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プロローグ
プロローグ
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「……こんなとこにこんな店あったっけ?」
それは帰宅途中で見つけた古本屋だった。いや、古本というよりも、古書店と言ったほうがいいかもしれない。
引き篭もりではないが、現在無職の俺としては毎日通る道でもないのだが、前回通った二日前まではこんな店はなかったと思う。
別段お店が新しくできたからと言って、ここまで気になることなどないはずだ。むしろ普段から本など読むわけではないのだが、なぜかこの古書店は気になった。吸い寄せられるとでも言うのだろうか。
疑問にも思うが気になったのでしょうがなく店に入る。
カランカランと小気味のいい音を立てて、ドアに付けられた来店を知らせる鐘が鳴る。
できたばかりの古書店だからだろうか、雑然と本が所狭しと積み上げられている。もうちょっと整理してからお店オープンしろよと心の中で突っ込みつつ正面を見ると、カウンターに一人――店主だろうか?――が不気味な笑顔を貼り付けてこちらを眺めていた。
「ひっひっひ、いらっしゃい」
笑い方も不気味だ。なんで俺こんな店に入っちゃったんだろうかと後悔する。やっぱり出ようと回れ右をしたところで、視界に入った一冊の本に目が止まり、それ以上入り口へと向かう回転力が止まる。
なんだろう。すごく気になる本だ。俺はこいつに引き寄せられていたんだろうかと思わせるくらいに気になってしょうがない。
ひとまず手にとって見る。どうやらハードカバーらしいがとても薄い。表紙を見てみるも、何か魔方陣的な模様が書かれているだけで、何の本なのかさっぱり不明だ。
おもむろに表紙をめくってみる。
『これであなたも物語の中へ入れます』
……はぁ?
最初に書いてある一文を読んで、心の中で突っ込みを入れる。
ページをめくると、どうやら物語の中への入り方が書いてあるようだった。そこにはこう書かれていた。
――――――――――――――――――
1.入りたい物語を用意します
2.この本の最後のページを開きます
3.最後のページに手のひらを乗せます
4.目を閉じて物語りに入ると念じてください
――――――――――――――――――
……これは一体なんの本なのだろうか。さらにページをめくるとご丁寧に物語から抜け出す方法も書かれている。
この本を持った状態で物語りに入るので、本の最後のページに手のひらを再度乗せるだけで帰還できるとのこと。
さらにページをめくるとずらずらと何か注意事項のようなものが書いてあるが、そこは読み飛ばして最後のページを開く。
そこには見開きいっぱいに、緻密な魔方陣が描かれていた。サイズの異なる同心円が何重にも描かれ、円の中には日本語でも英語でもない、よくわからない言語っぽいものも描かれている。
えらくふざけた本だなと思いつつも、最後のページだけは気合が入っていることに感心する。
「いたずらにしてはえらい手の込みようで……」
「ひっひっひ、気に入ったかね?」
性別もよくわからない不気味な店主の声が俺に届く。思わず振り返るが、声の通り見た目でも性別がわからない老人がカウンターでこちらを見つめていた。
「いや、そういうわけじゃないけど……」
と、本を元の位置に戻そうと思ったのだが、なぜか本を手に取ったままカウンターへと向かっていた。
「まあまあ、そいつは五百円だよ」
マジかよ。いたずら本のくせに高ぇな。誰が買うんだよ、こんな本。
内心ではそんな感じのことを考えているのだが、なぜか行動が伴わない。ズボンの後ろポケットから財布を取り出すと、五百円玉を店主に渡していた。
「まいど~」
「くっそ、なんでこんなもん買っちまうかな」
自室のテーブルの上に置かれた例の本を眺めながら、パソコンモニタの電源を入れる。
五百円とは言え、無駄な出費をしたものだと心から思う。テーブルの上の本は、先ほどまで観察していた最後の魔方陣のページが開かれたままだ。
モニタだけ電源を入れたパソコンに向かい、いつもの作業を開始する。画面上にはとあるMMORPGのゲーム画面が映し出されている。
いわゆる露店放置というやつだ。商人のキャラクターでお店を開いたまま放置しておけば、勝手に商品が売れていく。画面を確認するが、まあまあの売れ行きか。それだけ確認するとモニタの電源を切ってから自室を出た。
ここは俺の実家だ。両親はすでに他界してもうこの世にはいない。遺産で暮らしているのだが、それはそれでヒマなので、色々なバイトなどにも手を出したりすることもあった。
庭付きの二階建て4LDKの我が家は一人では広すぎるのだが、だからと言って引っ越すのも面倒なので現状維持のままである。
一階のキッチンまで下りると冷蔵庫から缶ビールを取り出して開ける。一口飲むと、階段を駆け上がりまた自室へと戻る。
