしたが、ごく平凡な1教徒でした。
ところが私は数百年に1度生まれるという、女神フォルトゥナ様からの特別な力を受け継いで生まれたのです。
それは、この世界の危機を救う英雄を異世界より召喚する力。
召喚した英雄に、女神フォルトゥナからの宣託ーーすなわちこの世界を救うことを告げる神官として、『宣託の神官』という名を与えられました。
私のような召喚能力を持った人間が生まれたということは、すなわちこの世界が危機に瀕しているということです。
そんなフォルトゥナ教の言い伝えに従い、儀式として定められたその日に、私は召喚の儀を執り行いました。
「ぬおおお。こ、ここは一体ーー」
神殿内の床に描かれた魔方陣から、眩い光と共に現れた『英雄』様は、正直私が思い描いていたイメージとは大きく異なった方でした。
まずは年齢が思った以上に高く、見た目は40歳後半~50歳といったところでしょうか。身体も戦士のように鍛え抜かれているわけではなく、だからといって魔術師のように華奢で細いわけではなく、怠惰な貴族のようにでっぷりと肥え太った方でした。そして何より、そのギラついた瞳が何とも不気味な感じがしたのですが--
人を外見で判断することなどいけません。女神フォルトゥナ様も、その方に宿る真の人間性は内面に、心に宿るといいます。
英雄様を一目見て、自分の中に湧き上がった負の感情を振り払い、私は精一杯の笑みで迎えました。
「ようこそ、聖霊界『イシスタ』へ。英雄様のお名前を聞かせていただいてもよろしいですか?」
「せ……セイレイカイ? それにイシスタ……? なんと、あの女神とかいうの、頭のおかしい厨二病じゃ無かったんじゃなあ」
腰を着いた状態で、突然の状況に戸惑っている様子の英雄様は、私の言葉を聞いて立ち上がると、お尻をポンポンと叩きながら立ち上がります。
もしかすると召喚される前にフォルトゥナ様とご対面されたのでしょうか。
あの清廉で高潔なる、この世界の創造主でもあるフォルトゥナ様のお姿をお目に出来るなんて、なんという羨ましい名誉でしょうか!
「ワシは、栗栖孝弘じゃ。タカヒロ、と呼んで下され。神官様」
召喚されたばかりだというのに、あまり戸惑いも見せない英雄ーータカヒロ様。もしかすると私の宣託の前に、既にフォルトゥナ様から事の次第をお耳に入れているのでしょうか。だとしても、この落ち着きよう……頼もしい限りです。
「私は『宣託の神官』ミルティアと申します。タカヒロ様、貴方を召喚したのは故あってのことなのです。どうか、この世界の危機を救っていただけないでしょうか」
胸の前で手を組み、英雄様に懇願します。
今、この世界では『魔王』と名乗る悪魔が魔界より現れて、魔界の軍勢を引き連れて精霊界を侵略しています。魔界の軍勢の力は圧倒的で、名だたる国家は滅ぼされ、既に人類圏の半分以上が魔王の手に落ちてしまいました。
この窮地を救えるのは異世界の英雄様だけ--私は、そんな人類の希望を背負い、この度の英雄召喚に臨んだのです。
タカヒロ様は、私の懇願に少し考えるような素振りをしています。
「ふむふむ、なるほどのう」
う。
なんか、ジロジロと私の方を見てきています。
頭の上から足の先まで、まるで全身をねっとりとした視線で見られるその感覚は……あの、言ってはいけないことなんですが、正直気持ち悪いです。
私がそんなタカヒロ様の視線にビクビクしていると、やがてにっこりと笑います。
正直素敵な笑顔とは言えないのですが、その表情は私の懇願の肯定だと思い、私は顔を輝かせます。
「勿論、構いませんぞ。女神フォルティーナ様からもうかがっております。この勇者タカヒロ、魔王を打ち倒すべく、全力を尽くしますぞ」
……微妙に、フォルトゥナ様の名前を間違えているのが気になりますが。
こちらの世界に来たばかりですから、仕方ありません。
「タカヒロ様、女神さまのお名前は”フォルトゥナ”様です」
「おっと、そうでしたか。これは失礼。ぐひひひひ」
--なんか、やっぱり事前の英雄像と違い過ぎるその個性的な笑みに、正直私は引きながらも、それでも快く私の願いを受け入れてくれたタカヒロ様に失礼がないように、笑顔を返しました。若干引きつっていたかもしれません。
ふと周りを見ると、他の教徒はあからさまにタカヒロ様に対して嫌悪感をあらわにしていました。
人を外見で判断するなど、これはいけません。後で注意しなくてはいけませんね。
正直言うと気持ちは分からなくもないのですが、タカヒロ様はこの世界を救って下さる英雄様です。私たちが全力で支えなければならない方なのです。
「ミルティア様。今日のところは、ワシゃとりあえずゆっくりと休みたいんじゃが。寝床と飯を準備してくれんかのう」
「はい、勿論ですタカヒロ様。今日のところはゆっくりお休みください」
そんなタカヒロ様の堂々たる態度に、その場にいた他の教徒達が彼に向ける嫌悪はますます強くなっていくようでした。
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タカヒロ様には、村の中にある使われていない廃屋を使っていただくことになりました。
廃屋とはいっても、日ごろから最低限の手入れはしており、人が寝泊まりするに必要な清掃などを行い、タカヒロ様がお休みになられる場所にしていただきました。
正直、大切なお客様を歓迎するには失礼にすら値する程なのですが、タカヒロ様は嫌な顔などせずに、そこを使っていただくことを受け入れて下さいました。
村を上げての歓待をしようと思ったのですが、タカヒロ様は疲れているからという理由で固辞されました。
代わりというわけではないですが、私が夕食をお持ちするということで、日が暮れかける頃、タカヒロ様がお休みになられている廃屋へと立ち寄ったところ。
「お、おお……ミルティア様ですか……ふおおおっ!」
中に入って、私は驚愕して、思わず開いた口を閉じられませんでした。
何と、中ではタカヒロ様が丸裸で……その、男性のアレを手で……何かしら刺激していたのです。
「ど、どうぞ……中にお入り下さいっ! ぶひぃぃぃっ!」
まるで獣のような声を出しながら、私を招くタカヒロ様。
「な、何を……何をなさっているのですか? タカヒロ様?」
思わずお持ちした夕食を床にこぼしてしまいました。
それよりも目にした光景が信じられません。
男の方の……その、男性器を見たことは、幼い頃に父のものを見たことくらいで。
それに、あの時はあんなに大きくはなかったし、何か濡れている?