またモニタの電源を入れようとして机に手を置いたのだが、どうやら場所が悪かったようだ。
最後のページの魔方陣が開いたままの本の上に手を置いた俺の視界がそこで暗転した。
それは帰宅途中で見つけた古本屋だった。いや、古本というよりも、古書店と言ったほうがいいかもしれない。
引き篭もりではないが、現在無職の俺としては毎日通る道でもないのだが、前回通った二日前まではこんな店はなかったと思う。
別段お店が新しくできたからと言って、ここまで気になることなどないはずだ。むしろ普段から本など読むわけではないのだが、なぜかこの古書店は気になった。吸い寄せられるとでも言うのだろうか。
疑問にも思うが気になったのでしょうがなく店に入る。
カランカランと小気味のいい音を立てて、ドアに付けられた来店を知らせる鐘が鳴る。
できたばかりの古書店だからだろうか、雑然と本が所狭しと積み上げられている。もうちょっと整理してからお店オープンしろよと心の中で突っ込みつつ正面を見ると、カウンターに一人――店主だろうか?――が不気味な笑顔を貼り付けてこちらを眺めていた。
「ひっひっひ、いらっしゃい」
笑い方も不気味だ。なんで俺こんな店に入っちゃったんだろうかと後悔する。やっぱり出ようと回れ右をしたところで、視界に入った一冊の本に目が止まり、それ以上入り口へと向かう回転力が止まる。
なんだろう。すごく気になる本だ。俺はこいつに引き寄せられていたんだろうかと思わせるくらいに気になってしょうがない。
ひとまず手にとって見る。どうやらハードカバーらしいがとても薄い。表紙を見てみるも、何か魔方陣的な模様が書かれているだけで、何の本なのかさっぱり不明だ。
おもむろに表紙をめくってみる。
『これであなたも物語の中へ入れます』
……はぁ?
最初に書いてある一文を読んで、心の中で突っ込みを入れる。
ページをめくると、どうやら物語の中への入り方が書いてあるようだった。そこにはこう書かれていた。
――――――――――――――――――
1.入りたい物語を用意します
2.この本の最後のページを開きます
3.最後のページに手のひらを乗せます
4.目を閉じて物語りに入ると念じてください
――――――――――――――――――
……これは一体なんの本なのだろうか。さらにページをめくるとご丁寧に物語から抜け出す方法も書かれている。
この本を持った状態で物語りに入るので、本の最後のページに手のひらを再度乗せるだけで帰還できるとのこと。
さらにページをめくるとずらずらと何か注意事項のようなものが書いてあるが、そこは読み飛ばして最後のページを開く。
そこには見開きいっぱいに、緻密な魔方陣が描かれていた。サイズの異なる同心円が何重にも描かれ、円の中には日本語でも英語でもない、よくわからない言語っぽいものも描かれている。
えらくふざけた本だなと思いつつも、最後のページだけは気合が入っていることに感心する。
「いたずらにしてはえらい手の込みようで……」
「ひっひっひ、気に入ったかね?」
性別もよくわからない不気味な店主の声が俺に届く。思わず振り返るが、声の通り見た目でも性別がわからない老人がカウンターでこちらを見つめていた。
「いや、そういうわけじゃないけど……」
と、本を元の位置に戻そうと思ったのだが、なぜか本を手に取ったままカウンターへと向かっていた。
「まあまあ、そいつは五百円だよ」
マジかよ。いたずら本のくせに高ぇな。誰が買うんだよ、こんな本。
内心ではそんな感じのことを考えているのだが、なぜか行動が伴わない。ズボンの後ろポケットから財布を取り出すと、五百円玉を店主に渡していた。
「まいど~」
「くっそ、なんでこんなもん買っちまうかな」
自室のテーブルの上に置かれた例の本を眺めながら、パソコンモニタの電源を入れる。
五百円とは言え、無駄な出費をしたものだと心から思う。テーブルの上の本は、先ほどまで観察していた最後の魔方陣のページが開かれたままだ。
モニタだけ電源を入れたパソコンに向かい、いつもの作業を開始する。画面上にはとあるMMORPGのゲーム画面が映し出されている。
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ここは俺の実家だ。両親はすでに他界してもうこの世にはいない。遺産で暮らしているのだが、それはそれでヒマなので、色々なバイトなどにも手を出したりすることもあった。
庭付きの二階建て4LDKの我が家は一人では広すぎるのだが、だからと言って引っ越すのも面倒なので現状維持のままである。
一階のキッチンまで下りると冷蔵庫から缶ビールを取り出して開ける。一口飲むと、階段を駆け上がりまた自室へと戻る。
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最後のページの魔方陣が開いたままの本の上に手を置いた俺の視界がそこで暗転した。
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