「ぐひひひ。何って、オナニーですよ。オナニー」
おな……?
その単語の意味が全く分かりません。
タカヒロ様の世界での専門用語でしょうか?
意味は分かりませんが……何故か、その言葉は私の耳にこびりつくようになり、聞いていると胸がどきどきとしてきます。
「さ、ドアを閉めて入ってきてください。ああ、こぼした飯はそのままでいいですぞ。後でワシが掃除しておきましょう」
タカヒロ様はなおも男性器を弄って……よく見ると擦っているようです。
息も荒げており、声も必死な感じがするのですが……痛くないのでしょうか?
しかし、その姿が、何故か私には逞しく思えました。
私はぼーっとしながら、タカヒロ様の言う通り、建物のドアを閉めてから部屋の中に入ります。
「あ、あの……タカヒロ様。おなにー、とは一体何なんでしょうか?」
「ぶひぃぃぃぃっ!」
私がそういうと、タカヒロ様は豚のような声を出して、更に男性器を激しく擦ります。
「あ、あのっ! 大丈夫でしょうか?」
「だ、大丈夫じゃあ! み、ミルティア様。もう1度言って下さい。今、なんと言いましたか?」
「え、えぇと……おなにーとは一体ーー」
「ぶひぃぃぃ!」
どうやら「おなにー」という言葉に反応しているようです。
よく見ると、男性器の先からぴゅっと透明な液体が出ています。
うう、正直気持ち悪い……はずなのに、何故か私はその男性器から目が離せませんでした。
「ぐひひひ。ミルティア様は、これに興味深々ですかのぅ?」
私の視線に気づいたタカヒロ様が、まるで見せつけるように、男性器をぶらぶらと揺らしてきます。
その亀の頭のような先端部はこちらに向けられていて、溢れてきた透明な液体で表面がヌメっています。
生理的な嫌悪を感じてしまい、思わず私は顔をしかめるのですが……そこから発する得体のしれない匂いに、私に心臓の鼓動はどんどん速くなっていくのです。
何か、お腹の底が熱く疼くような違和感もあります。
「オナニーとは、人間が幸せになるために必要な儀式ーーみたいなものですじゃ」
「はあ……幸せになるための……」
そのような名前も、タカヒロ様がされていた行為も、聞いたことも見たこともない。タカヒロ様の世界の宗教の儀式ということだろうか。
「今、この世界は魔王に支配されて絶望に包まれておる。そんな今だからこそ、人間1人1人が幸せになることが大切ですじゃろう?」
「っ! そ、それは勿論そうです!」
やはりタカヒロ様は英雄様です。とても良いことをおっしゃいます。
「だから、オナニーもこの時代だからこそ、必要な儀式なのですじゃ。誰もが、この絶望的な時代で幸せになるための大切な行為なのですぞ」
「そ、そうなのですか?」
なんだか、タカヒロ様の「おなにー」を見てから、頭が上手く働かないような気がします。
あんな裸になって性器を弄ることが幸せ? みんなに幸せになるために必要なこと?
そんなことがあるわけがないのに、私はどうしてか、タカヒロ様のその言葉に聞き入ってしまいます。
「どうもミルティア様は半信半疑のようですじゃな」
「い、いえっ! そんなことは……ただ、全く未知のことですので。なんというか……あうう……」
そもそも自らの恥部を見られて、タカヒロ様は恥ずかしくないのだろうか。英雄様だからこそ、気にならないのだろうか。自信満々に言ってくるタカヒロ様に、私が思う常識の方が間違っていると思うようになってきます。
「ふむ、なるほど。では、ミルティア様もやってみるといいですぞ。宣託の神官たる貴女自身が、オナニーによる幸せをまず享受することですじゃ。そうすることで、フォールディア様の神官たる本分ーー皆を幸せにすることも出来るでしょう」
タカヒロ様がまたフォルトゥナ様の名前を間違っているのは、もう気になりませんでした。それよりも自分自身が「おなにー」をすると思うと、心臓が爆発しそうで、それ以外のことは考えられません。
「で、でもっ! やったこともないですし……どうすればいいのか」
「ぐひひひ。安心して下され。オナニーは男女一緒にやることで、その効果を抜群に高められるのですじゃ。ワシが手取り足取り、ご指導させていただきますぞ」
--これが、昨夜のタカヒロ様と私のやり取りの一部始終です。
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